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黒騎士と騒がしい森2


「これなら一番下の妹のクルルもこれるかも」


 いや、やはりダメかな。クルルはまだ4歳だし。こんなところに連れてきたら、さすがに使用人に怒られる気がする。


 でもそうだな、浅い森では見かけない実や花をお土産に持っていくのは悪くないかもしれない。いや、むしろ良いかもしれない!

 襲ってくるモンスターもいないし、逃げるのを攻撃するのは弱者をいじめるようで嫌だし、それなら弟たちのためにプレゼントを集めた方がいい。


 そう思ったギャルルは、早速プレゼントを集め始めた。


 地面に腰を下ろし、初めて見る白い花を摘み、木に登り、甘酸っぱい香りのする果物を採り、そして最後に今日の冒険を記念して、初めて見る鳥の羽根を鳥の巣からそっと取り出した。

 青紫色の美しい羽根だった。

 これならいつも忙しい母もギャルルを褒めてくれるかもしれない。


 そんなことを考えていると、頭の上に影が落ちた。

 ものすごく大きい影だった。

 それに気づくと同時に、ギャルルは威圧感を感じた。今まで感じたことのない大きな威圧感だった。


 ゴクッ。


 唾を飲み込んだギャルルは、緊張で動かない首を動かし、後ろを振り向いた。

 するとそこには、見たこともない巨大なヘビがいた。


「シィィィィィィーーーー」


 巨大なヘビがゆっくりまばたきしながらギャルルを見た。

 ギャルルは本能的に体が固まるのを感じた。

 蛇はギャルルの10倍はありそうな大きさだった。口を開けギャルルを飲み込もうとすれば、一口で食べられるに違いない。

 今はただ奴がギャルルを喰う気にならないくらいお腹がパンパンになっていることを祈るしかなかった。


 だが、その願いは叶わなかった。


「シッ! シィィィィーーーーッ! カアッ!!」


 なぜなら、ギャルルをじっと見つめていた巨大なヘビが瞳を鋭くし、口を大きく開けたからだ。

 奴は今ここでギャルルを食べようとしているに違いない。

 その瞬間、ギャルルの頭の中では様々な考えが駆け巡った。


 どうしよう! 

 今からでも逃げる? いや、でも今から逃げてもあの恐ろしいヘビから逃げられるとは思えない。

 どうしよう、どうしよう!

 ここでこのまま奴に喰われて死ぬのか?


 ーーーーいや、そんなの嫌だ。僕は死にたくない! 生きたい! 生きて、絶対家族の元に帰るんだ!


「僕はーーーータイガー族のギャルル タイガーなんだから!!」


 絶対に死なない!


 それからギャルルは必死に走り始めた。

 蛇はギャルルのように鍛えられた足もないのに、ものすごく速かった。そのうえ変則的で、ギャルルは何度も危険な場面に遭遇し、そのたびに危ない目に遭い、ギリギリと生き残る事がてきた。


「はっ! はあっ!」


 木と岩を乗り越え、地面を転がったギャルルはいままでで一番疲れていた。

 いつの間にか集めた花や実も失ってしまった。

 残念という気持ちは全然わかなかった。

 今はそれよりも生き残ることが大事だった。

 ギリギリだけど、この調子ならなんとか逃げられるかもしれない。

 これまでの蛇との追いかけっこでギャルルはそう確信した。


 確信していたのだ。


「シッ! シィィィィーーーーッ!」


 その考えが変わったのは、あの巨大なヘビが灰色の煙を吐き出した後だった。


「くっ!?」


 灰色の煙に触れた肌が灰色に染まり、石のように硬くなった。


 いや、石のように硬くなったんじゃない。これは石そのものだ。特に煙から逃げるのが遅かった左足の状態が酷く、膝から下が全部石になっていた。


 マズイ、マズイマズイマズイーーーー。


 このままでは死んでしまう。


 今までもギリギリ逃げていたのに。足がこうなったら捕まるのは時間の問題だ。

 今まで僕が奴から逃げられていたのは、奴が、遊んでいたからに過ぎない、そう悟った。


 そう思いながらも、ギャルルは足を動かした。

 奴から逃げられるとは思っていない。

 ただ、死にたくないという気持ちだけで足を動かしているだけだった。


 どうする。どうすればいい。

 もうこのまま死ぬのか? 奴に喰われて?


「いや、嫌だ……」


 死にたくないよ、ママ。


 そう呟いている時、森の茂みから黒い影が飛び出してきた。

 黒い半面をかぶった男だった。


 ヤバイ!


 このままじゃああの人も大ヘビの餌食になってしまう!


「ーーーーっ! そこのあんた! 危ない!! 逃げて……!!」


 しかし、相手は突然現れた巨大な蛇に驚いたのか、そこに釘付けにされたようにただ立っていた。

 何か呟いているようだが、心臓の音がうるさくて聞こえなかった。


 このままではダメだ。


 僕が蛇を浅い森まで引きずってきたせいで、関係ない人が死んでしまう。

 

 そんなことをしたら、死んでもお母さまに会う顔がない!


「くっ!おい!! こっちだ!!」


 ギャルルは仮面の男から一番遠い方向に向かって走り出した。

 巨大蛇の目標はギャルル自身。

 奴を誘い込んであの仮面の男から遠ざければ、あの男は助かるかもしれない。

 すでに石になってしまった足でどれだけ逃げられるかわからないが、それだけが唯一の希望だ。


 ギヤルルそう思った。


 しかし大蛇はギャルルを無視し仮面の男の方へ向かった。

 ギリギリの瞬間まで毒も使わずギャルルを持って遊んだ奴は、すでに疲れ果てたギャルルの代わりに仮面の男を新たな獲物に選んだのだ。


「お、おい!! こっちに来いって言ってんだろ......!!」


 喉が枯れるほど叫んだが、大蛇は聞く耳を持たなかった。

 あわてて仮面の男の方に身を向けたが、もう遅い。

 バジリスクはもうすでに仮面の男の前に立っていた。

 そして、ギャルルが到着するよりも早く、胴体を膨らませたバジリスクがフーッ!と、仮面の男に向かって毒煙を吐き出した。


 その姿を見たギャルルは絶望した。


 死んでしまった。


 バカすぎた僕のせいで。


 なんの罪もない人が。


 その瞬間、最後まで諦めていなかったギャルルの目が、真っ黒に染まった。



 

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