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休息 ~プレゼント大作戦~




カイルが担架で運ばれていくのを見ながら俺も舞台を降りる。別にカイルをボロボロにしてしまった罪悪感なんて物は無い。あいつがそうしてくれって言ったんだからね。そう、たとえつい今の今までカイルが倒れていたところに『俺達の世界』ではテレビの中でしか見ることの出来ないほどの血痕があるとしても、俺は悪くないのである。悪くない悪くない、それでも俺はやってない。いや、やってるけど。


 まあ、そんなんどうでもいいさ。俺にとって大事なのはこんな自己催眠なんかじゃない。今後の事である。

 「めんどくせぇー」

 なんであいつはあんな場面で俺に頼みごとをするんだろう。なんとなく断っちゃいけない感じの空気じゃないか。どうしてあいつは俺をこんな熱血空間に招待してくれやがるんだ。俺という人間はもっと世の中に対して斜に構える奴だったはずだ。微妙に中学二年生っぽいけどその辺りは気にしないでおく。


 「お帰りクロノ君」

 「おぉ、ロレンツ。ただいま」

ブツブツの文句を言いながら帰って来た俺を最初に迎えてくれたのはロレンツだ。位置的にロレンツが一番近かったからな。軽く手を上げながら返す俺に、興奮して鼻息が荒いロレンツが寄ってくる。

 「すごい試合だったね。あのカイル君に勝っちゃうなんて」

 「そうなの?あれくらい普通だと思うんだけど」

『こっちの世界』での勝負の相場なんて全く知らない。よってなんとなく俺がそう言うと、ロレンツは首を横にブンブン振った。

 「そんなこと無いよ!あんな名勝負は殆ど見られないって。例年の決勝でもここまで盛り上がらないんじゃないかって思ったよ!」

 「……そっか。そう言ってくれるとありがたいね」

ロレンツの必死な感じが冬眠前に木の実を貪りまくるリスに似ていて、確実にこいつにはコアなファンがつきそうだな、と思いましたね、はい。

 「んじゃ俺も怪我してるし、保健医のトコに行ってくるわ。ロレンツは試合次だろ?頑張れよ」

 「……僕じゃ勝てそうにないけどね。それにクロノ君とカイル君の後じゃお客さんをがっかりさせちゃうかもしれないな…」

 客……まあ客といえば客か、間違ってないな。

 「客なんてどうだっていいんだよ。取り合えず全力を出せばさ」

 「…そうだね、頑張るよ!ありがとう、クロノ君!」

 「二回戦で会おう。俺がボコボコにしてやる」

ニヤリと笑う。

 「そうはいかないよ。次はクロノ君が担架で運ばれる番さ」

そうロレンツもニヤリと笑ってパタパタと控え室の方に走っていった。今の会話で把握したが、ロレンツはノリもいいらしい。ホント、いい子だねぇ……。



 ………どうでもいいけど、あいつも実は女ってオチは無いよな?





ロレンツと別れてそのまま歩みを進めると、その先には仏頂面で立っているリクト、少し緊張した面持ちのリリア、嫌らしい笑みをリクトのほうに向けている晃がいる。なにやらわけの分からない状況になっているようだ。

 「ショウ、凄い戦いだったな」

 「おーありがとう」

先程もロレンツに言われたことなので今度は無難に返す。

 「んで、なんでリクトと晃はそんな顔をしてんの?」

 「あぁ、これか。別に深い意味は無いのだがな、単にアキラがエリカをからかっているだけだ」

 「うん?どういうこと?」

視線を晃の方に向けて説明を促す。

 「だってさぁ、エリカってばカイルのことを色々知ってるんだよ?技の名前だけじゃなくてその使い方とか問題点とか……これはもう二人はただならぬ関係だって事を物語ってるんじゃない?」

 「ですからっ!!ワタクシが特別あの男に詳しいのではなくっ!!【奥義認定】を受けた魔術は常識としてある程度知られておりっ!!その中でもドラゴニス家の《瞬動》は特に有名なのですっ!!先程からそう何度も申しておりますでしょう!?」

 「そのムキになったところが怪し~」

 「ワタクシが何度言っても貴女が聞き入れないからですわよ!!最初は普通の態度でしたわ!!」


ギャーギャーと喚く二人。溜息をついて傍観を決め込んでいるリリア。途中の【奥義認定】という言葉が多少気になったが、今の二人に口を挟む度胸は俺には無いので諦める。いずれ知る機会もあるだろうし。

 「ま、いいや、あいつらはほっとこう。俺はもう行くから」

 「む、何処へだ?」

 「保健医のトコ。カイルほどじゃないけど俺も怪我してるんでね」

 「見たところそうは見えないが?」

 「見えないところだからな」

自分でそう言ってから今の言葉が『女子が太った部位を説明する言葉』に似ているのに気付いて俺は笑った。同じことを考えたのか、リリアも笑う。


 「そういや次の試合って何時から始まんの?俺も次の対戦相手の試合を見ときたいんだけど。直ぐに始まるならこのまま見なきゃだし」

 「本来ならば試合と試合の間は約5分間くらいなんだろうがな、お前達が舞台を蹂躙してくれたお陰でまだかかるそうだ」

そう言われてみれば、ついさっきまで俺とカイルがいたところでは何人かの教師が『地』かなんかの魔術で壊れた舞台を直している。確かにリリアの言うとおりこの作業ペースならば幾許(いくばく)かの猶予があるだろう。だってあの教師達、真面目にやってないんだもん。

 「この調子なら今行っても大丈夫か。んじゃ、リリアも頑張れよ。二回戦で会おう」

 「私を応援をしても良いのか?さっき私の相手の【ユーリ=ロレンツ】とも仲良さげに話しているように見えたが」

 「そんな意地悪そうな顔するなって。あいつにも同じ事を言ったからな」

 「フッ、そうか」

そう言って軽く手を振るリリア。なんと言うクールビューティ。陽光でキラリと輝く銀色の長いポニーテールがよく似合っている。



そんで最後はあすかと楓。舞台から比較的一番遠くに居たやつらだ。近づきながら軽く手を上げると向こうも手を振って返してくれた。………ん?

 「お疲れ様でした、翔さん」

 「ああ、マジでスッゲー疲れたよ。色々痛かったし」

 「でもカイルさんほどではないと思いますよ」

 「ああ?何言ってんだ、俺は血ぃ吐いたんぞ血ぃ!」

 「カイルさんの両腕はもっと悲惨な事になってましたね」

楓と笑いながら応答。


 でも………やっぱりおかしいな。


 「どうしたあすか、浮かない顔だけど」

 「ふぇ?そ、そんなこと無いよ!?元気元気!!もう鼻血が出るくらい元気だよ!!」

 そう、おかしいのはこいつだ。本人はこう言ってるが全然元気そうじゃないし、仮にも女子高生が『鼻血が出るくらい元気』などと言って良いものだろうか。どう考えても正常じゃないし、ギャグにしては全然面白くないし。一体なんでだ?


楓に目配せをしても楓は僅かにフルフルと首を振るだけである。ということは、楓でもいまいち理由が判らないってことだろう。

 でもまぁ……俺じゃどうしようもないか。心の傷は時間が解決してくれる、身体の不調も時間が解決してくれる。取り合えず俺は俺のやるべき事をやろう。

 「んじゃちょっくら怪我を治しに保健医のトコに行ってくる。もし戻るのが遅れたら後で俺の試合相手を教えてくれよな」

 「え、あ!ち、ちょっと待って翔ちゃん!!」

 ………あん?なんだ?

 「怪我ならわたしが治してあげるよ!ほら、わたしも『癒し』使えるから!」

 ………急にどうした?

 「いやいや、あすかの気持ちは本っ当にありがたいんだけどさ、こんなところで魔力の無駄遣いしちゃダメだって」

 俺が自分で治さないのもそれが理由だし。

 「ううん、気にしなくていいよ。治させて?ね?」

 う……そんな可愛い顔で言われちゃ断り辛いんだけどな…。


苦し紛れに顔を逸らせると、視線の先では楓が苦笑していた。あすかを止めてもらおうと思ったのに。全く戦力にならんぞ。

 ………でもまぁ、いっか。本人も良いって言ってるんだし。他人の厚意を無下にしちゃいけないもんな。

 「じゃあお願いするよ。…っと、ここでやるとあすかの能力がみんなにばれちゃうよな。あっちの方行こう」

 「う、うん……」


俺達に手を振る楓に軽く笑みを返して出場者専用の通路の中に向かう。出場者は全員もう闘技場に出てるから(カイルを除く)ここなら誰もこないはずだ。ちょうど良くベンチも見つかったし。

 ……うわっ!きったね!!超埃積もってんじゃんか!!

 「んじゃ頼む」

 「う、うん」

ベンチの上を念入りに払い、二人で座ってまずは腕から治してもらうべく袖をまくる。

 ………うわ、傷だらけだ。今まではそんなに気にならなかったけど、こうして一回見ちゃうと痛くなってくるから不思議だよなぁ。


まず最初にズキズキする左腕をあすかに差し出す。右腕よりも容態が悪そうだったからな。それを見るとあすかはビクッとしつつも俺に触れ、そこからは『癒し』特有の柔らかな光が立ち込め………てない。

 「ん?どうした?」

 「う、ううん!なんでもないよ!!」

今度こそあすかが『癒し』を発動させる。左腕から痛みがドンドン取れていき、痣が消え、切り傷は単なる血の線に、擦り傷は単なる血痕になっていく。



そして俺の左腕に当てられているあすかの両腕は、震えていた。

―――――なるほど………そう言うことか。



 「………怖かったか?」

 「え、え?な、何が?」

なんの脈絡もない俺の言葉、それでもあすかには伝わっているはずだ。

 「手、震えてる」

 「え!?あ……ぁぅ」

あすかは思わず魔術を止めて手を引っ込める。なんというか、手に書いた落書きを親に見せまいとする子供のようでおかしかった。

 「ち、違うんだよ?これはその……寒くて…」

 「うっすらと汗かいてるみたいだけど」

 「う……」

 はぁ……まったく、嘘が下手な奴だ。

あすかは視線をキョロキョロとさせ、落ち着かない様子だ。

 「別に無理して隠さなくていいさ。怖かったんだろ?さっきの試合が。傷だらけの俺とカイルが。友達をあそこまでボロボロにした俺が。自分もああなっちゃうんじゃないかって考えたんだろ?自分も相手を……晃をああしちゃうんじゃないかって、そう思ったんだろ?」

 「……………」

あすかは何も答えない。けれど、その沈黙が俺の言葉を肯定していた。


 ま、それもそうだよな。あすか達はついこの前までこんな流血沙汰とは無関係に居たんだから。

例えこの一週間、相手を攻撃し攻撃される訓練をして、その中で小さいながら怪我をし怪我をさせたとしても、こんな激しく、重いものじゃなかった。

それに加えて、いくら覚悟を決めたからってこんな生々しい傷を見せられれば萎縮するに決まっている。

 ……いや、そもそも覚悟ってのはそう簡単に決まるもんじゃないはずだ。平和な世の中でヌクヌク過ごして来た俺達なら尚更な。

あすかは単なる普通の可愛くて胸が大きくて精神年齢が幼くて天然が入った可愛いチビッコ女子高生なんだ。俺が知る中であすかは過去に喧嘩なんて殆どしたことが無いはず。それがこんな『普通じゃない世界』に来て、即座に人を傷つけるようになんて、なれるわけが無い。

 あ、『可愛い』って二回も言っちゃった。まぁいいか、事実だし。


 「どうする?試合、やめとくか?」

注射待ちの幼稚園児に対する小児科医のように出来るだけ優しく問い掛ける。

 「……どうゆう、こと?」

 「今ここであすかが試合を棄権してもいいってことさ。もちろん観客はブーブー文句言うかもしれないけどね、俺達は誰も何も言わないから」

 「………でも折角いっぱい魔術の練習したし、…この世界で生きていくなら戦いくらい出来なきゃダメだろうって…みんなで話したのに…」

 「いいんだよそんなもん。戦えない奴なんてこの世界にもいっぱいいるだろうし、あすかはほら、『癒し』が使えるんだから医療班みたいなのになればいいんじゃね?」

あすかは少し俯き加減で唇を噛み締めている。多分色々と考えているんだろう。

俺は何も言わずに待った。ここで悪戯に声をかけてもあすかの迷惑になると思ったから。



俺達以外は誰も居ない、少し埃っぽくて薄暗い通路。汚れたベンチ。遠くからは観客のざわついた声が聞こえている。

時間にしておそらく数秒、それでも長く感じた沈黙の後、


 「……………やる」


と、あすかは呟いた。

 「……ん?」

 「………戦うよ、わたし。楓ちゃんも晃ちゃんも戦うのに、わたしだけ逃げるなんて、そんなこと出来ないもん」

 「……そっか」

あすかの言葉には、気迫にも似た何かが含まれているような気がした。

他人から教わるわけでもなく、かといって時間をかけてゆっくりと見つけるものじゃなくて。

こうして一瞬で決まるもの、多分これが“本当の覚悟”という物なんだろう。

 ――――――強いな。

俺はそう思った。







でも一つだけ言っとくことがある。

 「言っとくけどさ、楓も晃もあすかとは違うよ?」

 「へ?」

 「楓はなんか護身術みたいなのを習ってたらしいからね。実際何度か不審者相手に使った事があるって言ってたし。晃はほら、あいつが男のフリをしてた時に何度か俺の喧嘩に巻き込ませちゃった事があるからさ。要するにあいつらは多少荒事には慣れてるって事」

 「へ、へぇ~……そうなんだ」

 「だから『あいつらが戦うから自分も』っていう理由なら無理しなくても…「いいのっ!!やるのっ!!」うぇ!?あ、はい、判りました…」

 「わたしは楓ちゃん達には負けてられないんだから。………なんか最近もう一人増えたみたいだけどぉ~。ううん、もしかしたら二人になっちゃうかもぉ~」

 「ああ?どうゆうこと?」

 「しーらない。自分で考えてよね」


 ったく……なんだってんだよ、急に変なこといいやがって……。考えるも何もヒントが全然ないのに判るわけないっての。

 いつもならこのまま流すトコなんだが…今日に限ってなんとなく気になるな。いきなり元気を取り戻したことを考えると、もしかしたらこの話題はあすかの不安を拭い去れるような事なのかもしれん。どうにかして聞き出せないものか。俺はあんまり物事を有耶無耶にしたくないタイプだからなぁ。


 …………ん、そうだ!良い事思いついた!


名案を思いついた俺は張り切った顔をしているあすかに話し掛ける。

 「なぁあすか、お前もう覚悟を決めて戦う事にしたんだろ?」

 「うん、そうだよ」

その表情にはさっきまでの微妙な陰りはないから、その気持ちは本物なんだろう。元気も取り戻したようだ。これでもう『鼻血が出るくらい元気』などと言う馬鹿げた言葉を聞くことはあるまい。


――――だがしかし。


 「その気持ちは今後一切何があっても絶対に揺らぐ事がないって言い切れる?」

 「それはもちろんっ…………………ボソッ?(言えるよ?)」

 「はいダメーアウトー。最後のほう殆ど聞こえなかったし疑問系でしたー。これはもういつか完全に揺らぐね。もしかしたら10分後位にはもう揺らいでるかもしれないね」

 「うぅ……否定しきれない……」

 うんまぁ、そりゃそうだろ。ここで言い切れる人は最初っから悩まないだろうし。


とりあえず予定通りあすかは弱気になってくれた。

 さてと、俺の作戦はここから開始だ。 

 「そんなあすかに俺から贈り物があるんだ」

 「えっ!?うそ!!」

 「え、あ、ああ。う、嘘じゃないよ…」

なんか想像以上に驚くあすか。

 俺の予想だと『え?なぁに?』位の感じだと思ってたんだけど……まあいい、気にしないでおく。俺は自分に不都合な事は有耶無耶にするタイプだから。

 「今回あなたにお贈りする商品はこちらです!!」

俺はポケットからその商品を取り出して、あすかに突きつける。

 「ジャーーン!!!おーまーもーりー!!!」

 「………お守り?」

 「……なんだその福引で当たったポケットティッシュを見るような目は。いいかあすか、その決意が揺らぎそうになった時、このお守りを見るか触るか聞くか嗅ぐか味わうかするんだ。するとどういうことでしょう!!見る見るうちにあなたの身体には不思議な不思議なボソッ(おかしな)お守りパワーが溢れてきますぞ!!」

 「口調がおかしいよ!お守りの使用方法の最後三つもおかしい!!それになんかその『お守りパワー』が胡散臭いし、なんか小声で『おかしな』って言ってたしっ!!!効能もなんか危ない薬みたいだしっ!!!それにそのお守り学業成就!!!」

 おおぅ……流れるようなツッコミ。天下取れるぞ。もう完全復活だな。


 「悪いけど…そのお守りなら遠慮するよ。もう翔ちゃんが運気吸い取っちゃってそうだし」

苦笑と失笑と愛想笑いを足して3で割った笑みを浮かべるあすか。

 「む、じゃあ何が良いんだよ。この際だから俺があげられるものなら何でもやろうではないか」

じゃないと『贈り物のお礼としてヒントを聞き出そう大作戦』がダメになっちゃうから。

 「え、と……何でもいいの?」

 「ああ。男に二言はあんまりないからな」

 ココでのポイントは断言しない事だ。

 「その……じゃあ……それが欲しい、かな」


そう言ってあすかの指がおずおずと指したのは俺の――――――首。


 「え!?お、お前まさか俺の命を狙…「翔ちゃんが何を考えてるのか知らないけど絶対違うから」あ、そうっすか」

 そ、そうだよな。流石に『わたしが欲しいのは……お前の首だっっ!!』的な展開はないか。ふぅ……焦ったぁ。

 「そうじゃなくて!…その……翔ちゃんがつけてるネックレスが、欲しいかな…って…」

 「あん?ネックレスって、これ?」

俺は首元に手をやってネックレスに触れる。チャラチャラと銀のチェーンが音を鳴らした。これは元の世界にいた時からつけてたものだ。


 ……いいか、先に言っておくが本当にこのネックレスはずっとつけてたんだ。『俺達の世界』に居た時も、『こっちの世界』に来たその瞬間も。決して後付の設定なんかじゃないからな。そこんとこ勘違いしないように。


 「う、ううん!翔ちゃんが大事にしてるんだったらいいの!!ゴ、ゴメンね?なんか急に変な事言っちゃって…」

 「いやいや、別に良いよ。これで良いならやろうか?」

 「え、い、いいの?」

 「うん。全然構わないよ」

 まぁ別に思い出の品ってわけじゃないしな。『前の世界』の学校で数少ない男友達に『これをつければお前の男度もアップだ。だからやる』って言われてもらった奴の一つだし。っていうか多分あいつが要らなくなったから俺に押し付けただけなんだろうけどさ。ぶっちゃけ俺は自分からアクセサリーは買ったりしないが、こんな理由によって数だけは結構持ってたりする。大体カバンに入れっぱなし。

 「あ、でもこれ思いっきり男物だよ?あすかが着けても絶対に似合わないけど。つか場違い感があるんだけど」

 だってこれ、やたらゴツゴツしたシルバーのクロスだし。

 「いいの。別につけるわけじゃないから」

 「え?じゃあ貰う意味がないじゃんか。なんかもっと他の物に…」

 「い、いいから!翔ちゃんは気にしなくて!!」

 むぅ…まったく、これだから女心はわからん。自分に似合わないネックレスを貰って嬉しいものなのか?こんなの肉が嫌いな奴に松坂牛のステーキをご馳走するようなもんだろう。もしくはゲイに渡すエロ本だな。


でもあすか本人がここまで所望するなら俺もわざわざ否定することもないし、取り合えず首の後ろに手を廻してネックレスを外す。

 「んじゃこれ、はいどうぞ」

 「うん、ありがとう!」

両手でネックレスを受け取ったあすかは本当に嬉しそうではあった。

 「なぁ、それどうするんだ?一応お守り代わりなんだから基本的にいつでも持ってなきゃいけないと思うんだけど」

 「あ、そっか。う~~ん……どうしよう……」

やっぱりなんも考えてなかったか。

 いやまあ、もうあのネックレスはあすかの物なんだし、俺がとやかく言うこともないんだろうけどさ。


 ……………でもなんか、ねぇ?


いくらあすかが欲しがったからと言っても、俺が使い道に困るものをプレゼントしたことには変わりないんだよなぁ。なんか目の前でウンウン唸ってるあすかを見ると何故か罪悪感めいたものが沸いて来るし。


―――――――――うんよし、ちょっくら試してみるか。


 「おいあすか、ちょっとそのネックレス貸してくれ」

 「え?な、なんで?」

 「別にやっぱり返してもらおうと思ってるわけじゃないから。だからそんな泣きそうな顔をするな。大丈夫、直ぐに返す」

 「う、うん。はい」

 「おう、サンキュ」

ネックレスを左手で受け取り、その上に右手をかぶせる。別にこうしなくちゃいけないわけじゃないけど、手をどけた時にあすかを驚かせたかったし。それに失敗したら恥ずかしいし。

あすかは俺が何をやっているのか判らずキョトンとしている。


―――――目をつぶり、『イメージ』する。手の中のネックレスが、別の形に変容する光景を。

要するに俺が何をしようとしてるのかというと、魔術でネックレスを女の子向けっぽくしようと思いついたわけさ。なんとなく『地』あたりで出来そうな気がしたし。


――――――おし、気合一発!!よっこら……しょい!!!!!!!


 「…っと、出来たかな?……おぉ、うまくいったなぁ」

 「わぁ………」

俺がイメージしたのは天使が背中に生やしてそうな羽。取り合えず無難なところをチョイスしてみた。………うん、我ながらうまく出来たと思う。このままお店に並べてもなんら遜色はないね。鎖も女の子用にちょっと細めのものに変えといたし。こういうところに俺のさりげない優しさが現れているのさ。

 「えっと、これならあすかがつけてても大丈夫じゃね?」

あすかはポカンとしている。まさか……羽は嫌いだったか!?

 「あ、いや、この形が嫌ならなんかもっと他の形にするけど…」

 「え?ううん!これすっごく可愛いよ!!ちょっと見惚れちゃってたもん!」

 ……そうか、そいつは良かった。これで俺のセンスが悪くない事が証明されたな。


 「じゃあ今度こそ、はいどうぞ。元出はタダだけどさ」

 「そんなの気にしないよ。ホントにありがとう!!」

あすかは俺から受け取ったネックレスを両手で大事そうに受け取ると、それをじっと見つめた。その口元がホニャッと緩んでいる。

 ふふん、今度こそちゃんとプレゼントをした気分だ。心なしかあすかの目が潤んでいるような気もしてきたしね。

 「ねぇねぇ、さっそくつけてもいい?」

 「ああ、望むところだ」

俺が答えるといそいそとネックレスを着用し始める。チェーンの長さを調節して首の後ろに手を廻す。





――――――――――――あれ?なかなか終わらない。

 「あ、あれ?うまくいかないなぁ…」

そう呟いてから約10秒後、手が届かない所にあるお菓子を必死で取ろうとしてピョンピョンとジャンプを繰り返している我が子を見守る親のような心境の俺の目の前で、あすかの動きがピタリと止まった。

 「し、翔ちゃん…」

 「ん?どうした?」

 「ご、ごめんなさい……これ…」


そう言ってあすかが俺に見せたのは折れたフックの部分。正式名称『カニカン』。


 「ああぁぁぁーーー何壊してんのぉ!?まだお前に渡してから1分も経ってないよぉ!?」

 「だ、だって…この世界に来てからすごく力持ちになっちゃったし…」

あすかは申し訳なさそうにシュンとうな垂れる。そうなると形のいい旋毛が良く見えた。


 う……こんな姿を見せられたら怒るに怒れん。……まぁ簡単に直せるだろうからそこまで怒るつもりもないんだけど。

再びあすかからネックレスを受け取る。折れた部分は落としてどっかいっちゃったから、仕方なく鎖の一部分で補う事にした。修理完了後、ほんのちょこっと短くなったチェーンを見て『やっぱりいくら魔術があっても質量保存の法則は働いているんだなと実感した。

 「あ、ありがとう翔ちゃん。今度こそうまくやるから」

あすかは『えへへ』と苦い笑みを浮かべながらおずおずと手を差し出す。

 

――――――――――――だがしかし。


俺はネックレスを持った右手を高く上げてあすかが届かないようにする。

 「ダメだ。お前はもうつけるな。俺がやる」

 「え、え?」

 「多分今渡したらお前はまた壊す。だから俺がつけてやるって言ってんの」











たっぷり10秒ほど間隔があいた。

 「だだだだダメだよダメだよ!!自分でやるよ!!」

 「お、おぉ…なんというテンパリ具合……だが断る!もう目の前で俺が作ったものを壊されるところを見たくないからね!!」

 「え、えぇ!?」

 「いいからほら、向こう向け」

『うぅ~』と小さく唸りつつもあすかは素直に向こう側を向く。そして俺の手には男物から女物へと変化したネックレス。っていうか鎖部分を羽に回しすぎて元々短かったのに更に短くなっちゃってチョーカーっぽい。チョーカーとネックレスの間の長さ。

 さてさて、それじゃあ早速つけるとしましょうかね。


 「……あ」

 ―――――しまった、いきなり問題が起きた。向こうを向いてもらうのはネックレスを首裏に通した後にしてもらえばよかった。コレじゃあ俺が手を回さなければいけないではないか。

 あーでももうあっち向いてもらっちゃったんだしこのままやるしかないよな今更もう一回こっちを向いてもらうのもアレだしいやほら別にこれで合法的に密着できる上に『あすなろ抱き』っぽいのが出来るぜヤッホイ役得役得とか考えてないからいやマジで頼む信じてくれっていうか信じるんだ信じるものは救われる。


そうと決まれば話は早い。俺は喜ん……冷静にネックレスを右手で持ち、向こうを向いているあすかの顔の右前くらいにまで持ってきて、顔の左側面を通した左手で鎖の片側を持つ。ほら!!これで『あすなろ抱き』っぽい!!俺は全くあいつに触れてないけど!!


 でも…なんか……この感じ…どこかで体験した事があるような……。

 うーーん――――――――――――――――――――――あ、思い出した。


あれは俺がまだ他人に怖がられていなかった中一位くらいの時だったか。近所に住んでた女の子にリボンを付け直してあげた時と同じ感覚だ。うん、間違いない。

 なんというかまあ……アレだね、感慨深い。っていうかあすかはこの短い間に何回俺を父性を抱かせれば気が済むんだろうか。

 「し、翔ちゃん?」

 「ん?あぁ、悪い悪い。考え事してた」

どうやら左手で鎖を持ったところで俺の動きが止まっていたみたいだ。俺は慌てて行動を再開すると、どういうわけかあすかは深呼吸していた。もしかしたら知らない間に首を圧迫していたのかもしれん。……申し訳ないことをしたな。お詫びにさっさと付け終えてやろう。

鎖の両端を首の後ろに持ってきて、後はこれを引っ掛けるだけなんだけど……髪がちょっと邪魔だな。

 「よっと」

 「うひゃぅ!!!?」

 「え、どうした?」

 「な、なんでもないよ。ちょっとビックリしただけ」

 「そ、そっか。ならいいんだ」

 首筋が弱い人とか居るからな。クク……弱点みっけ。今度筆ペンで攻撃しよっと。鳥の羽とかじゃなくて筆ペンで。



 「………よし、出来た。どうだ?苦しかったりしない?」

 「うん!大丈夫!!」

そう言いながら満面の笑みでクルっとこちらを向く。首元でキラリと天使の羽が光る。

 うん、これなら俺もあげた甲斐があったというものだ。

 「そういやあすか。お前は『地』って使えたっけ?」

 「属性のこと?わたしは使えないよ」

 ふーむ、そうかそうか。なら…

 「よし、じゃあそんなあすかに一つ言っておく事がある!っていうか強制!」

 「え?なに?」

 「そのネックレス、絶対に外すなよ」

 「………え?」

 ん、なんだその呆けた顔は。まるで信じられないものを見たかのようではないか。

 「もし自分で外そうとしてまた壊しちゃったらあすかじゃ直せないんだから。そうなったら面倒だろ」

 「……なーんだ。そう言うことかぁ」

 ええい、他にどんな意味があるのだ!口を尖らすな!分け判らん。

 「えっと、じゃあ取る時は翔ちゃんに取ってもらうって事?」

 「まあそうだな。もしくは『地』が使えるやつ……楓か?俺か楓に言えよな。晃はお前と一緒で壊しちゃいそうだから不可ね」

 あいつ、あんな顔して結構適当なところがあるからなぁ……。

 「……そっか。このネックレス、外しちゃいけないんだね」

 「基本的にはそうだ」

 「お風呂の時とか寝る時もつけてなきゃいけないんだよね。………えへへ」

 「あーそう言うときは楓に……なんでニコニコしてんの?」

 「なんでもなーい!」

あすかはベンチに再び座りなおして小さい子供のように脚をプラプラと揺らして笑っている。

 「よいしょっと!」

あすかがベンチから立ち上がる。なんで一回座ったのに直ぐ立ち上がったんだろう。



 「ありがとう翔ちゃん。わたし、もう悩まないよ」

 「……そうか。そいつはよかった」



確かにあすかの表情は、本当に吹っ切れているように見えた。

 「うん、ホントにありがとう。このネックレスのお礼は必ずするから。それじゃあわたし行くね!!」

 「あいや、待たれよ!」

走り去ろうとするあすかを引き止める。ここで居なくなられたら折角の『贈り物大作戦』が水の泡だ。カッコよく言うと『水泡に帰してしまう』か。

 「お礼はいいから一つだけ教えてくれ。いや、これがそのお礼で良いんだ」

 「なぁに?」

 「さっきさ、あすかが俺に『自分で考えろ』って言った事あるだろ?」

 「それって……『楓ちゃん達には負けられない~』って言った事?」

 「ああ、それそれ。そんなもん俺一人で考えても絶対にわかんないからヒントをくれ」

 「………………………絶対に(・・・)わからないんだ。はああぁぁぁ~~………」

露骨に盛大な溜息をつかれてしまった。

 「え、なにその感じ」

 「なんでもない!!」

 なんで急に怒りだしてるんだこいつは……。まったくもう、あすかが考えている事はチンプンカンプンだ。これはあれか、『親の心子知らず』ってやつか。まったくもう……人の気も知らないで気楽な奴だ。もっと俺の気持ちも判って欲しい。


 「まあいーや。ヒントだっけ?」

 「うん、頼むよ」

手をパチンと合わせて懇願する。別にココまでして知りたいことでもないんだけど、まあノリで。

あすかもノリで―――多分ノリのはず…本気じゃないと思う―――出来の悪い生徒に対する教師のような態度で腕を組む。…………眼福だ。何がとは言わないけれど。

 「そうだなぁ。簡単に言うと……わたしは今すごく嬉しくて、みんなに自慢したい事があって、それでちょっとだけ優越感に浸れて、みんなはわたしを羨ましく思うんじゃないかなぁ」

 「……ほう」

 なるほどなるほど……そういうことか。ハッハッハ、判った判った!なんだ、簡単な事じゃないか!

 「………え゛、わ、わかっちゃったの?」

つい今まで勝ち誇ったような笑みを浮かべていたあすかの表情が一変する。

 「おう、あたぼうよ」

 「う、嘘……翔ちゃんのことだから絶対にわからないって…わかってくれないって思ったのに……」

途端に慌て始めるあすか。小さな声で『どうしよう……どうしよう……』と呟いている。


俺があすかの右肩にポンと手を置くと、あすかはまるで驚いた小動物のようにビクンと身体を震わせる。その顔は、かつてないほど真っ赤だった。

 「――――あすか」

 「……な……なに?」

 「そんなにお前は……いや、お前らは…好きなのか?」

 「え…と……その……な、なんて言ったら良いのかな!…あの……う、うん。す……好き…だよ」

 「……そうか。悪かったな、今まで気付いてやれなくて」

 「う、ううん!いいの…。こうして今気付いてくれたんなら…」

 「…そう言ってくれると俺も罪悪感とかなくなるから、ありがたいな」

 「ででででもね!?わたし達の中でもね!?わたしが一番好きなんだよ!?だ、だ、だ、大好きなんだよ!?」

 「わかったから落ち着け。顔が真っ赤だぞ」

 「……ぁぅ………それでその、し、翔ちゃんはどう思う?」

 「ん?何が?」

 「わたしは……す、好きだって言っちゃったけど……翔ちゃんはどう思ってるのかな……と」

 「別に良いんじゃないかなぁって思ってるよ。好みは人それぞれだしさ、他人がとやかく言うことでもないだろうし」

 「………?」

 「いやだからさ、別に俺の意見なんかどうでもいいんじゃない?女の子だったら普通のことだろ?」

 「……ねぇ…翔ちゃん?」

 「ん?」

 「わたし達が好きなものって……何かな?」

 「だからあれだろ?ネックレスとかのアクセサリー。まぁ確かに誕生日プレゼントとか上げなきゃいけないだろうから……お前らだけじゃなくてリリアとリクトにもか、確かにアクセサリーをあげる相手が増えるよなぁ。でもさ、別に女の子は基本的にそう言うものは好きなんだろうし、あすかがそこまで照れながら話す事でもないと思―――」

 「………えいっ」


バキョッ


 「ぐぅぁぁぁぁあああーーーーーー!!!!俺の脛がぁぁぁあああ弁慶の泣き所がぁぁぁああああーーーー!!!!」

 「ふんだっ!!翔ちゃんのバーカ!!」

 「あぁぁ待って行かないで!!俺を回復させてからにしてぇぇぇぇーーー!!」


―――――行ってしまった。

 ちっきしょう!!右足が鬼のように痛い!!あすかめ、全く手加減しなかったな!!

 それにしても何で蹴られたんだ………別にあいつらへのプレゼントが増えたからといってあすかに何も上げないわけじゃないと言うのに。…いやまさかあいつ……自分へのプレゼントが前より安くなってしまうのを見越して!!?こんな時ばっかりなんて気が回る奴だ!!


俺はこの後数分の間この場で悶絶した挙句、何とか自力で立ち上がれるようになってから実は左腕以外全く傷を治してもらっていないことを今更ながら思い出し、右足を引きずりながら保健医を探し回ったのであった。










 「………まったく、翔ちゃんってばホントに鈍感なんだからもう……」

 「あ、あすかさん、お帰りなさい。……なんか怒ってるように見えるんですけど、どうかしたんですか?」 

 「なんでもない!!」

 「そ、そうですか………あれ?そのネックレス、さっきまでは着けてませんでしたよね。どうしたんです?」

 「……え、これ?」

 「ええ。……へぇ~綺麗ですね。ちょっと見せてもらっても良いですか?」

 「あ、うん。でも外せないからこのまま見ちゃってね」

 「これは……羽ですか。鳥というよりも天使のものに近いみたいですけど。本当にこれどうしたんです?」

 「えへへ~~。ね、知りたい知りたい?」

 「…………いえ、なにやら嫌な予感がするのでやっぱり遠慮しておき―――」

 「え?知りたいの?しょうがないなぁ~、楓ちゃんは特別だからね?」

 「……あ、いえ、ですから別に―――」

 「実はこれね~、翔ちゃんから貰ったんだよ!」

 「………へ?」

 「ホントだよぅ。しかもこのネックレスは『この世界』に……ううん、『わたし達の世界』を含めてもこれ一個しかないの!翔ちゃんがわたしにと・く・べ・つ・に!くれたのっ!!」

 「えぇぇ!?」

 「それにねそれにね!翔ちゃんったら、これをくれる時わたしに『これ……絶対に外すなよ。……起きている時はもちろん、風呂に入ってる時も、寝る時もだ。……いいな?』なーんて言ってくれちゃったりなんかしちゃったんだよぅ!!」

 「うぅ……ズルイです。どうしてあすかさんだけ……」

 「……え?そ、それはあれじゃないかな。わたしと楓ちゃん達との愛情の差じゃないかな!」

 「…どうしたんですか?少し言葉に詰まりましたよね?今」

 「き、気のせいだよ気のせい。それじゃあわたし行くところがあるから。じゃね!!」

 「あ、ちょっとあすかさん。逃げないで下さいよ!」




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