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第14話 勇者発見

 私達は魔物を倒しながら下層へ潜っていった。現在第五十五層。強力な魔物が多数出現して何度も交戦して撃破していった。


「あ、感じます! 微弱ですが人の気配がします」


 エレノーラ様が勇者達を感知できたようだ。


「おお! 生存しているのでしょうか」


「まだわかりませんね。かすかにしか感じないのです。急がなねばなりません」


「わかりました、行きましょう」


 エレノーラ様が範囲数キロに聖なる領域(ホーリー・フィールド)を張っているおかげで魔物の数は少なくなっている。出現するのはかなり高位の魔物ばかりだ。


「師匠、このダンジョンの最下層は何層でしょうか?」


「伝承では六十層まであるそうです。それがどうかしましたか?」


「はい、勇者は相当深く潜ってしまったということですね。何が目的だったのでしょうね」


「詳しくは知りませんが、深層には(いにしえ)よりの聖剣や装備品が眠っているようですね。それが目的だったのかもしれませんね」


「なるほど、そうなのですね」


 途中大型の魔物や高位の悪魔が何度も押し寄せるが、エレノーラ様と力を合わせ撃退しながら先に進む。確かに強くはあるがまったく歯が立たない魔物はいなかった。


「ここも私達で何とか行けそうですね」


 私がそう言った時エレノーラ様が険しい表情を見せる。


「いいえ、一体だけ厄介な魔物がおりますわ」


 しばらく進むと広い場所に出る。そこで私達は信じられない光景を()の当たりにする。


「これは! どうりで彼らの消息がわからなかったわけですわ」


 四方を高い壁に囲まれた広場の奥に薄赤い(まく)のようなものが張られ、上空に紫色の大きな水晶が浮いている。


「水晶の中に人が入ってますね」


「ええ。あれがイグノール達ですわ」


 浮遊する四つの水晶にはそれぞれ人間が閉じ込められている。


「この(まく)があるせいで遠隔での探知ができなかったのですね」


「師匠、みんなは生きているのですか?」


「かすかですが生命反応がありますね。生きているようです」


「おお! それはよかったです」


 生きているなら連れて帰ることができる。あとはあの水晶からどう彼らを救い出すかだ。


「いいえまだです。タクト、彼らが水晶に閉じ込められているということは、どういう事ですか?」


「え?」


 エレノーラ様の問いに一瞬思考が止まる。私は何かを見落としている?


「彼らを閉じ込めた存在がこのフロアに存在するという事ですよ。しかもこの近くにです」


「ああっ!」


 重大なことを見落としていた! しかも今の声でその存在が私達に気付いたようだ。


「来ます! 神聖防壁(ディバイン・シールド)


 衝撃が私達を襲う。だがエレノーラ様の防壁が間一髪すべてを無効化する。


「この程度は問題ありません。タクト」


「はい」


「タクト、感知(パーセプション)を使用して魔物の特徴を把握してください」


「あ、はい!」


 ここに来てからずっとエレノーラ様に頼りっぱなしだった。私にももうできることだ。


「では探ります。感知(パーセプション)!」


 私は意識を集中し魔物を感知する。とてつもない反応が返ってくる。


「はっきり感じ取りました、師匠!」


「よくできました。では集めた情報をもとに攻撃してくださいね」


「了解しました!」


 このフロアの階層主ミノラス。大型のワームだが、上位悪魔の知能と宝石のように硬い装甲を(あわ)せ持つ。弱点は……


 私は集中し魔法を詠唱する。すでにエレノーラ様が魔法で敵の動きをホールドしてくださっている。


 私は左手に闇のエネルギー、右手に聖のエネルギーを出現させる。


「聖と闇の(ことわり)を等しく(あわ)せ持つ力を()って、聖者を超越した存在を穿(うが)て」


 両方の手を合わせ、エネルギーを融合させる。


中立の一撃ニュートラル・インパクト!」


 聖と闇の両方が混ざり合うエネルギーの球を巨大な敵めがけて()ち放つ!


 魔法は巨大な敵に直撃すると身体を包み込み、魔物の構成要素をすべて分解し消滅させていく。


「おお、素晴らしい! タクト、お見事です」


 エレノーラ様の称賛(しょうさん)とほぼ同時に浮遊している水晶が地上に落下する。水晶はヒビ一つ入らずどすっと衝撃音を残しやがて静止する。凶悪な魔物達の脅威(きょうい)が去り、あとは勇者達の救出だ。


ここまでお読みいただきありがとうございます!


「面白いかも!」「続きが読みたい!」「陰ながら応援してるよ!」


ほんの少しでもそう思ってくれた方は、いいねを押して、ブックマークや広告下の「☆☆☆☆☆」から評価していただけると幸いです。

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