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僕の皇女  作者: 音羽依淋
第1章:僕の使命
3/4

皇女と少女

あれから9年――。

今でも僕は彼女の騎士をやっている。今年の3月に中等部を卒業した彼女はメディアに正式な皇位継承者として発表され国内外、公私共に皇位継承者としての地位を確立した。毎日皇位継承者としての責務と第3皇女としての責務に負われながらも、学生としての本業である勉強にも励み、高等部でも優秀な成績をとっている。僕が騎士になるきっかけとなった事件のような彼女を傷つける出来事は初等部を卒業する1年ほど前から無くなっていた。学校の生徒達も彼女を理解してくれ、そのおかけで少しは話せるようになった彼女は積極的に友人を作ろうとしているが、今のところ友人と言えるのはリアス・シルフィーヌだけだ。しかもリアスの父親が軍籍を持つ伯爵でユーイの義兄で帝国第2皇子のアルマス殿下の部隊に所属している事から彼女が作った友人とは言い難い。他の兄姉の手を借りずに作った友人はいない。彼女自身はどんなときでも普通の少女として周囲に接しているのに彼女を見る周囲の目は第3皇女や皇位継承者の立場を重視して、それによってもたらされる恩恵や地位を目的に彼女に近づく。その欲望にまみれた関係がどれほど彼女の心を傷付けどれほど彼女の苦しみとなるかをまわりは考えようとしない。

彼女の心はいつも少女である自分と皇女である自分との間で揺れ動いている。高い塀に囲まれたレ・アルセリア家の屋敷で姉とともに至福の時を過ごし、強固の守りの中で皇位継承者として帝国を支える者として生きるユーイと、学園で普通の生徒たちと同じ様に1人の学生として、1人の少女として生きるユーイ。そのどちらが本当の彼女で、どちらが彼女の本当の意思かなんて彼女自身と彼女の側にいる僕にしかわからない。彼女の意思は両方だ。帝国第3皇女として、皇位継承者として帝国の未来を背負うことと、1人の人間として、1人の少女として愛する人や大切な人と生きること。そのどちらも彼女を作り出し、彼女を形作るものである。まわりのみんなは前者のユーイを求め、ユーイを前者に近づけるよう僕に語りかける。でも、僕は前者のユーイを求めない。後者のユーイを求める訳ではないが、一方だけを取り、もう一方を否定する事は出来ない。なぜなら僕も彼女と同じだからだ。

第3皇女にして皇位継承者である彼女を守る騎士で、彼女と彼女の未来のために自分の命を捧げることを信念とする自分と、2人きりの時間を愛しみ、1人の青年として彼女を愛する自分。そのどちらも僕を作り出し、僕を形作るものである。僕とユーイは同じ様に揺れている。その揺れは僕と彼女が今の関係を築くきっかけとなった。2人きりの時に僕たちはありのままの自分を見せる事にした。人の居る所では皇女と騎士として振る舞い、自分たちの立場をしっかりと理解した行動を取る事を僕たちは約束した。

第1章終了です。

ここまでは前書きのようなものです。

次から本題に入っていきます。

更新まで時間がかかりますが待っていてください

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