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黒騎士と姫と総合技術研究所2

 確か爆発音が聞こえたのはこっちだったよな。

 ていうか、この声は……。


「……です!!」

「あ、本当にごめんって言ってるじゃろ。次はやらないから! だからシャリちゃん、ゆるしてくれ〜〜〜〜」


 何んか喧嘩の声が聞こえてきたので行ってみると、めちゃくちゃになった研究室の中心で、メイド姿の女の子に怒鳴られているモノクルの骨ヤロがいた。


「……何やってんのですか。レディンさん、シャーロットさん」

「あっ! ナイト、ちょうど良いどころに! だすけてくれないか! シャリちゃんが儂をいじめる……って、何だそれは、君なんでガラガラなんか振ってるんじゃ。新しい趣味か」

「趣味じゃないです」


 人聞きの悪い事を言う人だな。

 そしてそう思うのは俺だけではなかった。

 シャーロットさんがレディンを指で差しながら怒った。


「人聞きの悪い事言わないでください! 今私はあなたが爆破させたこの部屋の話をしているんです! 研究所の所長ともあろう人が、毎回爆発ばかり起こして! 良い加減にしてください! 後片付けをする人が誰だと思ってるんですか!!」

「あっ! 儂が悪かったのじゃ! だから許してくれ、シャリちゃん! ナイト、それ趣味でも何でもいいから。たすけてくれないか」


 だから趣味じゃないと言ってるだろ。

 それにしても、やっぱりそうだったのか。レディンの奴がここにいたから、もしかしてと思っていたが。やっぱりさっきの爆発はレディンがやったのか。

 しかし、気になることが一つある。


「レディンさん、一つ聞きたいことがありますが」

「え?何じゃ。シャリちゃんを止めてくれるなら何でもいい!何でも聞いてあげよう」

「なんてレディンさんがここにいるんですか? レディンさんの研究室は確か一番下の98階ですよね」


 そう。俺の前にいるレディンの研究室は一番下の98階だ。

 いつも研究室を爆破させてみんなをこまらせるのて、わざと一番下の階に研究室を作ってあげたんだ。

 そんな彼が3階の研究室にいるのはおかしい。


「ああ、そうじゃな。今日は会議のために上階に上がってきたんだが、たまたま面白そうな研究を見たので、そのまま突っ込んでしまっただけじゃ!」

「……なるほど」


 レディンの話を聞いてから見ると、研究室の隅に隠れている3人の研究員が目に入った。

 それぞれ丸い眼鏡、四角い眼鏡、そして星型の眼鏡をかけた研究員だった。彼らがこの研究室の元々の持ち主だろう。

 ヨシ。これはギルティーだな。


「シャーロットさん、止めないのでちゃんと締めてください」

「あっ!ナイト! この裏切り者ーーーー!!」

「はい。ちゃんと締めておきます」


 そっと頭を下げたシャロットさんがレディンを引きずってそのまま研究室を出た。

 あとレディン! 誰が裏切り者だ、この野郎! 他人の研究室を爆破するような狂人に施す慈悲はない!!


 さて、ではレディンのお仕置きはシャーロットさんに任せるとして。

 俺は レディンに研究室を爆破された被害者たちに言った。


「みなさん大丈夫ですか?怪我とかはありませんか」

「は、はい! 怪我はありません」

「わ、私もです!もしかしてと思ってあらかじめ防御魔法を使いましたから」

「大丈夫だよーーーー」


 なるほど。爆発の規模のわりに、傷が少ないと思ったら、そういうことだったのか。

 それにしてもレディンの奴、部下にも危険人物と思われてるなんて、本当にマッドサイエンティストすぎるだろ。

 まあ、今回はそのおかげでこの研究者たちが怪我をせずに済んだから良かったけどさ。


「よかったです。でも、念のため、後で醫務室で検査を受けてください。いいですね」

「「は、はい!!」」

「はあいーーーー」


 さて、この件はこれで終わりとして。


「もしよろしければ、レディンが興味を持った研究が何んなのか教えていただけませんか」

「あっ、はい! あ、でも……」

「さっきの爆発で試作品も吹っ飛んでしまいまして……」

「もうないんだよねぇーーーー」


 そうだな。研究室自体がぶっ飛んだから、試作品が残っているはずがないよな。


「ないのは仕方ないですね。直接見せていただかなくてもいいので、説明だけでもお願いできますか」

「あ、はい!いいです。私たちの研究は……」


 四角いメガネをかけた研究者が、興奮気味に自分たちの研究を説明してくれた。

 ふむふむ。なるほどなるほど。



「良い研究ですね。あなたたちの研究費を追加させておきます」

「えっ! 本当ですか!?」

「はい、本当です」


 研究内容を聞くと、彼らの研究はなんとサスペンションの研究らしいじゃないか。そう、車の揺れを減らすあの装置だ。それを聞いてサポートしないという選択肢はない。


「やった! もう研究費の心配をしなくて済む! さすがナイトさん! 私たち研究者の希望! 神!! そうだね、ビイ!」

「そうだね! エイ兄さん! 研究室が爆発された時はどうなるかと思ったけど! ナイトさんがいてくれてほんとによかった! ねえ、シイ!」

「うん。そうだねーー。ありがとう、ナイトさん。お礼に、何かエッチなことしてあげようかーー?」


 この3人、エイ、ビイ、シイという名前なのか。見た目が似ていると思ったけど、兄妹だったようだ。それにしても名前がABCって、この3人の親、何者なんだ。大雑把すぎるだろ。

 あとそこのシイさん、エッチなものいらないから研究服脱がないでよ。ていうか、今ちょっと肌色が見えたけど。もしかしてシイさんの研究服の中、裸なのか?


「ああっ! シイ、ダメ!! 女の子が裸を見せるなんて破廉恥だよ!」


 ビイさんもシイさんの行動に驚いたのか、彼女の研究服を下ろした。どうしたらいいかと思っていたんだが。おかげで助かった。ちゃんとしたお姉ちゃんがいてくれてよかった。ふぅ。




 

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