聖杖ルミエール・クラリオン
聖杖ルミエール・クラリオン(Lumière Clarion)
【外観】
全長:身の丈ほどの長さ(150〜180cm)、やや長め。
材質:純白の聖銀と神樹の枝を融合した芯材。根元は藤のように絡み合い、光の紋様が絶えず脈動している。
杖頭:頂部は大きな光の宝珠(聖核石)を抱く円環状の装飾。円環には6枚の小さな翼の意匠が付いており、詠唱時に光を放って羽ばたくように開く。
中段装飾:杖の軸の中ほどに小さな鐘があり、魔力を放つたびに清らかな澄んだ音が響く。
先端:杖の底には神獣の角を削った尖端。地面に突くと結界の起点となる。
【性能・効果】
聖属性魔力の増幅・純化:
詠唱時に魔力を無駄なく聖属性へ転換するため、通常の錫杖の数十倍の魔力効率を持つ。
審判の共鳴:
聖女の声が杖を通じて天界に届き、熾天使たちの権能を一時的に地上に降ろすことができる。
結界展開機能:
杖を大地に突き立てることで、大聖域結界を即座に展開。味方の回復強化、穢れの無力化などを自動で行う。
祈りの鐘:
杖の鐘が鳴ることで味方に祝福効果、悪性存在にとっては拷問の如き浄化音波となる。
【特記事項】
選ばれし者のみ使用可能:
ルミエール・クラリオンは聖女エレノーラの魂と共鳴しているため、他者には持ち上げることすらできない。
封印解除機構:
普段は力を抑えているが、命を懸ける覚悟の時だけ《熾天解放》を杖が許し、超高位魔法が行使可能になる。
戦場で杖を突き立てると、封印が一時的に解放され、杖頭の翼が大きく広がり、熾天使の幻影が背後に現れる。
鐘が鳴り響き、敵にとっては煉獄の鐘声、味方にとっては祝福の調べとなる。
【伝承・由来】
この錫杖は元々、数万年前に存在した「最初の聖女」によって作られたとされます。
当時、世界は〈奈落の災厄〉と呼ばれる魔族と瘴気に覆われており、最初の聖女は大樹の聖域で神々と契約を結び、世界を清めるための依代としてこの杖を作り出しました。
伝説では、
・杖の芯材は「天恵の神樹」の枝。これは神が落とした一片であり、常に聖なる生命力を生み出す。
・外装は「聖銀鉱脈」から鍛えられた純白の銀で、神々の祝福を受けて腐食も魔汚染も受けない。
最初の聖女の死後、彼女の魂の一部が杖に宿り、後継の聖女のみがその意志を継承できると言われています。
【封印の逸話】
ルミエール・クラリオンは一度、暴走の危険性を秘めていました。
最初の聖女が奈落王を浄化した際、杖の核である「聖核石」が世界の瘴気を全て吸収しようとして、自我を持ちかけたのです。
もし核が暴走すれば、周囲の生命すら聖なる光で無差別に浄化する大惨事となったでしょう。
これを防ぐため、彼女は自らの魂を一部杖に封じ、意志を留めることで核を鎮めました。
以来、この封印のため、聖杖は後継の聖女の“純粋な祈り”でしか解放できない構造になっています。
【意志】
ルミエール・クラリオンには「最初の聖女の魂の欠片」が宿っています。
それは完全な人格ではなく、使用者が祈るときにだけ心に語りかけてくる“残響”のようなものです。
この残響は使用者が道を誤りそうになると微かに警告を与えたり、極限時に使用者の精神を支えたりする存在です。
このため、杖は単なる武器ではなく、聖女が孤独にならぬように寄り添う“もう一人の自分”でもあります。
【聖核石の出自】
杖の核に埋め込まれている「聖核石」は、かつて天界の熾天使が持つ光の結晶の一片とされます。
伝承では、堕天した熾天使が地上で絶命した際、浄化の証として残した光の欠片がこの聖核石になったと言われています。
この核石は、
・汚れを寄せつけず、汚染を取り込み無に還す浄化機能
・使用者の魂と共鳴して魔力を聖なる形に純化する機能
を持ちます。
この聖核石を軸にしているからこそ、ルミエール・クラリオンは“命の杖”とも呼ばれ、浄化と破壊の両極を持つのです。