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レモネード  作者: スズメヨリ
1.半端者
2/2

2.晴れて人外の仲間入り

「通報者は?」

「死体になってますね」

「うーん…面倒臭い事になったね…」

「被害者女性はどうした?」

「どうやら逃げ出したみたいです。」

「いつも通りに、記憶忘却剤を打って解放にしよう。」

「死体はどうします?」


なにか聞こえる。


「一回こっちで引き取ろう。こら、嫌な顔しない。」

意識はあるのに体が動かない。


死んだのか?

どこかで人は死んでもしばらくは耳が聞こえると言ってた気がする。

「おも…」


重くねぇよ!

至って平均だわ!


「じゃあ、警察が来る前に帰ろうか。」


え?こいつら警察ちゃうの?

じゃあ、なんだこいつら。

感覚は無いのに、軽トラの音が聞こえるのは不気味で気持ち悪かった。



「せーので行くよ?」

「「せーの!!」」


痛ってぇ!

背中前面に痛みを感じた。


「いやぁ…流石に重いねぇ…」

「そもそも、こいつは深夜に何しにコンビニ行ってたんですかね?」

「ほら、そこは言っちゃダメな物を買いに行ってたんだよ。」


ちげぇよ!


「セクハラですか?」

「違うよ!?」

「まぁ、なんであれコイツは変態って事で」

「変態にするなぁァァァ!!!!」


つい、飛び起きてしまう。

ツッコミの大渋滞だわ!


「「は?」」


あれ?


「生き返ったァァァ!!!!」


立っていた女の子が叫ぶ。


「生き返ってるぅぅぅぅぅ!!!」


なんでぇぇぇぇぇ!!?!?!


「え!?俺死んでたよねぇ!?」


混乱しながら、パッと横を見るとケモ耳を生やした女の子とポックリ逝きかけてるおじいさんがいた。


「なんか生えてるし、死にかけてるぅぅ!!」

「あぁぁぁ!!!小林さぁん!!」



なんかぁすっごいゴチャゴチャしたぁ。



「うーん…おかしな所もないんだよなぁ…」

「でも、確実に死んでましたよね?」

「自分でもそう思います…」


現在進行形で身体検査中。


「まぁ、異常がないのは良いことだよ。」

「なんというか腑に落ちませんね」

「そういえば、ここはどこですか?」

「あ、今更?」

「はい。今更ですが」


死体を持って行くなんて怪しさ満点すぎる。


「ここはねー。警視庁。」


oh…


「で、私達が最近組織された対化物特殊作戦部隊。」

「あー!!あのニュースの!!」

「そうそう。」


おじさんが、うんうんと頷いてる。


「メンバーがねぇー。私、小林とこの娘、熊野ちゃん。」

「…え?以上?」

「以上。」


少なくねぇ?


「顔に出てるよー。」

「あ、すみません。」

「いやー気持ちはわかるよ?でもねぇ、みんな危険だから嫌だって言うのぉ!!」

「小林さん。オカマみたいになってますよ。」


ツッコミ所が多すぎる…


「それでー、なんで熊野さんは「タメ語でいいよ。どうせ同い年だし。」…熊野はケモ耳生やしてんの?」

「私が人狼だから。」

「うーん。簡潔!」

「あ!そうだ!池田君入らない!?」

「嫌です。」

「ノォォォォォォォォォ!!!!」



「送ってくよ?」

「怪しさ満点なんで遠慮しときます」

「えぇー…」

駅前まで送ってもらい終電ギリギリに乗った。

電車に乗り、スマホに溜まった着信を消化する。


[いまどこー]

[何してんの?]

[めっちゃパトカー走ってんだけど]

[え?死んだ?]


[生きてるよ。職質を受けただけ]


文字を打ち、返す。

しっかし、小林さんが同じ服を持って来てくれて助かった。

しばらく電車に揺られ最寄駅で降りる。

深夜なことだけあり、人通りが少ない。

しかし、時々人とすれ違う。

社畜みたいなサラリーマン。

甘ったるい香水の匂いがする女性。

などなど様々だ。

そのうち家が見えて来る。

疲れた…

しかし、その時だった。

後頭部からの強い衝撃。

意識が飛ぶのを堪えるが、追撃のスタンガンで意思が完全に途絶えた。






「ァァァァァァァァァ!!!!」


痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

訳がわからない。


「次は腕を砕いてみよう!」

「痛いなら笑えよ!楽になるからさ」


もう何日たった…

3日?5日?1週間?もしかして、まだ、1時間?

自然と涙が溢れる。


「コレをセットして…行くよー!!!」

「ァァァァァァ!!!ッ!!アァァァッアァァァ!!!」


痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

骨が砕ける衝撃が体中に伝わって来る。


「アァァァ!!!やはりだ!!やっぱり治った!!!!」


いっそ死んだ方が楽な気がする。


「もう…殺して…くれ…」


痛みで引っ込んだ涙がまた出て来る。


「は?嫌だよ。」

「なんで?」


しかし、目の前の奴らはそれすらも許さない。


「じゃあ、次はどうしようか…致死量の薬物を入れてみるか!」

「比較で普通の人も欲しいね!!」


無慈悲に次の地獄を告げられる。


あと、何秒続く?


実験は続けられる。


あと、何時間?

あと、何日?


実験という名の拷問が続けられる。


さらに、何日が経った?


終わらない地獄に頭がおかしくなりそうな時だった。



「なんだ?この悪趣味な奴らは?」



血と絶叫しかなかった空間に突然凛とした声が響いた。

声の主は地獄のような空間とは不釣り合いな黒を基本としたタイトなドレスを着ている金髪の女性だった。


「ふむ。なるほど?」


一拍置き止まっていた時間が動き出す。


「こ…!」


最初に動き出した男が弾け飛ぶ。

金髪の女性の細腕には隠しけれないほどクッキリと血がこべりついていた。

おそらくこの女性がやったのだろう。

次に逃げ出そうとした女性を金属の杭のようなものを投げて壁に固定する。


「ァァァァァァァァァ!!!痛い痛い痛い痛い痛い!!」


本来なら、とてもおぞしく見えるかも知れない。

でも、俺には美しく見えた。

地獄のような空間の中でいっそ神々しいように見えた。


「そこの吸血鬼」


吸血鬼?

何を言っているのだろうか。

吸血鬼だなんて存在はここにはいない。


「自覚がないのか?いや、これは…」


目の前の金髪の女性は独り言を言い少し考え込む。


「なるほど?おい、そこの吸血鬼もどき。お前だ!お、ま、え!」

「え?俺?」

「そうだ。お前だ。」


金髪の女性に話しかけられる。


「ほれ」


女性の声と共に縛られてた結束バンドが切れる。


「お前がコイツを殺せ」


そう言うと、どこから出したかわからないナイフを渡される。

あ、そうか。

殺すという手があったか。

手に握ったナイフがやけに手を馴染む気がした。


「やめて…殺さないで…死にたくない…死にたくない…」


泣きながら命乞いをされる。

目から涙が流れ落ちている。


「笑えよ。恐怖が紛れるから」


コイツらがやってきたように同じように言う。


「嫌ァァァァァァ!!死にたくない!死にたくない!」


女性は手の甲から貫通して、固定されてるのにも関わらず錯乱して暴れる。

暴れるたび固定された手から聞き慣れた骨が折れ肉が抉れるようなかき乱されるような音が聞こえる。

でも、殺す前に…


「仲間はどこだ。言えば殺さない」


たった2人でこんなことやるわけがない。

カルト教団の信者のように見えたため、試しに聞いてみる。


「言う言う言うからぁ!殺さないでぇ!死にたくない!」

「早く言え」

「ここから、3キロ離れた山の中の家にいる!言ったよ!!言ったから、殺さないでぇ…!」


予想通り仲間がいるようだ。


「殺さねぇよ。」


そう言うと、女性は安堵したような表情を浮かべた。


「殺さなくて良いのか?」


金髪の女性に聞かれる。

振り向くと無表情でこちらを見ていた。


「いや?」


ナイフを逆手に持ち、後ろにいる女性信者の首にナイフを叩き込み引き抜く。


「ぐッ…ッ…」


後ろの方から、血を吐く音が聞こえた。

ナイフについた血を裾で拭おうとするが、裾がボロボロだ。


「あー…ナイフ。どうすればいいですか?」


無表情でこちらを見ていた金髪の女性はその様子を見てニヤリと笑う。

直後にナイフは霧のように霧散した。


「素晴ら「池田君!」…」


金髪のドレス姿の女性が何か言いはじめたタイミングで小林さんが入ってきた。

遮られた女性は(´・ω・`)こんな感じの顔をしている。


「ぅっ!」


小林さんが部屋に入った瞬間口を押さえ吐きそうになる。


「小林さん。自分は大丈夫です。」

「絶対違うでしょ!部屋にこんな濃い血の匂いを漂わせといて!あれ?でも、血とか怪我はない…」


言われてみれば、傷も何故かない。

治ったのではなく初めからないように感じる。


「そりゃあ、そうだろう!」


ショボン顔してた女性がウキウキ顔で言う。


「あ、いたんですか。スペードさん。」


どうやら、スペードと言うらしい。


「初めからいたが!?まぁ、良い…コイツは吸血鬼もどきだからな!」

「なぜドヤ顔?」


つい、ツッコミを入れる。


「は…?」


小林さんが固まっている。


「何言ってんの?」


理解できてないだけだった。


「大丈夫?言語わかります?」

「殺すぞ」


あ、キレた。


「あのー。俺はどうすれば…?」

「これから入院だね!まぁ細かいことは追々説明するね」

「それよりもこの死体をどうするかだな」


スペードさんが良い終わるのと同時に熊野が部屋に入ってくる。


「小林さん未成年に車運転させないでください。うわ…。血の匂いが酷い。何があったんですか?」

「私も知らなーい」

「めんどくさいから後でいいか?良いな!うん!」

「返事してねーよ…」


小林さんが未成年に運転させた車に乗り、病院に向かった。






「「うわぁ…」」


病院に着き何があったか全て小林さんと熊野に説明した所、めっちゃ引かれた。


「いや普通はそんな冷静でいられないでしょ。」

「まぁ…価値観が変わりましたので」


スペードさんは拷問してた奴等の本拠地を潰しに行ったらしい。


「お母さん達には言ったの?」

「言ってないなぁ…どうせ信じてもらえないでしょ。」


熊野から聞かれる。


「まぁ、そうだろうねぇ…傷跡があるならまだしも、無いからねぇ…」


そうなのだ。

背密検査の結果、なぜか心身共に健康体なのだ。

スペードさんの「吸血鬼もどき」という言葉を思い出す。

あの最初の事件の時に何かされたのか?


「多分君の考えは合っているよ。君が最初の事件で出会ったやつは吸血鬼だ。」

「はぁ…そうなんですね…」

「さらに言えば吸血鬼の中でも特に上位のね。君はそこで吸血鬼にされたんだ。」

「でも、普通に陽の光を浴びてますよ?」

「そうだね。でも、君は確かに吸血鬼になった。」


よくわからん。


「確かに吸血鬼なら、傷が修復された現象にも説明がつきますけど…」


でも、吸血鬼なら太陽で死ぬよなぁ…


「君は普通の方法じゃない方法で吸血鬼にされたんだよ。」

「それについては、私が説明しよう!」


スペードさんの声が聞こえた直後、霧が集まり人の形を成していく。

その中からスペードさんが出できた。


「まずは自己紹介からだ。私はスペード。元人間だ。昔の名前は捨ててスペードと名乗っている。政府の機密メンバーの1人だ。」

「あ、池田エイトです。」

「よろしく頼むぞ。」


小林さんがそのタイミングで聞く。


「スペードさん。教団は?」

「全員殺した。」

「OK」

「さて、」


さらっとすげー事言ったな。


「通常吸血鬼は吸血行為によってなる。ただし、指数関数的に増えていくのではなく特定の吸血行為でのみ発生する。私はこれによって吸血鬼にされた。しかし、今回お前が吸血鬼になった方法は理論上低確率でできるが今まで成功例がなかった方法だ。だから、実現不可能とされていたんだ。」


なるほど。

話が読めてきた。


「けど、それが成功してしまったと…」

「そう。お前は吸血鬼になった。と言いたいが、ここでさらにイレギュラーなことが起きた。その実現不可能とされていた存在は吸血鬼もどきだったんだ。吸血鬼は本来陽の下で生きることはできない。しかし、それが可能になってしまった。しかも、純吸血鬼と同等の力を持ちながらだ。」


何それチート?


「それが今のお前の現状だ。」

「うわぁ…」


超危険生物じゃん…


「そこで僕の出番ってわけ。君にはスペードさんと同じように、政府の機密メンバーになって対怪物特殊作戦部隊に入って欲しいわけ。」

「拒否したら?」

「逮捕&監禁もしくは死刑!」

「拒否権ねぇ…」


選択肢ないやん…


「わかりました。入ります。」


嫌だなー…

小林さんはニッコリ笑うと言った。


「ようこそ。対怪物特殊作戦部隊へ。君もこれで人外の仲間入りだ!」

「性格悪いですね。サイテーです。」

「おい。私の心は人間のままだぞ。」


家族になんて説明しよう…

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