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戦いの勝者



「三人とも、私の後ろにいて! ウォルフ!」



言葉と共に風歌が右手を横に振ると、その場に大きな風の渦が発生した。



「た、竜巻だ!」


「逃げろ!」



突如現れた竜巻に尻込みして、男たちは一目散に逃げ出してく。



「うわぁ!」


「助けてくれー!」



だが竜巻は容赦なく男たちを飲み込み、地面に向かって叩きつけていく。



「す、すごい……」


「なんて魔力なの……」



その光景をツィアとツェルの二人は驚愕とした表情で注視していた。



「フッ……決めた」



何やら不気味な笑みを浮かべ、小さく呟いたフェイの声は正面に立つ二人に聞こえていた。



「……ツェル、聞こえた?」


「あぁ、今回も面倒な事にならなければいいが……」



二人が呆れた表情で後ろに振り向けば、フェイの視線は風歌に向けられている。



ツィアが風歌に目を向けると、風歌はジッとある男を見つめたままだ。



「ぐあっ!」



竜巻に飲まれた男が地面に落ちると、残るはあの異常な魔力を持つリーダー格の男のみ。



「次はあなたの番よ、ウォルフ」



地面にひれ伏す男たちを尻目に、風歌はもう一度右手を振って二つ目の竜巻を発生させた。



「フッ、それはどうかな? へパイトスト」



男がスッと突き出した手の平から、無数の炎の玉が噴き出した。



「炎使い?!」


「その命、我が炎と共に燃え尽きろ!」



炎の玉は風歌に向かって襲い掛かってきた。



「くっ、ヒューレン!」



風歌の声で二つの竜巻は強い強風に変わって吹き荒れた。



「……無駄だ」



炎の玉は弱まるどころか勢いを増して、その数を増やしていく。



「横に変われ!」



風歌の言葉通りに、追い風の風は横やりの風に変わった。



玉はほんの少しだけ向きを変えたが、その一つが風歌の腕を軽く掠って地面に消えた。



「フン、咄嗟に風の向きを変えて炎の軌道を変えたか」



想定内だったのか、男は特に驚きもせず、冷めた目つきで風歌を見つめていた。



「……これだから炎使いは苦手なのよ」



風歌はブツブツと文句を言いながら、服に付いた火の粉を振り払っていた。



「そろそろ終わりにしよう、ヴァレーヒ!」



男がそう唱えると、今度は龍の形を成した炎が現れた。



「行け! そして全てを焼き尽くし、食らい尽くせ!」



龍は猛スピードで風歌に向かって突進してくる。



「ウォルフ! 吹き抜けたる風よ、荒れ狂え!」



風歌も負けじと魔法を唱える、今よりも強い風が吹き荒れた。



「チッ、なんてパワーだ」



龍の炎は勢い増して大きくなるが、風が強過ぎてなかなか前には進めない。



風と炎が激しくぶつかり合っていた。



(くっ、このままじゃ埒が明かない)



風歌は左手を横に振ってもう一度竜巻を出現させた。



「無駄な事を……どんな強風が吹き荒れようとも、我が炎は消せはしないぞ」


「分かってるわ、私が狙うのは……あんたよ!」


「なんだと?!」


「吹き飛ばせ、アイオリア!」



竜巻は龍の横を通り過ぎ、男に向かって突き進む。



「……ルカーラ!」



男は勝ち目がないと判断したのか、光に包まれて消え去った。



「移動魔法で自分だけ逃げたか、静まれ」



風歌は左手を上げてスッと下げた。



すると辺りに吹き荒れていた風は収まり、竜巻はその姿を消した。



「ふぅ、三人とも怪我は無い?」



一息吐いて後ろに振り返ると、フェイ以外の二人はまるで石造のように固まっていた。



「おーい、生きてる?」



二人の前で手を振ってみたが、やはり反応がない。



「フェイ、この二人どうしたの?」



固まる二人の主に訊けば、苦笑が返ってきただけであった。








次話をお楽しみに!


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