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第47話 超電の雷帝①

 グレッグの先走りで十三階層の裏ボスが起動してしまう。


「グレッグ! 出していいのか?」


「え? 何のことだ?」


 どうやらグレッグは正気に戻ったようだ。目に光が戻っている。


 超電の雷帝。ライトニングホークより少し大きい身長、五~六メートルほどか。いわゆる魔人を彷彿(ほうふつ)とさせる顔と全体像。胸部や肩には稲妻が常に走る回路模様が浮かんでいる。


『我を呼び出したか冒険者達よ、我は超電の雷帝である。我を倒すことができれば報酬をくれてやろう。かかってくるがよい』


 雷帝は威厳と自信に満ちた声で私達に語る。


「これは強そうな奴が現れたな。アーノルド、行けそうか?」


「わかりません。何でグレッグは呼び出したのです?」


「俺もわからねえ。全然覚えがないんだ」


「グレッグの話が本当だとすれば、拾ったアイテムに呪いがかかっていたのかもしれないな」


「私も見てなかったし、そうかもしれないね」


 ともかく、この状況を何とかしないといけない。私達の混乱を知ってか、雷帝が高速で動き出す。


 帯電を伴う高速ラッシュが私達を襲う。アーノルドが大楯で防ぐが、耐え切れず吹き飛ばされてしまい気を失ってしまう。


「アーノルド!」


 グレッグが顔面蒼白になり叫ぶ。


「カーラ、連携行くぞ!」


「わかった」


 二人は連携して雷帝に立ち向かう。だが雷帝の磁界に巻き込まれ、速度が半減してしまう。そこを突かれて二人はそれぞれ大きな手に捕まれてしまう。


「ああっ!」


 雷帝は二人を勢いよく放り投げる。グレッグとカーラはそれぞれ壁に激突して気を失ってしまう。


 雷帝は残った私を見て得意げに語る。


『貴様ただ一人になったぞ。どうする?』


 雷帝はニヤニヤとして腕組みしている。どうやらこれまでの戦いをどこかで見ていたのかもしれない。


 私はあることを閃いた。それを雷帝に確認する。


「私はタクト。超電の雷帝、貴方に聞きたいことがある」


『何だ? 命乞いか?』


「貴方と召喚の契約は可能なのか?」


 私の問いに呆れた顔を見せ、答える。


『うむ、可能ではあるぞ。だが……』


 私はその答えに歓喜する。


「では、もし私が貴方に負ければ持っている力を貴方にあげよう。私が勝てば召喚の契約をしてほしい」


 私の言葉に雷帝は更に呆れて答える。


『よかろう。だがうぬは我に勝てると考えておるのか? 実に浅はかよのう!』


 雷帝はゲラゲラ笑いだす。私は黙って笑いを()めるまで待つ。


 やがて笑いは止まり、互いに向き合い出方を伺う形になる。


「じゃあ、始めようか」


『うむ。では参る』


 雷帝の姿が視界から消える。直後激しい音が目の前で響くと、雷帝がノックバックして吹き飛ぶ。泡を食ったような顔をして私を見ている。


 どうやら【聖女の呪い】が機能しているようだ。


『グオオオ!』


「やはり速いな。目で追えるか?」


 雷帝というだけあって光速に近い速さで動いているようだ。雷帝は攻撃パターンを変化させる。


『雷撃!!』


 辺り一帯に雷が落ちまくる。バリバリと雷鳴が激しく響き渡る。


「ふむ、なるほど」


 雷撃は私の頭上にも落ちているが、頭上で横に()れてダメージは負っていない。


『ダメージを受けていないだと……』


 雷帝の表情に焦りの色が出ている。


「どうした? もう終わりか?」


 私も別に余裕ではないが、全体的に攻撃の威力が弱いのでまだ大丈夫そうだ。雷帝は背中の雷翼を展開する。


雷翼斬(ヴォルト・ウィング)


 雷帝は私めがけて飛翔し、激しく帯電する翼をぶつけてくる。衝撃と共に目の前で翼が粉砕されていく。片翼がもがれた雷帝は空中でふらつき、地面に激突する。


『ぐがあああぁっ!』


 やはり威力はそれほどでもない。私を切断するつもりだったのかもしれないが、今の私を切るには弱すぎる。転移前の昔の私ならひとたまりもなかっただろうが。


 雷帝は起き上がり、もがれた翼を再生する。歯を食いしばりしかめた顔つきで私を見る。信じられないといった感情を表情を見て取れる。


『バカな。この私が粉砕されるだと!』


 雷帝は激昂(げきこう)する。かなり混乱しているように見える。


「力が全然足りないな。速いのはいいと思うよ。あとは魔法かな」


 私は呪文を唱える。


「『魔封じ(スペル・シール)』!」


 魔法が雷帝に発動する。雷帝は魔法詠唱を封じられて使用できなくなる。


「効くのか、意外だな」


 雷帝は私に対してひどく焦りを見せる。


『ぐぬぬ! 魔法が使えぬだと……。まあよいか。我とここまでまともに戦ったのはうぬが初めてだ』


 雷帝は両腕を横に広げ技の構えに入る。雷帝の表情が自信に満ちる。行動スピードが上がったようだ。


『これが我の最大の(わざ)だ。受けるがいい! フォトン・アーク・レクイエム!』


 フィールド全体に閃光が走る。雷帝の姿は消え、巨大な雷が私の頭上を襲う!

 

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【まめちしき】


【超電の雷帝】 ……全高約6メートルの雷を支配するヒューマノイド型魔人種で、雷光そのものと同化した存在。飛行・高速移動・瞬間詠唱・広範囲魔法を自在に操り、反応速度だけでは太刀打ちできない。戦場全体を雷雲に変える天候支配を持ち、地上も空中も安全地帯がほぼない。


雷翼斬(ヴォルト・ウィング)】……背中の雷翼を展開し、扇状に切り払う中距離攻撃。命中時、ノックバックとスキル封印効果がある。

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