石けんと板チョコ
石けんと板チョコ
石けんと板チョコは、固さが似ていると思う。牛乳石けんはホワイトチョコレートにしか見えないと子どものときから思っていた。
石けんは、舐めるともちろんまずかった。お口がいい匂いになるが、じわじわ苦いから味見するのはやめておいたほうがいい。
でも、やはり歯に当たるときの固さは板チョコに似ていた。
石けんにも、板チョコにもそれぞれ物質としての魅力がある。
石けんの溶け方が好きだ。
粘りながら泡立つあのかんじ。しつこい粘りではなく、吸い付くが、時間がたつとしゅわしゅわと泡が消えてなくなるような儚さがある。
板チョコを包丁で切り刻むときの音が好きだ。
ゴリッ、ゴリッ
ゴリッ、ゴリッ
固いくせに、こいつは切り刻まれたくてたまらないんだなと思わせるようないい音を発する。
手の温度で溶けるので、板チョコをさわるときは少し気を遣う。だが、それがまたいい。