表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

第二話

とんでもないことになってしまった……。




「ベッカのレオン・バルディアと結婚します!!!」


酒場に響き渡る悲鳴にも似た叫び。

そう、酔った私の声だ。


「おいっ!セリス・アルメリアが結婚するんだってよ!」


「誰だ?レオンって知ってるか?」


「ベッカってあの新興農村地域だろ?知るわけないだろ。」


「でも、あのセリス・アルメリアが叫ぶくらいだから、相当な奴なんじゃないか?」


そこからの記憶は、全くない。

叫んだ記憶もあるような、ないような……。





「あんた、またベッカに行くの!?ホント飽きないわね!」


パーティーメンバーの言葉を尻目に、私はベッカを目指す。

目的は、レオンに会いに行くため……。という名の遠くから眺める為……。

こんな感じで、毎週のようにレオンに会いに行っては、声もかけられず帰る日々を送っていた。


そう、あの叫びをするまでは……。




次の依頼はかなり危ない地域であるグレイモア。時間もかかるし、

いくつもの街を通る必要もある。

しばらくレオンに会いに行けないことが辛くて、飲みすぎてしまったのが叫びの原因だ。


幼い頃、レオンと私はご近所でよく遊んでいた。

その頃からレオン以外の男性に興味がない。

私が光属性の能力に目覚めてから、街の中央部に引っ越し、ずっと会えない日が続いたけれど

冒険者になってからは、農村で暮らしている時も、引っ越してベッカに行っても

毎週のように会いに行っていた。


恥ずかしくて、話しかけることが出来ないけれど……。


でも、いつかもう一度仲良くなって、結婚すると心に決めている。

明日からグレイモア……。切り替えないと!







「ただいま~。」


依頼を受けてから、3か月。やっと家に帰って来れた。

さっそく明日はベッカに……。


「婚約手続きしておいたわよ。」


婚約?誰の?


「お母さん、お父さんいるのに結婚するの?」


「何言ってるのよ。あなたの婚約でしょ?」


「え?誰と婚約するの?相手は?えっ?えっ?」


「バルディアさんとこの息子さんでしょ?自分で周りに言いまわっていたそうじゃない。街中の人が知っているわよ。」


記憶にない……。もしかして、あの酒場の時!!


「いや、たぶん、それ私が勝手に叫んだだけで、レオとは、もう何年も会ってません……。」


「でも結婚したいんでしょ?」


「それはしたいですが。」


「じゃあ、いいじゃない。いつしても同じよ。」


「そーいうんじゃなくて、相手の意思確認をしてないってこと!」


「そうなの?でもバルディアさん、喜んで手続きしてくれたわよ?はい、これ証拠の指輪。」


指輪を受け取る。

レオが!?私との結婚を喜んで!?


「あっ、お父さんの方ね。そういえば、本人はいなかったわね。上級司祭様がいるタイミングは少ないから、そのタイミングよ。」


やっぱり勝手に進めてる……。


「とにかく、レオに大変失礼なことをしてしまってるから、事情を説明しないと!」


「いいじゃない。結婚したいなら。」


「こんな強引にしたら、レオに嫌われちゃう。もう生きていけない……。」


奈落の底に落とされた気分だわ……。

お話も出来ないくらいなのに、結婚なんてどう説明すれば……。


「そういえば、レオ君、グレイモアに向かうってバルディアさん言ってたわね。」


グレイモアに?


「なんでも、あなたに話を聞かないと、とかなんとかで?会わなかった?」


「そんな大事なことを!先に言ってよ!」


「まだ帰ってきてないみたいね。グレイモアってそんなに遠いのかしら?」


「まって!いつ出発したの!?」


「もう2か月くらい前かしら?」


ありえない……。

グレイモアまで掛かっても10日くらい

帰るまでに1カ月もあれば十分なのに。


「レオに何かあったのかもしれない!私、グレイモアに向かう!」


「グレイモアから帰ってきたと思ったら、またグレイモアに?忙しい子ねぇ。

そのうち帰ってくるわよ。」


「グレイモアの街は治安も保っているけど、外はとても危険なところなの!

レオに何かあったら、私の責任だ……。」


直ぐに身支度を整えると、家を飛び出し

酒場に居たパーティーメンバーにグレイモアに向かうことと

しばらく休むことを伝え、その足でグレイモアへ向かった。


もしレオに何かあったら、私はどうやって償えばいいのだろう……。

そんなことを考えながら、絶望に押しつぶされそうになっていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ