中
中です。
かなり長めです。
でも、エログロ表現は少なめです。
生きる事は何にも勝る自分の本心で、
行動自体、人を表す。
でも結局、わかんなきゃ意味もないし、
私がどうしたって、
それが心のうちなのかも分からない。
でも、いま何が起きているのか、
それは理解できる。
頭を強く打った、
体を含め。
〜好きと伝えたくて〜
《中》
目に映るのは、それがどちらなのか、
よく分かっていない。
空は挽肉の様に、
海は大腸の様に、
全てが赤黒く目に映る。
で、また目を開く。
「………」
「…あ、起きた」
横たわる私の横には、
目の下に真っ黒なクマを作った、
不健康そうな体をした青年がいた。
私はコイツを知っている。
「…カイロ…?
あれ、私なんでここに戻ってきてるの?」
私はメメと電車に乗ってたはずなのに、
気づけば、NO2のカイロの部屋に寝かされていた。
ベットのクッションが皆無に等しく、
細く浮き出た背骨が痛い。
布には埃が溜まってて、目が痒い、
痒くて痛い、だから
また、瞬きした。
「………」
目を開け、赤く染まる目の奥には、
あの時のメメがいる、
その横には何人も、幼い時のメメがいて、
皆んなこっちを見てる。
目の奥は黒くて、白目がなくて…
違う…
…あれは…目がないのかな。
「あの時から変わらず、背景をもち、止めと言える感慨深さに染めどころもなく、
ただここにいる些細な峠より、
さんざめいた橋の下にて、
口角を上げ、干拓を持ち、死を思う、
しにゆくオチにタンダク、こうこ、
考え、故に、自害」
すると、メメは風に連れて行かれるみたいに
足から、体が崩れていく。
皮が剥がれて、筋肉が取れて、
血管が千切れて、骨が剥がれて、
足が砕けて、血と混ざって、
秋の紅葉より少し鮮やかな風を靡かせ、
膝下が消えた。
その血が飛んでゆくのを、
私は、遠くを見てた。
血が、少しだけ血が来て、目に入る。
目を閉じた。
「………」
「列車の脱線事故があったんだよ、
もしかしてと思ってパブロさんと見に行ったら、倒れてるアネちゃんとメメちゃんがいた」
目を開けると、さっきのベット、
同じ痛みが背中に流れる。
そして、また目の前にカイロがいて、
事務的に出来事を伝えてきてる、
さっきのは…
まぁいいや…
そんなことより、
私は別の事が気になるんだ、
もっと大事な事を…
少し怖いけど…
それに、カイロは昔から人に関心がない…
人の気持ちがわからない、
ノンデリカシーと言えば、
そうゆう事でもなくて、
生まれた星の元が違う…そんな感じ。
だから私は、恐る恐るカイロに聞いた。
「……メメ……は?」
「潰れて死んでた」
「は?」
「だから、ぐちゃぐちゃになって死んでたよ、
あれがメメちゃんかどうかは確かめようがなかったけど、少なくとも生きてる乗客全員確かめて、死体も調べたから死んではいるよ、
まぁ、生きてたとしても、
今頃野垂れ死んでるよ」
「…………………は?」
「…あ、ほら丁度テレビに映ってる」
カイロがアゴをくいっとさせた方向には、
部屋の天井隅に取り付けられた液晶テレビがあり、何か写している。
「先日三日前、
岐阜県のJR中央線で脱線事故がありました、
この事故による死者は150名、
その他重症含む怪我人の数30名
行方不明者7名となっています。
事故の原因はまだ分かっていませんが、
脱線の際、電車下で爆発があったと見られ、
不発弾があったのではないかと現在調査中です。
続いてのニュースです。
革命軍《鋼鉄鳥》から政府に向け、
新たな要求が…」
ニュースなんて久しぶりに見た、
…脱線は本当らしい。
よく見れば、
私の体にはいくつもの縫い跡があって、
義足もなんだか新しい…
あれが、さっきのが…
くだらない嘘なんかじゃなくて、
カイロの言う通り、
本当に事故があったんだって分かった…
分かった…分かったところで…だけど。
「メメちゃんはもう、
死んでもおかしくない状態だったんだ、
なんなら、生きてる事がおかしかった、
だから妥当ってか、運命的なね」
メメが……死んだ。
それが事実であれ、
私はなんか、
おかしくなってる。
頭を抱えた…頭の奥に…何かいるみたい…で、
むず痒い…痛いし…
目の中が赤く映っては閉じてる。
目を閉じてるたびにこうなって…
……まあいっか、どうでもいい。
何も考えず目を閉じる。
どうでもよく…感じたい
「………」
目を開ける。
さっきの続きかな…
メメの乳房が切り取られて、
両乳の断面から白い骨が見える……
空いた肋骨から胃酸が零れて、肺が溶ける。
さっきの続きだ。
気持ち悪い…今度はすぐに閉じた。
「………」
また目を開けると、
カイロがベットから立って、
どこかへ行こうとしているのが見える。
「ティッシュ持ってくるよ」
「なんで?」
「泣いてるよアネちゃん」
気づけば、
私の両頬と手は、
塩っけのある水で濡れていた。
「…アネちゃんって、
久々に言われたよ…最近は…まぁいいや、
本当に久々」
「メメちゃんと呼び方と被るからね、
アネちゃん名前ないから呼び方に困るんだよ」
「…じゃあ、メメが死んだから使うって事?」
「当たり前じゃん、メメちゃんは死んだんだし、もう使ってもいいと思うけど」
「……そうだね」
「流石に悲しいの?」
私の目からひたすらに流れる液体は、
塩気のある水で、私は悲しかった。
でも、今こう喋る時、私は冷静でかつ、
悲しくない、いや、どこが正しい感情なのか、体がどう表そうと、
変わる事も、わかる事もない。
「私が泣く事がそんなに不思議?」
「だってアネちゃん
メメちゃんの事嫌いだったでしょ?」
……別に…そんな事、
カイロに言ったことない…
態度かな…
「……」
「あ、あと、これメメちゃんの遺体ね、
葬式するってさ」
涙が目に入って目を閉じた、
コイツとはもう、話したくない…
…そんな意思も、あったかもしれないけどね
「………」
…場面が変わる、地下鉄だ。
電車の中には大きな脳みそが詰められて、
線路の上にはたくさんのメメがいる。
床に広がる血管のなり損ないを踏んで、
透明で薄紅の液体が足につく、
嫌悪感を感じた。
大きな蛾とかを潰した時と同じ気持ちで、
音も立てずに気持ち悪くなる。
なんなんだろこれ、
見てたくないからすぐ目を閉じる…
なんか、昔を思い出すし。
目を逸らすように目を閉じた。
「………」
目を開けるとカイロは、
ピンク色の肉塊を箱に詰めてた。
さっきの地下鉄みたいで気持ち悪い、
……これ…カイロ、さっきこれ、
メメの遺体って言ってたよね。
どこが顔かも分からない、これが?
ピンクだから、脳が出てるのかな…
いや脳は白いか…
気持ち悪い…な。
人の中は知ってた、でも、
知ってる人間の中身は、
どうしても見てられない。
嫌悪感じゃないのはわかる、でも、
見てられなくて、
吐きそう、
吐きそうでたまらない。
「多分知らない人の遺体も混ざってるけど…
まぁ、いいでしょ」
「…吐きそう」
「…でもこれは、シュレちゃんには見せられないね、…あ、アネちゃん大丈夫?顔色悪いよ」
「んぷっ、ごめん吐きそう」
込み上げる胃液が、わたしの目を暗くする、
また、あれを見てしまうかな…
「………」
目を開けると
ピンク色の電車はゆっくりと、
線路の上のメメを、
一人一人潰してゆくのが見えた。
一つ潰れるたびに、
頭が割れて脳みそが溢れ出す。
色はピンクだった、いや白かもしれない、
目が溢れて、潰れて、平たく生きる虫になる、何匹も溢れて、線路を渡る。
電車の速度は低速で、私の歩きよりかは早いけど、走れば追いつくそんな速度。
小さな鉄の錆びた車輪がお腹から圧迫して体を破裂させて、そこに沈む、
もうどれかも分からない臓器を、
また細く切断する。
なんでこんなのが見えるのかな…
気持ち悪いな…
また目を閉じた。
「………」
目を開けると、わたしの口から沢山液体と少量の吐瀉物が混ざったものが流れていた。
それを見て、カイロは流暢な口を閉じ、
静かに手拭いをくれた。
「さすがにね、そうだよね、
もう行った方がいいよ、
身内の死体は見飽きてるけど、
皆んなで可愛がってたメメちゃんだしね、
君も気分はよくないか流石に」
「うん」
「…なんか、アネちゃんが吐いてるの見ると、
あの時を思い出すわ」
「…そう…だね」
カイロの部屋は、すごく血生臭かった。
部屋の外に出ると、
粉塵を含めた風が目に当たる。
「…………。」
「…………。」
「…………。」
言葉以上に身体は、私の本心を映し出す。
でも、体がどうしようと私の本心かよく分からないし、知ったところで何も変わらない。
長くも短くもない灰色の廊下を歩きながら
…私はそう…憔悴しながら考える。
どうでもいいって考えても.…
瞬きするたび、
メメの死にゆく様が延々と脳に映る。
あの場所は……覚えてないけど、
なんだか………
……幻覚は、
わたしが望んでた光景なのかな……
…そんなわけはないけど、
ことばにすれば気持ちも変わるし…
現に身体が、脳が、
わたしにあれを見せてる。
望んでたのかも、そうなのかもしれない…
なんとなく…目を閉じた、
見たいわけでもないけどさ、
本当なんとなく…
よく、分かんないけどね。
「……」
目を開ける。
薄暗く甘ったるい匂いがして、
血だの内臓だのが散乱する地下鉄、
…電車の中には、
潰れたメメが、たくさん詰め込まれてる。
元は廊下だ、目を瞑るまで廊下、
なんでもない廊下だった。
なのに目を閉じれば
…血が見えない時がない。
血飛沫が飛んで来る、
溢れた脳が顔につく、
血飛沫が飛んで…
電車の中が圧迫されて、
大勢が潰れて中身が飛び出る。
あれが…なんだか、ただの幻覚に思えない、
意味があって、見えている、
そんな気がした。
柔い瞼が、
優しさを持ったように暖かくなる。
だから今度はそっと、
目を閉じた。
「………」
…もう……部屋に戻ろう、
別に幻覚だろうとどうでもいい、
気持ち悪いけどどうでもいい。
…また…
どうでもいいって、
思いたいって思ってるのに…
「………」
部屋に…部屋に…戻ろう。
廊下にいるだけなのに、
何にも……うぅ…
どうしよもないのかな…
多分脳の病気か何かのはず…
分かんないけど…
…カイロに言ったほうが…
やめとこう…
どうでもいいから……
変な事考えたくない…
どうでもいいもん
本当に…どうでもいい.
……目が乾くと瞬きをしちゃう、
意思も感情も無視して…
「.………」
今度目を開けると、
そこは真っ赤な部屋。
あの子の部屋に似てる。
メメの顔が大きくなる、
目が膨らんで、破裂して、
小さなメメがたくさん落ちて、床に潰れる。
潰れた床から蝶々が舞って、
死体からウジが湧いてる、口を丸く開いて、
こっち見てこう言う。
「確認に任せて、外に出る内容と、感慨しく誑かされる安泰に、栄養を摂る電車を末、
早々に交換した多分の核により、
愛憎殺した液晶の愛になれ、
それは素晴らしい事だと私は思います」
意味もわからなければ、
多分理解もできない、
気分も悪いし気持ち悪い。
でも、身体は自然にしたがって、
乾いた目に沿って、瞼を閉じる。
最初からこうすれば良かったのにな。
「….……」
目を開けると…人の気配がした。
「あ、あの……大丈夫ですか?」
白く潔白な髪…
綺麗…で、見覚えがある…
「シュレ…」
……シュレが……目の前にいた、
何か、怯えてるように見える。
あぁ、そうかわたし、
側から見てもおかしいのか.…
「…大丈夫…じゃないかな」
自分でも生気のない声だなって分かった、
そんなんだから、シュレが口を紡ぐ。
必死に言葉を選んでるのか、
言葉を出すのにずいぶん時間がかかってる。
「……あ、えっと、
メメちゃん…怪我しちゃったんですよね、
…辛いと思います。
でも、電車の事故はお姉さんのせいじゃないですから…だから、えっと、元気出してっていうのもちがうんですけど…あの、」
シュレは、
わたしを元気づけようとしてくれてる。
なんて優しい子なんだろう。
でも、私はメメが死んだからこうなったんじゃない、多分…そう思いたい。
「…ありがとうシュレ、私は…やっぱり大丈夫だからさ、心配してくれてありがとうね」
シュレは安堵したかの様に私に目を合わせる。
シュレはメメと同い年で、
私より遥かに幼いのにしっかりしてる子だ。
私の半分しかない身長で見上げられると、
昔のメメを思い出す。
足も腕もあったメメを…
目が破裂する様に痛い。
体は仕方なく目を閉じた。
「………」
また目を開けると今度は、
場面が私の部屋になった。
全裸のメメが大勢部屋にいる、
一番先頭のメメの顔が溶け始め、
それを皮切りにメメ達はみんな溶け始める。
セラミックが溶けるみたいにじゃなくて、
肉が溶けてる、顔の皮が垂れて目とか、出っ張りの骨が前に出てきてる。
痛々しい。
こっちでも目が痛い、
また目が閉じる…
「………」
今度、目を開けると、シュレは壁にかかってる額縁の絵を見ながら、何か喋っていた。
「この絵..…懐かしいですね…
……まぁいいや、
…今からメメちゃんに会いに行くんです、
メメはどんな状態でしたか?」
シュレは、なんか大人びた目をしてた。
…てか、…さっきからなんかおかしかったけど、シュレはメメが生きてると思ってるのかな?
…どんな状態、か…
「え…あ、…溶け…じゃなくて、
えっと、なんで言えばいいんだろ…
あんまり良くなくて、喋る事とかできないってか、意識がないから…だから、えっと、
お見送りに行くのはいいと思うけど、
その、ショックとか…受けるかもしれないから、…えーカイロの部屋には行かない方がいいよ」
すごくふわふわしてるけど、
間違ってはない。
逆に不安にさせたかもしれないけど。
今その通りのことを伝えたら、
なんならカイロなんかと話したら…
一生のトラウマになる…
そんなこともないかもしれないけど、
とにかくシュレをこれ以上傷つける事はあんまりしたくない…
下手すれば、あの子みたいに……
「……あの、具体的にどんな状態かってわかりますか?」
メメの親友だったからな…
流石に気になるよね…
具体的…具体的、
具体的に言えるわけがない。
原型も残らないほどに潰れて、
過去の面影を全て剥ぎ取ったあの姿…
シュレは大人びてると言っても子供だし、
なんて言おうか…
なんて言おう…か、
…なんか…私ってなんか、変だな…
普通親族が一番辛くて、
他の人の気を遣われるはずなのにさ…
死んだ親友を生きてると思ってる、
目の前の子供をどう宥めようか悩んでる。
やっぱり思ってなかったのかもね、
私は…
今更家族となんて。
今でもよくわかんない、
私は死ねればそれでいい、
それで良かった。
メメはたまたま着いてきた、
それだけの事なのに。
今、自分が自分じゃないみたいな感覚が抜けなくて…
あるのは…分かんないな、なんか靄がかかったみたいでよくわからない…
ストレスでも感じてるのかな…
「あ、あの…そんなに…メメちゃん悪いんですか?」
黙って明後日の方向を見てる私を見て、
シュレが首を傾げている。
しまった…なんだか今日はやけに思考が回る、シュレとの会話の途中だったよね…
えっと、メメちゃん悪いんですか、か…
その前になんか言ってたよな、えっと、
あれだ、喋れるかだ。
結局なんと言うかは決まってない、
どうしようか…
えっと
「…まあ、なんとも言えないかな…
心配してくれてありがとう、
メメも喜んでるわ、でも、
えっと、カイロは今作業してて忙しそうだからまた後で行きな、今はやめといた方が良いと思うよ」
なんかさっきと矛盾してる気がするけど、
私がこんなに止めてるんだから、
少しは察して欲しいな。
まぁ、わかるでしょ。
「そう…ですか、じゃあ明日行きます。
お姉さんも傷だらけですから、
気をつけてくださいね、それじゃあ」
シュレは満足のいく回答が得られず少し不満そうだったけど、言う通りにして真っ直ぐ帰っていく。
良かった。
「………」
そんなシュレの後ろ姿を見ると、
なんか、怖くなるな、
あまりに無防備で、あまりに弱々しい、
あの子は、やっぱりまだ子供か…
純粋な心配が、身体を透けた。
「………」
「………」
「………」
しばらくもしず、私の部屋に着く。
…その時また、瞬きした…
故意だったのかもしれないけど。
「………」
目を開いて見る。
部屋の縦横が四メートルくらいだとして、
その中には汚いパイプベットと小さい机と
ゴミ箱と細々とした小物。
机の上には、たまに絵を描くから紙と水彩用具一色があって、筆の二つくらいが腐ってる。
水張りしてる板が三枚あって、
ベットに立てかけられて、
クロッキーが地面に落ちてる。
宙にはボーリングのピンみたいに、
身体だけが溶けて浮いた骨と臓器一色、
血が垂れてるけど、目立たないくらいで、
溶けた皮膚には血管が走ってて、
微妙な位置がカーペットの模様の様。
何にもない部屋には、
死んでも死なない妹がいて、
ただ私を貶す。
ただベットで寝てるだけなのに、
目を閉じれば別の景色になるだけで、
…また…目を開ける。
「………」
上を見ると、
電灯は動くと光る線みたい。
パッと思った。
部屋の天井にある一本の電灯。
それ以外は私の私物。
なんだか急なことばっかで脳みそが
収拾つかないな。
幻覚は意味わかんないし、
メメは死んでるし、
私は、なんか、
脳みそが動きをやめないっていうか、
落ち着いて考えられない…
「………」
寝たいだけなのに、
……鏡を見ると、私が写ってる。
ブカブカの服に、細い身体、
身長だけは高くて、
でも、出っ張りは少ない。
上着と下着を脱ぐと、
さっきも見た縫い後がある。
下半身の義足は、
いつもと変わらず、
メタリックな足でしかない。
こうなったのも、遠い昔に感じる。
七年もメメと、ここで暮らしたのか、
七年も……
私は、あの頃からずっと、
何を思って生きてたっけ、
楽しい事は素直に愉快になれた、
悲しい事は正直に泣けた。
だけど今は、どれが正しい感情なのか、
私の真実を、私自身が知らない…
「…本当は分かってるはずなんだけどな…
身体だとか、言葉だとか、
そんなものどうでもいいよ本当」
…………思っちゃいけないとでも、
思ってるのかな、私は…………
目を、閉じる。
「………」
目を開けると、
部屋は真っ白で、黒い煤が見える、
散乱した銃の束はどれも使えない、
唯一女の子らしい物は鏡くらい…
鏡を見ると私が映ってる。
虚ろで、痩せてて、クマがすごい、
隣にはメメがいる。
メメはあの時の、あの姿で、
私に笑いかけてる。
「全部そうなる為にあった、
くだらない現状は潰れ、
開花すべき時は満ち、
あふるる事に存外な姉は、
死を望み、周囲も望んだ」
そう言ってメメは粉になって空間に消える。
鏡には、何も写って無くて…
何も思わず目を閉じた。
「………」
強く目を瞑ると、あたりが暗くなる、
ただ落ち着きたい…
そう思ってる、ずっと。
こんな幻覚も、無くなればいいのに、
…でも、やっぱり、幻覚に出てくるメメは、
手足がある。
あの時みたいに…
何だかさっきから、
昔の事ばかり思い出すな…
あの時……の
あの時の私は…
こんなんじゃ……無かった…かな?
「…無かった」
なんか…どうでもいいや…
….………………………あぁ、
炭色の壁をなぞる、
少しだけ、粉が落ちた。
指についた粉末を、
指先を擦って地面に落とす…
少しだけ、手を上に伸ばすと、
シワが目立つ、細い腕。
食べてないわけじゃないけど、
不健康ではあるって、
体に言われてるみたい。
上げた手を目に落とす、
顔を触ると、
自分の体温が暖かいって感じた。
メメを抱いた時より冷たいな…
そうも感じた。
…『マリアさん』に抱かれた時とよく似てて、
懐かしい…
「………眠い…な」
………これで、目を瞑ったら、
またあの、ひどい景色を見るのかな…
今はただ、眠りたい、
そう思うと…
……夢でいいから、
こことは違う場所を目指したい…
現実とは違う、幻覚でもない、
別の景色を…
「………」
「………」
「………」
昔みたいに…自然で、
緩急のない静かな時を…
感じよう…
ここに来た時みたいに…
「………」
「………」
「………」
…目を…閉じた。
「………」
………………………………………………………………
………………………………………………………………
………………………………………………………………
「……痛い」
足に痛みを感じる…
いや、痛くない…
………ここは…
「おい!子供がいるぞ!早く来い!」
声が聞こえる…
あの時と…あぁ、…ここは、あそこか…
崩壊した集合住宅…
核が落ちてすぐの…私の家…
幻覚…か…
わたしは…多分……今
宙に浮いてる…
俯瞰視点で、見てる…過去…を……?
……瓦礫の下には、
メメと…
子供の…私がいる…
「……あの時の…」
懐かしい…
少しすると…担架を持った救急隊が、
崩壊した集合住宅で、
まだ息のある私達を助けた。
私は重度の栄養失調と両足の壊死があったけど、辛うじて生きてた。
けど、メメの方は酷くて…
全身に溶けたガラスを浴び、
酷いやけどで虫の息だった。
でも、助かった。
助けてくれた救急隊は、
核が落ちた二日後に派遣されたから、
あんまり覚えてないけど、
少なくとも二日、
私たちはあの状態だったと思う。
見える景色の時間は早いのかな…
まぁなんでもいっか…
あの時は、ママもパパもいなくて、
誰にも頼れなくて、
私とメメは、多くの被曝患者と一緒に、
ブルーシートの上に放置されてた。
お医者さんも来てくれてるけど、
手が回ってなくて、
私の足にはウジが湧いて、悪臭がしてる。
思い出すな…
あの空間、気味悪くて、嫌だった。
でも、ウジを手で払う気力も元気も無くて、
小さい口で貪られながら。
………泣いてる…
でも……
あの涙…辛さからじゃない…
メメへの…反省…
……核が落ちた時、私は咄嗟に……
メメを盾にした。
焼けたガラスを浴びたメメは泣き叫んで、
私は声が出せなかったけど、
何かは叫んでた。
皮膚が溶けていくのを、
私は見ることしか出来なくて…
メメは叫んでたけど、
一時間もしたら、
もう声も出せなくなってた。
凄く後悔してたな、あの時……
今がどうか、それは何とも言えないけど…
「………」
汚い地面の……隣で寝ているメメは、
顔だけ傷が少なくて、
身体は凄惨な状態。
でも、息はしてて…
その時思ってたのは……
なんだっけ…
思い出せないや。
「…………」
そして放置されてた私たちは、
少しずつ死に向かってる。
お医者さんも私たちを、
もう無理だと思ったのかは分からないけど、ずっと放置してる…
でも、それは私たちだけじゃない、
手足の無い人、身体が焦げた人、
顔が潰れた人、臓器が飛び出た人、
お医者さんは無視してた。
でもあの時は、悲しくなかった…
パパみたいな人が居なくてよかった、
そう思いながら、
結局人はこうだよなって思ってた。
「…………」
そして、痛みももう感じなくなってた時
メメが目を覚ました。
瞼を痙攣させながら、
ゆっくり私の方を向いて、
「…ま……ま」って言った。
その時気づいた。
愛されてたんだなって、
コイツ愛されてたから、
あの人を呼べるんだなって、
そうあの時思って、自然と私は泣いてた。
扱いの差って言うのもあるけど、
こう、改めて私の立場ってのが
露見した気がして、悔しくて、惨めで、
そう思って泣いた。
喉が痛くて声は出せそうに無かったけど…
「…………」
しばらく、メメは時々ママって言うだけで、
私のことは分かってないみたいだった。
それはそう、メメが生まれてから三年、
会ったのは、あれで二度目、
メメは私の事は知らないんだろうなって…
どうでもいいって思いながら、
メメのボロボロの身体を見て、
可哀想で…
私のせいだ、ってまた泣いた。
懐かしい…あの時は辛かったな…
思い出す。
わたしが泣くと、メメは必ず私を見る、
片目を開かず、右目だけで。
心配か、興味か、
メメは笑いはしなかった。
「………………」
それからまた時間が立って、
配給が少なくなった。
どうせ死ぬ人間に与えるものはないって、
ボランティアの人が言ってたのが聞こえた。
臓器は売れるかなって、
お医者さんが言ってる。
そんなんだから、
とうとう死ぬんだって、
無気力になって悟ってたっけ。
顔が無気力になってる
元々望んでたけど、
メメを見てると自分が分からなくなった、
メメの存在が自分の後悔の筵みたいで。
メメは私を見て、真顔で空を仰ぐ、
私は泣いた、なんで分からないけど泣いた。
疫病や寄生虫、
放射線が入り交じった腐った肉塊達の墓場は、私の泣き声と呻き声だけが響き、
暗く閉じた。
…………。
「………………」
それで死んだと思った。
ついに死んだって。
そして目を覚ました時、
そこは真っ白な、
まるで精神病院みたいな…
白いパイプベッドに細長い電灯、
身体がサッパリしてて、痛みもない、
きっとここは天国だ。
そう思ってた。
「あら、あらあらあら、
やっと起きてくれた…」
私の横にいた、
全身を武装した髪の長い女性が、
昔の私を優しく撫でる。
俗に言う天使だと、そう思ったっけ。
あの女の人…あの人は…
あ、…そうか、
あの時だったっけ、
『マリアさん』と出会ったのって…
「………………」
ここはどこか、私はそれを疑問に持って居たけど、それを聞く意識はなく、
あの時は本当に初めて優しくされて……
優しくされたと認識して……
あ、吐いちゃった。
感情ぐっちゃぐちゃで吐いて、
身体が枯れるんじゃないかってくらい泣いてる。
それ程私にとって、マリアさんの行動は、
身体の悪い物を越し出すみたいな、
喉に指を突っ込む、でも、優しく、
そんなもので、今まで辛いことがゲロになって流れるみたいな感覚だったの思い出す。
でも、マトモに食事もしてなかったから、
出るのは液体だけで、
その時は喉がヒリヒリしてたな…
そんな私を見て、マリアさんは私が怖がってる思ったみたいで、また頭を撫でながら、
多分安心させる為に抱いてくれた。
それで、少しだけ落ち着いた。
「大丈夫だから、ここは安全だからね」
その声を聞く度泣きそうになる、
女神のような人だった。
「………………」
それから、
マリアさんは私の吐瀉物を処理しながら、
ここがどこなのかを教えてくれた。
元々は富裕層向けの避難所、
核爆弾から逃れられる施設で、
沢山の人がいたらしい。
そういえば、
マリアさんはその時は、
中にいた人は逃げたって言ってたけど、
あの後パブロさんは丸ごとN2ガスを散布して、避難者を酸素中毒にして殺したって言ってたっけ…
嘘をついてる時もマリアさんの顔は、
一片の曇りもない…
わたしにとってそれが真実になる様に、
気を遣ってたんだろな…
……嬉しい……
「…………」
マリアさんやパブロさんは、ドイツ出身で、
ロシアに占拠されてからは、同じ植民地の日本を開拓する為に送られてきた強制労働者だったらしい。
でも、日本で革命軍に襲われて、
ロシアの隊が機能停止になり、
パブロさんはマリアさんと数少ない同士を連れて逃げてきたのだと。
それから、ここを見つけたらしい。
私とメメは食料調達で外に出ていた時に見つけたって言ってた。
あ、あの時…
初めて自分がまだ死んでないって…気づいたっけ…
そして、途端にまた怖くなってる。
死んでもいないのにこんなに幸せを感じて、
それを上回る不幸が来るんじゃないかって。
正直それはその通りになったけど…
「………………」
反対に…メメは身体が内臓含めて皆ボロボロだったけど、
かろうじて身体のどこも欠損はなく、
その時は点滴を打って、
身体が回復するのを待っていた。
メメは今…今…じゃなくて、
生前メメは首だけだったけど、
あの時は私より身体がある…
私はあの時点で足が切り離されて、
義足になってた。
懐かしい、今より全然精度の悪い初期型だ。
「………………」
…NO2には、
普通の総合病院くらいに医療道具があって
……あとマリアさんは元々ドイツで看護師をしていたらしくて、それに一緒に逃げてきたカイロは機械技師で…
本当に運良く私達は助かったんだと、
今改めてそう思う。
それで、
私とメメはここで暮らすことになった。
「………………」
……昔はたのしかったな。
色んな避難者が居て、
皆優しくて、満足の行く食事ができて、
マリアさんからは愛が貰えた。
あの時は組織って感じじゃなくて、
ホント避難施設感じだったから、
上も下もない、フラットな関係だった。
そして、ここで暮らしながら少し経ち、
メメが歩けるようになった。
たまに手を繋いであげたりして、
もう、赤ちゃんって歳じゃなかったけど、
マリアさんが私を赤ちゃんみたいに優しくするから、
私もそれが愛だと思ってそうしてたっけ。
今思うとメメの顔って変わらないな…
ずっと可愛い。
そういえば
その頃からシュレもメメと遊び出したっけ、
シュレも白い毛の鼻の高い、可愛いというより美人系の顔して、
二人で意味の分からない会話してて笑ってる。
いまもクスッときた。
でも、メメが私を姉と認識したのは、
大分あとだったな。
定期的に話しかけてたし、
私の事を伝えてたけど、
幼いってのもあって、
理解できてなさそうだった。
でも、懐ついているとは思う、
私が抱っこすると笑ってるし、
私だって嫌いも好きもない、
純粋な心であの時はいた…
どっちかで言えば………好きだったし。
私は明るい人間じゃ無かったけど、
極端に暗いわけでもなかった、
だから、避難所にいる色んな人と仲良くなれたし、知り合えた。
これが家族なんだって思えもした。
「………………」
あぁ…この頃か…あの人達と出会ったのって
あの時一番仲良くしてた…
カイロと、
『カナちゃんとサキちゃん』
「………………」
カイロは昔から口が悪くて空気が読めなかっ
たけど、顔は良いから……私は好きだった。
それから…
カナちゃんとサキちゃんはロンドンから来た女の子で、二人とも私と同じ様な境遇だったからそこで親しくなった。
出会ったのはみんなの共同の食堂で、
私が一人でご飯食べてたら、
カナちゃんが話しかけてくれて…
それで初めて喋った。
今思うと迷惑だったかな…
ご飯食べる場であんな話して…
まぁ…いっか…
わたしの顔の打撲とかを見て、
カナちゃんが心配して…
私がママとパパの話をしたら、
カナちゃんは…仲間を見つけた様な顔で、
同情した様な表情してる。
カナちゃんが、
話してる最中に口の中がみえたけど、
舌がなかった…
そして過去の話は、あまりに酷かった…
私は、
私より酷いことされてるって驚いてるけど、
カナちゃんは私がされてた事の方がに酷いって言ってる。
どっちもどっちだな、今思うと…
で、その後…カナちゃんが、
サキちゃんに私を紹介してくれたな…
サキちゃんは…背が高くて、
凄い美人なのに、カッコいい顔してる、
多分ダウナー系っていうタイプの人
眼帯とかして、最初は少し怖かったけど、
サキちゃんは意外にフランクな人で、
すぐに仲良くなれた。
サキちゃんの方は右目が失明してて、
子宮が潰れてて、目以外私と一緒で、
あんまり良くないけど、親近感を感じてた。
私が一番最年少だったから、
あの時は凄い甘えてたな。
私がカイロが好きって話をしたら、
やめた方がいいって、
そろって言われたっけ。
今は私もそう思う。
いつも周囲には年下しかいなかったから、
初めて出来たお姉ちゃんみたいで…
嬉しかったな…
「………………」
……二人とも絵が趣味で、
絵の描き方を教えてくれたりしてる。
色々試さしてくれて、
私は透明水彩がやりやすかったから、
サキちゃんが水張りとか毎回やってくれたな。
…あの、高そうな水彩絵の具のセットをくれたのもサキちゃんだっけ。
だから絵が好きになった。
……あ、私の絵…
あの時は上手いと思ってたけど、
今見ると、
普通に下手すぎて恥ずかしい…
逆に今見ても、
二人とも絵がめちゃくちゃ上手で、
油絵具もアクリルも上手く使いこなしててカッコいい。
私はアクリルは今だに慣れないのに…
まぁ避けてるからだろうけど…
二人の絵は……今どこにあるんだろな、
また見たい。
「………………」
そういえば、もう一人いた…
……『ルル』ちゃん、
ルルちゃんは引っ込み思案だったけど、
みんなの中で一番絵が上手くて…
私より年下だったけど、尊敬してたな…
シュレがルルちゃんの絵柄がめっちゃ好きだったらしくて、
いつもルルちゃんにくっついてた。
逆に……シュレに着いてくるメメは、
あんまり絵の事がわかんなそうで、
シュレがルルちゃんの所に行くと、
決まってわたしのところに来て、
変にちょっかいかけてきたっけ…
私が絵を教えても、
メメは興味なさそうに相槌するだけ、
イラつきはしないけど、
まぁ、不機嫌にはなった。
でもシュレは、
黙ってルルちゃんの絵を見てる。
シュレも私と同じ長女だから、
ルルちゃんをお姉ちゃんみたいに慕ってるんだろうね…
微笑ましくて可愛い…
ルルちゃんはぎこちない表情になってるけど、時々シュレに絵の事を話す。
多分、ルルちゃんもシュレが好きだったんだと思う……
あぁ…ルルちゃん……
あんまり話さなかったけど、
ルルちゃんは好きだった…
ほんと……かわいそう。
「……」
懐かしいな……
あれが……九歳とかの頃か…
そういえば……
十一歳になったすぐ後くらいだったっけ…
…………もうすぐ来るのか…あれが…
「………」
「…………」
「…………」
その日…
…凄く寒かった冬の入り際に、
私の部屋の電動ストーブの前に、
メメと固まって、メメを後ろから抱いて、
くだらない話をしてた。
シュレもいた。
それから、“パンッ”って銃声が聞こえて、
最初風船が割れたのかなって思った。
その前の日にシュレちゃんの妹の『シェリー』の誕生パーティーだったから、
そこの片付けがまだ済んでなくて、
余った風船が割れたんだと思った。
前日のパーティは凄くて、
みんなが幸せそうな顔してたな…
シュレはお姉ちゃんになるからって、
わたしに色々聞いてきて、何答えても
すごーいとしか言わなかったけど、
それも無邪気でまた可愛かった。
「………………」
でも、聞こえたその音は…………
…………マリアさんが撃たれた音
一発、脳天に穴を空けて…………
一緒にいたシェリーちゃんは、
マリアさんの血に溺れて死んだ。
撃ったのは、革命軍の男で、
五十人くらいの汚い軍団が、
NO2を攻めに来た。
彼らはアメリカに攻めろとか、
特攻させろとか意味の分からない事を政府に要求する人達。
NO2は元々政府の人達が作った場所で、
国の重要人物が沢山いたから、
ここを襲撃して、人質を取るつもりだったらしい。
でも、ここに居た人達は皆、
畑の肥料になってるから、
無意味な襲撃だった。
それを彼らが知ってたら、
あんな惨劇起きなかったのかもしれないって、たまに思う。
それで異変を感じたパブロさんは、
音のする方へ最初に向かった。
でも、向かった先にあるのは、
マリアさんとシェリーちゃんの死体。
「なんで……」
って言って、泣き崩れた。
その泣き声に皆んなも集まった…
あの時、群衆の後ろの方で私とメメとシュレは、身長が低いの活かして隙間から様子を見てる。
男達は、
天井に何発か撃って威嚇射撃をした後、
人工庭をいつも手入れしてて、
余った種をくれたりした、
アンナさんを撃って、
続く様にアンナさんの娘ちゃんを殺した。
それから銃を持ってきた元兵隊のダニーさんが、何人か殺したけど首を刺されて死んだ。
ダニーさんに続いて、沢山男の人が迎撃したけど、人数に押されてみんな殺されて…
そして、男の人たちが戦ってる最中、
戦えない私たちは一緒に食堂に隠れた。
鈍い音だったけど、たくさん銃声が続いて、
知ってる人の断末魔が響いて…
私はメメを抱きながら、
声を抑えて泣いてる。
シュレは声も抑えれそうになくて、
沢山泣いてたから、メメと一緒に抱いてあげて、三人で泣いてたな…
そして銃声がもう聞こえなくなった時、
次は足音が沢山聞こえてきて、
私達は息を潜めて食堂の…なんだっけ、
デッカい食器棚の下の棚に隠れてたけど、
あまりに怖くて、少しだけ戸を横にずらして
デッカいテーブルの並ぶ広間を、
震えながら見てたら…
足音が近くなった。
影が見えた頃にはもう動けなくなって、
戸をなんとか閉めようとして、
その足音が革命軍の男だと思ったから…
でも、体の震えが強まった時、
人影の正体が見えて手が止まる…
その足音の主は、
ルルちゃんだったから…
少し安心して、
扉を開けて入れてあげようとした瞬間、
次に出てきた別の人影で手が止まった…
声も出かかってたけど、
一気に喉が締まって声が止まる。
ルルちゃんは息遣いが荒かった、
何かから逃げている
見てわかってた…
私はあの時…助けるべきだったのに、
手が止まって何もできなかった…
仕方ないとも思う…けど…
……うん、いいや、
言い訳なんて出来ない。
そしたら、三人くらい男の人がルルちゃんに向かって歩いてきて、銃を構えた…
あんな小柄な子に銃を突きつけて、
鬼畜とはコイツらの事だ。
それでルルちゃんは、
震えながら手を上げて跪いて下を向く、
あんな尊厳のない、人間を辞めさせる行為、
地面は濡れてて、もう…ゴミみたいに…
最悪…本当最悪…
「……うっ…ごめんね…ルルちゃん」
“プチッ“
あの時は声だけが聞こえて震えてたけど…
今は…全部見える…
全部見れなかった…見続けることは無理だったけど、血が見えた…
“ジュッ“
「あ“ぁっあぁぁぁ…」
“ジュッ“
「…あぁぁぁぁぁ…っっあぁ」
“ジュッッッッ“
首にタバコを押さえつけられて、
その度ルルちゃんが叫ぶ。
首には赤と紫の小さな丸が増えて、
焦げた皮膚から、香ばしい肉の匂いがする。
男の一人がルルちゃんの髪を掴んで、
頬にペニスを押し付ける…
そして…
“ガッ!“
無理やりイマラチオした
「おっ…うっうっ……ゲホッ……うぅ……
オェッ……オェッ……うっ…ゴホッ……
あっ…あっあっ……ゲホッ……オェェェェ…」
ルルちゃんが吐くと、
男たちはルルちゃんを蹴り飛ばす。
“バシッ!”
「う……やめ……ごめんなさい…
ごめんなさい!ごめんなさい!
痛い……痛い……ごめんなさい………
うっ…オェッあぁ……ごめ…あぁ!
痛い!痛い……ごめんなさいごめんなさい!
許してくだ……いた………うぅ……あぁ……
ごめんなさい……」
ルルちゃんは、鼻を蹴られてまた、吐いた。
「うっ……」
そして、ルルちゃんはお尻と膣を犯されて、沢山血が出てて、もう一人の男が顔におしっこかける。
“パンッ!グシャッ!パンパンパンッ!
グチャッ!パンパンパンパンパンッ!“
“ジョボ…ジョボ……ジャアーッッッ…“
それでルルちゃんが意識を取り戻したら、
口におしっこが入って、
ルルちゃんがまた吐いた……
「ブヘッ…オェッ…あぁ……」
“グチャッ!”
“バシッ!”
また叫び声が響いて、鳴き声が響いて、
沢山のルルちゃんが部屋にこだまする。
「あ“ぁぁぁ…オェ…グハッ…オェェェェ…」
普段の声の何倍も大きい声で叫んで泣いて、
……現実じゃないみたいで、
見てられなかったけど、
目が離せない。
でもその時…
…わたしはルルちゃんと目が合った。
ぐちゃぐちゃな顔で、
言葉に出さずとも、
助けを求めてる事が分かる。
でも、わたしは何もできない…
幻覚だから…
…それも言い訳か…
ルルちゃんの目が逸れる、
顔を蹴られて…多分鼻が折れて、
沢山泣いてる。
だけど、
私は何にもしてない。
今もできない。
何もできなかった…助けれなかった。
男の人達は代わりばんこでルルちゃんの穴を犯して、躊躇いなく中に出して
その時…いや、その光景は…
…結局、私は、過去の私を救えなかった。
「…………」
そしてしばらくして、銃声がした。
使い捨てみたいに、
ルルちゃんが撃たれた音で、それから、
そして男達が帰る足音が続く。
もう、棚から出ても問題なかったかもしれないのに、私は固まって動けかったな。
今も変わらない…
血を流すルルちゃんを見てる事しか無理…
まぁ、一応安心してる…
幸いルルちゃんは生きてたから。
多分男達は、
あたまを撃ったつもりだろうけど…
銃弾はお腹を貫通してて、
大丈夫じゃないけど、大丈夫だった。
たまに痙攣するルルちゃんを眺めながら、
強く目を瞑る…
これが、今日見た幻覚の中で一番辛かった…
「………」
「…………」
「………」
目を開く。
…目の前には、血塗れのルルちゃんがいる。
戻らない…
この幻覚はもはや…
私の贖罪なのかもしれない。
「…………」
………あぁ…辛い…
純粋な辛さほどキツイものはない…
普通の女の子が、ただ、己の欲求の為に壊される風景なんて…風景画にしたら黒一色で表現できそう…
…憤った例えだ。
でも今はこれでいい…私は私を守らないと…
「………」
それから…何時間か経って、
生き残った人達が私達を探す声が聞こえて、
それと同時に悲鳴も聞こえた。
ルルちゃんを見て、皆んな、助けてあげられなかったって泣いてる
私は立ち尽くして…
もう、無心に近くなってた昔の私は、
ゆっくり戸を開けた。
二人を抱いたまま、みんなの前に行って、
ルルちゃんを近くで見て、
「ごめんなさい…わたしは…何もできな…
ルル…ちゃんごめん…ごめんなさい…」
沢山泣きながら、懺悔した。
あの時から…
パブロさんはそんなわたしを見て、
泣きながら私たちを抱きしめた。
その時の静寂が、軽蔑が、哀愁か、
…軽蔑だったら良かったって思った。
食堂は少し、湿気があったっけ…
「………」
……NO2の中を歩いた。
ある程度、嫌な予感、嫌な予想はあって、
当たるって確信してた。
でも、あれは…本当に地獄絵図だった。
見知った人、親切だった人、助けてくれた人
NO2は大きかったけど、中にいた人達は
皆んな知ってる人だ。
昨日まで楽しく喋ってたあの人も、
内臓をぶち撒けて死んでる。
女性は皆んな犯されて、
尊厳を破壊されて死んでた…
「………」
それでNO2には、
ゴミ捨て場としてデッカい焼却炉がある。
その中に何人か見知った人と、
カナちゃんがいた。
最初は誰が誰か分からなかったけど、
抜け落ちてたけど髪が長くて、
ベロがなかったから多分…
いや確実にカナちゃんだった。
カナちゃんは知らないうちに、
酷い事されて死んだ。
でも、サキちゃんは無事で本当に良かった、
サキちゃんはカイロと一緒に隠れてたらしくて、二人とも襲われず済んだらしい。
「………」
…この襲撃で死んだ人は何十人も居た、
連れ去られた人もね。
生き残った人も酷い傷を身体と心にも負ってた、私も含めて。
でも、生き残りの中で、
ルルちゃんは特に酷かった。
鼻が陥没骨折して頬の骨が突き出して唇が裂けて、身体中ボロボロに骨折して、
お尻から脱腸して…
最後に撃たれたお腹の銃弾が子宮を貫通して、もう子供を作る機能も消え失せてた。
生きてたの良かったけど、
あれから部屋に閉じ篭もるようになっちゃった。
当たり前か…
とりあえず、死んだ人達を確認する為に、
みんなで協力して死体を並べた。
メメとかシュレとか小さい子達には手伝わせなかったけど。
「……」
何かの兵器とか、現象とか、
そんなんじゃ無い、
人の手によって崩れた体は、
損壊の意図と意思が見えて、
ただの死体なんかより…
「酷い」
…見知ってた人のてのもあるけど、
本当酷かった。
一番キツかったのは妊婦だった、
ヴェンデルさんの死体。
お腹が切り開かれて、中に居た名前もない赤子を無理やり引き出して……
赤ちゃんは女の子だったらしく、
未だに理解できない事をされてた。
腐臭と革命軍の体液の匂いが混じって最悪で……思い出したくないな。
あ、あれだ、あれもキツかった、
カナちゃんの死体を運ぶ時だ。
ほとんど炭みたいになってて、
皆んなで運ぶ時、右手が砕けて落ちて…
灰の塊になって、骨が見えた時、
途端に悲しくなった。
昨日まで…いや、なんならその日の朝まで、
優しい私のお姉ちゃんだったのに.
上手に絵の描けるあの手が落ちた時.
あんまり実感してなかったな.
カナちゃんがほんとに死んだんだって…
「…………」
サキちゃんは、カナちゃんを見て、
ずっと黙ってた、一番の親友を…
しかもこんな酷い殺され方で…
怒るのも無理ないし、
泣くのだって我慢できるわけがない。
サキちゃんの目に映るカナちゃんは、
多分、ただの焦げた死体なんかより、
もっと惨い遺体に見えてたと思う。
私はそうだった。
「………………」
私達はあの日だけで、大切な人を何人も……
本当に何人もなくした。
まぁ、自殺した人がいないだけ良かったけど…
…でも、今更こんなの見せられても、
私に何を求めてるのか…
確かにこの日は転換点だった…
でも、私だけじゃない、
みんなの転換点だ。
変わったのは…私だけじゃない…
生き残ったのも…私だけじゃない…
私は何も出来ないし、
誰も助けれない…
多分…今あの頃に戻ったって…
私は動けず、同じように隠れてる…
結局いつまで経っても、心は変わってないし、変わったとしても弱すぎる…
求めてくれた人を…
私が救えたはずの人を…
いついかなる時も私は見捨てる…
それが私だ…
弱い人間なんだ、
だから許してよ…
私は……
変わらないんだよ……
「……あぁックソッ……
なんでこんな……」
メメを盾にした時も、
ルルちゃんを助けなかった時も…
メメが…死んだ時も……
私は……私は……
もう……嫌なんだよ、
辛すぎるから考えたくないッ
生きていたくないッ!
辛いことしか起こらないこんな世界……
これから……
どれだけ過去を辿ったって、
楽しい事は起こりはしないッ…
終わってよ…
お願いだからさ…
「…………」
終わって…
「…………」
終わって、
「…………」
終わってッ
「…………」
終われッ
「…………」
……終われよ…
「………」
これ以上…
サキちゃんの泣いてる姿はみたくない…
目を…もう何回閉じたか覚えてないけど、
また閉じる……
終わってくれよ…頼むから……
「………………」
お願いだから……
「………………」
本当に……
「………………」
もう……死なせてよ……
「………………………………………………………………
………………………………………………………………
………………………………………………………………
………………………………………………………………
………………………………………………………………
…………あぁ………………」
何回目を閉じ、開けても、
視界は、私を死なせる事を拒んだ…
だから……私はまた見ることになるんだ。
神様って、意地悪だね。
………………………………………………………………
“見せてるのはお前自身だろ?”
………………………………………………………………
………………………………………………………………
………………………………………………………………
…………………………………………………………
………………………………………………………………
………………………………………………………………
………………………………………………………………
………………………………………………………………
………………………………………………………………
「……あれ、アネちゃんいないじゃん」
メメちゃんの葬式の場には、
大体の人は集まってるのに、
唯一の親族であるメメちゃんの姉がいない…
「寝込んでるんじゃない?、
最近体調も悪そうだったし、
こんな…唐突に家族を失ったんだから、
辛くないわけがないよ」
カイロと…誰かが喋ってる…
久しぶりに見たけど…皆、変わったな。
……というより…減ったな…数。
全員合わせても二十何人、
革命軍が攻めて来た後も、
多分、人は減り続けたんだろね。
あれが五年前…
全然最近に感じる。
「…………あれ…ルル…さん?」
声をかけられて振り向くと、
既に沢山泣いたのかな?
真っ赤な顔をしたシュレちゃんがいた…
それはそうか…
メメちゃんは、親友だったもんね…
「シュレちゃん…久しぶり…」
「……は…い…会えて…嬉しい…です…
で、でも…メメ…メメが…あんな風に…
あんな酷い遺体で…死ん、死んじゃって…
死、死んじゃって…うぅ…」
収まった涙は、まだ溢れ出す…
「……可哀想に」
…私は自然と、シュレを抱きしめた。
“ギュッ“
「……うぅ…うぇぇ…うぅ…あぁ…
ひっくっ…うえぇぇぇんっ…あぁ…
ううぅ……うええぇぇぇぇんっ」
本当に可哀想…
シュレは失い過ぎたよ…沢山…
お母さんも妹も、親友も…
「……よしよし…今は泣いた方が良いよ」
……もっと…ちゃんと外に出るべきだったな…
………早いうちに。
「ね、ねぇ……もしかしてさ、ルルちゃん?」
声のする方を向くと、
パブロさん(?)がいた。
久々に見た…
窶れてる…
昔の面影はあるけど…凄く頬がこけてる…
優しそうな雰囲気は残ってるけど。
「久しぶりですパブロさん」
「本当に久しぶりだね。
あ、シュレ… を、悪いね…
面倒見てもらって」
申し訳なさそうにパブロさんは、
私を見る、
全然面倒なんかじゃないから、
大丈夫なのに。
「えっとその…
体の方は、大丈夫なのかい?」
……メンタルは…良くはなった…
こうして人と話せるようになったし…
「そうですね、
最近は結構落ち着いてきましたね」
「良かった…心配してたんだよ、皆ね」
「申し訳ないです…」
「でも、生きててくれて良かったよ、
シュレの面倒も見てくれて…
助かるよ…」
「ありがとうございます。
…シュレちゃんは本当に可哀想…
今は沢山泣くべきです」
パブロさんは、私に抱きつくシュレを見て、
余りにせつない顔をした。
自分にはどうしようもない悔しさが滲み出た表情で…それを見ると、
私も辛くなってくる。
「…………そういえば、
随分減りましたね、人の数」
「…………ルルちゃんは知らないと思うけど、
あの襲撃の後も沢山の事があったんだよ…」
「そう……なんですか……
また、革命軍が来たりしたって事ですか?」
「違うよ……まぁ、本当にここで話す内容じゃないから、終わったら誰かから聞くといいよ。シュ………えっと、カイロくん辺りに聞くといいかも。
それじゃあ僕は行くよ、
色々準備があるからね。」
パブロさんは話したくないみたい、
話題を出した瞬間にさっさと行ってしまった……
…………皆、辛い思いしてるんだな…
私も、あの後すごく辛かったし、
実際何年も閉じこもってた。
そうならないだけ、
今いる人達は凄い。
「グスッグスッ」
シュレは…当事者じゃないだけ、
失う辛さが色濃くなって…辛いと思う。
…………アネちゃんも、
今日、会えるといいな…
「……うぅ、…そろそろ行きます
……ありがとうございました」
シュレは、そう言って私から離れ、
畳の上に座った。
「シュレちゃん、気を強く持ってね」
私が言えることじゃない…
でも、生きていれば何かは変わる…
昔…アネちゃんが言ってくれた言葉だ。
「…グスッ」
鼻をすするシュレちゃんを置いて、
私は辺りを見渡した。
…線香と、かび臭い匂いがして、
とても暗い。
不穏で不気味、
こんな所で死者を弔えるのか…
…私は初めてでそう思うだけかな?
多分そうなんだろう…。
ほかの人は慣れてるらしい、
喪服に身を包み、
蝋燭に火をつけて談笑してる。
あれが誰かは知らないけど、
あの光景が、
本当の通夜前みたいでなんかホッとする。
実際葬式って、
案外、親族が明るくて驚くけど、
逆も然りって事、
この場所が偽物って、
言いたいわけじゃないけどね。
……えっと、
あと一時間くらいで始まるらしい、
それまでにアネちゃん来るといいんだけど…
なんなら、今から会いに行こうかな。
と、その前に…
メメちゃんに挨拶しておこう。
……あの棺桶の中か…
さっき、シュレが酷い遺体って言ったから、
正直見たくは無いんだけど、
…棺桶越しに弔うのは、なんか嫌だ、
親友の妹だし。
蝋燭を一本貰って火をつける、
目の前が見えないって程くらい訳じゃないけど、一応ね。
赤々と燃える炎が、少しずつ蝋を溶かす、
蝋の溶ける匂いは、なんか好きだ、
感慨深い感じがする、
昔、皆と絵を描いてたときと、
似たような感じ。
絵を…皆で……
……………………
……カナちゃん…
あの時……弔えなかった私を許して…
今は、その代わりじゃないけど、
しっかりメメちゃんを弔わせてもらう、
そして、アネちゃんを支える。
私に出来るのはそれくらいだ。
そう思って、棺桶に手を付けたその時、
後ろから肩を掴まれた。
「あっ」
カイロだった。
掴まれた肩に力が入る…
「見ない方が…いいから…」
「カイロ……」
「ルルちゃん、
今日は大丈夫なの?
薬は飲んだ?」
…今…来ないでよ…
「大丈夫、大丈夫だから」
「…そっか、せっかく来てくれて悪いけど、
ルルちゃんは帰った方が良いよ」
…まただよ
「……」
「まだ完全に安定してるわけじゃないし、
変に傷ついて、
また五年前に後戻りとか冗談じゃないよ」
……いつもそう
「でも、アネちゃんの…」
「……いいかいルルちゃん?
今大丈夫でも、
いつ悪くなるか分からないんだ。
それにアネちゃんは多分今日は来れないよ、
さっき部屋見に行ったけど、
ドア越しに泣き声と呻き声が聞こえた。
アネちゃんがそうなってる時は、
しばらく出てはこれない。
だから今日は、休んでて」
…出たよ正論。
「でも……せっかく……皆と会えたんだし、
ちょっとくらい…いいじゃん」
そう言うと、カイロは、
明らかに面倒くさそうな顔をした。
「…………はぁ…じゃあ、好きにして、
その代わり、
また過呼吸とか起こしてもしらないからね」
「分かった、…ありがと」
私は、棺桶から手を離した。
…………大人しくしてよう、
カイロの言う通りだし。
「……はぁ」
自然と溜息がでた。
“ヒュッ”
あぁ、蝋燭が消えちゃった…
まぁいっか。
「……スー…ハァァ…」
……カイロはあぁ言ってたけど、
きっとアネちゃんは来る、
だから待とう、
メメちゃんの為にも。
外の風が少し当たって、
暖房に包まれた部屋が少しだけ涼まり、
私は何かする事もなく、畳に座った。
それが、まるで、
正しい様に…
………………………………………………………………
………………………………………………………………
………………………………………………………………
………………………………………………………………
………………………………………………………………
………………………………………………………………
………………………………………………………………
………………………………………………………………
「…………」
目に映るのは、
それがどちらかよく分からなくなってきた。
もしかしたらこれが、
現実なのかもしれないな、
…そんな訳がないけど。
「…………」
………………あの出来事の後、
NO2は静かになった…………
と言っても、
子供達は数日で落ち着いてたけど。
私はあの後……メメともシュレ…
サキちゃんとも話さず、
ずっと部屋に籠っていた…
でも、定期的にカイロが尋ねてきて、
体調を気遣ってくれて、
アイツ自体は鬱陶しいかったけど、
その時は…凄く嬉しかったな……
……で、そんなある日、
カイロから『ミサロ』を紹介された。
…………ミサロ……
この時期だったんだな…
ここに来たのって…
ミサロは新しく来た避難者の男性で、
元カウンセラーだと名乗った。
それで、
シュレちゃんが毎週お世話になっていて、
彼と話してメンタルが安定し、
良くなっているという噂を、
カイロが聞いて私に紹介してくれたらしい…
正直…見ず知らない人に、
相談なんかしたくなかったけど、
それと同時に、
全部ぶちまけれる人間が欲しかった。
だから…会うことにした。
「…………」
ミサロは…なんの因果か、
パパと瓜二つの容姿をした男だった。
「君が…えっと、なんて呼べばいいかな?」
声は、
パパとはかけ離れた優しい声だったけど、
容姿は昔のパパそのもので、
凄く…気味の悪い人だった。
だから、名前すら付けてくれなかった人から名前を聞かれてるみたいで…
気分が悪かった。
「…名前はないです」
私が答えた。
あの時の時点で私には『アネ』っていう
あだ名があったけど、
何故か、この時は、
コイツを責めたいって気持ちが前に走って、
こう答えた。
お前が名前を付けなかったから…
お前が愛さなかったから…
そう…言いたかった…けど、
逆にミサロは、私の回答に、
変な勘違いをした。
「……そうだよね、
見ず知らずの人なんか、
信用できるわけない…それはそうだ。
名前も言いたくはない、分かるよ、
でも、私は君を助けたいんだ、
その為には色々君のことを
知らないといけない。
…信頼ってやつを、作っていきたいんだよ」
こう言われた時…凄く面倒くさくなった、
そしてミサロという人間を下に見た。
コイツは、
本当に辛い目にあった人間が分からない、
自称カウンセラーだってね。
だから、
もう話す価値もないって思ったけど、
…一瞬、良い事を思い付いた、
コイツを、不満のはけ口にしようって。
今までの苦痛を、全部、コイツに話して、
少しはストレス発散になるだろう、
そう思った。
「……私は『アネ』って呼ばれてます…」
それから、
週一で私は、ミサロと話す様になった。
「……」
酷い態度だったと思う、
……ミサロ自体はただのカウンセラーだったのに、私はひたすら、
心の内の…真っ黒な不幸の塊を、
彼に与え続けた、
凄くストレスが溜まってたってのも
あると思うけどね。
だけど、革命軍が攻めてきた話は、
絶対にしなかった、
コイツに、
私の内部事情を知られるのが、
どうしても嫌で…ミサロにはずっと、
虐待されてた頃の話をし続けてた、
覚えてる限りだけど…
ずっと、私は、ミサロにやられたみたいな話し方で話してて、
ミサロからの質問にはマトモに返す事はしなかった。
本当にただただ私が、
性格悪いだけの時間だったけど、
話してくうちにどんどんミサロが
私と話したがらなくなっているって
分かって、
復讐が果たせたみたいな気持ちになった。
少なくとも、
ミサロはカウンセラーだったとは言える、
あれでメンタルは回復したから。
「…………」
それで、ちょっとずつ、
メメとかシュレとかと
話すようになれたっけ。
メメは、
ずっと私を心配してくれてたらしくて、
私が久しぶりにメメに会ったら、
「ねーちゃん、…大丈夫?」
って、幼いながらに同情してくれた。
私は、「…キツイけど……メメとか、シュレちゃんが死ななくて本当に良かったっておもってるよ」って、本心から言った。
でも、実際一番辛いのは
シュレだったと思う。
母も妹も、大好きなお姉ちゃんも、
皆、酷いことされて、殆どが死んだ、
その時も、ずっと俯いて、
全てに絶望したような顔してて、
本当に可哀想だった。
本当は私は、
心配される筋合いなんてなくて、
私が同情してあげないといけない立場だったけど、その時は余裕がなくて無理だった。
「…………」
それで、しばらくは、その三人で過ごして、
この時期から、
私はメメと過ごす時間が増えた。
メメは家族、血の繋がった家族で、
私より年下の妹、
過去にメメを不幸にした私は、
ずっと、メメに謙信するべきだと、
勝手に思っていた。
だけど、思っているだけで、
行動と心は合致してない、
メメは好きだった…勿論、
でも、その頃から、
同じ立場の人間だって思うようになった、
守るべき子供じゃなくて、
もう一人の私…同じ地位の女、
人間としての責任を持ち、
人並みに生きる人生を持っている人間。
そう、思うようになった。
「……」
勿論、蔑ろにしたり、
虐めるってわけじゃない、
ただ、そこまで干渉しない
それだけ、
家族ってそんなもんだし。
「……」
それで、その頃サキちゃんが自殺した。
彼女が自殺する前に、
私はサキちゃんと一度だけ話した事がある、
多分あれが、
サキちゃんが人と話した、
最後の日だったと思う。
「…………」
その日は、ミサロと話す日で、
正直、楽しみだった、
でも、その時、サキちゃんに、
「アネ…ちょっといい…?
話したい事があって……」
って、呼び止められた。
でも、私は、
ミサロの所に向かう途中で…
「あ、ごめん、今無理だからまた後で行くね」
それを断った。
その後、ミサロと話して、
話し終わった後に……私は、
なんでかな、
サキちゃんに会いに行かなかった、
理由はない、忘れたから、
行くの忘れたから行かなかった、
それだけ。
でも、それで次の日思い出して、
サキちゃんの部屋に行ったら、
宙に浮いた、サキちゃんがいた。
「…………」
部屋を開けた瞬間、
凄い匂いがして、
一瞬だけ目を閉じて、
目を開けたら、死体があった、
しかも全裸の。
腕には、私への当てつけみたいに、
沢山線が入ってて、
太ももにも沢山あって、血が流れてた。
「………」
そんな光景に私は、
「………」
なんかもう…どうでも良くなってた。
麻痺してたのか、
もう、おかしくなってたのか、
どっちでもいいけど、
それが成り行きってものなんだって、
その時は思った。
「……」
サキちゃんの横には、
違う、サキちゃんの死体の横には、
黒くなった血が付いた手紙があった、
それは、サキちゃんの遺書。
今でも内容を覚えてる……
うろ覚えだけど…
《まず、ありがとうございました。
こんな私を助けて下さり、
パブロさん、今は亡きマリアさんには、
感謝してもしきれません。
それと、ルルちゃんとか、アネちゃんも、
私なんかとつるんでくれてありがとう。
みんな大好き、ありがとう。じゃあね。》
…………
最後の方の字は、
殆ど読めないくらいの殴り書きだった、
それ程さっさと死にたかったんだろうね。
「……」
サキちゃんが死んだ理由は、
何となく分かる…けど、
予測を真実にするのは、
あまりに無責任だから、
…私は特定しない、したくない。
それに、死んだ人は喋らない、
だからもう、
死んじゃうくらいの強い思いでさえ、
空間に燻ることもない、
あの強烈な死体だって、中身は無い、
全部が無に帰ってしまって
死体も無くなれば、痕跡もなくなる、
サキちゃんの生きた証は、
数週間後には……全部消える、
まぁ、塵くらいは残ってるかもしれない。
「……、」
……どこかで聞いたけど、
死ぬ事は、数字で0を表すらしい、
だから、今がマイナスな人は、
プラスを求めてしまうから死ぬんだって。
…………
サキちゃんは……
どれだけマイナスだったのかな、
……考えると……辛くなる。
それに、死んで、
その人のマイナスが消えたとして、
数字自体は一生残る、
それで周りにばら撒く、
だから、残ったマイナスを、
私が一番に受け取ったんだって思う、
それが、サキちゃんの思いって言えば、
カッコイイのかもしれない、けど、
実際は……ただの無念で…重たい執着で、
それを生きた痕跡って言うんなら、
彼女の人生は、青黒すぎた。
「……」
「……」
「……」
だから、あまりに辛いことが起これば、
定期的に、神の存在を信じてしまう、
なんの神かっていうのじゃなくて、
ただ、絶対的な、運命を左右してる人、
そんなものはいるわけないって
知ってはいるけど、
こんなに悪いことがあったんだから、
少しは良いことあって欲しい…
そう望んじゃう、
結局、無意味なのにね。
「……」
もっかい、サキちゃんを見た。
首のロープは、
凄くキツく締まってた
……片結びでね。
もう取り返しがつかないって、
……また、理解させられた。
「…………」
どうしようもない…全部、
だからせめて、ちゃんと弔いたい…
そう思ってたけど、
サキちゃんの眼帯は、
どこを探しても、見つからなかった。
「…………」
「……」
「…………」
まだ……終わらないのかな、
もう、終わらないのかな、
この幻覚は……
あぁ、
…………もう、二月か、
この時期になると、自分を見失う。
ずっと…そうなのかも しれないけど……
そんな気がするだけだけどね。
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「ルルちゃんって、受験とか興味ある?」
「え?」
「いやえっと、
なんか将来したい事とかないのかなーって、
そうゆう興味が発展した質問」
「……私は、よく分からないよ、
勉強とか……した事ないし」
「じゃあさ、将来の夢は?」
「えー……咄嗟に言えないよ、
イスピート君はなんかあるの?」
「僕はね、東大行こうと思ってるんだ」
「へぇー、そこ頭いいの?」
「日本で一番良い」
「じゃあ、大したことないね」
「酷い、なんてこと言うんだ」
「それで、東大行ったら何かあるの?」
「何でもなれる」
「日本で?」
「日本で」
「でも、今日本に職なんかあるの?」
「弁護士とか?」
「何それ?」
「分からない、言ってみただけ」
「ふーん」
「ほら、僕言ったよ、
ルルちゃんの番」
「私は……えー、
強いて言うなら、小説家とか?」
「めっちゃ意外、
イラストレーターとかだと思った」
「いやまぁ、絵は楽しいけど、
正直しんどいのよ」
「どんな風に?」
「まぁ……色々と」
「ふーん、で、なんで小説家?」
「小説書くのが好きだから、そんだけ」
「なんか書いてるの?」
「一応二作品は完結してる」
「へぇー何系?」
「普通のラブコメとサスペンス」
「読んでみていい?」
「あ、いいよー、
カイロにしか読んでもらったことなくて、
他の人の感想聞きたかったんだよね」
そう言って私は、
原稿をコピーしてまとめた物を渡した…
「ありがとう!じゃあ読んでみるね」
「OKー……はぁ……」
…………
…………
…………
…………あれ、
会話ってこんな疲れるものだっけ。
なんか、すごい疲れる。
小説くらいなら、
いくらでも読んでもらって構わないけど、
そろそろ一人になりたい。
…………………
………………
久々の人とのコミュニケーション、
こんなめんどくさかったっけ…
まぁ、
相手がシラフのヤク中ってのもあるけどね。
……でも、久々に見たイスピートは、
若干太ってる気がする。
てか、それより馴れ馴れしい、
別に元からそんな仲良くもないのに、
なんで話しかけてきたんだろ。
もっと同い年と話せばいいのにさ……
あ、無理か、シュレちゃんも辛そうだし。
それより何より、もう疲れちゃったな。
人が沢山いるからか分かんないけど、
凄くだるい。
生理はもう来ないはずなのに、
何となくお腹も痛いし、
貧血って感じがする。
早く、アネちゃん来ないかなー?
……まぁ、来ないかもしれないって
カイロ言ってたし、
仕方ないかも……
ずっと座ってるとおしりが痛くなってくる、
未だに傷跡が開きそうになって辛い。
トイレよりかは辛くないからいいけど。
そういえば……
さっきからパブロさん何やってるのかな。
棺桶の前に立って、
かれこれ十八分くらい下見て俯いてる。
少しだけ不気味だけど、
それが不思議じゃないみたいに、
参列者の人達は気にしない。
私だけかも、気にしてるのは。
ちょっと見てみよ。
「いてて…」
立ち上がると腰が痛い、
いつまで経っても慣れないな……
この痛さ。
それより、
本当にパブロさん何やってんだろ?
祈ってるわけじゃなさそうだけ……ど、
「え?」
………
……シコシコ…
…………本当に何やってるのこの人…
「…………」
二度見したけど、変わらない…
……え?
私だけにしか見えてないのこれ?
なんで誰も何も言わないの?
良くないでしょ、
てか、それ以前の問題だし。
…………
ダメだ、やっぱり意味がわからない、
…普通あんなことしちゃ…ダメだよね?
ちょっと怖くなって、
私は元いた場所に戻った。
「……ふぅ」
私だけにしか見えてないのかな?
ドルクスとか真横に座ってるのに、
なんで何も言わないの?
暗くて見えないような距離じゃないしさ…
……分からない。
「…うーん…なんでだろう」
そういえばパブロさん、
あの後も色々あったって言ってたし、
あんな事を平気で出来るくらい…
そして、それを平気で流せるくらいに、
みんな疲弊してるって事?
一回……聞いてみるか……
「いてて……あ、ねぇカイロ」
近くにいたカイロに話しかけると、
カイロはボーっとしてた癖に、
話しかけるなオーラを全開にしてきた。
「なに?」
「……なんか機嫌悪い?」
「それ聞きに来たの?」
「いや、それとは別件、
今思っただけ」
「……じゃあ、その別件を話してくれない?」
「……なんかさ、棺桶の前でパブロさんがさ」
「あ〜そっか、ルルちゃん知らないもんね、
それはびっくりして当たり前だ」
私が言い終わる前にカイロは察したのか、
少しだけニヤッとした。
「あれは……なんて言うんだろ……
触れない方がいいよ」
「…確かにあんま突っ込むことじゃないとは思うけど……いまお葬式だし…」
「お葬式だからこそだよ、
パブロさんは、結構前から狂ってるよ」
「……」
「それをみんな分かってるし、
そうなる理由も知ってる、
だから受け入れてるのさ」
「……でも、アネちゃんがあんなの見たら、
絶対悲しむと思うけど」
「いいや、そんな事は起きない、
だってアネちゃんが、
最初にみんなに呼びかけたんだから」
「…どうゆう事?」
「あんなに辛い目にあったんだから、
人間、どこかはおかしくなってても、
おかしくない。
だからほっといてあげてよって」
「アネちゃんが?」
「そう」
「いや……でも流石にあれは」
「僕はどっちでもいいけど、
ルルちゃんは気にしない方が良いよ、
ここに居る人達みんな、
頭のどっかが壊れてるから」
「…アネちゃんも?」
「……そうなんじゃない、
まぁ、まだ正常に近いと思うけどね」
「…………そっか」
「そろそろ良いかな、
ちょっと僕は忙しいんだ」
「……」
怖いや、流石に…
アネちゃん…
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「………」
………神なんていない。
それは私の存在が証明してる。
さらに言えば、この場所かもしれない、
いややっぱり違う。
やっぱり私の存在が証明だと思う。
ここまで苦しんで、悶えて、泣いて、
死にたいって考えてる様になって、
それでも、救いなんてない。
救いが何かなんか知らないけど、
そんなもの今のところない。
生きる事が自分の証明なら、
死ぬ事は、意思の証明で、
勿論、
そんなの死んだ方が良いに決まってた。
でも、世界は生きて欲しいって言う、
なのに、世界はとっても死にやすい。
他からでも、自からでも、
やろうと思えば簡単に死ねる。
さらに、死ぬ方が楽。
こんなの、生きてる奴がバカを見てる。
そう、私は大バカで、
クソマヌケの死に損ない。
死ねれば、少なくともバカではなくなる。
けど。
何を私が考えてるか、
それが分からない。
自分なのにね。
「…」
……てか、この思考だとルルちゃんを馬鹿って言ってるじゃん。
悲しいなぁ…
自分のダメさが露見してる。
普通、自殺しないのがおかしいくらいに
ボコボコにされてるのに、
今だに希望を捨ててない。
そんな子を、バカにした。
ある意味、バカではあるけど、
私が罵倒できるような思想じゃない。
あんな…無責任な事言ったんだし。
「………」
「………」
「………」
なんか、気づいた気がする。
この幻覚は……
“黙れよ”
「…………」
………メメが、目の前に立ってる。
……メメだ。
過去のメメじゃ無い、
私と同じ背丈を持ったメメだ。
「メメ…私が何したって言うの?
この幻覚はなんなの?」
もう限界に近かった、
幻覚なんかに話しかけてる。
メメは私から目を離そうとしない、
表情は怒ってるのか、
憐れんでるのかわからない顔して、
どっちでもいいけど、
メメは死んだ。
だから、コイツが幻覚でも幽霊でも、
なんでも、私は狂ってしまった。
…それも、どうでもいいか。
“見せてるのはお前自身だろ?”
メメの声だ。
“お前、これを過去だとでも思ってるのか?”
メメは死んだ。
喋るコイツはメメじゃない。
“逃げるな”
メメは…死んだ……
私が……殺した。
“お前、記憶を意図的に避けてるだろ?
お前は、
自分が一番不幸だと思いたいだけだ“
………………
“良い事も悪い事も、
お前が都合の良い様に妄想してるだけだよ、
幻覚じゃない、お前の妄想。
お前の理想。
不幸な自分が好きなんだろ?
だから、
自分より不幸な人間の記憶をさけてさ、
お前自身が何したかわかってるのか?”
メメの首に線が入って、血が垂れる。
切り傷がどんどん開いてくのが見える。
“そうやって、妄想して、
自分の耳障りな言葉を殺して、
幻覚と言い張ってさ。
私はお前の本音だぜ?
お前の考えてる事を言ってるんだよ
わかってるんだろ?
心の内でも、言葉でも、行動でも、
身体反応でもない、
私がお前の本当の気持ちだよ”
メメの声が聞こえる。
メメの声が聞こえる。
ただ、聞こえてるだけ、
目の前の死骸は醜く潰れてゆく。
“素直になれよ、
この世は、幸せだったろ?”
……あぁ
「黙れよ……そんなわけないだろ!!
こんな世界のどこが幸せだったってッ」
“良い加減…起きろよ”
もっと細かく書いた方がいいかなーって思ったんですけど、それやるとなんかグダッちゃうんでやめときました。
カナとサキの過去が知りたい方は是非『HILU』を読んでみてください。
それに加えて、この話のカナとサキはIFストーリーですので、HILUの結末とかお話とは関係は無いです。




