表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『すみません...弾代って学費に含まれますか?』 ~ドケチな新入生、学園の宇宙を「コスパ最強」で無双する~  作者: 染抜き
1.入学試験編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/6

閑話:教官たちの憂鬱な午後

セレスタ学園、中央管理棟にある大会議室。 円卓を囲むようにして、数十名の教官たちが深刻な顔で座っていた。部屋には重苦しい空気が漂っているが、上座だけはまるで宴会場のような騒がしさだった。


「ガハハハハハ!! 99機撃墜だと!? 傑作じゃねぇか!!」


机にドカッと足を乗せ、葉巻をくゆらせながら大笑いしているのは、この学園の学長、ゲオルグ。 白髪のオールバックに眼帯をした、海賊のような風貌の巨漢だ。かつて銀河大戦で『雷神』と呼ばれた英雄でもあるが、今はただのエロ親父にしか見えない。


「いやぁ、今年の新入生は活きがいいのぉ! エレーナちゃんのお尻くらいパンと張ってて最高じゃ!」 「...学長。セクハラで訴えますよ」


戦術教官のエレーナが、氷点下の視線で学長を睨む。 その隣で、実技担当のオットー・ワグナーは胃薬を握りしめながら、必死に会議を進行しようとしていた。


「が、学長! 笑い事ではありません! 今議論すべきなのは、この1位の少年のことです!」


オットーが空中モニターを指差す。


「彼のデータは異常です。出身地『軍事惑星』以外、すべてが空白。出生記録も家族構成もない。まるで幽霊です」


「ふむ? 幽霊にしては派手に暴れたもんじゃないか」


「そこなんです!」


「これほどの腕を持ちながら、過去の記録が一切ない!」


「だが、何もわからなかったわけでもなっかたと?」


「はい。一つだけ手がかりがありました」


オットーが声を潜め、周囲の教官たちを見渡す。


「彼の『学費』です。セレスタの学費は個人で払うとなると高額です。特にこの聖アストライア学園は特に...。ですが彼はそれを一括で納入しています。」


「振込の名義は?あの少年が払える金額でもなかろう」


「それが...振込名義は『匿名希望』の軍特別口座からでした」


会議室がざわめく。 軍の特別口座。それは、一般兵士が使えるものではない。


「IDを照会しようとしましたが、特級機密で弾かれました。こんな権限を持てるのは、現役の将軍クラスか、あるいは...『対戦の英雄』くらいです」


「まさ...セラ・ヴィクトリアか!?」


B組の教官が息を呑んだ。


「まさか、こいつは『あの戦争』を生き残った英雄の隠し子か? あるいは、秘密裏に育てられた『最後の弟子』とでも言うのか?」


得体の知れない少年、レイ。 圧倒的な戦闘スキル。空白の経歴。そして、背後に見え隠れする英雄の影。 教官たちの顔色が青ざめていく。スパイか、それとも軍が極秘に送り込んだ兵器か。


「オットー君よ」


不意に、ゲオルグ学長が大きなあくびを噛み殺しながら言った。


「お前ら、難しく考えすぎなんだよ。眉間にシワ寄せてるとハゲるぞ?」


「ハゲてません! ですが学長、これは学園の安全に関わる問題で」


「ふん!だからハゲるのだ。この学園が掲げているのはなんだ?」


「『この学園では実力がすべて……すべては自らの実力で決まる』」


「そう!実力がすべて!」


「金払って試験に受かったなら、もうそいつは『生徒』じゃ」


学長はニカっと笑い、エレーナの腰あたりをいやらしく眺めながら、豪快に言い放った。


「英雄の弟子だろうが、宇宙人の手先だろうが構わん! どうせ学園生活が始まれば、化けの皮なんてすぐ剥がれるわい」


「は、はぁ...」


「あいつがどんな性格で、どんな人柄で、どんだけスケベか! 一緒に飯食って、喧嘩して、風呂に入ればいずれ分かることだろ? ガハハハ! 大丈夫さ!」


根拠のない自信。だが、かつての英雄にそう言われると、反論できない迫力があった。


「それより、問題はクラス分けだ。……オットー、例の『劇薬リスト』を見せてみろ」


エレーナが、ため息交じりにリストを表示する。


「2位、世間知らずの貴族のアーサー・バリテン。3位、食料庫荒らしのメイリン・シェン。犬猿の仲の4位、雪乃・スメラギと5位、カチューシャ・オルロワ。...他にも、サンバ馬鹿に、ハンバーガー中毒に、居眠り常習犯……」


学長がリストを見て、さらに声を荒げて笑った。


「ガハハ!最高じゃねぇか! よし、決めた!」


バン! と机を叩く。


「今年は筆記の試験結果は無視だ!実技試験の上から24人全員、A組にぶち込め!」


「「「「えぇぇぇぇぇ!!!」」」」


「毒を以て毒を制す!混ぜるな危険を全部混ぜる!劇物は劇物同士を混ぜた方がうまくいく !」


「「「「....」」」」


「担任はお前だ、オットー! 胃に穴が開く前に、若者たちから精気を吸い取るんだな! ガハハハハ!」


こうして、教官たちの不安と、学長の無責任な高笑いの中、学園史上最もカオスでブラックホールよりも混沌と言われた史上最強の「第541期・A組」の編成が決定した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ