春夏秋冬の食糧事情を知りました
久々の更新です。
ユメちゃんがツッコミ役と化してます・・・こんなはずは・・・。
というわけで部屋に案内された私は、霧矢さんからこの世界について説明を受けていた。
春は桜、夏は海、秋は楓、冬は雪。この四季の世界にある4つの国はそれぞれのシンボルがそのまま国の名前になっている。っていうのは創造主様に聞いていた。でも、でもだよ!!
モデルは私が生きてきた日本であったとしても、創造主様の趣味に偏りまくったこの世界は本気で特産物も偏ってた。・・・何してんですか!創造主様!!
「はぁ・・・桜の国は結構特産物があるんですねぇ・・・」
「そうですね・・・畜産が主ですが、野菜や花なども作っていますね」
「畜産・・・で、なんで、皆こんなに飢えてるんですか・・・」
ツッコミどころは満載なんだけれども、あまりツッコミを入れると霧矢さんが可哀想だよねぇ。
「はぁ、その・・・桜の国は輸出メインの生産と言いますか・・・その・・・」
わかってます!わかってますって!!言い難いですよね、自分達の口に入る前に他の国に渡しちゃうとか!!!
「ちなみに、輸出国は?」
「他の3国です・・・」
うわぁ・・・そりゃ1国で賄うの無理だよー・・・っていうか、相互関係じゃないのかな?まずは・・・。
「―――海の国は、特産物って何?」
「海の国は海産物が主なんですが、この世界では保存方法が発達していませんので、とにかく暑い海の国では海産物はすぐに悪くなってしまいます。そして、調理方法は焼く。これ一本です」
「・・・まぁ、保存方法についてはそうですよねー・・・電化製品の全くない世界って時点で、それはわかってましたけど。・・・しかし、こっちの世界は貧困が過ぎて、食事を楽しむっていうレベルじゃないんですね」
「そうですね・・・その、かくいう私も食事を楽しむという感覚がわかりませんので・・・」
「ですよねー・・・ま、そこはおいおい」
「はい。申し訳ありません」
ほんっっっとに、何してんですか!!創造主様!!食の楽しみは必須でしょう!?
「・・・ん?っていうことは、海の国にはあげっぱなしってことですか?」
「いえ、乾燥させた海藻などを」
「あー、昆布とか、わかめとか?」
「そうそう。そうです。・・・悪くならない物を頂いてます」
「・・・・・・海藻でお腹膨れない・・・」
「いえ、これが結構・・・わかめなんかはお湯で戻すと増えますし」
―――どうしよう。本気で食生活が乏しすぎる。わかめでお腹膨れて満足とか、ない・・・。
「えと、じゃあ、楓!楓の国は?」
「メープルシロップが有名ですね」
カナダかよ!!って・・・創造主様にもツッコミを入れた気がする。
「あと、小麦が原産でしたっけ?」
「ええ、あそこの食生活が一番まともではないでしょうか。ホットケーキが毎日食べられるなんて、素晴らしいです」
まーとーもぉお!??すーばーらーしーいぃい????
霧矢さんもやっぱりこの世界の人だ。私の常識が通じないのは当然と受け取っておこう。ここは全部ダメだししてもしょうがない!
「他に、何か作ってるんですか?」
「ええ、きのこですね。あと薬草は全て楓の国が原産です」
「おー、まともな特産物もあるんですね・・・でも、食べ物がホットケーキ一本ですか」
「ええ、そうですね。我が国にも小麦とメープルシロップは輸入されていますが、やはり国民全員に配ってしまうと、量は足りないですね」
「まぁ、そうでしょうねー・・・」
実りの秋がもったいない!!・・・ちなみに、成長過程とか考えちゃダメらしい。私の感覚では四季を通して作物が育つんだけど、とにかく種を植えたら1週間から2週間で収穫っていうのが普通らしい。さすが、異世界・・・。
「で、雪の国は・・・?」
「あの国は作物が一切ありません。その代わりにモノ作りに特化しておりまして、この世界にある道具と呼ばれる物は全て雪の国で作られております」
「なるほどー・・・えと、やっぱり年がら年中、雪に埋もれてるんですか?」
「そうですね。ずっと雪が降ってるような国ですね。・・・あぁ、製鉄や土木なんかも雪の国の得意とするところですね」
「製鉄?・・・機械なんてないだろうし・・・じゃあ、タタラ場みたいなのがあるんですか?」
「ええ、暖を取るのと一石二鳥ということで、あちこちにタタラ場がありますよ」
一石二鳥って・・・まぁ、確かに“暑い”じゃなくて“熱い"んだって聞くけど、雪の国だったら“暖”で済んじゃうんだろう。一年中寒いんだから、暑さで参ってしまうなんてこともないはず。
「じゃあ、食料と道具で交換?」
「はい。そうですね」
うん、コレでわかった。輸出超過だ。普通なら輸出で儲かるはずなんだけど、ほぼギブ&ギブだから、桜の国が損しまくっている。ギブ&テイクなら、こんな貧困になったりしないだろうし。
いや、雪の国とは結構まともに輸出入やってる感じ。ただ、あっちが道具だから、食べることに繋がっていないだけ。
あー・・・やりがいがあるなぁ!!もう!
「よし・・・やってやりますよ・・・この世界の人達をお腹いっぱいにさせてあげます!」
まずは食糧事情の改善だ。そうしたら、きっと他のことにも目が向くはず。そこから希望を聞いて、叶えられることから叶えていこう。