誰でも書ける! 婚約破棄!
※5/24 修正しました。序文追加など行いました。前の方がいいって人がいたら戻します。
今回は悪役令嬢物を沢山書いた私が、今はやりの婚約破棄系の作品の書き方を伝授いたします。
自分は、趣味で気軽に制作しているだけなので流石に本流の人たちに及ばないかも知れません。ですが気軽な作者なりに、気軽な書き方は伝授できるとは思っています。
これを読めばすぐに婚約破棄物が書ける! ……かどうかは分かりませんが、まぁ温かい目で見てください。
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そもそも何故婚約破棄はこんなにもブームなのでしょう。
個人的には婚約破棄も転生チートも『悪を強い主人公が成敗する』と言う勧善懲悪的な側面、『強い主人公(または主人公を助けてくれるヒーロー)が活躍する』と言う「あの人かっこいい!」的な側面、『底辺の状態から一気に上位の者へと変貌する逆転劇』の側面があるため、似たようなブームが訪れているのではないかと考えられます。
なんか男も女も考える事は大体同じなのかもしれません。
ではそんな物語を書くにはどうしたらいいでしょう。
『悪を強い主人公が成敗する』必要があるなら最低二人以上の登場人物が必要です。『強い主人公(または主人公を助けてくれるヒーロー)が活躍する』必要があるなら主人公かヒーローを活躍させる展開が必要です。『底辺の状態から一気に上位の者へと変貌する逆転劇』の必要があるなら主人公が上位の者になる展開と敵が下位の者になる展開が必要です。
そういう風に必要な要素を組み替えていった先に出来上がる物……それが『テンプレ』です。と言う訳でこう言った展開を効率的に作れる5つのテンプレをご紹介しましょう。
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1.登場人物の基本は王子・悪役令嬢・ヒロイン・強い立場の者。お好みで攻略対象。あと衆人。【善(悪役令嬢・強い者)と悪(王子・ヒロイン)と考えていいのよ】
まず悪役令嬢。これは主人公なので基本ですね。ちなみに『悪役令嬢』と言うのは名前の符号みたいな感じなので、実際は優しい子にしても構いません。優しくても悪役令嬢と呼ばれるのよ、こういう子は。
続いて王子。これは悪役です。
ヒロイン。最近は真の悪役として書かれるのがトレンドですね。
強い立場の者。これがどんな人物なのかは作品によって違いますが、王様だったり悪役令嬢の両親だったり皇太子だったりします。皇太子だと恋愛もやり直せるかもしれないですね。このキャラがいると後々の逆転劇が書きやすくなります。
他の攻略対象は、基本的にスパイスです。お好みでくわえて良いですが、実はいらなかったりします。
ちなみに婚約破棄の際は衆人が周りにいる場合が多いですが、これは背景と考えて良いと思いますので細かく動かさずともいいでしょう。
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2.まずは婚約破棄から書くべし。【だらだら文書く暇があったら事件起こせ!】
物語と言う物、始まりと言うのは大事です。だらだらと状況説明する暇があるならなんらかの事件から見せるべきです。と、いう訳で一行目から婚約破棄させるのが良いでしょう。婚約破棄する理由なども、破棄を申し出た後に述べる形にするといいでしょう。
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3.爆弾を投下して立場を逆転させよ。【シンデレラストーリーを掴ませよ】
読者が婚約破棄物で見たいのは「ざまぁみろ、王子&ヒロインめ!」と言う逆転劇です。無論、別の物を期待している読者もいるでしょうが。
とにかく逆転劇を演出するため、王子かヒロインの立場が弱くなる何かを投下しましょう。
と言う訳で爆弾です。爆弾の内容は色々ありますが、スタンダードなのは『悪役令嬢がいじめをしていると言っていたが、それはヒロインの狂言だ。その証拠もある』と言う爆弾発言辺りでしょうか。兎にも角にも、決定的な何かを出して王子とヒロインを『ぐぬぬ』とさせましょう。
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4.強い立場の者を乱入させて王子を断罪させよ。【王子のポイントダウン!】
とは言え悪役令嬢にできる能力は限られています。これでは中々「ざまぁみろ」な展開にはしにくいです。そこで強い立場の者です。たとえば国王を登場させて、王子に『今までの所業、見ておったぞ! 貴様は王家にふさわしくない!』と言わせれば完璧です。おまけで悪役令嬢を出世させるのも良いかもしれません。上の爆弾の提供元を強い立場の者にやらせるのも一つの手段でしょう。
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5.「こんなはずじゃなかった!」【仕上げ】
さてさて、最後は王子とヒロインへ対するざまぁみろ展開です。王子とヒロインに何らかの罰を与えたら、ヒロインに「こんなはずじゃなかった!」と言わせましょう。場合によっては王子が言うパターンもありますね。
この台詞を言わせることでざまぁみろ感が更に高まります。
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この5つの展開を抑えれば、昨今の婚約破棄物でおなじみの展開が出来上がります。意外と簡単ですね。
ただこれをまんま使ってしまうと似たような作品で溢れかえる可能性がありますので、上手い事ディティールを付け加えたり、5つの展開のどれかを自分なりにアレンジしたりしてオリジナリティ溢れる作品にしましょうね。それとパクリは駄目よ!
さて、ではこれらのテンプレを使って小作品を作ってみましょう。
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「お前なぞ婚約破棄だ! いいな!」
「おうよ! その言葉を待ってたぜ相棒!」
俺は待ち望んだ婚約破棄を聞くと同時に、俺は爆弾を生成した。
「えっ……」
「俺の能力は婚約破棄をエネルギーにして爆弾を作る事! さぁ、パーティの始まりだぜー!」
俺は自分の能力を使ってパーティ会場を爆破し始めた。
「ちょ、ちょ……!? 衛兵、衛兵ー! 早くそいつを捕えろっ! テロい事やりはじめたぞー!?」
「ぎゃはは、無理だぜ王子さんよおっ! 俺の能力は衛兵ごときには止められねーぜ!」
「王子、ここは私の能力を使いましょう!」
王子の隣にいたニーナが突如叫ぶ。
「に、ニーナ、何をする気だ?」
「モッタナ・キョミナイ・シタクーナ……現れよ! 大いなる邪神よ!」
『◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆!!!!!!』
「なんかめっちゃグロイのが出てきたーっ!?」
「さぁ、邪神よ! 悪役令嬢を懲らしめるのです!」
『◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆』
「ぎゃ、ぎゃーっ! こっちに襲ってきたー!」
「な、なんて事! 魔力が暴走して王子を断罪しようとしてるわ!」
『◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆!!!!!!』
「こんなはずじゃなかった! 王子と結婚した後、秘密裏に王子を邪神で処理しようとしていたのに、これじゃあ順番がめちゃくちゃよっ!」
「え!? お前さりげなく俺を暗殺しようとしてたの!?」
『◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆!!!!!!』
「た、助けてーっ! 誰かーっ!」
そして国は滅んだ。
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どうですか? 登場人物は基本の4人(王子・ヒロイン・悪役令嬢・強い立場の者(邪神))、まずは婚約破棄、爆弾を投下、強い立場の者を乱入させて王子を断罪、「こんなはずじゃなかった!」。テンプレは全て投入しています。
皆さんもこのテンプレをうまく使って新しい悪役令嬢作品を作ってくださいね。面白くできるかは君次第!