表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/150

第72話 戦いは終わった……とカッコイイ感じで締めくくるのに憧れる

火祭ファンクラブとの騒ぎもひとまず落ち着いたところで、とりあえず食堂へやって来ました。テーブルには俺と火祭と水川が座っている。


「ごめんね。あんな騒ぎになるなんて……」

「水川は謝んなくていいよ」


まあ誰が悪いってわけでもないしね。とりあえず俺的には火祭をナデナデ出来たので大満足です。


「ところで火祭、次は準決勝だろ? 何時から?」

「えっと、あと三十分後」

「んじゃ、もうちょいのんびり出来るな。ここでまったりしていよーぜ」


最初は食堂でダラけるつもりだったからな。あ~メロンソーダが美味しい。二日連続でメロンソーダを飲もうとも味は落ちない。むしろさらに美味しくなってきた!


「君はもう競技出ないの?」

「俺? 俺はサッカー負けたし。あと一応ソフトボールのメンバーにも登録していたけど俺が出る前に負けちゃった」


サッカーの一回戦と時間帯がかぶったんだよなぁ。ソフトの方も参加したかったのに。


「それはそうと桜、三つ目のお願いは?」


えっ、それまだ続いているのかよ。


「もういいじゃん。頭ナデナデしたんだから。それで終わりでいいじゃないか」

「だ~め。自分の言葉には責任を持ちなさい。兎月が言ったんでしょ、どんな願いでも三つ叶えてやるって」


だから言ったのは水川じゃん! もう完全に忘れているよね!


「う~ん、三つ目……」


火祭もそんな真剣に悩まなくていいよ。無理難題言われても困るし。


「叶えられる願いを百個にしてもらったら?」

「子供か。そんなチートは通用しないからな」

「えー」


えー、じゃないよ。駄目だって。それ許したら何でもアリになっちゃうから。


「うーん、考えておくね」

「あんまし無茶のないように頼むわ」


簡単なやつにしてほしいものだ。


「桜、優勝したら兎月が願いを百個叶えて」

「やめろぉ水川!」











そしてあっという間にクラスマッチ閉会式。全校生徒が体育館に集合している。今からは三位までに入賞した生徒にはメダルと賞状が贈られる表彰式が行われる。ちなみにうちのクラスで入賞した奴は一人もいない。ちょっと情けないよね。俺もだけど。


「続いてサッカーの表彰です。三位、三年五組。二位、二年七組。一位、三年八組」


俺達を倒した三年七組も普通に負けたし。どーせまた負けフラグ立てたんだろうな。校長が入賞した生徒にメダルと賞状を渡す。パラパラと起こる拍手。この時間って暇だよな。知り合いが表彰されているなら見るけど、知らない奴だもんなー。暇で暇でしょうがない。


「将也、暇」


前に並ぶ米太郎も同じこと考えてたようだ。こいつと考えることがよくカブるんだよな。非常に不愉快だ。


「将也ぁ、何かしようぜ」

「何かって何だよ」

「AV女優の名前でしりとり」

「却下。気持ち悪いわ」


なんで暇つぶしでAV女優の名前でしりとりしなくちゃならんのだ。周りから引かれるわ。というかそんな発案をしたこいつにドン引き。今日はホント米太郎に引きまくりだよ。


「バドミントン個人戦。優勝、二年一組、火祭桜さん」


お、火祭の名前が呼ばれた。すげーよな、あの勢いで優勝しちゃったんだから。火祭の強さはシリアスを挟んだ後でも健在で、準決勝でも相手を圧倒。さらに決勝でも相手にほとんど点を与えることなく最強ぶりを発揮した。決勝の相手は中学で全国大会まで勝ち進んだほどの経歴を持っていたのに、火祭を前に為す術がなかった。そして火祭の優勝。水川とハイタッチを交わして喜んでいた火祭の笑顔は眩しかったよ。


「火祭ってバドミントン強かったんだなー」


米太郎が感心したように呟く。


「火祭は運動神経が良いからな。たぶんどのスポーツも器用にこなすと思うぞ」

「へぇ、夜のスポーツも?」

「お前マジで黙ってろ! さっきのAV女優に話もっていかれてんだよ!」


こいつって下ネタと野菜の話しかしないよな! ネタの引き出しが少ないし面白くないし! っ、と馬鹿な米太郎はほっといて。知り合いが表彰されるのは是非とも見ておきたいな。ステージに上がる火祭。最大級の拍手を持って称えようではないか。まだ火祭のことを良くない目で見ている人も絶対にいる。それは仕方ないと思う。だけどこうやって火祭が活躍することで少しでもその人数が減っていけばいいなと俺は願うわけで、つーわけで全力で拍手してやる。手が痺れるくらい叩いてやるぜ。


「火祭 桜。はい、『ら』から」

「だからしりとりしないっつーの! あと火祭をAV女優扱いするな! それはマジで許さないぞ、おらコラァ!」


米太郎の胸倉を掴もうとしたら逆に俺の胸倉が掴まれた。んだよ、やんのかコラァ。上等だコラァ。コアラァのマーチ。思いきり睨んでやろうとしたら……俺を掴んだのは米太郎ではなく、うちのクラスの担任だった。目がめっさ怖い。あれれ、どうして担任がここに? なんか俺達やらかしました? あ~、うるさいとか。うーん、そうですか。そ、そうなので、すね……あー、やってしまった。


「佐々木、兎月。ちょっと外に出ようか」


そのまま俺とエロ太郎は強制退場。あ、火祭の表彰されるところ見れないや。でも外からでも拍手は出来る! 鳴り響け俺の賛辞!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ