第31話:もやもや
「おはよ。」
「んー、おはよー。」たっちゃんは眠そうに目を擦って、私にキスをした。
桜が綺麗に咲き誇る今日、私たちは同棲1日目を迎えた。2人とも休みで起きたのはお昼近い11時。私がご飯を作っていると、たっちゃんはふらふらと歩いて私の隣に来た。
「どうしたの?」
「俺も手伝う。」
「いや、無理でしょ。」私は笑いながらたっちゃんのほっぺをつねる。たっちゃんは唸りながら部屋に戻り、ソファーに寝転んだ。
温かいなぁ…。体も心もすごく温かい。毎日たっちゃんの傍にいれる。それが私の幸せ。たっちゃんの幸せそうな寝顔を見れる。それも私の幸せ。
でも、ただ1つ心にひっかかってることがあった。それは、副店のこと。どう頑張っても副店の彼女にはなれないけど、やっぱり気になる。
私の勝手な行動のせいで副店の人生を狂わせてしまったとしたら…そう考えると気分は重かった。私はきっと副店に『お前のせいじゃない』って言ってほしいんだ。そしたら私は何も考えずたっちゃんの傍にいれるから。自分だけ幸せな道を選んでしまったから、副店に対して罪悪感があった。そういうものから開放されないと、本当に幸せにはなれない気がする。
結局また自分のことばっかり考えてる…私はもっと人のために頑張れる、人の幸せのために自分を犠牲にできる人間になりたい。
どれだけの人を傷つけてきたんだろう。なんだか自分だけ幸せになってずるい気がした。
このもやもやした感じがすごく嫌だ。
「ひなたー。お腹減ったよー。」
「あ、はいはい。」私は出来上がったオムライスを運んだ。もやもやを吹き飛ばすように笑って。