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桜の国のコトノハ使い  作者: 冬華白輝
本編・基礎作り編
7/26

ちょっと迷ってしまいます

「ところで、創造主様の声を聞く神官っていうのは霧矢さんだけなんですか?」


「ええ、桜の国の特異性はその辺りにもあります。・・・他の国にある神殿には桜の国から神官を派遣していますから、管理権は桜の国にあります」


「そうなんですね。だから、私が召喚されたのも桜の国だったんですか」


「ええ、そのようですね・・・私は、創造主様と繋がりやすい体質だったようで、幼い頃から神官になるための教育を受けてきましたし、創造主様の声とまではいかなくとも自然界の声が聞こえるような者達は皆神官になるための教育を受けています」


「なんとなくわかってきました。この世界は綺麗に役割分担されてるんですね・・・」


 創造主様によってレールを敷かれていて、それに逆らわずに動くようにされている。


 いや、逆らえっていってるわけじゃなくて・・・それが当然で、不満を持ってないんだ。


 素敵な世界だと思う。不満がないってことは幸せだ。・・・でも、創造主様はこれじゃいけないって思ってる。この世界を気に入っていて救いたいとも。


 このまま何もしなければこの世界は衰退していく一方なんだ。


夢未(ゆめみ)様?」


「なんでもないですよ、とりあえず世界の食糧事情から改善していきましょう!いろいろと考えてみるので、とりあえず1人にしてもらっても良いですか?」


「はい、承知致しました。・・・御用がある時はベルを鳴らしてくださいね」


「わかりました」




***




 霧矢さんが部屋を出て行くと、私はぐったりとソファーにもたれかかった。色々と問題のある世界なんだということは覚悟していたけれど・・・コレは相当だと思う。


 そもそも、幸せってなんだろう?今でも充分幸せそうな桜の国の人々だけど、でも貧困によって国自体が衰弱しているように見える。


 幸せだと感じるのは良いけれど、まずは健全な生活が必要だと思う。


「いくら幸せでも、不健康はダメだよね」


 力の使い方は創造主様からちゃんとレクチャーされている。っていうか、頭の中に叩き込まれた。直後の頭痛は酷かった・・・ほんっとに酷かったんだよ・・・創造主様。


 創造主が自分基準とかダメ、絶対。


『あー、それはゴメンねー・・・』


「うひゃ!・・・って、え?ええ?」


 い、今、創造主様の声が聞こえたような・・・!


『そりゃーさぁ・・・この世界の神官が俺の声を聞けるくらいだしー、眷族のユメちゃんが聞けても何ら問題はないんじゃないかと思うんだけどもー・・・どうよ?』


 いや、どうよ?とか訊かれても・・・。


『ま、いいや。・・・とりあえずさ、ユメちゃんが慣れない世界で困ってないかなーと思って様子を見てたんだよね。うん、いい具合にぐるぐる煮詰まってるなーと思って、ちょっと手伝いに来てみましたー』


「来てみましたーって・・・声だけじゃないですか」


『いやぁ・・・直接降臨すると衰弱しているこの世界が潰れかねないしね』


 そっか。今のこの世界じゃ創造主様が降臨するのすら負担になるんだ・・・。


「創造主様」


『ん?なぁに?』


「どこから手をつけて良いか、わかりません」


『うーん、そう言われてもなぁ・・・ユメちゃんは俺の眷族になったから、この世界の中でならなんでも出来るんだよ。悪いことには使えない力なんだから、難しく考える必要はないんじゃないのかな?それに、食糧事情を変えるんでしょ?』


 と言われても、どの国から手をつければいいのか。それに、いきなり色々変えたらみんなびっくりするんじゃなかろうか。


『この世界の人達はみーんなユメちゃんのことを知っている。だからさ、どんな奇跡が起きようともそれはユメちゃんのやったことだって、納得して受け入れるよ』


 つまり、だ。とにかく開き直ってやりたいことやっちゃえ、的な?


『そうそう。そんな感じ』


「私を介せば、元は創造主様の力でもこの世界を壊すことはないんですよね・・・?」


『そーだよ。だからユメちゃんにこちらに来てもらったんだ』


 あー。私、何をためらっていたんだろう?突然大きな力を使うことになったから、ビビってました。


『しょうがないよー。そんな体験は普通はできないんだし・・・でも、もう大丈夫だね。ユメちゃんの心のもやもやがキレイに晴れたみたいだ』


 さすが創造主様、私のことはぜーんぶわかってますね。


 もう迷うことはない。だって、この世界は私にとって何でもありの世界なんだ。やっちゃダメなことは、私の良心に反することだけ。こんな簡単な決まりごとってないじゃないか。


「もう、大丈夫です。ご心配おかけしました」


『んーん。頑張ってね、ユメちゃん』


 そう言って、創造主様との交信が途切れた。・・・本当に私を心配して忙しい中様子を見に来てくれたらしい。


 創造主様は他にもいくつもの世界を管理しているから、本当はそんなに暇じゃないはず。真面目だなぁと思うけれど、ちゃんと様子を見に来てくれたことはすごく嬉しい。


 創造主様の期待に応えたい。


 私は早速"この世界で何をするかリスト"を作り始めた。

次回からはいよいよユメちゃん無双が・・・!

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