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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

最強の俺が異世界に転移して最強魔法チートで最強の力を使って最強ハーレム作ったり最強無双したりする話

作者: デッドエンド野田

日常は突然壊れ去る。


僕の名前はデッドエンド野田、

もちろん実名では無い、ニックネームだ。

僕は一般的な高校生であり

ただちょっとばかしオタクが混じっている

細身で身長が低い男である。


僕の趣味は執筆活動だ、

これでも小説投稿サイトでは

急上昇ランキング8位ぐらいに乗った、

多分無名だろう…いやまあそこはいいんだ。


今起きている問題が大事なんだ、

なぜ冬休みをコタツの中で楽しんでいた僕が


気づいたらヘンテコな魔法陣の上にいて

瞬間的に異世界転移したのだろう。



「おお、異界の勇者よ、召喚に応じてくれて感謝する、我はこの国の王である」


待ってくれ、召喚に応じるって何だ、

僕はコタツで寝てただけだ、

魔法陣を書き込んだ覚えも

異世界に転移する魔法を唱えた覚えも無い。


「…そなたの名前を聞いてよろしいかな?」

「え、えっと…僕は…そう、田中です」

「トゥネィカー?」

「わざとらしく間違えないで下さい、

田中です、ただの田中」


「…そうか、私の名はグローラ、

右隣の彼女は我が妻ミラーズ、

左隣は私の娘のグローズだ」


安易な名前、グローラとミラーズを足して

グローズに、という単純な考え。


「異界の勇者田中よ、そなたにも…

世界を救ってもらいたいのだ」


「…」


やはり、この 世界 には見覚えがある。


これは 僕の作品 の一つだ。


「わかりました、王よ、

しかし質問を一つしてもよろしいですか?」


「構わん、勇者の願いはどんなものでも

出来るだけ叶える、という方針だからな、

そこまで富があるわけではないが

聖剣でも千の兵士でも持っていくがよい」


「あ、はい、まあ質問です、一つの質問、

元の世界に帰る方法についてです」


「……?そなた自身が知っているのでは?」


「…そうですか、いえ、そうでしたね、

召喚されたばかりで混乱していました」


やはりだ、僕の作品、


最強の俺が異世界に転移して

最強武器チートで最強の力を使って

最強ハーレム作ったり最強無双したりする話


の世界設定だったら

主人公である勇者 ブラックファイアーが

色んなチート能力を持っていて

その中に異界転移の能力、

という物を持っている設定だった。


だが俺はそんなの知らない、

せいぜい そいつ のコスプレをしてるだけで

ブラックファイアーのチート能力の

使い方を知らないからだ。


「他に質問は…」

「あ、大丈夫です、で、どうしましょうか」

「よし、それでは早速冒険の旅へと…」




そしてその後も流れに身を任せ、

城を出た後、近くの森へと入って行く。


「キャアアッ!」


森に脚を一歩踏み混むと

知っていた叫び声が森をこだまする。

物語に従ってすぐさま走るとやはりいた。


「ひゃっはっはー!こいつは上玉だぜぇ!」

「一人で果物でも摘んでたのかーッ!

お嬢ちゃんよー!」

「う、うぅ…誰か…助けて…」


この後は 主人公 が放つ

最強の落雷 デッドサンダーイグニッション

によって彼ら4名の悪漢達は

跡形も無く消しとばされるが、

俺と 主人公 が入れ替わっている以上、

そんな簡単に事は進まないだろう。


「…へっへー!縄持ってこい!

人身売買で大金儲けてやるぜーッ!」

「こんな美人だったらよ〜処女非処女は

置いといて一ヶ月は遊んで暮らせる

金が手に入るぜーッ!」

「…うう…」


このままでは彼女は誘拐される、

そして物語も大きく変化するだろう。


この後、救出後に彼女が

天の女神の加護を受けた伝説の聖女とわかり

魔王の暗黒結界を破くために必要な

この世界の魔術 ライトニングクロニクル を

数分で伝授してもらうことになっている。


救出しなければ、僕が主人公と

入れ替わってる時点でおかしいこの世界が

さらにおかしくなるだろう。

いったいどうしたものか…


ガサッ


「!誰だそこにいる奴は!」


やばい、音を立ててしまった。


「…獣か?」

「怪物かもしれねぇ!」

「囲め囲め!」


…あいつらの武器は…

短剣持ってる奴が2人、大きなハンマー1人

んで弓矢構えてる奴が1人か…

武器持った成人男性4人相手に

どう立ち向かえって言うんだ?


「…おいてめぇ!出てきやがれ!

…よし、弓構えろ!撃ってやれ!」


くそっ、こりゃダメだな、

大人しく降伏するか…


…いや待て、そういえば服装は

ブラックファイアーと同じだったよな…


「いくぞ?くらいやが


パシュン!


放たれた赤い光線は弓を構える男の顔面に

綺麗に命中し、破裂した。

一旦失神しとけ、これが異界の兵器

主人公 が腰に付けているビーム拳銃だ。


「!怪物だ!魔法を使ってきやがった!」

「飛び掛かれ!逃すな!」


男達が僕の潜む茂みに向かって

真っ直ぐ走って飛び込んでくる、

だが残念、距離がちょっとある、

3人の顔面を銃で狙って撃ち抜けるぐらい

茂みへの到達には時間がかかるだろう。


パシュン パシュン パシュン



「助けてくださりありがとうございます!」

「気にしないでくれ、物語に従ったまでだ」

「ものがたり…?」


さて、ここから会話をした後

魔術を伝授してもらうことになる。


ブラックファイアーの野郎は チート だから

数分で取得したが一般人が取得するには

適正と数百年の時が必要って設定だからな…

帰るのも大変な俺には

せいぜい マッチの火程度の魔法が

似合ってると思うけどなぁ。


「はぁはぁ…勇者様!」


「…は?」


いやそんなはずは無い、

だって、その展開は早すぎる。


「城が!魔王軍に攻撃されています!」


それ は魔術を教わった後の展開だぞ?

…魔術取得に時間がかかるからスキップか?


「城の周囲が火の海になってしまい、

王達の命が危ないのです!

勇者様のお力をお貸し下さいッ!」


「…ッ…おい君、今度からは

怪しい奴に捕まらないようにな、じゃあ」

「え、あ!?ちょっと待って下さい!」


やばい、やばいやばいやばい、

俺の考えた 物語 の主人公は

今 偽物 にすり替わっているんだ、

本物 のチート能力が無い今なら多分…

王国が血の海になる。



「はぁ…はぁ…はぁ…クソッ!」


案の定、平和な国は火の海だった、

街を守る兵士達の死体や

民間人の死体がそこら中に広がり、

魔物が死体を貪っていた。


ブラックファイアーなら

必殺ブラックサンダートルネードで

簡単に、一瞬で、

魔物を消し飛ばしたりするが僕じゃ無理だ。

レーザー拳銃のエネルギーも残り少ない。

せめて、せめて救わなければ、

城の内部で立て籠もっている彼らを、

まだ、間に合うかもしれない。



「王様!もう扉がもちません!壊れます!」


「…そうか、我が愛しき妻と娘よ、

奥の部屋へと逃げるのだ、

魔術結界が君達を守ってくれるだろう」


「お、お父様は?」


「…ならん、私はこの国の王だ、

王無くして民は無い、民無くして王は無い、

民が倒れ、蹂躙される今、

これ以上逃げれば…私は王で無くなる」


「そんな…そんな!考え直してグローラ!」


「…ありがとう…は絶対に生きて帰るよ、

グローズを頼んだぞ、ミラーズよ」


「…ッ!………行くわよ、グローズ」


「お母様…」




「うぉぉぉお!ドアが壊れます!」

「わかった!皆の者!剣を持てッ!」





「はぁ…はぁ………は…王…なのか…これ?」


僕が見たのは血で染められながらも

壁に寄りかかり、立ったまま死んでいる

綺麗な服を着た頭部の無い死体だった。


「……いや!まだ終わってねぇ!」


僕が作った 物語 では

王座の後ろに隠されたシェルター内に

ミラーズとグローズが避難していたはずだ。

本来無傷のはずだが…

シェルターの扉は壊されている。




「はぁ…はぁ…」


シェルターの入り口に飛び入り

階段を駆け下りる。


「……はぁ…ははは、いや、考え過ぎか?

王座の前で魔物は倒されてて…

シェルターの入り口はたまたま

戦闘で破壊されただけ…かもしれない」


「そもそも強力な結界で魔物は入れない…」





「お母様ッ!?」

「…」


「グォォオオオオオオオオッッッッ!」


乱雑だが圧力だけはある叫びが

城内を駆け回る。



「…逃げ…て…今のうち…に…」

「お母様!お母…様…!」


3m程の身長を持つ人型の魔物は

この国の女王の心臓をを腕で貫いていた。

大量の血が彼女から流れ出し、

少しずつ体温が下がって行く。


「………ゴァァァァァッッ」


魔物は停止した彼女の身体を投げ捨て、

次なる目標へと目を向ける。


(機会を…逃してしまった…

父上と母上が…命をかけて作った

僅かな時間を…逃してしまった…)


少女の綺麗な銀の髪は父母と同様

飛び散る血により真っ赤に染まり、

その顔は恐怖と後悔に埋もれる。


「………グォォ」


怪物は構える。

大きな腕で少女を叩き潰すため、

大きく両腕を振り上げた。


「ごめんなさい…私もそこに行きます…

父上…母上…」





「ぅおおおおおおおおおお」



怪物がその腕を振り下ろそうとした瞬間、

その腕は真っ赤な爆発に包まれた。



「…クソッ!エネルギーが切れたか!」

「え…勇者…様…?」


「諦めるんじゃないッ!勇者が来たぞッ!」

「…!」


正直、少女から見てもわかっていた。

勇者の姿は、勢いはとても小さかった、

生まれながらに 人の能力を見抜ける という

設定 を持っていた少女には

彼が一般人と変わらないようにしか

見えなかった。




ははは、僕だってわかっているさ。

僕がそこらへんの衛兵より遥かに弱いことも

目前の怪物に勝てないことも。


ただ、放っておけないだろう?

少なくとも僕は目の前で死ぬ人間を

見捨てるなんてことは絶対できない、

不治の病じゃないんだ、

ギリギリ回避できる自体なんだ。

…偽物でも、今の僕は主人公だろ?

都合のいい展開 はラノベの基本だろう!?

さっさと奇跡でも起きやがれッ!



少年は怪物に飛びかかった。








怪物が唸り声をあげる。

そいつ の前には3つの亡骸が

所々ボロボロになって捨てられていた。









「…遅れちまったな、俺様の登場だ」


怪物の前にいつのまにか立っていたのは

禍々しいオーラを放ち、

身体中に焔を巻いている金髪の男だった。


「…さてと、おい、怪物、

いつも通り 裁かれてもらうぜ?」


「…グゴォ…」


怪物の目に映るのは恐怖の象徴、


悪を狩る不条理の姿だ。


「…何故だ…今回は…今回は…

存在しないのでは無いのか!?」


「はは…呻き声は辞めたのか?

いや自動翻訳スキルが働いたのか…

…俺が死ぬわけないだろ?主人公だぜ?」


怪物が後ずさる、

先程まで狂戦士の如く制御不能だった怪物は

真の主人公の前では最早ただの肉ダルマだ、

そう、俺様の前ではなぁ!


「…そりゃあほんの少しだけは

お前の気持ち、わかるぜい?

捨てられた物語、

結末が記されない物語はループする、

お前は産まれながら悪となり、

無残にも俺様に殺害される…

悲しいねぇ…いや悲しいと思うぜ」


「…何が 悲しい だッ!貴様は狩るだけ、

私は…私は……ッ…悪として倒されるのみ、

だからこそッ!結末を創り出してやった!

なのに…貴様はまた台無しにする気か!?」


「だからってよう、

作者を主人公の座に座らすことで

無理矢理作品を作り変える、なんて考えは

悪どいにもほどがあるぜ?」


「…主人公の座を奪ってやり…

わざわざ存在を消してやったのに…

無理矢理復活するとは!この悪魔が…!」


「結末が序盤から悪役に殺されて終わり、

なんて打ち切り作品より酷えぜ」


「黙れッ!死ね!邪悪め!

永遠に同じ行動を行い続ける狂人め!」


「…ふん、お前が黙るんだな」


「あぁ…!クソ…嫌だ、嫌だぁぁぁ!」


「おしまいだ、ダークサンダートルネード」


俺様の声と共に吹き荒れた嵐は

奴の身体をバラバラに引き裂く。


「ウォォォォォォォぉぉぉぉッ!」


「…」


「…」


「…さて」


「…ネオヒール」


世界は優しい緑の色で包まれる、

シェルター内も、城全体も、

街も、森も、世界の果てにある魔王城も

何もかも全てが 元の姿 に戻っていく。

物語は終わり、また始まるのだろう。

様々な 住人 の哀しみを背に。










「…」


「さてと、偽物 、やることは…わかるか?」



(…あぁ…わかったよ…ごめん…主人公…)



「謝るな、この 物語 は無駄じゃねぇ、

もしこの後上手くいけば…きっとあいつも…報われるだろうよ、じゃあな、創世者」



(…教えてくれてありがとう…主人公…)








僕が目覚めた時には夜中だった、

汗まみれの身体をシャワーで洗い流した後

自室のパソコン前の椅子へと座る。


さて、仕事をしよう。









こうして、魔王は勇者の支配下となり、

世界は平和になったとさ、終わり。




…さてと、こんなものか?

テンプレ通りの終演だけど…

まあハッピーエンドではあるはずだ。



勇者のパーティは当初より少し増えた、

伝説の聖女と全てを見抜く眼を持つ王女、

そしてもう一人、

怪物に姿を変えられており、

勇者の手によって解放された槍使いの美女。


4人を軸にして森を抜け、砂漠を渡り、

山を登って、渓谷を抜け、海を渡って

火山を抜けて…そして魔王を制圧した。


…でも終わりじゃ無い、

まだまだ仕事は残っているんだ。

結末を書かずに途中辞めになっている作品は

まだ7つも残っている。

あんな体験 をした後じゃ…

物語を途中辞めにするなんてできないさ。


…さて、投稿、と。


ん、あれ?もうコメントが付いた。




「ようやく終わったな、ありがとよ」



二次元から三次元に意思を伝える程度

チート主人公ならできて当然なのだろうか。

そこら辺は作者の僕でもわからないが…

まあ、主人公ならしょうがない、と

思って明日の執筆活動に備えよう。




〜終わり〜


















「この物語を見ちまったお前らも、

結末を書かないままで放ってる作品があれば見直してみて続きを書いてみたらどうだ?

住人達 も喜ぶと思うぜ?」


次元をも気にしないチート主人公、

ブラックファイアーより。

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