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第23話 クララとのお出かけ

 翌日、朝食を終えた私はエレノーラ様から呼び出され、彼女の部屋に向かう。部屋に入るとエレノーラ様とともにいつもと雰囲気の違うクララが待っている。


「タクト、待っていましたよ。おかけになって」


 私達は席に着く。クララの衣装が気になる。特に胸が開きすぎじゃないか……。


「エレノーラ様、今日はどうしたのです? 修練ではないのですか?」


「ええ。昨日の話をクララから聞きましたよ。そのことで来てもらいました」


 クララが緊張気味にうつむいている。エレノーラ様は構わず話を続ける。


「クララが貴方の申し出を断ったそうですね」


「は、はあ。大したことではなかったのですが」


「いいえ、大問題ですわ。クララがそのように話してきたのできつく説教しておきました」


「は? どういう事でしょう?」


 エレノーラ様がクララを一瞥(いちべつ)してから話を続ける。


「タクトはこの国の大切な客人です。そして私達の希望。それをおもてなしせず断るなんて。言語道断ですわ」


 クララが一層気まずい表情でうつむいている。


「師匠、もうそこまでに……」


「いいえ、このままではいけませんわ。そこで今日の予定はお休みにして、タクトの願いを叶えることにいたしました」


 エレノーラ様がクララに目で合図する。クララが申し訳なさげに私に話す。


「タクト様、本日は私がおすすめの場所へご案内いたします」


「え? いいの?」


「はい。タクト様にご満足いただけるよう、しっかり務めさせていただきます」


 クララが立ち上がり深々と一礼をする。


「あ、ありがとう。そこまで気合入れなくていいんだよ」


「いいえ、そういうわけにはいきません。よろしくお願いいたします」


 横にエレノーラ様がいる手前気合も入るのだろう。ここはお言葉に甘えることにする。


「今日は何も気兼ねすることなく楽しんできてくださいね。何かあればテレパシーで連絡してください」


「わかりました。ありがとうございます」


 エレノーラ様は修道院の門まで同行してくださり、にっこり微笑(ほほえ)んで手を振り私達を送り出してくださった。


 私とクララは町の中心へ向けて歩き出した。クララは前を向きつつも私に歩を合わせてくれている。服のせいもありたわわな巨乳がいつも以上に揺れている。


「クララ、今日の服、と、とても似合ってるね」


 私は必死に言葉を絞り出す。クララが反応して私の方を見る。


「あ、ありがとうございます。タクト様のお気に召して嬉しいです……」


 心なしか(ほお)を赤らめて答える。私はあまり胸を見ないよう顔をそらして返す。


「う、うん。とってもいいと思うよ」


「エレノーラ様が選んでくださいました。普段はこんな服着ませんから」


 クララは給仕を務めている。普段は動きやすい服装だが、修道院の職員にふさわしい胸が強調されないようなデザインだ。それでもクララの胸は目立つのだから、今の服装がいかに刺激が強いかということだ。


「師匠は一体何を考えて……」


 そう言いかけた時にクララがかぶさって話し出す。


「タクト様、本当は私、嬉しかったんです。今までタクト様からずっと避けられ嫌われていたのだと思っていましたから」


 なるほど。確かにそう見えていたとしても納得だ。なぜなら普段君の立派な胸を見すぎないよう目を必死にそらしているからだ。だがそんなこと言えるわけがない。


「ですから、今日は楽しんでいただけるよう頑張ります」


 もう十分幸せです。ありがとうクララ。


「あ、ああ。よろしく頼むよ」


「はい!」


 クララがにっこり微笑(ほほえ)む。だが、化粧の下からでもきっと泣きはらしたのだろうとわかるくらい少し目が()れている。私は歩みを止める。


「クララちょっといいかな」


「はい?」


 クララも私に気付いて立ち止まる。私はクララに手をかざす。


「ヒール」


 魔法が彼女の目のまわりを回復させる。


「これでよし。かわいい顔が台無しだったからね」


「そんな。でもありがとうございます。スッキリしました」


 こちらこそありがとうだ。天使スマイルグッジョブだ!


 その後クララは噴水公園、公衆浴場を案内してくれた。平日にもかかわらず人でにぎわっている。


 昼は市場の屋台で焼き鳥とパンを買って食べる。一口食べた時薄味だったが、塩を出してふりかけ、クララと一緒に堪能(たんのう)した。


「美味しくなりましたね。タクト様すごいです」


「食事は美味しい方がいいからね」


 二人談笑しながら昼のひと時を過ごした。午後からはいくつか名所を巡り、由来と歴史を教えてくれた。


「タクト様、もう少し歩きますがよろしいですか?」


「うん、いいよ」


「お疲れではありませんか?」


「そ、そうだなあ」


 私はクララも回復するようエリアヒールをかける。


「これでよし。じゃあよろしく頼むよ」


「ありがとうございます。では行きましょう」


 日が少し傾き始めるが、クララは意気揚々(ようよう)と歩き私をエスコートしてくれた。

ここまでお読みいただきありがとうございます!


「面白いかも!」「続きが読みたい!」「陰ながら応援してるよ!」


ほんの少しでもそう思ってくれた方は、いいねを押して、ブックマークや広告下の「☆☆☆☆☆」から評価していただけると幸いです。


作者のモチベが上がりますので、ぜひよろしくお願いいたします!

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