表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

愛するハーブティー

ゴールデン・メッセージ

作者: 沢崎照

世界に何があろうとも、私たちは愛を語りあう。

けれど、気持ちは届きにくい。

「生きる理由ができた」という言葉を人伝に聞いた。

愛しているという意味、

今は亡き人からの最愛を伝える最後のメッセージ。

秋は釣瓶落としで冬へと向かう。今日の午後は、原稿の打ち合わせに出かける。暖かい小春日和。マフラーや手袋をするほどは寒くない、気やすいお相手だから、少しだけカジュアルに。黄色のボタンダウンシャツにライトグレーのニット、グリーンのタータンチェックのゆったりとしたパンツを履いて、ネイビーのピーコートを羽織った。


 銀杏並木の道沿いにある小さなオフィス。ライターとデザイナーの男女お二人のデザイン会社だ。最初は、ご夫婦だと思っていたが、仕事のパートナーだと言う。よく一緒に旅行やキャンプに行かれたりしているから、恋人同士なのだと思って聞くと、お二人とも、やはり、ただの仕事のパートナーだと言って笑う。


 それが、最初の頃、私が聞いた二人の関係である。三年前の話だ。コロナ禍の間、メールだけのやり取りが多かったが、今日は久しぶりに、顔を合わせての打ち合わせということになった。


 オフィスに入ると、以前と違って、男性だけが後ろ向きで答えた。見知らない若い人の後ろに立って、パソコンを見ながら何か指示をしている。デザイナーの女性はいなかった。打ち合わせが終わると、男性が語り始めた。本人の希望で仕事関係者には言っていなかったのだが、ずっと癌の療養をしていて、今年の初めに亡くなったのだと言う。 


 --- ああ、それでね、亡くなるまでの一年は入籍していたんだよ。

 悲しげな目をして、静かに笑った。

 --- 周りの人に「生きたい理由ができた」って、彼女が言ってたらしいんだよね。


 愛しているとか好きだと素直に言う以上に、愛が伝わる言葉は少ないと思う。この街で仕事がしたいという私の思いにつきあって、東京から関西へ移動した夫。私たちの夫婦愛は深いと思うけれども、この二人の愛の輝きはなんだろう。


 帰り道、夕に向かう銀杏並木の木漏れ日が黄金色にキラキラと美しく光っていた。

ハーブティ「ゴールデンメッセージ」

ハニーブッシュの蜂蜜風味とピンクローズの甘い香り


ハーブティは、木もれ陽や黄金色を感じる甘いハニーブッシュベースのブレンド。蜂蜜のような風味の甘いハニーブッシュと甘い香りのピンクローズをベースに、フルーティで気持ちが明るくなるオレンジピール、鉄分やミネラルが豊富なラズベリーリーフなど。甘い香りに心癒され、彩りの豊かさに華やかな心地を演出してくれる。白いエルダーフラワーが開き舞うカモミールやジャスミンの花の香り


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ