第14話:異変
最初に異変を感じたのは、親の離婚を知ってから1週間が経った日の夜。
いつも通りに寝ようと思ったら、突然ザーって耳鳴りがして…急に一人ぼっちになったように寂しくなった。
隣を見れば妹がいびきを掻いて寝てるし、襖一枚隣の部屋では弟達が眠ってる。なのに何故か目をつむると急に静かになって、誰もいない世界にいるみたいになった。その日眠りに就くまで何時間かかったんだろう…目覚めた時はカーテンから眩しい太陽の光が覗いていた。…昨日の″あれ″はなんだったんだろう。疑問を持ちながらも、私はいつも通り家を出た。
「そろそろ帰るか。」
「えぇ−、もう帰るの?」
「だって明日早番なんだ…」むんつけてる私にたっちゃんは申し訳なさそうに言う。時計に目をやるともう夜中の2時を回っていた。帰りたくないな…。
コテっとたっちゃんの胸におでこをくっつける。たっちゃんは優しく私を包んだ。幸せだな…。そう、思った瞬間だった。また、昨日の耳鳴りが始まったんだ。たっちゃんがここにいるのに、急に寂しくなって…私は泣き出してしまった。もちろんたっちゃんはびっくりしていた。こんなタイミングで泣くなんて誰も考えないもんね。
「な、何で泣いてんの?!」たっちゃんの声はなんとなく聞こえる。だけど、だんだん胸が苦しくなってきて…私は泣き続けることしかできなかった。たっちゃんは何も言わないで抱きしめてくれていた。
怖い、怖い、怖い…。
「助けて…たっちゃ…」かすれた声で、私はそんなわけのわからないことを言っていた。今の自分の症状をどう伝えたらいいのか、どうやったら伝わるのか全然わからなかった。自分自身よくわからない状況だったから、尚更たっちゃんに伝えることなんてできなかった。
でも、もし例えるとしたら、まるで深い海の中に沈んでいくような感じ。暗くて静かで苦しくて…早くここから助けてって叫んでるの。
「大丈夫だから。」そう何回も何回も、たっちゃんは呪文みたいに繰り返す。
「行かないで。一人にしないで…。」そう言って泣きじゃくる私の傍に、たっちゃんはいつまでもいてくれた。
どうやって帰ったのか、いつ帰ったのかは、あまりよく思い出せない。けど、目覚めたときには布団で寝ていたし、目覚ましもかかっていた。たっちゃんが家まで入れるわけがないから、きっと自分の意志で帰って来て寝たんだろう。
ねぇ、たっちゃん。私なんか変だよ…?