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第17話 タクト、戦争の代表に選ばれる

 翌日、私とエレノーラ様は国王の勅命により召集され、王城謁見(えっけん)の間に参上する。


 すでに国王と臣下達が待機し、私達を待っていた。私達は指定の場所へと歩み、片膝をついて頭を下げる。


「聖女エレノーラと大賢者タクト、勅命により参上いたしました」


 エレノーラ様が顔を上げ国王に挨拶(あいさつ)する。


「うむ。(おもて)を上げて楽にせよ」


「はっ」


 私達は頭を上げ、片膝をついたまま国王に対面する。


「勇者イグノールの件、よくぞ救出してくれた。感謝しておるぞ」


「ははっ、お役に立てて何よりです」


 国王のねぎらいの言葉に応える。国王は淡々と話を続ける。


「呼び立てしたのはほかでもない。昨日交渉が決裂し、隣国サレシアル王国と我が国が戦争状態になったのだ」


「さようでございますか」


「うむ。その戦争開始の日時が決定した。二日後の正午、サレシアル王国のグレル闘技場で行われることになった」


 国王は少し間を置いた後、私達に告げる。


「勇者同士の決闘だが、こちらの勇者イグノールは現状戦闘ができぬゆえ、まことに()まぬが我が国はタクト殿を代役として立てることにした」


「かしこまりました。手筈(てはず)は整っております」


 エレノーラ様が毅然(きぜん)と答える。私も覚悟をもって(のぞ)んでいる。


「タクト殿、この国に来てまだ日は浅いが勇者を救出した功もある。これは(わし)を含めた国の総意だ。貴公に命運を(たく)すゆえ、存分に力を奮い勝利をもたらすのだ」


「かしこまりました。(つつし)んでお受けいたします」


「うむ。対戦国の勇者の情報は聖女に渡しておく。しっかり対策を練り戦ってくれ」


 国王は臣下に合図し、エレノーラに情報書類を渡した。謁見(えっけん)はこれで終了となり、私達は王城を後にする。


 大聖堂に帰還後、私達は国王から頂いた敵国の情報を確認した。戦闘の舞台となる闘技場の情報と敵国勇者の情報が書かれている。


 気になるのはやはり敵国の勇者のことである。


======


勇者メルキウス……メルキウス=ファルメール。サレシアル王国を守護する勇者。冒険者レベル75,S級冒険者。セイクリッドアーマー着用。最強技、光刃撃など多彩な必殺スキルを持つ。攻守とも完璧で(すき)がない。


 その他にも詳細が列記されている。エレノーラ様が内容を読み上げ確認している。


「なるほど、これがタクトの相手になる勇者ですか」


「師匠、どうですか? 私で太刀打ちできそうですか」


 私の問いにエレノーラ様は涼しげな顔をしながら答える。


「昨日の修練で確信していますが、タクトの相手にはならないでしょうね」


「は?」


 一瞬耳を疑ってしまう。


「こちらの相手がイグノールだったら、おそらくこの勇者には勝てないでしょうね。ですが……」


 エレノーラは立ち上がり、窓から遠くを見つめながら続ける。


「今のタクトにかなう勇者はいません。大丈夫です」


「私はそんなに強いのですか?」


「はい。少なくとも75程度では貴方に傷一つつけられないでしょう」


「S級冒険者とありますが、これってかなりの強者ですよね」


「はい。ですがそれはあくまで人間としての基準です。この前の鑑定で伝説級以上と分かった貴方には及びませんね」


 エレノーラ様とのこれまでの修練でそこまで強くなったという事か。


「でもそう決めつけてしまって大丈夫ですか? この世界だって強者はいるはず」


「フフフ。そうですね、会ってみないと分からない事もありますからね」


 嬉しそうに語っているのが逆に不気味に思える。


「ともかく、対策は立てておいた方がいいですよね」


「そうですね、油断さえしなければ大丈夫と思いますが、一応立てておきますか」


 エレノーラ様、買いかぶりすぎです。私はそんなすごい奴じゃないですから。


 その後私達は情報をもとに相手への対策を練る。負ける事はないと言われてもこれは国家間の戦争だ。万全を期して(のぞ)むことにしたのである。

ここまでお読みいただきありがとうございます!


「面白いかも!」「続きが読みたい!」「陰ながら応援してるよ!」


ほんの少しでもそう思ってくれた方は、いいねを押して、ブックマークや広告下の「☆☆☆☆☆」から評価していただけると幸いです。


作者のモチベが上がりますので、ぜひよろしくお願いいたします!

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