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黒騎士と姫と綜技硏3

 俺は魔道具を中心にシールドを張った。 

 すると、研究室の中をかき乱していた竜巻がシールドの中に閉じ込められた。


 ドーン! トン! ガタガタ!


 風に飛ばされ、空中に舞っていた家具や家財道具が大きな音を立てながら落下した。


 とりあえず、さらなる被害の発生は防いだ。

 さて、次は。


 ブオオオォォォーーーー。


 小型シールドの中でものすごい音を立てながら暴れているこの魔道具だが。


「ものすごい威力だな」


 だが、問題になる程ではない。

 小指一本で魔道具に仕込まれている魔石ごと真っ二つにできる。俺が奪命王ブレードだったらの話だが。

 問題は今、俺が下級魔族ナイトを演じていることだ。


 よし、ここはちょっと演技をすることにするか。


「ふぅー」


 大きく深呼吸をした俺は腕に力を入れ、シールドの中に手を突っ込んだ。

 通常、シールドは外からのものを防ぐものだが。

 シールドを広げた張本人である俺には当てはまらない話だった。

 問題はこの後だが……。


 下級魔族が圧縮された竜巻の中に手を入れて無事で済むはずがない。

 大怪我をするのが普通。運が悪い場合は腕が飛んでしまう可能性も高い。

 この魔道具の威力を考えると、本来なら触れた瞬間、下級魔族の腕はズタズタになるのが普通だが。

そうすると見た目が良くない。

 ここには赤ん坊のベベもいるのだから、できれば大怪我はしないくらいで終わらせたい。

 俺は後で守りの魔道具を使ったと言い訳しよう、と思いながら、手にまいた魔力を弱めた。


「くっ! 痛い!」


 これくらいの威力なら皮膚をちょっと傷つけるくらいしかできないんだが、それでも痛い!

 早く終わらせよう!

 俺は眉間にしわを寄せながらそう決意した。


 ところで、これ、どこにボタンがあるんだ? 竜巻がひどすぎて見えないぞ!?


「くっ!  くそ!」


 こうなると、どうにでもなれだ!

 シイちゃんには悪いけど、魔道具の回路を少し壊そう!


 そう決意した俺は、魔石の気が感じられるすぐ隣に向かって手を伸ばした。

 魔道具の回路は複雑だ。 それだけに、適当に手を出したからと言って止まることはまずない。

 むしろ、下手に回路に手を出すと暴走してしまう可能性が高い。

 なので魔道具を止めるには、魔道具ごと真っ二つにするか、魔石から回路につながる線を正しく切る必要がある。

 そうしても、作者の性格がレディンのようにひねくれたものだった場合、それがきっかけで罠に嵌、暴走してしまう可能性もあるが。それでもそれが魔道具を止める方法の中では一番安全な方法だった。


 だから、シイちゃん、頼むからレディンのようなひねくれた性格じゃないでくれ!


 俺はそう祈りながら、魔石の近くを指で軽く切った。

 そして。


 ブオオオォォォ……。


 幸いにも徐々に魔道具の作動が止まった。


「ああ、よかったぁ……」


 もし暴走でもして研究室が丸ごとぶっ飛んだらどうしようかと焦った。

 ただ動かしただけで、この程度の威力なのだ。もし魔道具が暴走でもしたら、いくら丈夫な素材で出来ている綜技硏とはいえ、タダでは済まない。少なくても上の2階は被害を受けただろうに違いない。

 研究員のほとんどがアンデッドだから死ぬ人はいなかったと思うけど、そうなると財布はかなり痛くなっただろうな。

 そんなことを考えていると、入り口でうろたえていたビイさんが小さくつぶやいた。


「と、止まった……?」

「そ、そのようだね……」


 ビイさんの言葉に答えたエイさんが夢を見ているような顔で研究室に入ってきた。

 ビイさんもそうだが、エイさんもまだ状況に追いついていないようだった。


 それもそうだろう。

 普通、魔道具が暴走するとなれば、この程度では済まない。

 研究室が吹き飛ばされるのが基本で、下手をすると運悪く近くにいるお隣さんや町が丸ごとぶっ飛ぶ。


 そんなことを考えると、この程度で済んだのは運が良かったと言えるだろう。

 新しくして数日しか経ってない研究室がちょっとごちゃごちゃになったけど。これくらいなら掃除すれば済むことだし。


 めちゃくちゃ高いであろう精密機器とかはどうなるかわからないけど。

 この世界にAS制度とかあるんだろうか。 あることを祈ろう。

 そんなことを考えていたら、


「あっ……!!」


 突然、ビイさんが悲鳴を上げた。


「え? どうかしましたか?」


 もしかしてさっきの余波で別の魔道具が起動したとか?

 そんなことを考えながらビイさんの手を目で追ってみたが、なぜかビイさんが指しているのは俺の方だった。

 何だろう。


「どうかしましたか? じゃないですよ! ナイトさん怪我してるじゃないですか! 痛くないんですか!?」

「ああ……」


 ああ、そんなことか。

 確かに魔道具を止める時は少し痛かったが、今は痛くもかゆくもない。

 なぜなら、魔力で傷ついた腕の感覚を一時的に遮断しているからだ。魔力コントロールに少しコツが必要だが、こうすれば痛みを感じないことができる。

 まあ、だからといっていつでも使える技術じゃ無いけど。

 この技を使うと、感覚を切ったところの動きが鈍くなる。

 そのため、相手との実力差が大きい場合や、安全な状況でなければ使えない。

 とはいえ、実質この魔界で俺に勝てる奴はほとんどいないから、いつでも普通に使えるが。

 しかしそれは私の考えであって、事情を知らないビイさんの考えは違うようだ。


「エイ兄さん、シイを奥の部屋に寝かせてあげて。私はナイトさんの手当てをするから」

「ん。わかった」


 エイさんがシイさんを抱えて奥の部屋に入っていくと、ビイさんが応急処置箱を持って俺の方に近づいてきた。


「ナイトさん、手を出してください」

「えっ、いいですよ、大した傷じゃないですから」


 ここを出たら、人の目が届かないところですぐに治す予定だ。

 だから高価な治癒薬をこんなことに使うのはもったいない。

 そんなことを考えていると、何を勘違いしたのか、ビイさんが固い声で言った。


「ダメです! 痛いのに我慢していたら!」

「でも……」

「遠慮しないでください。シイのせいでこうなったんですから。 それに、その手でベベの世話ができるんですか」


 そう言われると、何も言えない。

 確かにこの手でベベに触れたら血が付くだろうし、洗うの大変だろうな。

 よし、ここはビイさんの言葉に甘えよう。


 

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