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桜の国のコトノハ使い  作者: 冬華白輝
本編・基礎作り編
11/26

海の国の食糧事情解決、です?

法律や氷室などの知識は、あえてちゃんとした資料を使っていません。

ユメちゃんの知っているだろうレベルにとどめています。ご了承ください。

 桜の国の主神殿には応接間がある。まぁ、各国にある神殿の総本山みたいなものだし、お偉いさんも来るから当然だよね。


 それに、昔はカナン様が来るための部屋も用意してあったみたいだけど、最近は声のみで降臨されることがないから、と封じられているらしい。・・・まだ、この世界の人に、滅亡間近だって気づかれてないみたいで、良かった。


 私が頑張れば、滅亡を防ぐことができるんだもん。カナン様の力を借りてるから出来ない事の方が少ない。


 とまぁ、そういうわけで。主神殿の応接間にやって来たわけだけれど、海斗さんはどうも落ち着きがない。


「おー、俺、主神殿の応接間って始めて来た!」


「当然ですよ、海斗殿はいつだって会議は面倒だと言ってすぐにどこかへ行ってしまうじゃないですか」


 ジロリ、と海斗さんを見つめる霧矢さん。・・・ああ、振り回されてるんですね・・・わかります。


「海斗さん、それ、ダメですよ。王族ならちゃんとしなくちゃ!」


 一応、ダメ元で私も注意してみる。


「うっ・・・や、やっぱ、そうか?」


「そうですよ。例えばお兄さんがいるからいいやーとか、お父さんがいるからいいやーなんて思ってるなら間違いです」


「・・・うん、まぁ、それはわかってるんだけど。やっぱなぁ・・・どうも、真面目な話をしてるとくしゃみが出そうになるし」


 それはまた不幸な体質・・・っていうか、そんなキャラ、うちのクラスの男子にもいたなぁ・・・。


「海斗さん、おいくつですか?」


「あー・・・、22」


「立派な大人ですよね?」


「はい、夢未様。こちらの世界では成人が20歳となっております」


 深ーく頷きながら霧矢さんが答える。わーい。創造主様ー?こういうのは日本仕様ですかー?


 法律なんかは日本を参考にしてるらしい。カナダとかアラブとかスイスとかいろいろ混じってるのに・・・。まぁ、混乱しなくて良いけど。


「じゃあ、やっぱりちゃんとしなきゃダメです」


「・・・は、はい」


 キッパリ言えば、海斗さんが頷く。うん、人の意見をちゃんと聞けるのは良い事ですね。海斗さんだってわかってないわけじゃないと思うし。じゃなかったらあんなバツの悪そうな表情はしないと思う。


「じゃあ、ちゃんとお話しましょう。海の国について教えてください」


「あ、ああ」


 お説教が続くと思っていたらしく、身を竦めていた海斗さんがホッとした様子でこちらを見る。むむ。これは怒られ慣れていると見た。


 怒られ慣れている人って、怒られている間ひたすら相手の言葉を聞いているっていう態度をとる。それが嘘なのか本当なのかは別にして、そんな態度を取られれば、怒っている方の怒りだって持続しにくい。


 まぁ、海斗さんは嘘のつけない人っぽいし、さっきの反応からしても本気で反省してると思う。それに、私自身、ねちねち怒るタイプじゃない。ガッと怒って、サッと冷めるタイプだから、あんまり長くお説教はできない。


「特産物は魚介類や海藻だって言ってましたね?」


「ああ、塩もうちの国が原産だ。塩田を作るのに適した砂浜が多いし、気温も高いから乾燥するのも早い」


「塩分は大切ですからね!全部手作業だったりするんですか?」


 機械って無いんだもんね?だとしたら手作業だよねぇ・・・。


「ああ、国民の約3分の1は塩田で働いてるな。残り3分の1は漁業・・・後は、官吏だったり自分の店をやってたり・・・ってトコか」


「漁業ではどれくらいの魚介類が獲れるんですか?」


「そうだなぁ・・・まぁ、国民に食わせる分と他国に回せる分は十分獲れてるんだが・・・やっぱり、保存に問題があるよなぁ・・・輸出に巫女姫サマの移動陣を使うにしてもそこに運ぶまでに腐っちまう」


 なるほど、海の国では暑さがネックなわけか。


 暑さかー・・・電気を使わない冷蔵庫ってあったよねー、確か大きな氷を氷屋さんから買って来て、冷蔵庫の上に設置して・・・そうだ!


「氷室を作りましょう!!」


「「「氷室???」」」


 あ、氷室、わかりませんかね?


 天然の氷をたくわえておくための岩穴とか小屋とか・・・。


「氷って冷たいでしょう?だから、気温を下げてくれて、氷の中に魚介類を突っ込んじゃえば保存出来るようになりますし!」


「ですが、それ程の氷をどこから調達するんです?・・・海の国は暑いからすぐに溶けてしまいますし」


 霞さんが首を傾げる。


「雪の国から氷を輸入するんです。氷室同士をつなぐ移動陣を作って・・・あと、神殿とも繋げられるようにすれば各地域まで氷が行き届きますよね?」


「ええ、確かに」


 霧矢さんが頷いた。よし!これはいけるかも~!


「氷室はなるべく陽のあたらない場所に。で、管理する人は力持ちが良いですね」


「夢未様、それは“重力術”を使える者が任に就けば良いと思います」


 “重力術”・・・なんぞ、それ?・・・言葉から察するに、重力を操る魔法ですか?重さ関係無しとか!?ここでやっとファンタジー要素が出てきたよ!!そうだよね、神官が術式を扱うんだもん。魔法使いだっているよね!!


「魔法使いいるんですか!?」


 思わず身を乗り出して聞いちゃう。だって魔法使い見たい!!


「・・・ま、魔法使い?なるモノと同じかはわかりませんが、術師という職業がございます」


 ハイすみません。勢い良すぎましたね。いや、ちょっとはしゃいでしまったんです・・・ごめんなさい、ドン引かないで、霞さん・・・。


 魔法使いじゃなくて術師か・・・ファンタジー要素も和風?なのかな。そもそも魔法っていう概念がないっぽい。○○術っていうのが基本みたいだ。


「・・・え、えーと、その術師の人達が重力術を使えるんですね?」


「はい。重力術を使える術師が輸出入の業者とペアで働いております」


「ああー・・・なるほど」


 自動車とかないしね、馬車とか牛車とかだと重過ぎる荷物はどうなるんだろうって思ったら、そういうコトかぁ。納得!


「でもなー・・・他の国はともかく、海の国は陽があたらなくても暑いんだぜ?・・・せっかく氷室を作っても溶けちまうと思うんだが・・・」


「んー・・・じゃあ、氷室に熱くならない術式を描くとか?」


「ああ、良いですねそれ。氷室の大きさにもよりますが、神官が扱えるものの中にそのような結界術がありますよ」


「じゃあ、氷室の管理は結界術の使える神官と重力術が使える術師さんのペアでどうでしょう?」


 私が確認すれば、3人とも異議なしと頷いてくれた。よし!これで海の国の食糧保存問題解決、かな?

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