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第10話 インベントリの性能

「ぐおっ! きつい……」


 部屋に戻るなり私は本をテーブルに置き、インベントリを開いて一冊ずつ収納する。情報の波が整理されていくこの感覚はまだ慣れず、吐き気さえする。


「何とかしたい、ならないのか!」


 三冊目を入れた時変化が起きる。苦しい感覚が薄れたのだ。


「あぁ、何かさっきより楽になった。助かる!」


 その後最後の魔導書を収納した時にはもう苦しい感覚はほぼ感じなくなっていた。原因はわからないが、これでもう毎回苦しい思いをしなくて()むのは有難い。



◆◆◆




 部屋に運んでもらった夕食を食べ終え、私はある考え事をしている。インベントリについてである。


「確か最初に実験した時は、こんな感覚はなかったよな」


 最初にインベントリを発見した時のことを思い出す。色々なものを入れていたがそこまで強烈な違和感はなかった。


「何でだろう。思い当たるとすれば……」


 最初の時には本は入れていなかった。本は間違いないだろう。


「あ、そう言えば」


 魔法の講義の時にエレノーラ様から魔導書の内容を覚えるよう言われて絶対無理だと思っていた。ひょっとするとあれがトリガーだったのではないか?


「本を入れるだけだと多分内容表示だけだったかもなぁ。切羽(せっぱ)詰まったのが大きかったと思うな」


 どうやら私の思いも作用するようだ。しかも無自覚に。


 という事は苦しい感覚が薄らいだのも関係あるのかもしれない。


「けど、本当にこんな量の魔法を頭の中に記憶できたのか?」


 私はインベントリを開き、借りた魔導書をすべて出してテーブルの上に置く。


「さて、確認していくか」


 私は最初に受け取った魔導書を手に取り、中を開いて確認する。


「うん、確かに覚えてるよな。使い方も効果も理解している」


 どんどんページをめくって見ていく。どれも既視感がある。ページをめくる速度が上がるがすべてを把握している。最後のページまで目を通したが、すべて記憶していた。


 「全部頭に入っている。すごいなこれは」


 実際に出した状態で記憶している事も大きい。一度インベントリに入れて内容を覚えれば、本を返却しても大丈夫ということだ。


 ほかの魔導書もパラパラとランダムに確認したが、やはり記憶している。実際にいくつかの魔法を実践してみたが、正確に発現した。


「ほかの魔法やこの世界の知識も、この方法で覚えられるな」


 これで渡された聖属性魔法はすべて把握した事になる。最初はステータス欄がないなんて使えないと思っていたが、とんでもない大間違いだった。


 膨大な量の知識を無理に覚える必要がなくなったのだ。有難い。これは大きな武器だ。


「よし、この事を明日エレノーラ様に話そう」


 私は本をインベントリに収納する。今日は色々あって疲れているし、少し早いが寝ることにした。

ここまでお読みいただきありがとうございます!


「面白いかも!」「続きが読みたい!」「陰ながら応援してるよ!」


ほんの少しでもそう思ってくれた方は、いいねを押して、ブックマークや広告下の「☆☆☆☆☆」から評価していただけると幸いです。

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