第57話 振り返り
大聖堂の仲間達との食事を終え、私は部屋で一人くつろいでいる。食卓ではいつも以上に皆で盛り上がり、笑いが絶えなかった。戻ってきて少し疲れを感じるほどだった。
エレノーラ様にこの世界に召喚されてから十七日目が終わろうとしている。前の世界と違う中世ヨーロッパのようなこの世界にもかなり慣れてきた。毎日濃い日々を過ごしていると思う。
この世界に来て三日目からスマホに日記をつけることにした。電波がないので通信はできないが、インベントリに収納していれば充電してくれると判明した。オフラインでメモ代わりの機能は使用可能だ。
ここに来てからステータスが見れるかと思ったが出てきたのはインベントリだけだった。鑑定士に鑑定してもらったが、大賢者以外の詳細は不明であった。スキル欄はどれも文字化けしていたそうだ。
だが私はもう自分のステータスを把握している。鑑定できる魔法を見つけたのだ。そしてなぜ鑑定士が私を鑑定しきれなかったかもわかっている。仮に正確にできたとしても、故障だと見なされるだろう。
あまり人に見せるものでもないし、正確でもないが、仮に設定するとすれば、私のステータスは以下のようになる。だが、これを信じる鑑定士はいないだろうし、私自身もときどきバグではないかと思う。
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タクト=ヒビヤ 二十五歳
【職 業】 大賢者
【レベル】 100(仮)
【冒険者ランク】UU
【体 力】 AA
【魔 力】 ∞
【攻撃力】 SS
【耐久力】 SS
【素早さ】 US
【知 力】 S
【幸 運】 U
【パッシブスキル】: 【聖女の呪い】、【錬金術】、【インベントリ】、【料理】、【清掃】
【アクティブスキル】: 【魔法】属性:聖・火・雷・水・氷・土・木・闇・時空・次元・無 【召喚術】超電の雷帝、イフリート、ウンディーネ、氷の女王
※ SSの次ランク⇒U
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数値ではなくランクで表記してみた。今のところ正確な数字は必要ないからだ。私がなぜメルキウスに勝てたのかもこれを知った時納得した。
ステータス的に気になるのは、∞だのUだのと並んで、体力だけはAA。これが妙にリアルで、私がまだ“人間”である証のような気がしている。前の世界でも特に鍛えていたわけではなかったからなあ。
幸運がよかったのも大きい。エレノーラ様に召喚されたことは大きな幸運だったかもしれない。まあ相変わらず鬼のノルマを課してくるが……。
【聖女の呪い】だけは、まだ本当に呪いなのか祝福なのかもわかっていない。
【錬金術】については、トイレ制作が大きかったように思う。大聖堂の各所に設置し、水と聖魔法で浄化するシステムを作った。大聖堂の皆からも好評で、使用方法もしっかり覚えてもらえた。
グレッグ達にも簡易式トイレを提供して、早速使用してもらっている。
あとは【料理】スキルが錬金術の副次的な作用で発生した。食堂の厨房に出入りする事が多くなったのが原因かもしれない。前の世界では現実で料理する事はほとんどなかった。
そしてなぜか【清掃】スキルが発生した。魔法で風呂や身の回りの掃除をするようになったからかもしれない。
この世界での暮らし方しだいで、スキルが増えるらしい。だとすれば、これから先どれだけ増えるのかは……正直、自分でも怖い。いつか“私自身が私でなくなる”気さえしている。
アクティブスキルは魔法と召喚術の二つだけ。こちらも可能性はあるが、今は魔法に専念しようと考えている。
あと、これだけは伝えておく。今の私は最強なんかではない。もっと強い存在がいる事を知っているからだ。――そんな事をおくびにも出さないあの人――彼女のように。
だから今の自分に驕ることなく、日々強くなることを怠ってはいけないのだ。明日はもっと強くなるための一日だ。
「……と、今日の分も書けたな。やっぱりここでスマホは便利だ。少しでも使えるようになったのは大きいなあ」
手慣れた指操作で書き上げてしまう。スマホをスリープ画面にしてから、そっとインベントリに収納する。その時ちょうど睡魔が襲ってくる。
「……眠い……おやすみ」
次の日に備えて灯りを消し、深い眠りに落ちていくのだった。
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ここまでお読みいただきありがとうございます!
前作、本作通じて初めてのステータス公開となります。いかがでしたでしょうか。
正直、今回の話でもやめておこうかと思っていたのですが、ここまで長くやっていてゼロっていうのもどうかという事で、やる事にしました。
振り返り自体は何度かやろうと思っています。
次回からは転移から十八日目の活動が始まります。お楽しみに。
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