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『すみません...弾代って学費に含まれますか?』 ~ドケチな新入生、学園の宇宙を「コスパ最強」で無双する~  作者: 染抜き
学園編

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第18話 エリートとエース

閲覧していただきありがとうございます。

ズババババババッ!!


エリートの単眼と流線型の体表から乱射される、馬鹿みたいな量のレーザー。さらに、切り離された装甲の一部が無数の有機ミサイルとなって殺到してくる。


「ソフィア、アルテミス! 弾幕とあの鬱陶しい有機ミサイルの群れを掃討して、俺の突入ルートをこじ開けろ! 奴の懐に潜り込む!」


僕の指示に、後方で待機していた二人が即座に応えた。


『ん。マカロンのルート、確保する』

『ホールケーキの道、開く』


アルテミスの遠隔武装が放つ無数のビームが、飛来する有機ミサイルを次々と正確に撃ち落としていく。そこへソフィアのマイクロミサイルがばら撒かれ、エリートの弾幕と正面から激突して巨大な爆炎の壁を作り出した。


「上出来だ! あとは俺が美味しくいただく!」


二人の完璧な掃討によって生まれた一瞬の「空白」。僕はその隙を見逃さず、愛機レイヴンのスラスターを限界まで吹かした。

弾幕の薄くなった空間を弾丸のように駆け抜け、一気にエリートの懐へと飛び込む。そして、そのまま流線型の巨大な身体の真後ろ――完全な死角となる背中側にピタリと張り付いた。


『お菓子の人、近すぎ。巻き込んじゃうから、私たちの支援はここまで』

『あとはお願い。私たち、持ち込んだマカロンの箱を開けるから』


エリートに密着した僕を誤射するのを避けるため、アルテミスとソフィアはあっさりと戦闘を放棄し、優雅なもぐもぐタイムへと戻っていった。


「ああ、ゆっくり味わってろ。...さて、ここからが本番だ」


背後に張り付かれたエリートは、激しく身体をよじらせて僕を振り払おうとした。

背中の有機的な外殻が蠢き、そこから鋭利な槍のような触手が何十本も飛び出してくる。四方八方から僕の機体をだるま落としのように串刺しにしようと襲い掛かってきた。


「威勢がいいな。だが、大振りすぎるぞ!」


僕は機体の黒い装甲を走る光子ラインからエネルギーを収束させ、即席の光子銃を形成する。

戦闘機ならではの鋭いロールとヨーイングで触手の隙間を縫いながら、光子ラインから放たれる光弾を至近距離で連射し、迫り来る触手の先端を次々と粉砕していく。


「ほら、右が留守だ! 自分の背中くらい自分で守ってみせろ!」


物理的な迎撃が通じないと悟ったエリートは、今度は背中の装甲をさらに広範囲にパージした。


剥がれ落ちた無数の装甲片は、宇宙空間で変異し、それぞれが独立した『有機砲台』へと姿を変えた。それらが僕のレイヴンを取り囲むように展開し、全方位から極太のレーザーによる十字砲火を浴びせてくる。


「オールレンジ攻撃か! ならばッ!」


僕はメインスラスターを一瞬だけ逆噴射し、あえてエリートの背中の装甲スレスレまで急降下した。


「射線が見え見えなんだよ! お前、自分の背中を焼いてるぞ!」


僕を狙って撃たれた有機砲台のレーザー群は、僕が神回避で避けたことで、エリート自身の背中に深々と突き刺さる。自爆覚悟の同志討ちを誘発させ、砲台の数を一気に減らしていく。


「遅い、遅いな! 軍事惑星で戦った奴らのオールレンジ攻撃は、もっと速くて嫌らしかったぞ! お前のはただの力任せだ!」


僕の挑発が通じたのか、苛立ちを強めたエリートは、直後、背中の有機装甲を波打たせ、無数のグロテスクな射出口をぱっくりと開いた。

そこから、脈打つような肉塊――『生体追尾ミサイル』が、数百発という規模で一斉に射出される。


背後というゼロ距離から放たれる、回避不能の飽和攻撃。

一発一発が星翼の装甲を容易く消し飛ばす威力を秘めた生体弾頭が、不規則な軌道を描きながら、執拗に僕の機体の熱源を追尾してくる。


「弾幕の密度は評価してやるが...誘導が甘いな!」


僕はスロットルと操縦桿を限界まで倒し込み、弾幕の嵐の中を踊るように駆け抜けた。

追尾してくる生体ミサイル同士をすれ違いざまに衝突させて誘爆させ、背後から迫る弾頭は、エリートの背中の突起物を盾にして防ぐ。

宇宙空間に無数の爆炎が咲き乱れ、強烈な衝撃波がレイヴンの機体を揺さぶる。


「チッ、爆風で機体がブレる! だが、この程度の揺れ、整備不良のポンコツに乗らされていた時代に比べれば可愛いもんだ!」


軍用戦闘機の限界を引き出す操縦技術で、漆黒の装甲には掠り傷一つ付けさせない。

ふと後方モニターを見ると、僕のすぐ後ろにはロレンツォが寝ながら完璧に張り付いている。

ゼロ距離からのミサイルの雨と爆風の渦の中を、完全に熟睡したまま寸分違わず追従してくるのだから、あいつの無意識のセンスは本当に意味がわからない。


焦りを見せ始めたエリートは、ついに周囲に浮かぶ巨大な岩塊デブリ群へと突っ込んだ。

岩と岩の極めて狭い隙間を猛スピードで縫うように飛び、自らの背中を岩肌に擦り付けて僕をすり潰そうという荒々しい機動だ。


「おっと、岩肌に擦り付ける気か? 傷がついて特大結晶体の査定が落ちたらどうしてくれる! 俺のボーナスを丁寧に扱え!」


僕は機体を90度ロールさせ、岩肌とエリートの装甲のわずか数メートルの隙間を涼しい顔ですり抜けていく。


エリートからすれば、自分の背中に二つの得体の知れない小バエが、いくら触手で叩き落とそうとしても、自爆覚悟のレーザーを撃っても、至近距離からミサイルの雨を降らせても、岩に擦り付けようとしても、絶対に離れずに張り付いているようなものだろう。


数分にわたる激しい死闘の末、エリートの動きに明確な変化が生まれた。


『ギュィィィィンッ!』


エリートの単眼が恐慌をきたしたように明滅し、後部の生物的なスラスターから噴き出す紫色の粒子が爆発的に膨れ上がった。


攻撃をやめたのだ。

何をしても絶対に離れない背後の異物に対し、この本能の塊のような宇宙怪獣は、明確な恐怖を抱いたらしい。

エリートは僕を振り払うのを諦め、廃施設のさらに奥、暗礁宙域の深淵へと向かって全速力で逃走を開始した。


「逃げる? そうはいかないな。お前を倒せば、残高を気にせず好きなものが買い放題になるんだよ!」


みすみす人生を変えるレベルの特大ボーナスを逃がす手はない。

僕はレイヴンのエネルギーバイパスを切り替え、全出力を装甲の『光子ライン』へと回した。


「光子ブレード、展開!」


機体の黒い装甲を這う青白い光子ラインが、眩いほどの輝きを放つ。

ラインから溢れ出した莫大なエネルギーが機体全体を包み込み、宇宙戦闘機レイヴンそのものを巨大で鋭利な『光子ブレード』へと変貌させた。


「俺の口座に振り込まれろッ!! ボーナス一括払いだ、消し飛べェェッ!!」


僕は逃走を図るエリートの背中に向けて、レイヴンのメインスラスターを最後の一滴まで爆発させた。

超加速の勢いをそのまま機体全体を覆う光の刃に乗せ、エリートの背後から脳天――巨大な単眼のど真ん中へ向けて、一直線に突撃する。


ズバァァァァァァァァァンッ!!!!


硬い、という手応えは一瞬だった。

最大出力の光子ブレードと化したレイヴンは、エリートの分厚い有機装甲をバターのように溶かし斬り、その流線型の巨体を文字通り真っ二つに一刀両断して突き抜けた。


「ふぅ」


真っ二つに裂けたエリートの巨体は、爆発することなく、その輪郭を急速に透き通らせていく。

そして数秒後。

そこには、僕の乗る星翼と同じくらい――いや、それ以上に巨大で、眩いほどの紫色の光を放つ特大の結晶体がぽつんと浮かんでいた。


レーダーから、エリートの反応が完全に消滅する。


『なっ、エリート個体が...たった一機の学生に、一刀両断された...!?』


『馬鹿な!信じられん! 正規軍でさえ、エリート1体を討伐するには最低でも1個師団と複数の戦艦による砲火支援が必要なんだぞ!? それを、たった1機で!?』


広域通信越しに、状況を見守っていた護衛艦のプロ軍人たちや、オットー教官の呆然とした声が聞こえてくる。


だが、そんな外野の驚愕など今の僕にはどうでもよかった。

目の前に浮かぶ、宝石のように輝く超巨大な結晶体。


「...やった。このサイズなら、討伐スコアを換金すれば口座の残高の桁が爆発するぞ...!」


これで高価な食材も買い放題だし、当分はクレジットの残高を気にせず買い物ができる。夢の成金ライフにまた一歩近づくのだった。

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