創っちゃいました
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いよいよ夢未ちゃん無双の始まりです!
とまぁ、リストを作ったは良いんだけども・・・。やっぱり、それぞれの国の今の状況を知りたいわけですよ。
もちろん、霧矢さんのことを信じてないんじゃなくて、その国の人じゃないとわからないこともあるんじゃないかなぁってことなんだけど。
私はテーブルに置いてあるベルを振る。するとチリンチリン、と綺麗な音が鳴り響いた。
しばらくして私の部屋のドアがノックされた。
「どうぞー」
「失礼します。お呼びですか?夢未様」
「あのですね、霧矢さん。・・・他の国の方からも状況をお聞きしたいんですけど、そういうことって可能でしょうか?」
「そうですね・・・どの国も騒乱状態、というわけでもありませんし、他ならぬ夢未様のお召しとあれば是非もないと思いますが・・・こちらに来ていただくことになると、かなり時間がかかると思います」
「連絡手段は?」
「あぁ、それはこの国の主神殿の祭壇を通して各国の主神殿にいる神官に伝えることができますよ」
おお、便利だ。ここはアナログな世界だけど、魔法が使える世界だから、科学なんて発展しなくても大丈夫だ。うん。私情じゃないから。―――ホントだよ?
「移動するのは人力っていうか・・・馬車とか牛車とかなんですか?」
「ええ、そうなりますね」
「ん~・・・各神殿に移動陣とかあればいいのに。そしたら輸出や輸入ですぐ悪くなりそうな食材でも持ち運びできるでしょう?」
「ああ、神殿なら各国の主要な都市に配置していますしね」
霧矢さんがあれば便利ですね、と笑顔をうかべてくれる。私もつられて笑顔になってしまう。
「―――っ、夢未様はとても魅力的な方ですね・・・つい、神官としての立場を忘れてしまいそうになります」
うっ、まぶしいほどの笑顔ですよ、霧矢さん!
「またまたぁ、褒めても何も出ませんよー・・・って、この世界にいろんなモノをもたらすために来た私が言うセリフじゃないですね、えへへ」
「―――なるほど。桜の巫女姫は鈍感装備ですか。これは一種の自己防衛ととらえた方が良いのか、それとも・・・」
ぶつぶつと霧矢さんが何やら呟いていますが、声が小さいうえに早口なので何を言っているかわからない。
「霧矢さん??」
「!・・・あぁ、申し訳ありません。少々考え事をしておりました。それで、各国の使者をお呼びになるというお話ですが・・・」
「あ、えーと。時間がかかるってことですよね。わかりました。でも、やっぱり現地の人の話も聞きたいので、可能ならば来て欲しいって伝えてもらえますか?」
「わかりました。・・・では、夢未様も一緒に主神殿の祭壇に行ってみませんか?この国のことももっと知っていただきたいですし」
それもそうだよね。お任せしっぱなしも良くないだろうし、自分の目で見てみたい。・・・こちらの世界に来てから魔法っぽいものはまだ何も見てないし。
まぁ、この国に召喚された時点で見たようなものだけど、自分視点だとここまでパパッと来ちゃった的な感じで終わったから、魔法って感じしなかったんだよね。
よし、ここはお言葉に甘えてしまおう!
「じゃあ、ぜひ!連れて行ってください!」
「はい。喜んで」
・・・ごめんなさい。居酒屋さんかなって思ってしまいました。あ、行ったことはないです、小説とかでよくツッコミで引用されてるもんで、つい。
***
というわけで主神殿に到着。私の部屋が用意されていた春の塔は主神殿の別館みたいなものらしく、隣の建物に移動するだけだったわけで・・・近っ!と思ったのは霧矢さんには内緒。
で、案内された祭壇のある部屋は、どことなく召喚された時に立っていた天啓の間によく似ていた。そう言うと霧矢さんはクスリと笑った。
「似ていて当然ですよ、あの天啓の間はこの祭壇のレプリカですから。・・・本来なら主神殿に夢未様をお呼びする予定だったのですが、そうすると夢未様を召喚する力に反応して様々な術式が壊れれしまうと創造主様に言われまして」
あ、なるほど。それで急遽、形だけ整えて召喚に備えたわけだ。
「じゃあ、あの天啓の間自体には召喚の術式だけがあったってことですか?」
「そうですね。まぁ、召喚と言いましても創造主様が夢未様をこちらに降臨させるための目印のようなものでして、こちらから夢未様をお呼びしたわけではないんですが」
「そうなんですね。・・・でもまぁ、そうですよね。異世界召喚が出来るなら輸出入の移動陣なんて簡単にできそうですもんね」
「ええ・・・本当に」
とても残念そうに霧矢さんが頷く。いくら魔法でも出来ないこともあるってことなのかな。うーん・・・何とかならないかなぁ?
「霧矢様」
黙り込んでしまった私と霧矢さんに、主神殿に勤める神官の1人が声をかけてくる。
「どうした?」
霧矢さんがその対応をする。・・・あ、敬語使ってない。私には礼を尽くした態度を崩さない霧矢さんの違う顔が見れた感じで、嬉しいなー。
私がにこにこしながら見つめていると、ほんの少し頬を赤く染めた霧矢さんがこちらを向く。
「あの・・・夢未様」
「はい、なんですか?」
「そうじっと見つめられますと・・・さすがに照れます」
「あ、ご、ごめんなさい!敬語じゃない霧矢さんが見れて、嬉しくってつい!」
「―――無自覚ですか・・・あぁ、いえなんでもないですよ。今、神官達から報告がありまして、各国の主神殿に夢未様のお言葉を伝えましたところ、すぐに準備を整えるとのことでした。
・・・まぁ、長旅になるでしょうから、今から旅立っても半月はかかるでしょう」
半月かぁ・・・なんだか、申し訳ないなぁ。
「“コトノハ”で移動陣作れないかなぁ・・・」
って言った瞬間。祭壇からものすごい光が溢れてくる。
「こ・・・これは!」
「ひゃぁああ、なにコレ、なにコレ~!え、これ私のせい!?」
きっと“コトノハ”で、って言ったから反応しちゃったんだ!
わぁ・・・これ、良いのかな?ん?悪いことじゃないから良いのか。そっか。だって力が使えるってことはこの世界にとっては悪いことじゃないんだもんね。
「・・・これが、桜の巫女姫の、“コトノハ使い”の力・・・」
霧矢さんが隣で呆然としている。うん、とにかくこの光を抑えなきゃ!
「“祭壇に移動陣創ります!”そしたら、“光が消えます!”」
とにかくやりたいことを断言する。これが“コトノハ”の使い方だ。あいまいに「~したいなぁ」とか「~だったらいいのに」とかだとこうやって暴走してしまうわけだ。
うん、お騒がせしてすみません・・・っていうか、私もびっくりですよ。“日本の四季を伝える”こと限定の能力じゃないってことはわかってたんだけど・・・まさか、ここまで便利だとは・・・。
創造主様のてへぺろ、な顔が瞬時に頭にうかぶ。・・・ゆ、愉快犯っ・・・!!!
うー、次に会ったときに、文句を言わねば!
とはいえ、光が収まった祭壇には青白い光で移動陣が描かれていて・・・。
「奇跡だ・・・」
「これが、巫女姫様の“コトノハ”・・・」
なんて、霧矢さんだけじゃなくて神官達も呆然としてしまっていて。
「・・・ごめんなさい、霧矢さん・・・移動陣、勝手に創っちゃいました・・・」
本当に、反省してますー・・・。
なんて頭を下げたら、霧矢さんが慌ててしまう。
「ゆ、夢未様!!頭を上げてください!謝る必要なんてありませんから!!むしろ、移動陣を授けてくださったこと、我々が感謝すべきことですから!!」
「お、怒ってないです?」
「怒るわけありません!!」
「はぁ~~~良かったぁ!余計なことをしちゃったかなって思いました」
「・・・夢未様、貴方という方は・・・いえ、これからも夢未様が必要だと思われたものを創ってくださって構いませんから、私どもの許可などとらなくても結構ですから」
でも、一応、国のことだし・・・女王様には言わないとマズイんじゃないのかなーと思うわけですよ。
「でも女王様には・・・」
「姉にも事後承諾で構いません。夢未様のお好きなようになされるようお支えしろと申しつけられておりますから。
・・・あぁ、姉のことも名前で呼んでやってください。私が名前で呼ばれているのに自分が女王と呼ばれている知ったら、拗ねてしまいますから」
まぁ、召喚直後にそんなこと言われたよね・・・。
「わかりました・・・じゃあ、霞さんって呼べば良いんでしょうか」
「きっと喜びます」
霧矢さんも心なしか嬉しそうなので良しとしよう。
・・・というか、この移動陣をさっそく使うべきなんでしょうか・・・?