黒騎士と姫とハンナと山菜取り3
俺はそれをハンカチで拭きながら答えた。
「難しくはないよ。パンに特製ソースを塗って、野菜とチーズ、ハムを挟んだだけだからね」
ちなみに特製ソースというのは、マヨネーズとハニーマスタードだ。説明すると長くなるので、今は特製ソースということにしておく。
「特製ソース......ですか。 じゃあうちでは作れないですね。 こんなに美味しいのに、残念です」
「ええと、後で作り方を教えてあげようか」
「えっ!いいんですか」
「ああ、別に難しいもんじゃないし。俺で良ければ後で教えてあげるよ」
ちょうどマヨネーズも残り少なくなったし、ついでにハンナにも作り方を教えると思えば悪くない。
黒パンをそのまま食べる今の食事はちょっと改善したいからな。
「じゃあ、じゃあ、お願いします! ナイトさん」
「ああ、任せてくれ」
ハンナは申し訳なさそうに言ったけど、正直俺としては提案を受け入れてくれてありがたいくらいだ。
ハンスの奴は別に何を食べても構わないが、これから大きくなる年頃のハンナは良いものを食べて欲しいからな。
そんなことを考えながら俺は弁当箱に手を伸ばした。
ハムチーズサンドイッチを食べ終わったので、そろそろデザートのジャムサンドを食べようと思っていた。
「……えっ、ジャムサンドがない」
「ええっ、本当ですね」
「む、こっちのジャムサンドはデザートにしようと思ってまだ手を出してなかったんだけど、どこにいったんだ」
すやすやとクッションでお昼寝をしてるベベが食べたはずもないし。
そんなことを考えながらお弁当を見ていると、そっとお弁当に向かって近づいてくる手、ではなく、蔓があった。みずみずしい緑の蔓を辿っていくと、モザモザとした茂みが目に入った。
残ったサンドイッチをこっそり取り込んだ茂みは、白い花を広げ、サンドイッチを一口で丸呑みした。 花びらがモグモグと動いた。中に入ったジャムサンドイッチを味わうような、気持ち悪い動きだった。
「ヒィッ!」
あっ。初めて見る植物だからと観察している場合ではなかった。
ハンナも驚いただろうに……え?
「ひっ! ひゃっ! アハハハハ! くすぐったい! アハハハハーーッ!!」
ハンナの笑い声が静かな森に響いた。
なぜかと思って見ると、茂みから伸びた木の蔓がハンナの頬をなで、うなじをくすぐっていた。
うーん。どう見ても攻撃……してるようには見えないな。もしかして遊んでるのか?
まあ、だとしてもこのまま見過ごすわけにはいかないけどさ。
ハンナが顔をもう真っ赤にしている。あの茂みに悪意がないのはわかるが、このままにしておくにはハンナが可哀想すぎる。
俺は念のためベベの周囲にこっそり見えないシールドを張った後、ハンナに近づいた。
「おいおい、いい加減にしろよ。ハンナがかわいそうじゃないか」
そう言って木の蔓を外そうとする所、ペシッ! と蔓に手を叩かれた。
露骨な拒絶反応だった。
……生物に俺みたいな邪気を含んだ存在が不愉快なのはわかっているけれど! でもさすがに酷くないか! あと、ハンナに触るのやめろって言っているだろ!
カッとなった俺は速攻で蔓を掴み、それをフン!と叩き飛ばした。
すると、ブーンと飛んだ茂みが地面に転がり落ちた。
[キッ!! キエエエエエエエエエーー!!]
……ていうか、どこから声出してるんだ、この茂みは。
あと、この状況でもサンドイッチを食べるなんて、どんだけ食いしん坊なんだ!
俺は避けたくせに俺が作ったサンドイッチは食べるなんて、この!このっ!
胸の中のモヤモヤを込め、俺は茂みをぐしゃぐしゃした。
[キッ! キエッ!! キエエエエエエエ……!!]
しばらくぐしゃぐしゃしていると、暴れるように抵抗していた茂みが弱々しい鳴き声を出し始めた。
何だろう。なんか、俺がこいつをいじめているような気がする。俺はただこいつを押さえるついでにちょっといじっただけだけど。
そしてそう思うのは俺だけではなかったようで、後ろで俺が茂みを石っているのを見ていたハンナも俺を止めてきた。
「あのー、ナイトさん。あんまりいじめると可哀想です」
「うーん。でも、ハンナもくすぐられて大変だったでしょ」
俺の言葉に、ハンナが困ったように笑いながら答えた。
「それは、そうですけど……。木の蔓でちょっとくすぐっただけで、怪我をさせたわけではないですから。 お仕置きは十分やったと思いますので、このぐらいにしませんか」
「そうか。ハンナがそう言うなら、このくらいにしておくよ」
運が良かったな、お前。
ハンナが止めてくれなかったら、あと五分はぐしゃぐしゃ刑だった。そんなことを思いながら蔓を放すと、キィィと鳴いた蔓がハンナの方へ向かった。
ハンナの足元まで行った茂みはそれ以上近づかず、キィ、キィィ、とただただ泣いていた
それを見たハンナがそっと茂みに手を伸ばした。
なでなで。
[キィ! キィッ!]
ハンナに優しく撫でられた茂みがバサバサしながら嬉しそうに飛んだ。
もしかしてハンナを襲うんじゃないかと、少し警戒していたが、どうやら余計な心配だったようだ。
だが驚いた事に、そのあと茂みの体のところどころに咲いていた花が急激に枯れ始めた。
驚いたハンナが「あっ!」と悲鳴を上げ、俺も肩をビクッとした。
急に花が枯れることに引っかかるところがあったからだ。
アンデッドは基本、邪気というものを持っている。そしてそれはデスナイトメアという新種の魔族である僕も同じだ。 そしてこの邪気というのは弱い生命体には毒となる。
でも邪気はいつも抑えているから、ちょっと触れたくらいで何か起きるとは思えないのだが。
そうだよな。問題ないよな!? 結構よく会うハンナも元気だし! あ、でも初めて見る植物だから、ないとも言い切れないぃ!
……もしかして俺のせいで枯れちゃうのか? ちょっといじっただけで、殺すつもりはなかったけど、この茂みそんなに弱かったのか!?
今すぐ土下座した方が良い!?
とか考えている間。枯れた花びらが落ち、そこから瑞々しい赤い実が実った。
읽어 주셔서 감사합니다!
이 소설을 읽고
「재미 있다!」
「계속을 읽고 싶다!」
라고 생각하는 분은, 꼭
북마크
! 오르겠습니다!
너무 오르고 더 노력하라! 되기 때문에!
잘 부탁드립니다!ヽ(o^▽^o)노




