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ぼくは彼女で彼女が彼女  作者: 芝井流歌
30/50

お祭りに行こう 1

『仕方ないわね』

 少し悩んでいたのか、やっと返ってきたメールは彼女の照れ隠しが満載の文面だった。

 プライドの高い彼女らしいな。

 素直に嬉しいって言ってくれれば、ぼくだって恥ずかしいメールを送ったかいがあったというのに。

 まあ、いいか。

『迎えに行こうか?』

『着付けをしたら蒼の家まで行くわ。多分、五時を過ぎてしまうと思うけれど、構わないかしら?』

『うん、分かった。下駄が痛かったらビーチサンダルで来なよ。無理しなくていいから』

『ビーチサンダル?どういうこと?』

 あれ?やっぱりこれっておかしいのかな?

『いや、何でもない。じゃあ五時にはぼくも出れるように支度しておくよ』

 下駄の代わりにビーチサンダルって邪道だったのか。

 思いつきで言ってしまったけれど、変なこと書いてしまったな。

 約束となると、五時になるのが待ち遠しくてたまらない。

 久しぶりのデートだし、お祭りなんて初めてだし、何より彼女の浴衣姿が楽しみで仕方ない。

 お祭りで彼女の浴衣……、想像しようとして思い出してしまったのは、さっきのコンビニの女の子。

 足が痛いから迎えに来てくれないとお祭りに行かない!だっけなぁ。

 彼女は子供の頃から浴衣を着ていたらしいから、下駄が痛いから行かない!とは言わないだろうけど……ちょっと心配。

 でも、昨日はぼくのわがままで険悪な空気にさせてしまったから、今日はうんと喜んでくれるように楽しませてあげなきゃな。

 とはいえ、お祭り自体、行ったことがないから何をしたら楽しんでくれるのか、どうしたら喜んでくれるのか分からない。

 やっぱり、彼女のご機嫌窺いながら、かなぁ……。

 五時までに洗濯もの乾くかな……。

 わくわくしているような、ざわざわしているような、窓からそそぐ心地よい風を浴びながら目を閉じて気持ちを落ち着かせていた。

 少し風が強まってきた気がする。

 目を開けて雲を見上げると、薄いねずみ色の幕が張っている。

 雨、降らないといいな……そう思いながら吊るしていたタオルに触れると、意外にも乾いていた。

 出かける前に、乾いた物だけでも取り込んでおこう。

 シャツやズボンの繋ぎ目はなかなか乾かないんだよなぁ……。

「蒼?」

 呼ばれた気がして声のほうを向くと、窓の下に彼女の姿があった。

 彼女が二階に届くほどの声を出すなんて珍しいし、まだ五時になってもいないのに早すぎると思ったのとで、ぼくは焦って窓を閉めて玄関のドアを開けた。

 とっさに窓を閉めてしまったからさっきは気にしていなかったけれど、アパートの階段の下から上がってくる浴衣姿の彼女に、つい目が奪われた。

「ずいぶん早く支度ができてしまったから、五時にもなっていないわね。蒼はまだ支度できていないわよね?」

「……」

「早すぎて驚かせてしまったかしら?」

「い、いや……」

「部屋、上がってもいい?」

「あ……あぁ、うん……」

 彼女はカランコロンとぼくの部屋に入ってくると、不思議そうな顔のまま尋ねてきた。

「これは中学生の時におばあさまが買ってくださった浴衣だから、今の私には少し幼い柄かもしれないけど……これでもよかったかしら?」

「……す、すごいかわいい……似合ってるよ!茜、かわいい!」

 彼女の浴衣姿に見とれてしまっていたぼくは、いつになく自分から抱きしめていた。

 中学生の時に買ってもらったとはいえ、大人びた紺色の浴衣から覗かせる白い肌も、上のほうでまとめた髪も、全部が新鮮で愛おしくて、思わず抱きしめる腕に力が入る。

「蒼……、苦しいわよ」

「あぁ!ごめんっ!」

 その声で我に返ったけれど、改めて彼女を見つめると自分でもかなり興奮しているのが分かった。

「そんなに褒めてくれるのなら、毎年着てくればよかったわ」

「茜……キスしたい!」

 宣言したのか尋ねたのか分からないけれど、とっさに出た言葉はもう実行していた。

 勢いでしてしまったキスに驚いたのか、彼女はそっとぼくを放して言った。

「口紅、付いてしまうわ。ほら……」

 彼女はそう言って、取り乱しているぼくの唇を指ですくった。

「あ……、ごめん……。つい……」

「ふふっ、いいのよ。そんなに喜んでくれるとは思わなかったわ」

 彼女をお祭りに連れて行って喜ばせるどころか、ぼくが彼女の浴衣姿に喜んでしまうとは、本末転倒だ。

 でも、ぼくが喜んでいる姿を見て彼女も満足そうだから、よしとしよう!

「い、今支度するから待ってて!」

 興奮が収まらないのが恥ずかしくて、ぼくは急いで玄関から離れた。

 いそいそとバッグを持ち出したはいいけど、何を持っていいのか分からなくてふと我に返った。

「お祭りって、何持って行けばいい?」

「ふふっ、何もいらないわよ。とりあえずお財布と携帯は持っていればいいわ」

「そ、そっか」

 どれだけあわててるのか自分でも謎なくらい妙な動きをしていたと思う。

 そんなぼくを見て、彼女は嬉しそうに笑っていた。

 彼女の言う通り、必要最低限の物を持って家を出ると、外はもうすっかり夕日が落ちていた。

 アパートの階段をゆっくりと降りると、秋の夜風が彼女の浴衣の裾をそっと揺らす。

「手、繋ぎたい……」

「あなたらしくないわね。今日はいつになく積極的でドキドキするわ」

 ドキドキしてるのはぼくのほうだよ。

 でも、本当にドキドキしているのが伝わってくるくらい、彼女の手は温かかった。

 お互いに照れくさいからか、軽く指を絡ませるように手を繋ぐと、ぼくはまた恥ずかしくなって下を向いて歩いた。

「どうしたの?やっぱり人混みに行くのが嫌になったの?」

「いや、違うよ。……むしろお祭りっていいなって思ってる」

「まだ神社にも着いていないのに?」

「……うん」

 カランコロンと彼女の下駄の音が、お祭りのお囃子に混じっていく。

 神社に近づくにつれて、たくさんの人の笑顔が増えてくる。

 人混みも、家族連れも、やっぱり苦手だけれど、今のぼくは彼女といれることだけで幸せを感じている。

 こんなにごった返しているのに、みんな楽しそうにしている気持ちが少しだけ分かった。

 好きな人と、大切な人と、一緒に過ごせることは、どんなことでも幸せなんだ。

 人混みも寒いのも、暑いのもうるさいのも苦手だけれど、彼女となら一緒に過ごせるだけで嬉しい。

 今更そんなことに気付いた。

「蒼、大丈夫?」

「え、うん。大丈夫!予想以上に人が多いんだな」

「無理はしなくていいわよ。しんどくなってしまったら素直に言ってね」

「うん。茜も鼻緒が痛くなったら言うんだよ?」

「そういえばビーチサンダルって何のことだったの?」

「え?あぁ、何でもないよ……ははっ」

 夜の暗闇に赤いちょうちんと出店の灯りがぼくらを照らしているけれど、彼女の横顔をちらりと見ては、顔がほてっていった。

 そんなぼくに気付いた彼女と目が合いそうになってあわてて目を逸らすと、その先には見たことがある文字があった。

「ソースせんべい、駄菓子屋で買ったことあるよ!お祭りでも売ってるんだなぁ」

「そうね。ソースせんべいは昔から定番よ。他にもいろいろお店があるけれど、食べたい?」

「うーん、他にも色々あるなら見てからにしようかな」

「食べ物のお店もたくさんあるけれど、射的とか金魚すくいなんて好きなんじゃないかしら?あなたは負けず嫌いだから」

「負けず嫌いなのは茜のほうだろ?射的って楽しそうだけど、金魚救いってどうやって助けるの?射的の的になった金魚を救い出すってこと?」

 目が合うと、不思議そうなぼくの顔を見て彼女は吹き出して笑った。

「救出するほうの救うという意味ではなくて、水の中で泳いでる金魚をすくい上げるのよ?蒼ったら……」

「あぁ、そういうこと?」

 なるほど、という顔のぼくを見て、彼女はまた笑う。

 こんなに笑っている彼女を見るのは久しぶりだ。

 ていうか、楽しそうというよりも、ぼくの発言に笑い転げているような感じだけど……まぁいいか。

「見に行ってみる?金魚すくい」

「うん、茜はやったことあるの?」

「子供の頃ね。でも私は上手く出来なかったから、弟がやっているのを見ていたわ」

「ふぅん。器用な茜でも上手くいかないくらい難しいのか?」

「コツがいるのよ」

『金魚すくい』と書かれたのれんの下まで来ると、長細い水槽にたくさんの金魚が泳いでいた。

 赤い金魚に混じっている黒い出目金が、他の赤い金魚を引き立たせていてかわいい。

 お父さんに連れられている小さい女の子が、大き目の金魚を指指しておねだりをしているように見える。

 そのリクエストに応えるつもりなのか、お父さんは、平べったいモナカのような物で金魚を追いかけていた。

「はい、ざんねーん!お嬢ちゃん、サービスするけど持って帰る?」

 お店のおじさんは残念と言いながら嬉しそうに笑っているけれど……。

 女の子は持って帰りたいとまたおねだりをしていたけれど、お父さんは首を横に振り、お店から遠ざかって行った。

「あれってモナカじゃないのか?」

「そうね、食べてみる?」

「そうじゃなくて……、あれで金魚がすくえるのか?」

「だからコツがいるのよ」

「ふぅん……。やってみたい!」

 彼女の返事も待たずに、ぼくはおじさんの言われるがまま小銭を出し、さっきのお父さんのように金魚を追いかけた。

「ざんねーん!兄ちゃん、水で泳がせちゃだめだよー!初めて?」

 お、男じゃないんだけど……、まぁいいか。

 ぼくがこくりとうなずくと、おじさんは調理用の穴あきおたまのような物を持ち出して、『上からサッとすくうんだよ!』と一匹の金魚をすくってみせた。

 それなら誰だってすくえるじゃないかとツッコミたかったけれど、ふふんと得意げに笑うおじさんに負けた気がして、ぼくはもう一度小銭を渡した。

 今度はおじさんが卑怯な武器で手本を見せたように、ぺらぺらのモナカを薄く水につけ、小さな金魚をすくい上げた。

「おー!兄ちゃん、初めてのわりにいいセンスしてるねー!俺の手本が良かったか!」

 だから、兄ちゃんでも男でもないんだけど……、まぁいいか。

 そして卑怯な武器で手本を見せておきながら、自分の手柄だとばかりに豪快に笑うおじさんに、ぼくの闘争心に火が付いた。

 今すくった小さい金魚も赤くてかわいいけれど、ぼくはさっきから黒い出目金が気になってたまらない。

 それを目で追うぼくをおじさんが『素人が出目金狙うのは難しいよー?』とあおる。

 金魚すくいにもプロとか素人とかあるのか?どっちにしろ初心者のぼくには難易度が高いらしい。

 さっきすくった水分でふにゃふにゃになっているモナカには出目金は大きすぎるだろうかとも思ったけれど、半分意地になっているぼくには関係ない。

「ほらほらー!兄ちゃん、欲張らない欲張らない!でも筋はいいからもう一回やれば取れるかもなー?」

 だから男じゃ……!も、もういちいち心の中でツッコミを入れるのはやめよう……。

 そう言われて引き下がるわけにはいかない!

 ぼくはもう一度小銭をおじさんに渡そうと財布を手に持つと、それを彼女が奪った。

「もう充分楽しんだでしょう?他を回りましょうよ」

「……やだ!」

 彼女は水槽に向かってしゃがみこんでいるぼくをしばらく見ていたけれど、笑いながらため息をついて財布を返してきた。

「子供じゃないんだから……。もう一度だけよ?」

「分かった!」

 改めて小銭を渡すぼくに、おじさんはにやりと笑って『まいどー』と言った。

 そんなおじさんを見返してやりたいという気持ちが、普段めんどくさがりでどうでもいいという考え方のぼくを刺激する。

 自分でも珍しく、久しぶりに集中してると感じてるくらい、もう出目金しか見えていない。

 すいすいと泳いでる出目金を目で追い、上に浮いてきたのを見計らってすくい上げると、

 おじさんは驚いたような、にがいような顔をした。

 どうだ!といわんばかりにぼくがどや顔をすると、おじさんは小さな袋に水を入れ、すくった金魚と出目金、それともう一匹ひらひらとした金魚を入れてぼくに差し出した。

「持ってきな!かわいい彼女にいいとこ見せたおまけだよ!金魚も彼女も大切にするんだぞ、イケメン兄ちゃん!」

 に、兄ちゃんじゃ……もういいけど……。

 でも彼女にいいところを見せられたのは事実だし、結果的に楽しかったからよしとするか!

「茜!見て!かわいいだろ?」

 彼女は小さなビニールに入った金魚たちを見て、それからぼくを見て微笑んだ。

「あなたのそんな顔、久しぶりに見たわ」

「……え?」

「真剣な顔、だだをこねる顔、嬉しそうに笑う顔、まるで子供みたいだったけれど、とても生き生きしていたわよ?」

「……子供っぽかったか……」

 しょんぼりしたぼくを見て、彼女はまた笑う。

「いいのよ、それで。お祭りは童心に戻って楽しむものだもの」

「そうなのか?」

「ええ、でも意地になっていたら財布が空っぽになってしまうわよ?」

「あ、……うん。そうだな」

 目が合って笑った。

 金魚たちを右手に持ち直して、左手で彼女に指を絡ませると、彼女は振り向いて囁いた。

「はぐれないように、私を離さないでね」

 迷子にならないようにという意味か、側にいてという意味か、どちらもということなのか、

 いずれにしても考える間もなく顔が熱くなった。

「うん」

 ぼくはしっかりと彼女の手を握り直し、人混みを縫って歩いた。

「最初に金魚すくいをやらせたのは誤算だったわね」

「何で?」

「片手がふさがってしまっては食べにくいじゃない?」

「そっか……。茜は何か食べたいものがあるの?」

「これというわけではないけれど、あなたが食べてみたいと思うものが食べたいわ」

「……そう言われてもなぁ」

 辺りを見渡すと、たこ焼きやら焼きそばやらフランクフルトやら、どこかで食べたことがあるものばかりで、何を選んだらいいのか分からない。

 わたあめは駄菓子屋で買ったことがあるけれど、何やら大きな袋にでかでかとキャラクターが描いてあって……、ぼくが知っているわたあめとは違うものなのか?

 それと、りんご飴という、その名の通りりんごみたいなものが丸々入っているものがあるけれど、あれは中に入っているりんご自体も本物に似せた飴なのか?

 それと、あんず飴と書いてあるけれど売っているのは中にすももが入った水飴……、いや、パイナップルもみかんもあるけれど、水飴自体があんずでできているのか?

 飴ばっかりだな……。

「蒼、ゆっくりでいいのよ?お祭りの雰囲気を楽しみましょ」

「う、うん」

 そうは言っても、周りの人たちは何かしら食べて楽しそうにしているから、きっと彼女も何か食べたいに違いない。

 でも、ぼくが食べたいものを食べたいって言ってるし……。

「子供の頃はどんなのを食べてたの?」

「そうね……、最近は出店の種類も増えたけれど、昔は毎年ソースせんべいを欠かさず食べていたと思うわ。今はソースと梅ジャムだけではなくて、いろいろな味があるのよ。それで気付いたけれど、いつの間にか百円ではなくなっているのね。他のものも値上がりしていて、百円で買えるものなんてなくなっているわ」

「そうなのか?駄菓子屋よりも良質なせんべいなのか、お祭り価格なのかと思ってたよ」

「まぁ、そうね。お祭り価格というのが正解ね。おいしいものを、というよりは雰囲気を買うといった感じかしら」

 あんまりお祭りに現実味のあることを求めちゃいけないってことか……。

 テーマパークの夢代と同じ原理だな。

「茜、チョコバナナは?何かカラフルなのが付いててかわいいけど……」

「ふふっ、そうね、かわいい。じゃあ二つ買ってくるわ」

 彼女はそう言って、慣れた口調でたやすく買、二本持って帰ってきた。

「はい、あーん」

「……いやいや、自分で食べるから!」

「ふふっ、冗談よ。口の周りをチョコレートだらけにしないように食べるのよ?」

「はいはい、分かってるよ」


 初めてのお祭りで食べたそれは、甘酸っぱくて柔らかくて、思い出になる味だった。

「おいしい?」

「うん!次はしょっぱい物にしようか!そうだなぁ……じゃがバタってのも気になるし、焼きもろこしも捨てがたいなぁ」

「そうね、じゃあ両方とも食べましょうよ」

 それからぼくたちは、お腹がいっぱいなのも関係なくいろいろ食べて回った。

 例のあんず飴も、お店の人にじゃんけんで勝ったら二本だと言われ、いつもじゃんけんでぼくに勝つ彼女に任せると、案の定勝って二本もらって一本ずつ食べた。

 水飴が硬いと言ってだらだら食べていたぼくに『早く食べないと溶けて垂れるわよ』と言って、その通りぼくが服に垂らしてしまうと、呆れて笑い、

 かき氷のシロップを混ぜようとして『こぼさないでね』と言われてる矢先からこぼすと、また呆れて笑う。

 半分ずつした焼きそばの紅生姜が嫌だと言ったら『だめよ、これもお祭りなんだから食べなさい』と言って無理矢理皿に乗せて、ぶつぶつ言うぼくににっこりと微笑みかける。

 金魚を持っているから片手がふさがっているぼくに『食べさせてあげる』と何度も食べさせようとしては、いやいやと首を振るぼくを見てからかう。

 射的を失敗するごとに『もう、下手くそなんだから諦めなさいよ』と半分怒って半分呆れる。

 肩がぶつかるほどの人たちの中なのに、ぼくはすっかり彼女しか見えていなかった。


 呆れた顔も、怒った顔も、からかう顔も、笑った顔も、お祭りという魔法が、浴衣姿の彼女のことを夢中にさせる。

 いや、お祭りの魔法じゃなくて、自分の苦手なものより彼女との時間を大切にしたごほうびだよと、神社の神様がくれたプレゼントだったのかもしれない。

「お祭り、来年も行こうな」

「えぇ、あなたが望むなら」

 ぼくから言っておきながら、また顔が火照る。

 そんなぼくをずっと見ていたくせに、小さな金魚たちは知らんぷりして泳いでいた。

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