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桜の国のコトノハ使い  作者: 冬華白輝
本編・基礎作り編
5/26

異世界到着です!

読んでくださりありがとうございます。


この作品はノリと勢いで書いてます。更新は不定期です。

 地面に着地した。そう感じた後、私はパチリと目を開けた。


「うぉう!!」


 と同時に変な声をあげてしまう。・・・えと、なんじゃこりゃ!!


 いやいや、誰だってこんな反応すると思う!だって、目を開けたら大きな部屋の舞台みたいなところに立っていて、老若男女十数名が目の前に平伏しているんだもの。


「お待ちしておりました!桜の巫女様!!」


 一番前のまん中にいる人(艶やかな美女!)が顔をあげ、笑顔をうかべて言う。


 えーと?桜の巫女ってのは私か??


「あー、はじめまして。創造主様から遣わされました伊桜(いざくら)夢未(ゆめみ)です」


「夢未様、私がこの桜の国の王、(かすみ)と申します」


 そう自己紹介した一番前のまん中にいた人。どうやら女王様だったらしい。まぁ、代表して口を開くくらいだし、そうだとは思ってましたよー!


「えーと、霞様、とお呼びすれば?」


「敬称も敬語も必要ありません。巫女様は創造主様が遣わしてくださった、この世界の救世主なのですから」


 救世主とな!いや、もっと軽い感じで扱ってくださいよ!・・・とは言えない空気だ。


「は、はぁ・・・」


「そして、こちらが私の双子の弟、霧矢(きりや)にございます」


 示されたほうを見れば、女王様に負けず劣らずの美形な男性が頭をあげた。


 男女だから二卵性だろうに、顔のつくりがよく似ている。ただ、女王様とは違って、弟さんは歌舞伎役者っぽい感じの・・・ああ、凛々しいって感じ。


「お初に御目文字仕ります、霧矢と申します」


 そう言ってにこりと笑う霧矢さん。


 おめもじって・・・時代劇でもめったに聞かないよー!?創造主様っ、この設定趣味に走りすぎてませんかー!!?


「あ、えと、夢未、です」


「はい、夢未様。よろしくお願い致します」


 様って・・・慣れないなぁ・・・でも私、創造主様の眷属になっちゃったんだもんねぇ・・・この人達にとってはこの世界を作った人の縁者ってことになるわけだし、こういう態度になるよねぇ。


「霧矢を夢未様の世話役につけますゆえ、何なりとお申し付けください」


 せ、世話役。えーと、たぶん、教育係的な何かだよね。


「あー・・・、こちらの世界のことは創造主様から軽く説明された程度なので、いろいろと教えてくださいね?」


「かしこまりまして」


 ううっ、仰々しいのは苦手だよぅ!


「あ、あのっ・・・私、こういう雰囲気苦手で、できればもう少しくだけた感じが良いかなぁ、なんて」


 だめ、ですかねー?


「夢未様がそうお望みならば、そのように致します」


「はい!お願いします!・・・私、この世界を豊かにするために、頑張りますね!!」


 そう。私はそのためにこの世界に来たんだ。とにかく、出来ることからやっていこう!


「ホホホ・・・そう気張られずとも、良いのですよ。わが国においても、死者が出るほどの貧困というわけでもないのです」


「え、あ・・・そうなんですか?」


「ええ。創造主様が心配してくださって、ありがたいことです」


 そーなんだぁ。よかったぁ。超ピンチって言われても、どうしたら良いか、わかんないものね。


「それなら、良かったです」


 ホッとして私が微笑めば、女王様はうんうんと頷いて霧矢さんに向き直った。


「さ、霧矢、夢未様をお部屋にご案内して差し上げよ」


「わかりました、姉上」


「よろしくお願いします、霧矢さん」


「はい、では参りましょう」


 私は霧矢さんに先導されて、大きな部屋(天啓の間というらしい)から、自室が用意されている春の塔へと向かうことになった。


 部屋の外に出てみれば、温暖な気候で庭には花々が咲き乱れていた。


「わぁ~、綺麗ですねぇ」


「花が美しく咲くのはわが国の自慢ですね。人々の心も慰められますし」


「そうですね!」


「夢未様・・・」


「はい、何ですか?」


 霧矢さんが足を止めて私を振り返る。


「姉はああ申しておりましたが、実情、そう余裕のあるものではありません」


「・・・え、じゃあ・・・」


 女王様が誤魔化そうとしたってこと?そんなことをしても意味が無いように思うんだけどなぁ?


「あぁ、誤解なさらないでくださいね、姉は本気で大丈夫だと思っているのです。・・・その、創造主様にお聞きになっているのですよね、わが国の国民性というものを」


 あー・・・、根っからのお人好し、他人が幸せなら自分も幸せ的な、自己犠牲万歳の国民性・・・略して“幸せの王子”ですねー。


「ええ、まあ」


「・・・幸せに感じているから、そう困ったことになっていない・・・という」


「ああ、わかりましたー。・・・でも、霧矢さんはそう思わないんですね?」


 国民、というのであれば彼もまた女王様のように思ってもおかしくないんじゃないだろうか。なのに、どうして彼はここまで“正確に”状況を捉えることができるんだろう?


「私は、神官なのです。現在は創造主様の声を聴く役目を担っております」


「あぁ、なるほどー・・・」


 それで自国の国民がどれだけお人好しさんなのか、わかっちゃったってわけだ!


「夢未様・・・いくら夢未様でも国民性を変えることはできないでしょう?」


「そうですねー・・・。創造主様もお人好しな桜の国の皆さんがお気に入りなんでしょうし」


 創造主様が気に入っている、というこの世界を壊すことなく救うのが私の使命なわけで、国民性を変えるっていうのはその国を根幹から変えてしまうってことだから、壊すと同義だと思う。


「そうですよね・・・」


 あー、霧矢さんががっくりとしちゃった。・・・でも、国民性を変えなくてもできることはたくさんある。


「例えば、ですけど・・・桜の国がものすごく豊かになるとして、同時に他の国も豊かになればお人好しになって他国にあげちゃう、なんてことはしないですよね?」


「あ、ええ、そうですね」


 霧矢さんがハッとして頷く。


「私はこの世界を豊かにする術を持っている。・・・霧矢さん、どうやったらこの世界から貧困をなくし、本当の意味での幸せを感じて貰えるのか、私と一緒に考えてください」


「っ・・・はいっ、もちろんです!」


 嬉しそうに笑って頷く霧矢さん。よし!たくさん相談に乗ってもらおう!私じゃ良くわからないことも多いし。


 こんなわけで、私は異世界生活1日目にしてとっても頼もしい相談役を得ることができたのだった。

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