プロローグ
夢名月学園生徒会室で、5人の男女が話し合っていた。
「俺達が他校の生徒会に出向く?」
扉の近くにいた男子生徒が、机に座っている男子生徒に声をかけた。
その男子生徒は頷いて、言葉を紡いだ。
「そう。僕達に他校の生徒会がどんな感じかを見てきてほしいんだって」
「それで、何で私が呼ばれたの?」
男子生徒の言葉に疑問をもったのは椅子に座っている女子生徒だった。
そんな女子生徒の言葉を聞いて、さも当然というような笑みを浮かべて答えた。
「僕が先生に頼んで君も一緒に来てもらうようにしたんだ」
「本人の許可もなしに……」
「えー? 僕は一緒に来てくれて嬉しいよー?」
そう言ったのは女子生徒の隣の椅子に座っている男子生徒だ。
その男子生徒の横に立っている女子生徒も同感なのか、首を縦に振っていた。
「はぁ、わかったよ。それで、どこに行くの?」
女子生徒は当たり前と片付けるようにあっさり折れ、どこの高校に行くのかを聞いた。
「えっとね、確か……」
男子生徒はその高校のパンフレットを探して、皆に見せながら答えた。
「荻野原高等学校。通称、荻高だよ」
この瞬間、交わることのない物語が動き始めた――――。