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黒騎士と姫と総合技術研究所3


「裸じゃないよ。ビイお姉ちゃんーーーー。ちゃんと下着着てるんだからぁーーーー」

「あっ!今日は下着ちゃんと着てるんだね!えらいわ!じゃなくて!下着もダメだよ!」

「ええっ、厳しいな。ビイお姉ちゃんはぁーーーー」


 いや、厳しくないです。普通です。ビイさんの反応は。それよりシイさん、普段は下着も着てないのか。何者だよ、この人。


「あの、それよりも個人的に依頼したいことがあるんですけど、いいですか」

「え、依頼? 何の依頼ですか? 予算ももらったし、何でもします」

「何でもするなんて、お姉ちゃん、エッチィーーーー」

「ああっ! シイ! 何を言ってるの!? いや、ナイトさん! そういう意味じゃないですから……!!」

「あ、はい。分かってます」


 あ、はい。誤解なんてしませんよ。

 それにしても面白い反応をする人だな、ビイさん。シイさんがイタズラしたがるのも何となくわかる。まあ、俺はやらないけど。


「それより、ご依頼の内容を聞いていただけますか」

「あ、はい! ごめんなさい!」

「謝らなくてもいいです。それで依頼なんですが、子供用の乗り物を作っていただけませんか?」

「子供用の乗り物ですか?」

「はい。この子が乗るんです」


 俺はそう言いながら、スリングに包まれているベベを見せた。


「ぴゃあ♥」

「あら、可愛い!この子のためにずっとガラガラを振っていたんですね」

「そうなんです」

「ほんとだ。かわいい。昔のビイとシイを思い出すな」

「小さいーー。頬が饅頭みたい。美味しそうーー。ねえ、噛んでみてもいいーーーー?」

「「ダメッ!!」」


 ニコニコ笑うベベを見た三人兄弟は、その可愛すぎる可愛さに感嘆の声をあげた。一人はちょっと危ないことを考えているようだったが。まあ、上の2人が止めてくれたからいいか。


「それで、この子の乗り物は作れそうですか」

「あ、はい! 大丈夫です! それにしても、私たちの研究が赤ちゃんの乗り物に使えるとは思いませんでした。いいですね、こういうの!」


 まあ、そりゃそうだろうな。サスペンションとかを発明するなら、普通はもっと大きなものに使うことを考えるはずだし。


「でも、ちょうどいいと思いませんか? 最初から大きくて速いものに使ったら、事故るかもしれませんし」

「それは、そうですね」


 間違って事故を起こしたら、せっかくもらった研究費が全部なくなるかもしれないから、とビイさんは聞こえるようにつぶやいた。

 貧乏が染みついた人の言葉だった。

 試作品のテスト一回したくらいで、無くなるほどの金額を渡すつもりはなかったんだけどな。とりあえず被害の補償も兼ねているわけだし。

 よし。


「私は今から会議に行くつもりですが、三人も一緒にどうですか?」

「えっ! そ、そんな! 恐れ多いです!」


 ビイさんがびっくりして断った。

 俺が参加する会議というと、だいたい研究所の上層部が集まる会議だから負担なんだろう。学校で言えば大学の教授が集まる会議室に修士課程の学生が入るようなもので、どう考えても肉食動物の檻に草食動物を入れるようなものだ。

 しかし、今回は何と言っても、彼らが参加しなければならない理由がある。


「ううむ、行きたくないなら仕方ないですけど、それでもできれば参加してほしいですね。研究室が飛ばされた経緯も説明してほしいし。それに、今回の会議に参加して集まった人たちをうまく説得すれば、研究費をもっともらえるかもしれないですから」

「参加します!!」


 即答であった。

 末端研究員はそんなに予算が逼迫しているのだろうか。先ほど城で保留にしてきた研究所の予算追加要求書を今からでも通すべきなのだろうか。いや、でもここでさらに予算を増やしたら、やっぱり他のところで問題が出るから無理か。

 うん。やっぱりここは……あの手で行こう。





 ABC兄妹の中で四角いメガネをかけるビイさんを代表として、地上二階の会議室に到着した俺は、すでに集まっている人たちにガラガラを振りながら挨拶をした。


「みなさん、おはようございます」

「おはよう、ナイトちゃん。っていうか、それなあに? そのおもちゃ」

「今日もよろしく頼む、 ナイト殿!それにしても珍しいな。あんたがおもちゃなんかを持ち歩くなんて。もしかしてそれ、新しい魔道具とかなんかかな」

「魔道具ではありません。普通のガラガラです。この子のために持ち歩いているんです」


 俺がそう言いながらスリングの中をチラッと見せると、半円形の眼鏡をかけた美人研究員のメルリンさんが「まあ!」と感嘆の声を上げ、室内にもかかわらずサングラスをかけたローデンが全身の筋肉をムキムキさせた。


「まぁまぁ!可愛い子じゃないの〜。もしかしてナイトちゃんの隠し子?」

「ぴゃー♥」

「ちがいます」

「あら、違うの? ああ、そういうことかしら。わかったわ。そういうことにしておきましょう。私理解あるお姉ちゃんだから。でも何かあったら頼ってね、ナイトちゃん?」


 だからチガウウッテイッテルダロ。人の話聞けや。

 ふぅ。落ち着こう。元々メルリンはいたずら好きな人だ。ここでこれ以上反応しても、彼女が喜ぶだけだ。

 何か話題を変えよう。


 そんな事を考えていると、バタン!と会議室のドアが再び開き、レディンが会議室に入ってきた。

 ちょうどいいタイミングで!と思っていたら、レディンが大きな声で叫んだ。


「ナイト! この裏切り者!!」

「ひ、ひう! ぴゃあああああああああああーーーー!!!!」


 誰が裏切り者だ、誰が! お前が事故を起こしたのが悪いだろ! このバカ野郎!! そしてどう責任取ってくれるんだ! ベベが泣き出したぞ!!

 俺は聖石を片手に隠し持って、泣き叫ぶベベを必死になだめた。


「よしよし、泣かないで、ベベちゃん! ただのしゃべる骨だから! 怖くないから!!」


 いや、普通しゃべる骨は怖いのが正しいのか? でも魔界では普通だから! しゃべる骨は!!


「ん? なんじゃ。赤ん坊ではないか。もしかしてお前の隠し子か」


 だから何でみんな話がそっちに行くんだよ! 違うと言ってるだろ!

 あと、その指は何だ。


「おい!この子に手を出すな!今、手を出したら……」

「アバ、アババババババーーーーッ!!!!」


 ああ、言ってる先に。

 ベベの頬に指を突っ込んだレディンは、感電したかのように体を震わせながら崩れ落ちた。骨だけに。

 チッ。だから触れちゃダメって言ったのに。


「アババッ! ハッ! ななな、その子はなんだ!なんで聖力持ってる!?」


 レディンがベベを指差しながら言った。

 おいおい、いくら子供とはいえ、指を指すのはないだろ。あと、口調も戻ってるぞ。

 俺はレディンの手をどかしながら言った。


「……聖国のお姫様です。私がとうぶん世話することになりました」

「な、お前! まさか聖国の王族にまで手を出したのか!!」

「だからちげえよ」


 いつまで続けるんだよ、その話題。

 もう、お前はあそこに引っ込んでろ。



 はじめまして、おLeモンです。

 そろそろ備蓄がなくなってきたので、明日からは午後1時に1回投稿になります。

 今後ともよろしくお願いします。


***********************************


 

 読んでいただきありがとうございます!

 この小説を読んで


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