第17話:平凡
たっちゃんと付き合い始めて1年。
すっかり私の病気は治っていた。そういうのを乗り越えたから、お互い言いたいことを言える関係になったと思う。
ここ1年で気付いたことは、たっちゃんは意外とうるさいってこと。例えば、言葉遣いとか…女の子らしくないと怒るし。レストランなんかで注文する時は、自分の分は自分で言えって叱られるし。私の話に男の人の名前がチラッと出るだけで、すぐに妬くし。
怒らせちゃう私も悪いんだけど、たっちゃんはすぐに怒るんだ。別にそんなことで別れようとは思わないけど。
それからたっちゃんは、時間を裂いて私に会おうとしてくれなくなった。
週に3回は必ず会ってるし、無理させたいわけじゃないけど…たまにはサプライズ的に、会いに来てくれたっていいと思うんだ。私は寝る時間を削ってでもたっちゃんに会いに行くのにな。
ちょっと愛がたりないんじゃない?って最近思う。たぶん、そんなに無理しなくても、お互いが離れることは無いって安心してるから、こうなるんだろうけど。
1年付き合ったら、こんな感じに安心するのかな。私はそんな長く付き合ったことないから、全然わかんない。
たっちゃんはバツイチだし、いろんな経験してるとは思うけど…。私はまだ19だし、経験値が違うよ。
そして、最近私が心配なのは、たっちゃんに対する私の気持ち。
私はこの1年でたっちゃんの嫌な部分沢山見てきた。くだらない喧嘩も山ほどした。でも、別れようって思ったことは1回も無い。
だけど…別れようって言われたら、私は素直に受け入れられる気がする。ここが問題。
たっちゃんのことは好きだけど、決して″恋″って感じじゃなくて…家族に対する気持ちに近いと思うんだ。たっちゃんと一緒にいると楽しいし、刺激は無いけど安心するし…。
でも、こんなんでいいのかな?これって恋愛なのかな?
私はそんな小さな疑問を抱いていた。
そんな時だった。私は、人生最大の過ちを侵した。