第16話:手紙
それから2ヶ月位、私の病気は続いた。何度も過呼吸になって…泣きたくないのに、突然泣く自分が嫌で『死にたい』と口走ることもあった。だから、たっちゃんも相当参ってたと思う。そんなたっちゃんを見るのが私は何より辛かったんだけど。
そして、私達が付き合い始めてから、4ヶ月が経った。今日、私はくだらないプレゼントを用意している。
「たっちゃん。これ欲しい?」私は鞄の中から四角に折られた紙を差し出す。
「何これ、手紙?!」
「調子こいて書いてみた。」私はイシシと笑った。
「あっ!ちょっと!家に帰ってから読んでね。」すぐに手紙を読もうとするたっちゃんの手を、私は慌てて押さえる。
「はいはい。」たっちゃんは笑って手紙をポケットにしまった。
「…手紙とかって、うざいよね?」と、恐る恐る聞くと
「嬉しいよ。」ってたっちゃんにあっさり返されて、逆に私の方が恥ずかしくなってしまう。
私が突然手紙を書いたのは、これから先いつか2人でこれを見て
「こんなこともあったね。」って笑い合いたかったから…その時また、たっちゃんの大切さに気付きたかったから。だから、恥ずかしくても思ってる気持ち全部書いたんだ。
「たっちゃん。ありがと。」
「ん?なんだ突然。」たっちゃんは少し照れて、私から目をそらした。
「悲しくないわけないんだよね。」私は静かに話し始める。たっちゃんも黙って聞いてくれてた。
「いつも一緒にいた人が、何にも言わずに姿を消すんだもん。しかも、2回もだよ?…なんか怖いよね。愛してる人はいつか知らない間に、離れていくんじゃないかなぁって…。」私は蟻が喋ってる位小さな声で話してたけど、たっちゃんは一生懸命耳を傾けてくれてた。
「幸せだなぁって思うと、たっちゃんがいつかいなくなっちゃう気がして…」
「いるよ、ずっと。」
「そう言うとは思ったけど。」私は少し笑って、たっちゃんの肩にもたれる。たっちゃんは私の手を握った。凄く、強く。
「幸せな家族だと思ってたから余計、無くなったのが辛かったのかも。トラウマみたいな?…でも、たっちゃんはずぅっとあたしの傍にいてくれたでしょ。なんか…ようやく永遠ってやつを信じられそうです。」照れてる私を見て、たっちゃんは馬鹿にしたけど、本当はたっちゃんだって照れてたんじゃないかな…。
「しかも、しかも、思ったんだけど、あたし長女だし、おとぅも違う人になっちゃったりしてさぁ、甘えたことってなかったじゃん?だからさぁ、ちっちゃい頃それができなかったから、自然に今それができる相手を求めてたのかも。なんか、たっちゃんは、ちょっとお父さんっぽい。」
「なにぃ?俺はまだまだ少年の心を持ってるんだぞ!」
「…ぷっ。」そんなたっちゃんの意味不明な台詞に、私はお腹を抱えて笑った。馬鹿笑いしてる私を見て、たっちゃんも笑った。
ある意味バカップルだなぁって思う。でも、凄く幸せ。
「あっ、でね。お願いがあるんだけど…その服ちょうだい!?」
「は?これ?」たっちゃんはいつも来てる白いセーターを指差す。
「それ。だってたっちゃんの匂いがして、安心するんだもん。」私は必死に訴える。結果…。
「気に入ってたのに。俺の新しいやつ買えよ。」
「…うん!」
どうやら私の勝利。私はたっちゃんから貰ったセーターを、ギュウって抱きしめた。
なんか、私の病気治りそうです。