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妖怪アパートの住民

世のリア充に制裁を

作者: ゆき♪

https://twitter.com/t15067tt

友達募集しています。

 能面堂欠片は、創作物におけるハーレム系主人公にあこがれていた。


 それゆえに欠片は、日々を自分磨きに費やしていた。


 けれども、欠片のその努力が実ることはなかった。


 それも、無理はなかった。


 なぜならば欠片は、厳密には人間ではなく、人間とぬらりひょんと言う妖怪との間に生まれた半妖で、半妖と人間には、身体的にも文化的にも覆ることの出来ない大きな差があったからである。


 それゆえに、秘密裏に妖怪や半妖の入学が許された、私立神楽学園に通っている欠片であっても、そこに通っている大体数の人間にモテることはなかった。


 ある日、欠片は、神楽学園の旧女子寮――通称妖怪アパートにて、そこの住民に、恋愛相談をすることにした。


 欠片の同級生である、九十九ガーネットは、欠片に言う。


「私は、あなたのことは嫌いではないけれども、なんと言うか、チャラいから、生理的に無理。と言うか、日本はモノガミーの国なのに、複数の女性と関係を持ちたいだなんて、世の女性から見れば、女の敵だと思うけれども?」


「折り紙?」


「モノガミーよ。要するに、一夫一妻ってことよ。ちなみに、逆に、あなたの求めるようなハーレムは、ポリガミーと言うわ」


「まあ、よく分らねえけど、ハーレムと言うのは、あまりよくないのか?」


「よくないかどうかは、その人の価値観によるけれども、私は、不誠実だと思うわ」


「ふーん。そんなもんなのかね?」


 一方、同じく欠片の同級生である、ロレンソ・カレーリナは、欠片に一言物申す。


「私は、あなたみたいな、なにも考えていない餓鬼が、嫌いよ」


 と。


 しかし、ロレンソがそう言うのも無理からぬ話かも知れなかった。


 なぜならばロレンソは、この妖怪アパートの住民の中でも、最も貫禄がある住民の一人だからである。


 そして、その正体は、七百年の時を生きる、ヴァンパイアの中でも最上位に当たるQV(クイーンヴァンパイアの略称)である。


 ロレンソが、この妖怪アパートに入居して、神楽学園に通い始めたのはつい最近の話になるのだけれども、なにゆえにロレンソが日本のマンモス進学校に通っているかと言うと、学園の上層部が計画する、人間と妖怪の共存化を果たす為に、ロレンソを礎にする為だと言う。


 もっとも、それを言えば、どこにも行く当てがなくて神楽学園にしか助けを求めることが出来なかった半妖の欠片や、付喪神であるガーネットを含めた九十九四姉妹も、すでに人間と妖怪の共存化を果たす為の礎なのだけれども。


 欠片は、休日に、昼食を摂る為に、妖怪アパートの食堂に足を運んだ。


 食堂には、いつものように、食堂でお茶をしている氷村雪と犬飼銀の姿があった。


 雪は、欠片を見るなり席を立ち、欠片に言う。


「欠片、ちょうどいいところに来た。私がゆっくりと茶を飲もうとしているのに、こいつがさっきからしつこいんだ。後はよろしく頼んだぞ」


「よろしく頼んだぞって、なにを?」


「ちょっと、雪ちゃん? 酷くないかい?」


「喧しい。このストーカーが」


 雪はそう言うと、颯爽と食堂を出て行った。


 欠片は、銀に問う。


「銀さん。雪さん、怒っているように見えましたけれども、どうしたんですか?」


「なんでもないよ。ただ、雪ちゃんは、ただ照れ屋なだけだ」


「その割には、ものすごく嫌がっているように見えたけど」


「それは、言うな」


「ところで、銀さん」


「なにかな?」


「隣、いいですか?」


「いいよ、座りたまえ」


 欠片は、銀に自分の抱える恋愛の悩みを告げた。


 すると銀は、欠片に言う。


「きみは、女性にモテたいのかね?」


「はい、そうです。だから、女性にモテる銀さんに、恋愛相談を持ちだした次第です」


「ふーん、なるほどね。けれども、恋愛は、数を打てば、解決する問題であると思うよ」


「と言うと、多くの女性に、愛の告白をすればいいと言うことですか?」


「そう言うことさ」


「…………」


 欠片にとって、銀のこの言葉は、意外であった。


 なぜならば、銀は一度外に出れば、どこに行っても素性の知れない女性と遊び更けているからである。


 それゆえに銀は、女性の扱い方に関して、有力なレクチャーをしてくれると思ったからである。


 欠片は、銀に言う。


「こんな言い方はあれですけれども、ちょっと、そりゃないですよ。もっと、なんか、確実性のある方法を教えてくださいよ」


「これでも、十分に確実性のある方法じゃないか。百人の女性に告白すれば、一人くらいはOKしてくれるだろう」


「それは、銀さんが女性にモテるからでしょ?」


「それは、欠片の勘違いだ。欠片は、僕がなにの妖怪か、忘れたわけではあるまい」


「犬神でしょ?」


「そうだ。まあ、つまり、犬神が異性をたぶらかすのは性のようなものでね、正直、僕も好きで女遊びをしているわけではないのだよ」


「驕っているようにしか思えないのですけれど」


「まさか。その証拠に、僕は、一人の女性しか愛していないよ」


「雪さんですか?」


「無論」


「でも、雪さんにその気はないじゃないですか?」


「欠片は、痛いところをつくね。けれども、恋愛と言うのは、そう言うものさ。不特定多数の女性が百人いれば、そのうちの一人くらいは自分のことを好きになってくれるけれども、自分が気になる相手が、自分のことを好きなってくれるとは限らないものさ。ここで、欠片に世の中の真理を教えてあげよう」


「なんですか?」


「それは、人間のいい女は、すでに他の男に取られていると言うことさ。だって、そうだろう? いい女は、皆が喉から手が出るほど欲しがって、なおかつ放したがらないものだからだ。すなわち、世の中にいる、付き合っていない女は、全て売れ残りの女だ」


「じゃあ、僕は、誰を愛すればいいのですか? その理屈では、いい女は、手に入れることが出来ないと言うことじゃないですか?」


「それは、理屈だけでの話だ。しかし、これだけ守れば、欠片でもいい人間の女を手に入れることが出来る。それは、簡単に言えば、性格が不細工な女と料理が下手な女と付き合うなと言うことだ。顔が不細工な女は、人間の場合は五十年もすれば、皆同じ顔になるが、性格に関しては、無駄だ。なん年経っても性根の部分は変わることはない。それから、不味い飯を一生食べると言うことは、地獄にも勝る辛さだぞ。まあ、顔の造形は、子供の造形にも関わってくるから、気を付けても損はしないが」


「なるほど、参考になります」


「しかし、人間の世界にも、片足突っ込んでいる半妖はかわいそうだな」


「どうしてですか?」


「その性質は、妖怪と全く同じであるのにも関わらず、人間社会に生活を合わさなければならないからだ。その点、妖怪はいいぞ。美人は多いし、ライバルは少ないし、四苦八苦――すなわち、生老病死、愛別離苦、怨憎会苦、求不得苦、五蘊盛苦の苦しみもないからな。欠片も、こっち側に来ればいいのに」


「でも、人間も悪くはないと思うよ。そりゃ、嫌なことの方が多いと感じることが多々あるけれども、人間だと、どんなことでも一生懸命になれるからさ。それに、いい人もたくさんいるから」


「なるほどね。確かに、そうかもしれないね」

 『世のリア充に制裁を』を読んでくださった方、本当にありがとうございます。

この小説は、うp主が、「恋愛とはなんたるか」と疑問に思って書いた小説です。

 そうなのです。

 うp主には、恋愛と言うものが、よく分かりません。

 それは、うp主が、女性、もしくは男性に対して、全くもって恋愛感情を抱かない、無性愛者と言うわけではなくて、うp主は、男女間の恋愛と言うものが、どのようにして発展するのかが分からないのです。

 と言うのは、鶏が先か卵が先か、のような話になってしまうのですけれども、男女同士がお互いにお互いの存在に対して恋愛感情を抱き始めて、交際関係を築き上げるのは、お互いが愛し愛されて、そして恋に落ちるからこそ、交際関係が築き上げられるのか、はたまた、お互いに情欲があるからこそ、悪い言い方をすれば、お互いが意中の相手を自分のものにしたいと言う性欲や、あるいは征服欲があるからこそ、交際関係が築き上げられるのか、どちらなのか分からないのです。

 まあ、うp主はキモヲタのパンセクシャルですので、そもそも恋愛を語る前に、恋愛をすることが出来なさそうですが。

 この小説では、情欲を重視する欠片と、恋愛を重視する銀の二人を登場させましたけれども、結局、結論は、男性と女性できっぱりと切り分けた、「女性は、料理が出来た方がよい」と言うような、フェミニズム的な思想で幕を閉じました。

 きっと、銀が欠片にそう言ったのは、情欲を重視する欠片の気持ちに合わせて言ったのかもしれませんが、読者の皆様は、どう思いますか?

 これからも、じゃんじゃん小説をうpしていくつもりですので、応援よろしくお願いします。

 よろしければ、感想もしくは評価を添えていただければ、嬉しいです。

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