7.魔女の円舞曲
心地の良いワルツを聞きながら私はルークと踊っている。流石にあれは断れなかった。むしろ、断る術がなかったというべきか。
「本当に来て頂けるとは。」
ルークがリードしながら話しかけてきた。
「約束したから・・・。それに私自身、興味があったの。私を騙る人間に。」
ステップを踏みながら答えた。
「どうでしたか?貴女を騙る人間は。」
ルークが目を細めた。
「そう、ね。釈然としない終わり方だったかしら。それに、まだ謎は全て解けていないでしょう?」
ターンをしながら私はルークに微笑んだ。
「やはりお気付きでしたか。私も同じ意見です。まだ、この件は終わっていない。」
「終わるのではない、これは始まりよ。」
「え?それはどういう?」
「勘よ。ただの私の勘。」
そう、ただそんな気がするだけ。でも、いつの間にか消えていたダンという男。何かが引っ掛かる。彼の服装は北のものだった。北に行けば何かわかるかしら。
「だから、きっと貴方とはまた会えるわ。ルーク。」
曲が終わった。私はルークに微笑み、姿を消した。
「魔女様!?」
ルークの焦る声が聞こえる。
「今宵は楽しかったわ。またの招待をお待ちしています。これは私から、皆さんへの感謝の気持ち。」
私はセレスの花びらを降らせた。
「セレスの花だ!」
「初めて見た・・・。」
「これが、何と美しい。」
私は姿を消したまま、アルの元へ降りて行った。
「アル。」
「漆黒の魔女!?何処に!?」
「ここよ。」
私は姿を現した。
「良かった、突然消えたから焦った。」
「ごめんね、私はもう行くわ。だからこれを貴方に。」
私は花びらだけでなく、セレスの花をアルに手渡した。
「ありがとう。これでお別れって意味じゃないよな?」
私は少し目を伏せた。
「北の森にね、行ってみようと思ってるの。」
「北の森だと?何故、そんな場所に。」
「今回のことの手がかりがあると思って。」
「今回のことは本当にすまなかった。」
「アルのせいではないわ。それに貴方は誠意ある行動をとってくれた。」
「以後はこんなことがない様に心掛ける。北の森には一人で行くのか?」
「大丈夫よ、一人だけど一人じゃないわ。精霊達がいるもの。」
私は笑顔で言った。
「俺は行ってはいけないのか?」
「アルは王様でしょう?ここにいなきゃ。」
「だが!」
「それなら約束するわ、1週間以内に必ずまたここに戻る。これでどう?」
「それなら・・・。」
アルが溜め息をついた。
「危険と思ったら逃げろよ。」
その言葉に笑ってしまった。
「誰に言ってるのかしら。私が危険になることなんてあるわけないわ。」
「あぁ、そうだな。」
「またね、アル。」
私はこの夜、王城から姿を消した。
ローシュ=ダリュという女は扱いやすい駒だった。元々上流階級の出で叶わぬ恋をしているという点が良かったのだろうか。この点は次も使ってみるか。俺はペンをとり、紙に書き付けた。
「それにしても魔女が現れたのは嬉しい誤算だった。」
あの流れる星屑の様な銀髪、夜空の様な漆黒の深い瞳。ついに探し求めていた魔女が目の前に現れた。彼女はきっと俺がここにいることに気付いただろう。
どれ程この時を待ったか。漸く、会うことが出来る。
「闇の魔女。早く、貴女を・・・。」
ふと、頭を過ったのは魔女と寄り添うようにしていたあの男の子孫。
「ロードがいなくなったと思えば、今度は奴の子孫か。どこまでも邪魔をする・・・。」
あいつさえ居なければ、未来は変わっていたのだろうか。俺は自嘲するかのように笑った。過去を振り返るなんてガラじゃない。だから必ず。
「今度こそ、魔女を手に入れてやる。」
少し欠けた月を見ながら、俺は誓った。そして俺は次の駒を探すためにもう戻ることのない家を出た。
私が王城から出で4日が経った。私は現在、北の森に最も近い村でお世話になっている。もちろん茶髪と緑の目で。ディアは、両親のいた村の思い入れのある場所に行くとして、少しの間休暇を貰うということにした。トントン拍子で休暇が決まりとても拍子抜けだったけれど、ルークの機嫌が良かったからだと聞いて納得した。
村の人は皆良い人達で余所者の私にもいろいろなことを親切に教えてくれた。
そして、北の森は今では誰も入る人が居らず入ったとしても帰ってこないことから帰らずの森と呼ばれてるそうだ。
何とも怪しい。だから今日こそ足を踏み入れたいのだけど・・・。
「ねぇ、ディアちゃーん。森は危ないから入らないよね?今日も村を散策するよね?」
「私は王都から森を調べに来てるんです!森に入らなくてどうすると言うんですか!」
そう、村人である青年、シュナイザー=ホールにずっと足止めされている。
「だってディアちゃん、明らかに俺より年下だし?そんな子を帰らずの森へ入らす訳にはいかないっていうか?」
明らかに年下・・・。
「私の方が、明らかに貴方より生きてるわよ!」
「へぇ?じゃあいくつなの?俺は20歳だけど?」
「1000歳は軽くいってるわよ!」
本当のことを言ってやった。すると何故か肩をポンッと叩かれた。
「うん、そっかそっか。じゃあ、村を散策しよっか。」
風魔法をお見舞いしたのは言うまでもない。
「そんな怒らないでよー。機嫌、治して。ね?」
何故だろう。このシュナイザーという男、飛ばしても飛ばしても舞い戻ってくる。鬱陶しいことこの上ない。
「取り合えず、これまでありがとうございました!私には時間がないので強行突破します。それではまた会えたら会いましょう。」
私は水魔法で姿を消した。
「水魔法!?あちゃー、それはズルいよー。」
そう言ったシュナイザーの言葉を無視して私は、髪と目の色を戻し風魔法で飛んだ。
だから、シュナイザーの言葉は聞こえなかった。
「まさかディアちゃんが2属性とは、ね。一体何者なんだろうか。それに王様に誰も通すなって言われてるのに。これじゃあ、追いかけなきゃ行けないじゃん。」
そうしてシュナイザーも森の中へと足を踏み入れた。
森に入って数歩で違和感に気付いた。森は外からではわからないが、中に入ると濃い障気と聖気が入り混じっていた。
聖気は聖なる空間にのみ存在する、魔を祓うとされる気だ。主に神殿や教会に存在する。まぁ、稀に聖気を纏う者もいるが。
対して障気は、主に人間の欲望や憎しみ妬みなどから出来ている。簡単に言うと人間の黒い部分だ。精霊達は、障気にあてられると存在を保つことが出来なくなってしまう。そうなると精霊達を救えるのは私か聖気を纏う者のみだ。
だが、この森は・・・。
「障気と聖気が共にある?何故こんなことが?」
考えられることがない訳ではない。けれど、もしも私の予想が正しいとすると、あと少しでこの森の全てが障気で覆われてしまうだろう。
「奥に何があるというの。」
私は森の奥へと急いだ。
森の奥へと行くと小さな家があった。そこまで家が古びてないことから、少し前まで人がいたことがわかる。恐らくこの家から障気が出ているとみて間違いはないだろう。
「入りますよー?お邪魔しまーす。」
家の中は薄暗く視界が悪かった。そして・・・。
「障気が濃過ぎる。」
仕方がないので障気を祓いながら奥の部屋へと向かった。
一番奥の部屋は書斎の様だった。本が少し散らばり、窓は開けっ放しであったが、机の上は不自然なくらい片付いていた。
私は机に近付き、唯一置いてあった本を手に取った。
「何でこれだけここにあるんだろう?」
不思議に思いながら本をめくった。けれど、めくってもめくっても白紙だった。
「あっ!」
パラパラとめくっていると唯一、インクの後があるページがあった。
「何これ、何で・・・。」
本には私に対してのメッセージとしか思えない内容が書かれていた。
【これを読んでいるということは、俺を探しているんだろう。でもまだ会えない。もっと俺は貴女の困る顔が見たいんだ。ローシュの件はおきに召しただろうか?次の駒も、もう準備があるんだ。きっとまた会える。長い間待ったんだ。俺にとって今この瞬間なんて一瞬に過ぎない。次を楽しみにしているよ、闇の魔女。】
これはまるでこいつの思い通りに動かされたみたいじゃない。
「どこの誰か知らないけど、やってくれる。」
私はこの家からでる障気を全て祓って外に出た。
私が家から出ると、外は既に聖気で溢れていた。
『闇の魔女。』
後ろを振り向くと銀色の艶やかな毛並みをした大きな狐がいた。
「普通の狐ではないわね。この森の聖獣かしら?」
聖獣とは聖気を纏い、自分が護るべき場所を清浄に保つ精霊王に近い生き物だと言われている。
『そうです。今は狐の容姿をしていますが真の姿ではありません。』
「そう、それでどうしたの?」
『貴女のお陰でこの森の障気が晴れました。ありがとうございます。ですが、どうかお気をつけ下さい。この森に障気を放った者は人ならざる者。そして、私達聖獣よりも強い力を持つ者です。今、南に悪い風を感じます。早くお戻りにならなければ、大変なことが起こるかと思います。』
この森から南の方向には王都がある。まさか、アル達に?
「ありがとう、王都には気に入っている人達がいるの。これからすぐに戻るわ。名前を聞いてもいい?」
狐は首を振った。
『私達に名前はありません。あるのは私達を縛る言葉だけ。けれど、貴女に縛られるのは苦ではない。
私は、冬を司る聖獣。私の言葉は"冬の静寂"。呼ばれたら必ず参りましょう。』
まさかここで四季を司る聖獣の一体と会えるとは思わなかった。
「教えてくれてありがとう。それじゃあもう行くわ。また、会いましょう。」
私は風魔法で王都へ飛んだ。
漆黒の魔女が北の森へ旅立ってから4日が経った。16年間会えなかったのだから1週間くらいどうにかなると思ったが、どうしようもなく会いたい。
「ルーク、まだディアは帰らないのか?」
ディアが旅立った日と魔女が旅立った日が1日違いということに気付き、俺は毎回日数を確認するのにディアのことをルークに聞いている。
「先程から何回目ですか?遅くても3日後には帰ってくると言っているでしょう?そもそも、そんなに気になるなら休暇など許さなければ良いものを・・・。」
「何故、そんなにイラついているんだ?もしかしてお前、ディアに会いたいのか?」
「何をほざいているんです?私が会いたいのは魔女様であって、ディアさんではありません。」
・・・・・少しくらいディアのことを気にかけてもバチは当たらないと思うのだが。
「アル、どうしたんですか?」
「いや、仕事をちゃんとしようかと。 」
「そうですか!それなら、こちらとこちらの書類を・・・。」
ドタバタと大きな音をたてて、ドアが開いた。
「アル、ルーク!大変だ!シュウが城に来てて北の森に入った女の子が消えたという情報を持ってきてる!」
北の森に入った女の子が消えた?
「確か、北の森は封鎖していたはずだが。」
漆黒の魔女の邪魔になると思ってシュウに封鎖してもらっていたはず。
「それがシュウが止めるのを無視して魔法を使用し、突破されたらしい。」
「シュウが突破された!?何者だ、その女の子は。」
「そのことについては本人から。シュウ!」
「フェルさん、慌てすぎ。 アル陛下、お久しぶりです。」
「シュウ、取り合えず報告をしろ。」
「わかりましたよ。俺を突破して森に入って行った女の子は、年齢は俺より上と言ってましたけど正直、15、6歳にしか見えませんでしたねー。そして風と水魔法使いで、見た目はどこにでもいる様な茶髪に緑の目。わかることはこれくらいですかねー。」
情報が少ないな。
「2属性ということ以外本当にどこにでもある様な容姿ですね。」
「ですよね、ルークさん!俺も一応、あらかた探してすぐに風魔法でこっちに飛んできたんですけど、これという情報がなくて・・・。」
こういう時にディアがいれば、一発で解決するのに。
「こういう時にあいつがいれば・・・。」
ルークとフェルも頷いている。
「あいつってどいつ?」
「あぁ、そうか。シュウは、まだ会ったことがないよな。あいつって言うのは、少し前に魔術師長になった人で、」
「きゃぁぁーーー!ごめんなさいぃぃー!」
「うわぁっ!?」
突然降ってきた銀髪黒眼の女の子によって会話は中断され、フェルは潰された。
どうしてこうも、着地場所が狂ってしまうんだろう。私が悩んでいると下から声がした。
「どいてもらえると助かる・・・。」
「ご、ごめんなさいっ!」
私は慌ててフェルの上からどいた。
「大丈夫?」
私はフェルに手を差し伸べた。
「あぁ、大丈夫・・・。」
フェルが固まってしまった。
「あの?」
「魔女!?何で魔女が降ってくるんだ!?夢か!?」
そういえば髪と目の色を戻し忘れていた。
「あ、えっと・・・。」
どうしようかと悩んでいると、ここにいるはずのない人と目が合った。
「あ・・・。」
シュナイザー!?何でここに?あ、でも、シュナイザーと会ったのはディアの時だから、ここでは知らないふりをしなくては。
「魔女さん?俺の顔を見てどうかしました?」
「いえ、何でもないわ。」
「そっすか?それにしても、本当に銀髪黒眼なんすねー。」
シュナイザーが私の髪を撫でた。
「「シュウ、気安く触れるな。」」
アルとルークが同時に言い、シュナイザーの手を払った。
「こう見張りがいちゃ、魔女さんも大変だね。」
見張り?何のことだろうか。私が思案していると、シュナイザーが膝をついた。
「セレス王国副騎士団長、シュナイザー=ホールです。シュウと呼んで下さい。長らく北の森の管轄でおりましたが、この度城勤めに戻りました。以後、お見知りおきを。」
そしてシュウは、私の手を取り口付けた。
「それで、どうして魔女様が空から降って来たんだ・・・ですか?」
フェルの一言で皆が私を見た。
「えっと、それは・・・。転移場所を間違えたというか・・・。」
最後は笑って誤魔化した。
「取り合えずもう行かなくては。」
「もう行かれるのですか?」
「えぇ、ルーク。」
「残念です。また会えますよね?」
「もちろん、すぐに会えるわ。」
私はそれまで黙っていたアルに目を向けた。
「アル・・・。」
「何だ・・ですか。」
「今は敬語は良いわ。」
「そう・・か。・・・どうしたんだ?」
「ううん。ただ、ごめんね。」
「な、にを?」
私は返事をせずに姿を消した。
私は今、王城の最も高い場所にいる。
ここからは空と王都が見える。昔と変わらない青空と全てが変わってしまった王都。
「寂しいけど、嬉しくもあるわね。」
昔の光景と今を重ねて見てしまう。
「頑張ったんだね、ロード。」
貴方が大切にした世界だから、私も護るよ。
そうして私は魔術師長のローブを羽織り、髪と眼の色を変えて王の間に向かった。
~フェルの舞踏会裏側~
唐突だが、俺は舞踏会が嫌いだ。騎士団長をやっていると出なければならないという義務が発生するから行くが、もしもその義務が無ければよろこんで逃げる。脱兎の如く、逃げる。どこまでも、それこそ地の果てまでも。
という現実逃避染みたことを考えた所で、状況は何一つ好転しないどころか、現在進行形で悪化している。
「誰か、俺を助けてくれ。」
フェルリス=ロイ=ハイド、現在人生で最も辛い局面にぶつかっている。
ディアが少し席を外すと俺の傍から離れたのが運の尽きだった。今日は誰も俺に話しかけて来ないから油断していた。まさか、ディアが横にいただけで、こんなにも女避けになっていたとは。何故俺はあの時、ディアが離れることを了承してしまったのだろうか。あの時の自分を本気でぶん殴りたい。ディアがいなくなって30秒も経たないうちにこれだ。
「フェルリス様、今日も麗しくいらっしゃって素敵ですわ。」
「見て、フェルリス様よ!」
「あぁー、一度でいいからフェルリス様にエスコートされたいわ。」
「どうすれば、お近づきになれるかしら・・・。」
最初は直接的じゃないんだ。遠巻きにこちらを窺って、そう時間が経たないうちに来た・・・。
「フェルリス様、お久し振りです。私のことを覚えていらっしゃられますか?」
「お久し振りです、ラインアット侯爵令嬢。」
俺は軽く頭を下げた。そりゃあ、貴女のことは覚えますよ。毎回毎回、最初に声をかけてくる上に貴女がこちらに来ると人の波が減りますからね。
「どうぞアンネとお呼びください、フェルリス様。」
これも毎回懲りずに仰られることだ。
「未婚の女性をファーストネームで呼ぶことは出来かねます。貴女に変な噂でも経ってしまったら、私がお父上に殺されてしまいますからご容赦下さい。」
いつもと同じ回答にラインアット侯爵令嬢は不服そうな顔をした。
「でしたら、どの様な方ならファーストネームでお呼びになられるんですの?」
今日は少し踏み込んで聞いてくるな。しかも予想の斜め上の内容だ。
「そうですね。恋人、ですかね、やっぱり。」
まぁ、これが一番しっくりくるよな。
「・・・ということは、噂はやはりそうなのですね。」
ん?噂?何の噂だ?
「ラインアット侯爵令嬢、噂とは何でしょうか。」
ラインアット侯爵令嬢はハッとしてから、少し俯いた。
「・・・・・・ですわ。」
「はい?」
声が小さくて聞こえない。
「ですから、魔術師長様とフェルリス様がお付き合いをされているというお噂ですわ!!」
ラインアット侯爵令嬢は本日一番の大声で叫んだ。お陰で周囲の目を今まで以上に集めてしまった。
「なっ!?え、は!?」
「その慌て様、やはりそうなんですのね。」
ちょっと待て、何だ、その誤解は!?
「私、今日のフェルリス様のご様子や先程のお話で確信いたしましたの。」
・・・何を?
「舞踏会で片時も魔術師長様のお側から離れず、その上、ファーストネームで呼び会う。」
ちょっと待て。それ以上は待ってくれ。
「ラインアット侯爵令嬢!」
「魔術師長様とフェルリス様は結婚を前提にお付き合いをされているのだと私、気付いてしまったのです!」
その瞬間、周りがざわついた。
終わった、これは終わった。ディアに何て言い訳をしよう。
「ラインアット侯爵令嬢、落ち着いてください。それは誤解です。」
「良いのです、私のことなど気にかけずとも良いのです。私の中でちゃんと整理はついていますわ。・・・でも、やはりごめんなさい。本日はこれで、ごきげんよう。」
「え、あ!侯爵令嬢!?」
お願いですから、ちゃんと訂正を!
「行ってしまわれた・・・。」
だから、俺は舞踏会が嫌いなんだ。・・・そして冒頭に戻り今に至る。
「誰か、俺を助けてくれ。」
俺の小さな呟きは舞踏会の音色にのまれ消えていった。