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第7話 誘拐とミッション

春日誘拐編です。

え、嘘。春日が誘拐された? いやいや、そんなわけ……でも今のはどう見ても………誘拐!? マジで?


「うわ~…生で見たの初めて……じゃなくて」


おいおい、どうするよ。警察に通報? なんて言えばいいんだ? 同級生が誘拐されて……えっと………なんか黒ずくめの男達が現れて変な薬を飲まされたら体が小さくなって……じゃなくて! あああぁっ、誰か助け………いや、待てよ?


「春日はお嬢様。今のはお迎えの車だったりして」


有り得る話だ。よくある話じゃないか、お城のような豪邸に住む金持ちの子供が高級車で送り迎えされることなんて。日曜日の六時頃によく見かけるよ。うん、それなら一安心。じゃあ帰りましょうかね。


「って春日に鞄返してねーや」


鞄を受け取らずに帰るなんて春日もおっちょこちょいだな、はははっ………はは……いやいや、これ………やっぱり誘拐じゃね!? なんとなくだけど誘拐っぽいぞ。あの時一瞬だけ空気がシリアスになったもん。


「とりあえず真相を確かめなくては」


ここに春日の鞄がある。もしかしたら鞄の中に……お、


「ありました携帯電話」


良かった、春日の携帯がありましたよ。早速パカッと開く。それはつまりプライバシーの侵害。すいません春日さん。そして電話帳の『父親』のところでボタンをプッシュ。父親なら送迎をしているかどうか知っているだろ。……でも確か社長だっけ? 忙しくて娘なんかの電話には出られないかも。


『プルルルル…プルルもしもし恵? パパに何か用かい?』


2コール目で出やがった。忙しくないのかよ社長さん。


「あ、僕は」

『誰だ貴様っ! この携帯は恵のだぞ! 今すぐ消え失せろ!』


うわ、うるせー。なかなか気性が荒いようで。いきなり大声出すから耳がキーンってしたよ。キーンってなったの初めて。よくある感じで耳から携帯を遠ざける。


「す、すいません。僕、恵さんの同級生なんですが確認したいことがありまして。恵さんって車の送迎とかしているんですか?」

『なぜそんなことを貴様に言わなくてはならんのだ。いいから早く恵に代われ』

「それが恵さん、さきほど黒いスーツの男達に捕まってどこかに連れていかれましたよ」

『ぬああぁぁにいぃぃ!?』


だから声デカイっての! 山倉かよ。あ、山倉ってのは同じ部活の同級生ね。そいつも声デカイから。


「あの、恵さんに車の送迎は……」

『していない! 恵が嫌だと言ったからな』


へぇ、そうなんだ。ってことは……


「じゃあ、やっぱりさっきのは誘拐だったんですねぇ」

『しみじみ言うなこのボケェ! 貴様は何をやってたんだぁ!』

「あ、あまりに突然のことだったので……」

『とにかくお前は今すぐ車を追いかけろ! 携帯のGPSで居場所が分かる。お前が恵にたどり着いたら私にもう一度電話しろ』

「はい? いやいや、そんなミッション急に言われてましても……」

『いいからやれ! もし恵の身に何かあったらパパは…パパは……パパはもう生きてい』


ピッ

会話終了。うるさくて最後まで聞いてられるか。……さて、どうする? 誘拐された少女、それは春日。俺を下僕扱いし、使い走りとしてこき使う悪魔のような女。そんな奴の為に俺が頑張る必要があるのか? 警察に通報して適当にあしらうのが一番楽だ。俺がわざわざ誘拐犯を追いかける必要があるか? ……そんなの答えは決まっている。


「大ありだ。春日であろうと誰であろうと助ける。当たり前のことじゃないか!」


待ってろ春日、今助けに行くからな!

………ところであの車、どっちの方向に行ったっけ?



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