表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/33

第29話:同棲

4月に入り、私はアルバイトで新しい仕事に就いた。そして時間に少し余裕ができ、私とたっちゃんは同棲することにした。私はたっちゃんを少しでも安心させてあげたかったし、もう喧嘩したり疑ったりするのが嫌だったから。

たっちゃんも私も少しずつ昔の自分達を取り戻していた。こんなことを言っちゃいけないかもしれないけど、一度失いかけたからこそ相手の大切さに気付けたと思う。

もし、私に愛情がなかったとして、同情でたっちゃんと別れないにしても、私は別に不幸せなわけじゃない。たっちゃんの泣き顔を見て、他の人と付き合っていくほうがよっぽど辛い。好きとか愛してるよりももっと大きな気持ちが存在する気がした。そんな言葉見つからないけど。

最近、副店からメールが来た。正直びっくりしたし、動揺した。いくら私の気持ちに整理がついていても、相手がそうじゃないときもある。

副店は私じゃないと駄目だと言ってきた。けれど私は『副店は私じゃなくても大丈夫。たっちゃんは私じゃなきゃ駄目だから、私は副店を選べない。』と返した。副店からの返事は来なくて、納得したのかどうかはよくわからなかった。だけど私はそれ以上メールを続けることをやめた。相手が納得するまで話すのが本当は正しいことなのかもしれない。けれど私は何度も相手を傷つけるのが嫌だった。

何回好きだと言われても、もう私には断ることしか出来ないから。

それに、メールをしていること自体、たっちゃんに失礼な気がした。私はアドレス帳から副店の名前を消した。メールも着信履歴も何もかも。

別にたっちゃんに隠すつもりでそうしたわけじゃない。たっちゃんを選んだんだから、副店のことはきれいさっぱり忘れなきゃいけないと思った。それが私なりのけじめだ。

副店に謝るのはこれが最後にしよう。

私は心の中で『ごめんなさい』とつぶやいた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ