助けに来たのは?
「どうやら彼女は、ツィアと間違えられて捕まったみたいですね」
「あぁ、そのようだな」
男達の気配が完全に消え去ると、ツェルとフェイ、それにツィアが木陰から出てきた。
「フェイ様、あたし……」
「ツィアの言いたいことは分かってる、あいつを助けに行きたいだろ?」
「はい、彼女はあたしと間違えられて捕まったんです。 だから、あたしが助けないと!」
ツィアは真剣な眼差しでフェイを見つめた。
「なら、必ずあいつを助けるぞ」
「はいっ!」
フェイの言葉にツィアは大きな声で返事をし、ツェルは深く頷いた。
その頃
(ここ……どこ?)
男達に捕まった少女ーー風歌は、目を覚ますと見慣れない小屋の中にいた。
周りに人は居ないみたいだが、身体が金縛りのように動かない。
(拘束魔法の類か)
草木を掻き分けることに気を取られて、辺りに仕掛けられていた罠に気付かなかったようだ。
(声もだすことが出来ないなんて、相手は相当な魔術師ね)
こんな状況の中、風歌は冷静だった。
(さてと、こういう場合は……)
風歌は唯一動かせる瞳を閉じると、身体のあちこちに魔力を集中させた。
しばらくすると、風歌は大きく背伸びをしながら立ち上がった。
「よしっ、今のうちに逃げるとしますか」
風歌が早口に何かを呟き始めた瞬間、小屋の扉が勢いよく開かれた。
(……子供?)
入り口に立っていたのは、風歌の腰くらいの小さな少年だった。
「怪我はないか?!」
燃えるような強い視線で見つめる少年に、風歌は優しく微笑んだ。
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