俺の人生、赤点だらけだった
――短い人生だったな。
目の前に迫るトラックの車体。
俺の身体は、反射的に生徒を突き飛ばしていた。
あの不良の馬鹿。あんな深夜に、なんでこんなところにいやがるんだ。
ガキを守って、俺が轢かれるなんて。
最後の最後まで、教師かよ――。
* * *
俺の名前は、三浦大悟。
“問題児メーカー”なんて陰口を叩かれていた、都内の底辺高校教師だ。
今では教師をやっている俺だが、昔は地元でも有名な不良だったんだ。
けどそんな俺を見捨てず救ってくれた恩師がいた。
いつしか俺もこんな先生になりたいと思い今に至る。
遅刻、暴言、喫煙、暴力。そんな生徒たちに手を差し伸べ続けた結果、生徒からの人気は高かったが、先生からは煙たがられ職員室でも孤立していた。
「更生なんて、無理なんですよ。あんな連中には」
「あなたが壊れる前に、距離を取るべきです」
わかってるよ。正論なのは。でも、俺にはそれしかできなかったんだ。
教えることしか――。
* * *
「ようやく、お目覚めかしら?」
声が響いた。目を開けると、白銀の髪をたなびかせた美女が、玉座のような椅子に座っている。
「私は女神エクシリア。この世界を見守る存在よ。あなたを、異世界に転生させる者でもあるわ」
「……転生?」
「あなたは、命を捨てて他者を救った。普通なら天国直行だけど――」
「あなた、教師だったのよね?」
俺は黙って頷いた。
「面白いことにね、この世界では“教え”に魔力が宿るのよ」
「は?」
「わかりやすく言えば、“教える力”で人を強くしたり、癒したり、奇跡を起こせたりするってこと」
エクシリアは微笑んだ。目だけが、冗談じゃないと告げていた。
「あなたの“後悔”と“執念”は、教育神の器として十分よ。あの世でくすぶるくらいなら、この世界で【教えの神】になってみない?」
俺はゆっくりと立ち上がり――言った。
「……わかったよ。どうせ俺には、教えることしかできないんだ」
* * *
そして、目を覚ましたときにはもう、石造りの小屋の中だった。
視界に浮かぶのは、ありえない文字列。
【称号:教えの神(未覚醒)】
【スキル:指導LvMAX/教化Lv1/神性:0.01】
「……マジかよ。ほんとに異世界来ちまったのか」
扉がノックされる。
「お客さま、大丈夫ですか? ここは巡礼者の宿ですよ!」
俺はゆっくりと腰を上げ、扉を開けた。
そこから始まるのは――俺が“神”と呼ばれるまでの、ぶっ飛んだ教育革命だ。