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第28話:母性本能?

たっちゃんの休みの日、私たちは久しぶりに遠出した。って言っても県内のサファリパークだけど。しかも、そこは想像してたよりしょぼくて…がっかりもしたけど、逆に笑えてしまったほどだ。

たっちゃんはあの日泣いたのが恥ずかしかったのか、最初気まずそうに下を向いていた。私はそんなたっちゃんが可愛くて、思わず抱きしめたくなった。こういうのを『母性本能をくすぐられる』って言うのかな?

時間が経つにつれて、たっちゃんも私の目を見て話してくれるようになり、私も素直に笑えた。何故だか暖かい気持ちでいっぱいで…嬉しくて涙が出そうになる。

今、私の中で新しい気持ちが芽生えてる気がした。

「夜飯何にする?」サファリパークからの帰り、たっちゃんは優しく私に問い掛けた。いや、もしかしたらいつも通りにしゃべってるのかもしれない。でも、自分の気持ちが変わってくると、相手の態度や言葉も変わって見えてくるのだ。

「あ、そっかぁ、あっちについたら調度いい時間だね。んー、あたし焼肉がいいな。」

「んだな、今日はリッチに行くか。」わーい、と私が喜ぶとたっちゃんもなんだか嬉しそうだった。

「次はどこ行こうねー。」

「今日はしょぼかったからな。」私はたっちゃんの台詞に笑いながら頷く。

「次はおもしろいとこ行きてぇけど、ここらへん何もねぇからなぁ。」

「いいよ、別に。たっちゃんとならどこ行っても、なんだかんだ楽しくなるから。今日だって、結構うちら楽しんでたじゃん。」私がそう言うとたっちゃんは黙って私を見た。

「何?」

「いや、そう言ってもらえると嬉しいな。最近お前には冷たいことばっかり言われてたから。」

「そんなことないよ…。」と言ってみたものの…確かに自分は最近たっちゃんを思いやる言葉がなかったな、と反省した。

「だから、昨日はひなたが頑張るって言ってくれたから、泣いちまったのや。いや、久しぶりだった、マジで。」沈んでる私を見て、元気付けようとしたのか、たっちゃんは恥ずかしそうに笑ってそう言った。

「じゃあ、あれは嬉し泣き?」

「んー。つーか、何か安心したんだな。多分。」

「あたし、男の人にあんなに泣かれたの初めてだったからびっくりしたよ。」

「俺だって泣きたくなかったつーの。…恥ずかしいべ。」今になってまた、たっちゃんは顔を赤くした。そんなたっちゃんがあまりにも可愛いもんだから、私はついたっちゃんの腕にぎゅっとしがみついて笑った。

「運転中だから危ねぇ。」たっちゃんはそう言うと、私から無理矢理腕を離した。

「…。」せっかく楽しくなってたのに…ショック。私が俯いて泣きそうになってると、たっちゃんは急に私の手を握った。

「…危なくないの?」びっくりして私はたっちゃんを見る。たっちゃんから私に触ってくれた…それが凄く嬉しい。

「危ねぇけど、ひなたんがむんつけるからな。」そう言って泣いてる私の手を、たっちゃんはいっそう強く握りしめた。


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