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トモダァチィ!!……と認めてもよいのだろうか



 「それにしてもよ、お前よく貴族相手にあんな態度が取れるな」

学校を出てから寮までの帰り道、何時の間にか前後が入れ替わり前に女四人後ろに男二人という状況で歩いている最中、カイルがいきなりそんな事を言ってきた。今まで話してた内容に比べたらこっちのほうが全然答えやすい。『一対多数での戦闘時における効果的な攻撃方法について』ってなんなんだよ。訳がわからん。

 「ん……まあ、ね」

 俺にとっては相手が貴族だろうがなんだろうが別に同い年だし、いきなり貴族だって言われても『は…はあ……それがなにか…』って感じだ。確かに偉いんだろうけど今ひとつ実感が湧かない。無理に反抗するわけじゃないが、なんとなく捻くれた対応を取ってしまうな。

 「でもカイルだって結構不遜な振る舞いだったじゃないか」

 「オレはいいんだよ。貴族じゃないってだけでうちの道場はあいつの家と同じくらいの歴史はあるし」

 え、じゃあなに?こいつも結構すごいの?

 「もしかしてショウ達も貴族とかなのか?」

 『達』ってのはあすかと晃と楓のことか。

 「いや、あいつらの家は知らないけど少なくとも俺は全然普通の家だったよ」

 親は居なかったけどさ。

 「ふーん」

 自分から聞いといてなんだその興味のなさそうな返答は。



そんな会話をしつつ前方に意識を向けると、4人のおなご達がそこそこ楽しそうに会話していた。どうやらリクトもまぁまぁ打ち解けているらしい。あの金髪の性格はともかく、四人の美少女が和気藹々と話している光景は目の保養になるね。


一番右側で楓が静かに微笑していて、その隣には矢次に質問されているリクト、左側には晃がもうすっかり女の子になって楽しそうにしゃっべており、晃とリクトの間であすかがピョコピョコ歩いている。――――――やっぱり小動物みたいだ。

 ……いや待てよ。冷静に考えてみれば人間も動物の仲間だし、それにあすかは人間の中でも確実に小さい部類に入る(身体のとある一部を除いて)。つまりあいつは小動物『みたい』じゃなくて小動物『そのもの』なわけだ。


 ………明日はこのネタでからかおっと。


我ながら馬鹿げた事を考えながら、カイルとともに全く見慣れない通学路を歩く。さっきの『ふーん』で俺達の間では会話が途切れてしまった。別に気まずい雰囲気ではないが、なんとなく手持ち無沙汰だ。平たく言えば、暇である。

と、言うわけで思いついた。


――――――よし、悪戯しよう。


思い立ったが吉日、俺は近くに生えていた草を適当にブチブチブチとちぎり、手のひらの上に乗せて口元まで持っていく。

 「ん、なにしてんだ?」

 「悪戯だ」

そういって俺は草にフッと息を吹きかけ、その草があいつらの後頭部あたりに当たるようにイメージした。魔術を使って。

 『どうせ魔術を使うんだったら別に『フッ』ってやらなくてもいいんじゃね?』とも思ったけど、そうしたほうがイメージしやすいからなんとなく。


無事に草は3~4m前を歩いているあいつらの後頭部に当たる。それに気付いたあいつらは後頭部に当たった草を手でとったり払ったりしながら不思議な表情をしつつ、『風かなぁ』とかなんとか言いながら再び会話に戻った。

 「はは、あーコレ地味に面白いな」

 「よし、オレもやろ」

 「やったれやったれ!どんどんやったれ!」

そういってカイルも近くの葉をちぎり、俺と同じように息を吹きかける。

結果はさっきと同じ。どうやらあのオバカ四人組は俺達がやってるものだとは思ってないらしい。その光景を見ながら俺達は壊れた人形みたいにケタケタと笑っていた。

 「なあカイル、寮までは後どれくらい?」

 「もう少しだ。このまま歩けば2~3分かな」

 「じゃあ全力で走れば?」

俺はニヤリとしながら尋ねる。するとカイルも俺の考えに気付いたらしく俺と同じような嫌らしい笑みを浮かべると『一分以内だ』と教えてくれた。

 「よし、ありったけの草を集めるんだ!」

 「了解!」

俺達は最高のチームワークを発揮し、かなりの量の草を速攻で入手。お陰で手が草臭くなってしまったが悪戯のためならエーンヤコーラだ。……『くさくさい』って言い辛いな。

 「よし、行くぞ」

 「よっしゃ!」

あいつらにばれないようにそーっと各自両手に抱えている葉をあいつらの頭上に浮かばせる。当然地面に移る影で気付かれないように日光の入射角とか反射角とかその辺を計算しながら。

ちょうど良い感じに浮いたのを確認し、互いに視線を合わせて頷き合う。そして全力で走り出し、あいつらを追い越した辺りで魔術を解除した。

 「わぷっ!」

 「うわわっ!」

 「きゃっっ!」

 「キャアっ!!」

後ろで四つの可愛らしい声がした。

 「アハハハハ!!!」

俺達は笑いながら全力で走る。後ろから『コラーーー』だの『まちなさーーい』だのと聞こえるけど当然無視。あらかじめ草集めの段階で場所を聞いておいた、やたらとでかい男子寮に滑り込む。

 「あーー楽しかった。これだから悪戯はやめられないな」

 「お前……最高だぜ…」

カイルとハイタッチを交わす。この数秒で友情が実に深くなった気がする。

 「ところで、あそこに見えるでっかい建物が女子寮?」

 「ああそうだ。なんでか知らないけどやたらと入り口が近いんだよ」

 うん、確かに近い。10mも離れてない。……ってことは。

 「よし、もっかい葉っぱ集めろ!」

 「!? よし来た!!」

 今更言うのもなんだけどコイツ、イケメンの無駄遣いだよね。











      『たまには別視点もいいんじゃないかな ~エリカ~』


 「あーーもーー服に葉っぱがついたーー!!」

 「まったくもう、絶対翔ちゃんがカイル君をそそのかしたんだよ!!」

 「服の中にも入っちゃいましたよ!」

 「か、髪に葉が……もう!!」

 あ、の、バカ二人は……よくもやってくれましたわねぇぇ!このワタクシに葉を浴びせるなんて……それも二度も!!それも初対面にも関わらず!!

 ……幸い道端の物ではなく木についていた物だったらしく、髪や服に土がつかなかった事だけが救いでしたわね……。

 「あの二人には明日きっちり言っとかないと!!ね、エリカちゃん!!」

 「え、ええ」

ワタクシはこのアスカ=ヒナタという小柄な――憎らしい事に一部小柄ではありませんが――転入生に返答しながら服に付いた葉を払う。

そして、ふと考える。


 …………それにしてもどうしてワタクシは一体何をしているんですの?

 当初の予定では既に魔術の訓練をしているはずですのに。何故こんなところで転入生の女の子と一緒になって葉っぱをかけられているのでしょう。


 「……ごめんねエリカ。折角ボク達の為に寮に案内してくれたのに翔があんな事を、さ」

いつ間にかカイル=ドラゴニスの名前がなくなり全てあの男の責任になっていることにワタクシは気付かなかった。もしかしたら無意識うちにのそれが真実であるような気がしていたからかもしれない。

 「……とにかく寮長の所に行きますわよ。恐らくあなた達のことはもう既に話が行っているでしょうし、そこで指示を仰ぎましょう」


本当に、何をしているのだろうか、ワタクシは。













――カチャッ――キィ――――パタン


 「……ハァ」

寮の前で改めて葉を払って寮長室に向かい、そこで三人と別れて自分の部屋に戻ると電気もつけずにすぐにベッドに倒れこむ。段々と暖かくなってきているとは言えまだ暗くなるのが早い季節、当然部屋の中も真っ暗だった。

 「本当にワタクシは何をしているんでしょう。早く、起きなければ…」

 でも……今日はもう魔術の訓練をする気になれませんわ……。

身体の欲求に身をゆだねて目をつぶり、先程のことを思い返す。あのバカ二人と騒がしい三人の女生徒と出会った、魔力検定のことを。

少し空いた窓からは早々に鳴き出した虫の音が届き、枕元の時計がカチカチと時間を正確に刻んでいる。帰りの時よりも冷たくなった風が疲労した身体に心地よく、身体を反転させて使い慣れたとはいえない枕に顔をうずめる。


―――――枕からは新品の匂いがした。










今日の日程全てが終わった後の話の際、ワタクシだけが教師に名前を呼ばれ、着いてこいという指示を受けた。

 もしや……ワタクシともあろう者が教師に呼び出されるような粗相を犯してしまった……?いえ!そんなことはありえませんわ!!だってワタクシですもの!!


一瞬そう不安になったが、実際にはワタクシの魔力が多すぎて測りきれなかったから別室で計測するというものだった。

このクラスで呼び出されたのはワタクシだけ。ということはこのクラスではワタクシが一番と言う事。最初から自分が優秀である事は自覚していたけれど、こうして実際に味わってみると喜びが湧いた。


何故なら、ワタクシはこんな努力もなにもしていない有象無象とは違うという事なのだから。


そう思いながらワタクシの名前を呼んだ髪の薄い教師に着いて行くと、三階の『第一特別室』と書かれた部屋に辿り着く。

 誰も居ませんわね……もしかして再検査はワタクシだけですの?

と思いもしたけれど……流石にそううまい事は無く、『あと数人来るはずだからそれまで待っていてくれ』と言って教師は教室を出た。とりあえずワタクシは外の景色を眺めることが出来るように窓際の席に着いた。


 先程の教師の言う通りならば、ワタクシ以外にここにくるのはあと数人…どうやら人数は少ないようですわね。数百人いるこの学年の中で再検査が数人と言う事は、保有魔力量ではワタクシは既に優秀な部類に入りますわ!

 ……いえ、でもそれだけではダメ。ワタクシは一番にならなければいけないのですから。



―――――扉が開き、生徒が入ってくる。

最初に入ってきたのは見たことが無い黒い髪の男子生徒。一瞬目が合う。

 

 ……え?猟奇的犯罪者………?


 ……いえ、そんなことはないでしょう。ただ異常に異様に尋常じゃなく目つきが悪いだけでしょう……多分。罪人を入学させるわけないでしょうし。まあワタクシもどちらかと言えばツリ目ですが。

 でも、ココで目をそらしてはダメ。ここで目を逸らしてしまってはあの男に既に負けてしまったようなものですわ!!

そう思ったワタクシはキッとあの男を睨みつける。

 ……これで負けてはいないでしょう。目が合って思わず目を逸らしそうになってしまったのは気のせいに違いありません。



最後に教室に入った女性の教師が扉を閉めた。

先程の髪の薄い教師はどこかに行ってしまったのにこの教師は部屋に残ったということは、これで再検査組は全員なのだろう。

 ――――入ってきたのは男子二人、女子三人、ワタクシを含めて計六人………珍しく女子の方が多いですわね。



 「さてと、じゃあお話しましょう。あなた達を呼んだのは今日行われていた魔力測定でちゃんとした魔力量が測れなかったからよ。だから今からもう一度検査するわよ」

 「そんなものいつやったの?」

目つきの悪い男があの先生に尋ねる。

 あの男は年上を敬い、それ相応の言葉で話すことが出来ないんですの!?まったく……外見どおりに乱雑な男ですのね!!これだから犯罪者は!!

小さい頃から貴族としての礼儀を教えられてきたワタクシにとってはあのような粗野な物言いは、たとえ自分に向けられたものでなくても耳に障る。

 「椅子よ」

 「椅子?」

 「そう、椅子。今日あなた達がずっと座っていた椅子には魔力量を測定する機能が付与されていたの。そしてその結果が教員にはわかるようになっていて、あなた達だけが測定がこの時間までに終わらなかったのよ。魔力量が多すぎてね」

 椅子、ですか。『魔力の測定方法は毎年変わる』と言う話を聞いてはいましたが、今年はそのような方法でしたのね。

 ……そう言えば何故保有魔力の測定を?属性と同じく、保有量も隠しておいたほうがいいではありませんか。

 「では、何故魔力量の測定なんてことをされたのですか?」

 「クラス分けをするのに必要な情報だからよ。クラス分けは来週の試合だけで決まるわけじゃないからね」

 そういうわけなら仕方ありませんわね。

 「わかりました。では、これからどのようにワタクシ達の魔力を測るのですか?」

ワタクシが質問しながらふと横を見やるとあの目つきの悪い男と軽薄そうな男がなにやら話していた。ただあの軽薄そうな男が突然大きな声を出したのがとても煩わしい。

 「流石に測定し終わるまで椅子に座ってろってわけには行かないから、今度はコレをつかうわ」

 あのマント…どこかで見たことがあるような……。

 「コレは装着した人の魔力を吸収して自動防壁を張るマントよ。そしてその防壁は装着者の魔力量に応じて白から黒になるわ。それを利用して今からあなた達の魔力量を計測します」

 ――――思い出しましたわ!!小さい頃家の書斎にあった本で見たんでした!!

 ですがアレはかなり貴重品だったはずですのに……所持しているのは王族か、もしくはかなりの資産を持った貴族だけだと思っていましたが、まさか学校にあるとは思いませんでしたわ。



そうこう考えている間に二人の女の子の検査が終わる。二人とも色は灰色、どちらかといえば黒よりも白に近かった気がした。あの教師の話では白でなければ『S』ということだが、結局あの色だと魔力はどれほどの量なのだろうか。

 ……まあいいですわ、やってみればわかることですし。


 「じゃあ次、えーと、【エリカ=リクト=ノルトライン=ヴェストファーレン】さん」

 「ハイ」

 

 フン、名前だけでわかるはずですわ。この国に住んでいる以上【ノルトライン=ヴェストファーレン】を知らないはずありませんもの。

治めている地である『ヴェストファーレン』、それに『リクト』という称号。名前に称号と地域の名前が入るのは階位の高い貴族だけだから、聞けば誰もが驚き、ある種の感情を抱くはず。それは羨望や憧憬、嫉妬や悋気など色々あるだろう。

ワタクシはワタクシの名前が出ると誇らしげな表情になる。それは例えば今この場であったり、定期的にある社交界であったり、機会はたくさんあるけれどその都度自慢げに笑う。ワタクシを見るワタクシを羨むワタクシに嫉妬する多くの人々に笑ってみせる。

表情を、作る。


…………でも本当は………自分でもそんなこと、したくない。


ワタクシは自分の名前が嫌いだった。親に貴族たるもの何事も頂点を目指すようにと強要され、下流、中流、上流を問わない貴族達に取り込まれないように常時気を張り、結果恋人はいわずもがな、友人とよべる存在すらも出来ない。居るのはワタクシに媚び(へつら)う者だけ。そんなものは話し掛けるな近寄るなと全て切り捨ててきた。


そして何時からだったか、ワタクシはワタクシの名前を嫌うのを止めた。

ワタクシは【エリカ=リクト=ノルトライン=ヴェストファーレン】――――これはもう変えられない。

ならばこの名に誇りを持ち、貴族たる生き方をしよう。

誰もが『貴族』という言葉を聞けばワタクシを脳裏に描くようになるほどの貴族になろう。

人々が思う『貴族』を体現しよう。

貴族の『善』も『負』も全て享受しよう。


―――――――子供の頃に、そう決めた。


貴族は平民を見下す。

それは全くもって誉められた行為ではないけれど、それが貴族の『負』の部分。ワタクシが貴族であろうとするならば避けては通れない道。

だからワタクシは平民を見下す。名を嫌うのをやめてからずっとそうしてきた。

妥協しない。

頂点を目指す。

その為だったら努力は惜しまず、時間を惜しまず、体力も気力も労力も心力も惜しまない。

結果友人すら出来ず恋人なんてものはもってのほかだったけれど、それも仕方ない。

別に欲しいと思ったことは無い。

必要なのは貴族としての【エリカ=リクト=ノルトライン=ヴェストファーレン】。

だからワタクシはいつものようにこの教室に居る人間を見下す。

優越感を多分に含んだ笑みで、あたかも『ワタクシとあなた達とは違う』とでも言うように。

そしていつものように様々な感情を含んだ視線を浴びるはずだった。

そしてその篭められた感情がワタクシを『貴族』にするはずだった。



――――――――――――でも、違った。



女の子三人と軽薄そうな金髪の男はどんな顔をしていたのか判らない。なぜなら最初にみた黒髪の男の表情を見て、すぐにワタクシが前に歩き始めてしまったから。

あの男はボケーっとしていた。右手で頬杖をつき、目を細めてこちらを見ていた。

その表情を怪訝に思ったワタクシは自然と笑みが消えたのが判った。もしかしたら睨んでしまっていたかもしれない。ワタクシは正面を見て先生のほうに近づいてマントを受け取り着用した。


 ……何故あの男はワタクシの名前を聞いてあの表情でしたの………?


検査の最中ずっとそう考えつづけていた。

結果、ワタクシの色は灰色。それもさっきの女の子よりも色が濃かった。そのことで自分がほっとするのが判る。そして安堵の表情を見られないように席に着いてから外の風景を眺め始めた。

次はあの軽薄そうな男、色はワタクシと同じくらい。あんな男と魔力量が変わらないという事実と、男が微妙に悔しそうだったのが再び癪に障った。


次は女の子。最初の二人の女の子があの子に声をかけているところを見ると、どうやらトモダチ同士らしい。

結果は薄い灰色。あの女の子二人と同じ位の色だった。勝ててほっとした。


 「はい、じゃあ最後ね。【ショウ=クロノ】君……ってなによその目は。わ、私を脅したってこのマントはあげないわよ!」

 あの教師は一体何を言っているのでしょう。何も聞いていなかったから話が読めませんわ。


黒い髪の男が溜息をつきながら立ち上がる。ワタクシの名前を聞いても驚かなかったと言う事はもしかしたらあの男も貴族なのかとも思ったが、名前からしてどうやら違うらしい。【クロノ】という姓にも聞き覚えが無い。

ショウ=クロノは先生から何か耳打ちされてから自分のマントを外し始めた。でもあの男は『あれ?くそ、なんだこれ』と言いながらマントを外すのに悪戦苦闘している。

 「何をやってるのよ。ほら、見せてみなさい」

 「いやだ!自分でやるんだ!」

 「あんまり無理矢理やると留め具が壊れるわよ」

 「む、それは不味い。さであらばお願い致す」

 「まったく………あら?どうなってるのこれ…………えいや!」   ブチッ

 「ウヲイッッ!!今変な音がしたぞ!!」

 「や、やぁねぇ。気のせいよ気のせい。ほら、さっさとこっちの白いほうをつけなさい」


 …………下らない。


その後もまた下らないやり取りが続く。聞く必要性が見受けられなかったので内容は記憶に残っていない。

教師が石を取り出す。今までのものよりも大きいけれど、投げつけられるのはワタクシではないからどうでも良い。

 「じゃあ3・2・1・0で投げるから」

 「よし来い」

 「さぁ~ん、にぃ~ぃぃい!!」  ビュン!!!   ガキィィン!!!



――――――――その瞬間、目を疑った。



信じられなかった。

先生が石を投げつけ、あの男の前に現れたのは黒い壁。まるであの空間から光がなくなったかのようだった。

ただワタクシよりも色が濃かっただけじゃない。推測するに何倍もだ。

何度も何度も先生が手当たり次第に物を投げつけるが、その度にあの黒い壁が現れる。

 目の錯覚では………ありませんのね……………。

ワタクシは自分の魔力量の何倍もの魔力を保有している人間が居るということを目の当たりにして、『あの男に負けた』という感情すら湧いてこなかった。

そのときばかりは『貴族らしく』なんていつもの考えなんてものも無く、ただただ呆然とあの男を見ていた。







 「………ん」

ゆっくりと目を開けるとそこにはまだ見慣れない部屋の天井。どうやら眠ってしまっていたらしい。うつ伏せで眠ったはずなのに仰向けで目覚めたことが少しだけおかしかった。

 「ふぅ、今何時でしょう……」

どれくらいの時間眠ってしまったのだろうか。

そう思って枕もとの時計を見ようとすると、扉からコンコンコンという音が聞こえた。


 ……ノック?誰かしら……。

殆どの人間がワタクシとは一線を引いている為、部屋に来客なんて寮に入る前でも後でもめったに無い。訝しがりながら扉に向かう。

 「はい、どなた?」

扉を開くとそこには先程まで一緒にいた女の子のうちの一人が、ニコニコと微笑んでいた。

 「こんばんはエリカ。突然だけどさ、一緒にご飯を食べに行かない?ボク達だけじゃなんとなく心細くて」

 この子は確か………【アキラ=ホウジョウ】さん、でしたっけ?

 「ワタクシと、ですか?」

 「こんなところに来て、他に誰が居るのさ」

そう言ってホウジョ………ア、アキラはクスクスと笑う。ワタクシの笑い方とは違ってとても爽やかな、見る者に不快感を与えない笑みだ。

 「それとも、嫌かな?」

 「いえ、そういうわけではありませんが…」

………嫌じゃない。ただワタクシを『ワタクシ』だと知って尚、食事に誘う人が居るとは思えなくて驚いただけ。

 帰宅中にも感じましたがどうやらワタクシが自己紹介した時の態度は演技じゃなかったようですわね。

 「じゃあ行こ!楓とあすかも先に食堂に行ってるからさ!」

 「ち、ちょっと!!」

そういってアキラはワタクシの手を掴む。他人の手の感触は久しぶりだ。

 「そんなに焦らずとも料理は無くなったりしませんわよ」

 「いいのいいの。今日はお腹空いちゃったから早く食べたいの!」

 ……もう、廊下を走るなんて貴族たるもの決してしてはならないものですのに。

そう思いながらも、ワタクシの足は止まらなかった。



 「アキラちゃーん、エリカちゃーん! こっちこっちーー!」

【アスカ=ヒナタ】がブンブンと手を振りながら大声でワタクシ達の名前を呼ぶ。その横では【カエデ=アキヅキ】が周囲の視線を受けて恥ずかしそうにしている。一方でワタクシも恥ずかしい思いをしている。気にしていないのはヒナ……アスカとアキラだけ。

 「よかったーエリカちゃんも来てくれて!わたし達だけだと心細かったんだよぅ」

 「いえ、こちらこそお招きいただいて感謝していますわ」

アキラの微笑みを思い出しながら、アスカの言葉にワタクシも笑って定例句を返す。

………本心でもあった。


席について献立を見つつウェイターを呼び、特にこだわりは無いので適当に目に付いた料理を選んで注文する。アスカ達も同じように注文した……のだが。

その際、三人は狼狽……という程でもないが、何かに驚いたようであり、それが少し気になった。

 「どうかしまして?」

 「え?ううん、なんでもないよ。寮の食堂にウェイターさんがいるのに驚いただけ」

そう答えたのはアスカだったけれど他の二人も同じ事を思ったらしい。

ワタクシにとって食事をする所にウェイターなんて居るのが常識だが、アスカ達にとってはそうではないらしい。別に驕るつもりはないけれどそれが貴族とそうではない人間との差なのかもしれない。


 『お待たせしました』


そう作業的に言いながら、ウェイターがカタカタとワタクシ達が注文した料理を置いていく。

 ……え?8、皿……?

 ……え?その内の5皿がアスカの元に……?

 ……え?どうして他の二人は平然と……?

 いえ、アスカがどれだけの量を食べようとワタクシには関係ありませんわ。ええ、後々になって後悔するでしょうが。主に体重的な意味で。


 「「「いただきます」」」

 …………あら?

 「その『いただきます』という言葉はどういう意味があるんですの?」

 「え、あ、その、えっと……私達の国では食べる前にこの言葉を言う習慣があるんです。料理になった動植物や調理してくれた人への感謝の言葉なんですよ」

ワタクシの質問に答えてくれたのはふんわりと笑ったカエデだった。ただ最初が妙にぎこちなかったのが不思議だ。

 「へぇ、初めて知りましたわ。あなた達はどの辺りの地方からいらっしゃったんですの?」

 ワタクシの名前を聞いても驚かなかったという事はかなり遠いところからいらっしゃったのでしょう。

そう思っての質問だったのだけれど、どういうわけか三人とも答え辛そうにしている。

 ………それほど言いにくい質問でしたかしら?

 「いえ、別に無理しておっしゃらなくても宜しいですわよ?」

 「あぅ、ゴメンねエリカちゃん。翔ちゃんと相談しないとわたし達のことを何処まで話していいのかわかんなくて…」

 ショウチャン?………ショウ=クロノのことでしょうか。あの無礼な黒髪の。

 「何故ですの?あなた達の事ですのに」

 「う~ん、ボク達はちょっと特殊っていうかなんというか…」

 「どうする?楓ちゃん」

 「そう、ですね……デラクールさんに話した事なら大丈夫だとは思いますけど」

 なにやら深い事情でもおありなのかしら。

ワタクシは食事の手を休めて三人の話に聞き入った。

 「えっとさぁ、信じてくれないかもしれないんだけど…」

 「ワタクシは理由もなく人を疑ったりはしませんわよ」

 「そっか、そう言ってくれるとこっちもありがたいんだけどね。ボク達はその…記憶喪失ってやつなんだよ」

 ……………?

 「キオクソウシツ、ですの?」

 「うん。ボクと楓とあすかと翔が」

 ……さっきまで目の前で笑っていた三人を見ているから俄かに信じがたいですけれど、先程ワタクシ自身『あなたたちを信じます』という意味の言葉を言ってしまいましたし、なによりもしその話が真実ならばワタクシのことを知らないのも頷けますわね……。

 「気付いたらあの原っぱ、獣ヶ原って言ったっけ?あそこにボク達四人とも居たんだよ」

 「獣ヶ原って…そんな危険なところに?」

 「うん。フラーさんにも驚かれたけど、わたし達って結構危なかったんだねぇ~」

 「幸い魔物や獣に出会わずに何とかあのナルシェって言う町まで行ったんです。そこでデラクールさんにお会いしまして、行くところが無いならこの学校に来ないかと言われたんです。それが昨日なんですよ」

 な、中々に急な展開でしたのね。

 「それにしてはあなた達三人、いえ、あのショウ=クロノという男も含めて記憶喪失なのでしょう?よくこの短時間で仲良くなれますのね」

 「あー……それはあれ、なんとなくボク達が元々友達だって事は覚えてるの。わかんないのは…えっと……なんであの原っぱにいたかってこととか、この世界の事とか、魔術のこととかなんだよ。ね?楓」

 「えー…概ねそうですね」

 ……何かを隠しておりますわね。

 まあ、別に構いませんが。人には隠したい事の一つや二つはあるでしょうし、何より今日初めて会ったワタクシが根掘り葉掘り聞くのもおかしいですし。

 「それにしても、なんとも微妙な記憶喪失もあったものですわね。自分の名前や年齢などは覚えているのでしょう?」

 「うん、その辺はわかるよ。あとは文字とかも」

 「この国のことなどはどうですの?」

 「文化や常識なんかは殆ど覚えていませんね。事実、魔術のことや魔物のことはなにも知りませんでした」


『……そうですの』と一言言ってこの話しを切り上げ、再び食事に戻りながら考える。

………名前、年齢、交友関係などは覚えているのにも関わらず、この世界の常識がわからない?それも誰か一人だけわからないと言う事ではなく、四人とも?


―――それは確実におかしい。そんな事は普通に考えてありえない。


一般に『記憶喪失』と言えばむしろアキラ達が覚えていると言った、自分の事や人間関係などを忘れる筈だ。それに本当に記憶喪失ならば多少なりとも喪失した記憶を思い出そうと躍起になったり、思い出せないことに焦りを見出す筈。


――――――でもこの三人を見るとそうは思えない。


例えば、三人が選んだ料理はこの国でも一般的な家庭料理で、ワタクシ達の年代でそれを見たことも聞いたこともない人間なんて早々居ないだろう。にもかかわらず目の前の料理を見る三人の目は『見たことの無いものを見る目』。決して『どこかで見たことある物を見て何かを思い出そうとしている目』ではなかった。


ワタクシの訝しげな表情に気付いたのか、カエデがさりげなく、それでいて露骨に視線を逸らした。

カエデはあの説明でワタクシを納得させる事なんて出来ない事に気付いているのだろう。そしてすべてを正直に話す事が出来ないのを申し訳なく思っているのだろう。

 ……まぁいいですわ、今はコレで。あちらにも理由があるのでしょうし、むしろ会って間もないのにいきなり重い話をされても困り物ですし。今は会話を楽しみましょう。


………それに。

―――――もしかしたらこの人達となら、友達と呼べる存在になってもらえるのかもしれない。

『貴族』や『平民』等と言う下らない括りからワタクシを開放してくれるのかもしれない。

初めて他人と一緒に居て、楽しいと思わせてくれるのかもしれない。



――――考えすぎですわね。


 「あ、そういえばエリカちゃん、さっきはゴメンねぇ」

 「なにがですの?」

 「ほら、葉っぱをかけられたでしょ?」

 ………そうでしたわ。どうして今まで忘れていたのか判りませんが、とにかく思い出しました。

ワタクシはあの男達に大量の葉っぱをかけられた。あの最っ高に煩わしい二人の笑顔が今も脳裏に焼きついている。あのような行為をされたのは生まれて初めてだ。

しかしその腸が煮え繰り返りそうな思いを押し隠した。お父様が『貴族はどんな時でも優雅たれ』と言っていたのを思い出す。

 「どうしてアスカが謝りますの?悪いのはあの男でしょう?」

 そうですわ、あの男ですわ!ワタクシには判りますけれど、確実にあのショウ=クロノが主犯に決まっています!かといってあの軽薄そうな男に罪がないなんてことはありませんが!!

 ……いけませんワタクシ、落ち着きなさい。優雅優雅。

 「翔っていっつも悪戯をするんだよねぇ。多分エリカはボク達に巻き込まれただけなんだろうしさ、だからボク達も申し訳ないなぁって思ってたの。それに……」

 「それに……なんですの?」

 ………嫌な予感がしますわ。

 「多分エリカも翔の標的になっちゃったと思うし」

 「ど、どうしてですの?」

 「理由を訊かれるとどうにも答えようが無いんですけど、多分確実です。経験上」

 くっ……どうしてワタクシがそのような目に!鬱陶しい!!

 「……どうすればこんな状況から抜け出せますの?」

 「ぅ~多分わたし達の近くにいなきゃ大丈夫、だと思う、けど…」

 「うぅ……そんな親に捨てられた雛鳥のような目で見ないで下さいな。心配せずともあなた達と距離を取ろうなどとは思っておりませんわ」

アスカはワタクシの言葉を聴いて幾分ほっとしたような雰囲気だった。

 「さて、あなた達も食べ終わったみたいですし、そろそろ食堂をでませんこと?」

 「えぇ~、でもまだわたしはエリカちゃんとお話したいよぅ」



――――胸が、キュンとした。



 ダ、ダメダメダメダメ、女性相手にキュンとしてはいけませんわ!ワタクシは普通!!普通の女の子!!相手も女の子!!常人が1皿分食べ終える間に5皿を消化する女の子!!

 「で、でしたらワタクシの部屋に来ませんこと?そこでお話しましょう」

そんな自分と、ワタクシを不思議そうに見る三人を誤魔化しつつ、ワタクシ達は食堂を後にした。




初めての自分の部屋への招待は受け入れてもらえ、そのままの足で部屋に向かって歩き始めた。出る直前カエデにお金を払わなくていいのかと訊かれたけれど、規定内の時間であれば無料だと説明すると、三人とも感心したように頷いていた。

 「あ、そういえばさ、この寮の決まりとかってないの?何時までに寝なきゃいけないとか、何時以降は外出禁止とか」

 「そういったものは特にありませんわ。基本的に自由ですわね。仮に女子寮に男子を呼び入れようとしても許可さえ取れれば認められますし、逆もまたそうですわ。もっともそのような事をすれば他人の目に触れるでしょうから、普通は外で逢引しますわね」

 「う、うっそぉ。ボクが知ってる寮とは偉い違いだなぁ」

 「男の子を連れ込んでもいいんだね。なんかスゴイね楓ちゃん!」

 「そ、そんな話題を私に振らないで下さい!」

 ……ワタクシの話をきちんと聞いているのでしょうか?まぁいいですわ、続けましょう。

 「唯一決まっているのは寮内で他人や建物に影響を及ぼす可能性がある魔術の使用禁止くらいですわね。それに、そうは言いましても近くにしっかり魔術訓練場がありますからこの規則は要するに『暴れるな』ということですわね」


話しているうちに部屋についた。ドアを開け、三人が中に入った後自分も入り後ろ手に扉を閉める。貴族としてはあまり誉められた行為ではないけれど、そんな事を叱る人は誰も居ない。

 「わぁ、わたし達の部屋よりも広いねぇ。ベッドも大きいし!」

 「あなた達は奨学生なのでしょう?でしたらそれも仕方がありませんわ」

訊いたわけではありませんが、行くところが無くてこの学校に来たのなら間違いないだろう。

 「さて、ではお話をしますわよ!」

 「何を話すのさ」

 「決まってますわ!ショウ=クロノの悪戯を回避する方法ですわよ!」

 とりあえず今の命題はこれ以外にありませんわ!これから毎日葉っぱをかけられるなんてたまったものでは在りません!

 「とりあえずショウ=クロノに何かしらの反撃をし、二度とワタクシ達に悪戯をしないようにすることですわね」

 「あーそれは絶対にダメだよエリカ」

 「どうしてですの?」

 「『やられたら三倍返しでやり返す』っていうのが翔の信条らしいよ」

 「う……」

 なんですの!?その底意地の悪い信条は!

 「私達も同じような事を考えて一度私達から翔さんに悪戯を仕掛けたことがあるんですよ」

 「どんなことを?」

 「そんなに難しい事じゃないんです。翔さんのご飯にトウガラシ……とっても辛い調味料をかけただけの、誰でもやるようなことです。大騒ぎをする翔さんを見て、私達は手を叩きあって喜びました。『初めて私達が罠にかかる側ではなくかける側に回れた』と……」

 辛い調味料……確かにそれくらいならトモダチ同士ならば一度くらいはやるのでしょうね。………ワタクシはやったこともやられたことも在りませんけど。

 「それで、どうなったんですの?」

 「その時翔さんは笑っていたんです。それはもうにこやかに」


――――スッと、カエデの表情に陰がさした。憂いを帯びた、どこか遠くを見るような笑みだ。


 ………え?一体何が?

 「この後を話す前に一つ言っておくことがあるよ」


そして口を挟んできたアキラもまた虚空を見つめている。


 「ボク達は事あるごとに何かしらの方法で勝負をしてたの。それは試験の順位だったり簡単な遊びだったり色々だけどね。そしていつも最下位には『罰ゲーム』があったんだよ。その内容も色々あったけど、一番多いのは『一位が自分以外に、もしくはビリに一個なんでも命令』ってやつ」

 な、なんとなくこの後の想像がつきますわ……。

 「わたし達が翔ちゃんの食べ物にトウガラシを入れてからの一ヶ月間、どんな勝負であっても翔ちゃんはずっと一位だったよ」


さっきまで天真爛漫を絵にかいたような明るさだったアスカが急に家なき子のような目つきになる。


 「もしかしたらなにか翔ちゃんがイカサマをしていたのかもしれないけど、わたし達にはそれを見破れなかった。翔ちゃんはそれからずっと勝ち続けて一ヶ月ぐらい過ぎたある日、勝負の最中に『……もうそろそろいいか』って小声でボソッと言ったの。その日、翔ちゃんはようやく一位じゃなかったの」



――――この話を聞いて怯えなかったかと訊かれて、『はい』と答えれば嘘になる。


 けれど、

 「そ、それでもワタクシはあの男に復讐いたします!!」

 そう、ワタクシはただやられるだけで終わる女では在りませんわ!!

 「……そっか。がんばってねエリカちゃん」

 「……草葉の陰から応援してます」

 「……ボク達の分までお願いね」

そうぼんやりと話すワタクシの………友達。

 「な、ならあなた達はこのまま泣き寝入りしているだけで宜しいんですの?」

 「いや、そういうわけじゃないけどね……もうボク達はただ草をかけられただけじゃ仕返しする気が起きないだけだよ。多分明日も翔に一言だけ言って終わりさ」

 「そうですね、もう慣れちゃいましたから」

 「あははは………はぁ」

 ……心を根元からヘシ折られていますわね……。

 いえ、ですがワタクシは例え一人でもやり遂げて見せますわ!!


そう心に誓ってこの話を切り上げて会話を好きな食べ物やらお店の場所やら他愛の無いものへと移し、話が途切れる事無く夜は更けていった。他愛も無いとは言っても、ワタクシにとっては全部初めての経験。

同年代とこんなに会話をするのも、明日寝不足になってしまうのが判っているのに何時までも眠らなかった事も。






 あ、勿論寝る前にしっかりお風呂には入りましたわ。

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