就寝15分前のテンション
今回は短めです。申し訳ございません。
「いやぁ~喰った喰った!!腹いっぱいだ!思い出もいっぱい!!」
大人の階段のぉ~ぼるぅ~っと。うん、いい歌だよね。
ぶっちゃけさっきの飲み物と同じで見た目はおかしかったけど、味はすごく良かったな。意を決して喰った甲斐があった!もしかしたらあの泥水もおいしかったのかもしれない。
「なぁに?まだあんまり食べてないじゃない。もうお腹いっぱいなの?アスカちゃんなんてあなたの4倍は食べてるわよ」
「あいつの腹は特殊なんですよ。都市伝説にもなってるんです。日向は喰っても喰っても腹が満たされない、なぜなら腹の中にもちっちゃい日向がいて、そのちっちゃい日向のなかにも更にちっちゃい日向がいて…ていうのが無限に続いているらしいですよ」
「わたしっていつの間にか化け物扱い!?初めて聞いたよその都市伝説!!」
ま、そりゃそうだろ。俺が今作ったんだし。
「アスカちゃん化け物説は置いておくにしても、少なすぎるんじゃない?あなたぐらいの年頃の男の子なら普通はもっと食べるでしょう」
「翔は少食なんですよ。ボク達の中で一番食べないんです」
「俺の名前が『しょう』なだけに、なんてね」
「「「「……………」」」」
ヤバイ!!おもくそスベッた!!!
「で、でもさ、俺よりも秋月の方が食べてないと思うんだけど」
「…そうね。お口に合わなかったかしら」
「…いえ、そう言うわけじゃないんですよ。もとからコレくらいしか食べないんです」
ふぅ、何とか誤魔化せたようだ。………いや、向こうが流してくれただけか。
「嘘言っちゃダメだよ楓。ボクとあすかしかいない時はもっと「な、ななな何を言ってるんですか晃さん!!」モガモガ」
なんという無駄の無いスピーディーな動きだ。実に素早く晃の口を塞いだな。いつもはもっとトロいのに……あれか、この世界に来た事による身体能力の向上のおかげか。
「……ふーん、そういうことね」
「ん?なにが『そういうこと』なんですか?」
「だからぁ、カエデちゃんが少食に見せていた理由よ」
「あぁ、それですか。俺も秋月が普段はもっと食べるって事は今始めて知りましたけど、秋月も大変ですよねぇ」
「……どうしてか気にならないの?」
「それくらい聞かなくてもわかりますよ。食事の量を減らす理由なんていくつかしかないでしょう」
「………あらそう?(好きな男の子の前でたくさん食べるのが恥ずかしいっていう女の子の気持ちがわかったの?この子はもっと鈍感な子かと思ったんだけど…読み間違えたかしら)」
「なぁ秋月、あんまり無理しないほうが良いぞ。身体に悪いからな」
「…うぅ~」
おぉ、秋月がこんな表情をするとは……これはレアい。
てか日向と晃と先生はみーんなニヤニヤしてるけど、なんだなんだ?
「…翔さんは…その…あすかさんみたいにご飯をいっぱい食べるごにょごにょ(女の子の)方が良いとと思いますか?
……ん?なんか『方』の前にボショボショ言ってた気がするけど………まぁ気のせいか。普通に話が繋がるし。
「そんなん食費がかさむから食べる量なんて少ない方がいいに決まってんじゃん。それよりも運動するほうがいいぞ。健康にもな」
「「「「………はい?」」」」
「あん?なんだよみんなきょとんとして。なんか間違った事言った?」
「…ねぇクロノ君、あなたはカエデちゃんに無理してご飯を減らさないようにって言ったわよね?」
「えぇ、まぁ」
「(それって『別に俺の前で猫かぶらなくても良いぞ』っていう意味じゃないのかしら)………ねぇクロノ君、改めて聞くけどあなたは何でカエデちゃんが食事の量を減らしてると思ったの?」
「あれでしょ?ダイエット」
「!!……そ、そうなんですよ!ちょっと最近食べすぎだったものですから、少し調節してただけなんです!!」
「だろぉー?やっぱ正解だよな!!」
「え、えぇ、恥ずかしながら」
はっはっは!俺にかかれば他人の考えを読むことなど朝飯前だ!!もう夕飯の後だけど。
「……ボソボソ(楓ちゃんはただ翔ちゃんの前でいっぱい食べるのが恥ずかしかっただけなのにね)」
「……ボソボソ(まぁ確かにダイエットも無くは無いんだろうけど)」
「ふふ、そうね(うんうん、やっぱり読み通りだったわ)」
「……ふぅ(翔さんの前ではあまり食べないようにしている、という事を知られてしまうよりもこちらの方がマシですね)」
「ま、なんでもいいわ。もうみんな食べ終わったみたいだしそろそろ寝る準備をしなさい。片付けはしておくわ。先に言っておくけどお手伝いは要らないからね」
ホント何から何までありがたい事だ。この先生の授業は他の科目よりも真剣に受けることを誓おう。
何に誓おうか。よし、じっちゃんの名に誓おう。じっちゃんの名前知らんけど。
「幸い歯ブラシは沢山あるからそれを使うと良いわ。今持って来るから」
謎だ。そんなにいらないだろうに。
「あの…お聞きしたいんですけど」
「あら?何かしら」
「わたし達って何処で寝ればいいんですか?」
「この家で良いわよ。他に行くところ無いでしょ?」
「それは…そうなんですけど…」
そういって俺をチラチラ見てくる日向。いや、三人。
まぁ、だいたいあいつらが何を考えているか判るけどな。あれだろ、いくら友人とはいえ男と一緒の空間で一夜を明かすのはちょっと…ってやつだろ。まぁ俺も多少気恥ずかしいけど、問題は無いっしょ。
「大丈夫だよ。別に俺達だけってわけじゃないんだからな」
「私はこの後学校に戻るわよ」
ブフゥゥゥゥーーーーーー
飲んでたお茶を盛大にコップの中に噴いてしまった。
「イヤイヤイヤ、それは不味いでしょう!いくらなんでも俺達だけにするのは!!」
「アラアラ?クロノ君はこの子達に何かするつもりなのかしら?」
「なんもやらねーよ!!そうじゃなくてほら、倫理的に不味いとかあるだろ!?」
「粗野な物言いねぇ。別にクロノ君が何もしないのならなんの問題もないでしょう?」
クソッ!!明らかに俺らの反応を楽しんでやがる!!だってニヤニヤしてるもん!!
「あんたそれでも教師か!!教師ならこういう状況は止めるべきだろ!!」
「確かに私の職業はそうだけどね、あなた達はまだ私の生徒じゃないでしょ?だからあなた達が何をしようとも、私にはそれを止める義務も権利もやる気も無いわ。ここで寝るのが嫌なら野宿でもすることね」
グッ……!!なんてヤツだ。もうこの教師の授業なんて超適当に受けてやる!!魂に誓ってやる!!
「三人とも、それでいいかしら?」
「ボクは構いません」
「……はい」
「あぅ~」
「決まりね。部屋割りは勝手に決めて。と言ってもここと向こうの二部屋しかないけど。布団は一応5~6組くらいはあったと思うから適当に使ってくれて良いわ。じゃ、私は食器を片付けるから」
なんだなんだ、うろたえてくれてるのは日向だけなのか?
あ、でも晃とは中学の頃に修学旅行のときに一緒だったし、大丈夫か。まぁあの頃は女だってことを知らなかったわけだけど。今は知ってるわけだけど。
それに秋月、そこまで沈痛な面持ちをしなくてもいいじゃないか。いくらなんでも悲しくなる。
……よし、気を取り直そう。
「…じゃあ部屋を決めるぞ。俺がこの部屋でお前等が向こうの部屋。それでいいな?」
てか、普通に考えてそれが一番まともな案。
「は、はい、それで良いです」
「あぅあぅあぅ」
「ボ、ボクもそれでいいよ」
日向はまだ戻ってこないのか。
「私はそろそろ行くわ。鍵は持ってるから戸締りはしっかりしてね。はい、歯ブラシ。家の中の物は自由に使って構わないから」
「はやっ!!もう片付け終わったんですか?」
「食器を持って行って後は洗うように魔術で設定しただけだからよ」
お、おぉ、なんとも便利な……この世界なら手荒れとかを気にしなくてもいいのか。
「明日の朝起こしに来るから時間は気にせず寝てていいわ。それじゃあまた明日」
………あっけなく行ってしまわれた。
「……取り敢えず歯、磨こっか」
コクン、と頷く三人娘。
―――――――はぁ。まさかこんな展開になるとは。鬱だ。
いやね?可愛い女の子三人と同じ家で(一日だけだけど)過ごすって言うこの王道漫画的小説的ゲーム的展開はさ、現実ではありえるはずが無いからいいなぁとか羨ましいなぁとか思ったりするわけじゃん。嬉し恥ずかしな体験とかを思い描いたりするわけじゃん。例えば間違って、あくまで間違って着替えを覗いちゃうとか、まあ色々。
でも実際にその状況になってみるとどうよ。ただただ緊張しかないわけよ。ぶっちゃけ全然嬉しくないわけよ。
………ゴメン嘘ついた。やっぱりちょっとは嬉しい。
それでもこの幸福感を軽く押し流すほどの不安感がある。俺の普段通りの行動があいつらにとっては不快なものだったりしたらどうしよう、とかさ。
なんにせよ、この状況を学校の男のやつらに知られたら今まで以上に俺への風当たりが強くなるだろうな。いや、風どころじゃなく毒かなんかに当たりそうだ。知られる事は絶対に無いわけだけど。
――――あぁあ、色々考えてたら歯磨き終わっちゃったよ。あとは布団を敷くだけだよ。しかもなんかさっきから誰も喋らないし。そんなに俺は嫌がられてるのか。
……はぁ、さっさと向こうの部屋から布団持ってこよ。
「…じゃあ俺の分の布団は持ってくるから。今日はもう寝よう」
三人とも、頷いてはくれたけど声は出してくれなかった。
……ん、押入れにびっちり布団が詰まってるけど、そういえばなんでこんなにあるんだ?
自分の分と、恋人がいるなら変な話もう一人分…はいらないか?まああとは精々予備でもう一組くらいで十分なはずだろうに。
……気にしても仕方ないか。さっさと持っていこ。
「じゃ、俺はこれ持ってくから。おやすみ」
「お、おやすみ」
「……おやすみなさい」
「……おやすみ」
今度はちゃんと返事してくれたか。
ん、考えてみたら敷布団いらないな。ベッド以上にフカフカなソファーあるし。でも俺には今更あの部屋に返しに行く事も出来ん。ヘヤノスミスに置いておこう。
―――そういやジーパンで寝るのは初めてだ。なんか外国人みたいだ。
………あ、今の俺はリアル外国人だった。
布団を頭まで被って目をつぶる。訪れる暗闇と、腕時計が時を刻む僅かな音。
………あの扉の向こうにはあいつらがいるんだよな。
ええぃクソッ!!こんな状況下で眠れるわけないじゃないか!!!!!!
「もう……ねちゃった?」
「…私は起きてます」
「…ボクも」
「なんだ、みんな起きてるんだね」
「…この状況で眠れるほど、私は精神的に強くないです」
「…そんなのボクもだよ」
「うぅ…眠いんだけど眠れないよぅ」
「うんうん、その気持ちよくわかるよ。僕は何度も経験してるからね」
「じゃあ少しお話でもしましょうか。そのうち眠れますよ、きっと」
「あ、なんか修学旅行の時みたいだね!」
「…そう言えばボク、こうやって女の子だけで寝たりするの生まれて初めてだよ」
「あれ?晃さんが女の子のふりをし始めたのって中学生の頃からでしたよね。じゃあ小学生の頃に体験してるはずじゃないんですか?」
「ううん、小学生の時は、運悪くこうゆう行事の時に全部病気で行けなかったの」
「じゃあ今まで男の子としか一緒に寝泊りしてなかったんだね」
「まあね」
「……不憫ですね」
「ま、ボクの話は置いといてさ、こうゆう時は女の子って何するの?やっぱり恋バナ?」
「うーーん、そうだろうねぇ」
「そうなんでしょうねぇ」
「あれ?なんでそんな感じなの?」
「わたしはいっつもそういう話はしてなかったの。というか、させてくれなかったの」
「どうゆうこと?」
「…………………みんながお子様にはまだ早いって……」
「………。か、楓はなんで?」
「私の場合、友達が私はそう言ったモノには興味が無いだろうといってしてくれなかったんですよ。実際にその時は興味がありませんでしたから別に気にしませんでしたけど」
「ふーん、二人とも大変だったんだね」
「……ううん、晃ちゃんが一番だと思うよ」
「……そうですね」
「アハハ、そうかもね」
「………」
「………」
「………」
「………なんかさ、大変な事になっちゃったよね」
「……そうですね。まさか私達がこんなことになるなんて、想像すらした事ありませんでした」
「……うん。まさか、女の子として翔とひとつ屋根の下で過ごす事になるなんてね」
「………」
「………」
「じ、冗談だよ。こんなよくわかんない世界に来ちゃって大変だよね!」
「うん……でもさ、なんでかわからないけどわたし全然不安じゃないんだよね。これからどうすれば良いんだろう、とかこの世界でうまくやっていけるのかなっていう心配はあるんだけど」
「それが『不安』ってやつでしょ」
「そ、それはそうなんだけどさ、なんというか…ほら、例えば迷子になっちゃった時に感じるような感覚ってあるでしょ?そういうのがないの」
「私は迷子になった事がありませんからあすかさんのお気持ちは推測しかねます」
「ボクもないからわかんないなー」
「えぇ!?ないの!?え、えぇと……じ、じゃあ…」
「フフッ、嘘ですよ。私もあすかさんと同じ様な気持ちですから」
「アハハ、うん、ボクもおんなじ」
「ぶぅ~ひどいよ二人とも。わたしだけが迷子になった事あるみたいで恥ずかしかったよぉ」
「いや、迷子になった事無いのは本当の話だよ」
「私もです」
「………」
「でもさ、今のボク達っていきなり外国に連れて来られたようなものだよ。いくら言葉が通じるとはいってもこの世界についてはなんにも知らないのに、よくこんな楽観的に話なんかしてられるよね」
「やっぱり………翔さんのお陰、なんでしょうね。もしここに来たのが私達だけだったら今頃泣きながら野宿をしているか、デラクールさんがいっていた『魔物』とやらに殺されていたかもしれませんから」
「フラーさんに会えたのも翔があの泥棒を捕まえたからだもんね。もしぶつかられたのがボクだったら追いかけようなんて思わないし」
「………そういえば翔ちゃんはもう寝たのかな」
「見に行ってみる?」
「でも眠っているのであれば邪魔になってしまいませんか?」
「大丈夫、一度寝たら翔が簡単に起きないのは二人とも知ってるでしょ?」
「あーそういえばそうだよね。いつだったかは朝学校に来てご飯の時まで寝てて、食べたらすぐに帰る、なんてこともしてたよ」
「修学旅行の時なんて早く起きた男子が枕投げしてても起きなかったし。それにさ、ボクの予想だと多分翔もボク達と同じで眠れてないと思うよ」
「どうしてですか?」
「だからボク達と同じだって。だってさ、ボク達って可愛いんだよ?」
「……自分で言うのはどうかと思いますよ」
「別に過大評価とかじゃなくて客観的に見た事実だよ。それくらいあすかも楓も自覚してるでしょ?ミスコンとかでも明らかになってる事だしさ」
「……まぁ、そうですけど」
「それで、それになんの関係があるの?」
「つまりさ、翔にとって見れば扉一枚隔てて美少女が三人いるわけだよ。普通の男子なら緊張とかで眠れないはずだって」
「あ、なるほど!」
「でも翔さんってその『普通の男子』の範疇に含まれるんですか?それに翔さんは私達には慣れているでしょうし」
「……前半の事に関してはなんにも言えない。けどさ、後半の事はそれを言うならボク達だって翔にはある程度慣れているはずだよ。でもボク達は眠れない。ってことは翔も眠れてないはずだよ」
「じゃあ翔ちゃんが起きてるとしてさ、向こうに行って何するの?」
「お話だよオハナシ。話してればこの状況にも慣れるだろうし、そのうち眠くなると思うし」
「何のお話ですか?」
「そんなの決まってないよ。じゃ、取り敢えず行こ!」
「……はぁ。迷惑にならなければ良いんですけど」
コソコソ――カチャッ――キィ――――パタン
「寝ていらっしゃいますね、あすかさん」
「うん。すごく気持ちよさそうに寝てるね、楓ちゃん」
「……………」
「これぞ熟睡、という感じで寝ていらっしゃいますね、あすかさん」
「うん。今まさに夢の世界を漂っているだろうね、楓ちゃん」
「……わ、わかったよ認めるよ!ボクの予想は外れてたよ!」
「はぁ……これはどうなんでしょう。私達のことを意識していないという事でしょうか」
「……なんか…ちょっとショックだね」
「こ、これはアレだよアレ、ほら、翔は今日三時間も体育やってたから疲れてたんだってきっと!」
「クスッ、わかっていますよ。口には出しませんでしたけど最初からそう思ってはいたんです」
「それにしても、寝てる時の翔ちゃんって起きてる時と全然ちがうよねぇ。なんかいつもより穏やかな感じがしない?」
「目が閉じてるから目つきの悪さがわかんないからでしょ?」
「あー…――そうかも」
「そういえば、修学旅行の時とかに寝言を言っている人とかいませんでした?」
「あ、いたいた!ボクは誰かが自分の彼女の名前を全力で叫んだのを聞いたことがあるよ」
「……イタイね、それは」
「……ええ、イタイですね」
「あの後起きてたボクと翔を含めた何人かの男子が笑いすぎて次の日おなかが筋肉痛になったよ」
「それは…色んな意味で大変でしたね。あすかさんは何かありますか?」
「……うーーん、わたしはいっつも早く寝ちゃうからなぁ。聞いたことないや。楓ちゃんは?」
「えっと、中学生の頃に一度だけ。友達の女の子が『クリームシチューが……私のクリームシチューがぁー…』と、言っていました」
「……どんな夢だろう、それ」
「……ん?二人ともっ!!翔も何か言ってる!!」
「えっ!ホント!?」
「あすかさん、静かにっ!!」
「……クスクスクス」
「………(?)」
「………ボソボソ(う、笑っていますね)」
「………ボソボソ(なんか…ちょっと不気味)」
「…フフ……ウフフ……やだなぁ刑事さん……俺にはアリバイが……ムニャムニャ……」
「………」
「………」
「………」
「………そろそろねよっか。明日も早いし」
「………うん、そうしよう。早く戻ろう。早く」
「………これ以上ココにいて翔さんを起こしてしまっては申し訳ないですしね」
「……アレ?ねぇ、また翔ちゃんが何か言ってるけど」
「ダメ!これ以上不気味な事を聞きたくない!」
「あ、でも今度は真剣な表情ですよ」
「え?そ、そう?じゃあ……聞いてみよっか」
「………………そっか」
「……ボソボソ(何が『そっか』なんでしょう?)」
「……ボソボソ(そんなのボクにもわからないよ)」
「……ボソボソ(まだ何か言ってる)」
「…………まだ…………少年Aで………済むんだよな………16歳だし……」
「………」
「………」
「………」
コソコソ――カチャッ――キィ――――パタン
「………えっと…じゃあ、おやすみ」
「………うん、おやすみ。お互い、絶対にいい夢見ようね」
「………ええ、おやすみなさい」
「………」
「………」
「………」
「「「(((……………眠れないっっっ!!!)))」」」