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9.魔法が駄目なら剣を極めればいいじゃないか

 トゥプに魔法を教わり始めてから数日が経った。

 いや、教えてもらってない。

 俺は教えてもらうことを諦めてしまった。


 じゃあ俺はどうしたのか?

 自力で頑張ることにした。

 ということで、集中力を高めるために座禅を組みながら特訓している。


 「未だに土を出すことすらできないなんてホントに才能がないんだね。」


 「お前の説明が下手すぎて何も分からなかったからだよ!」


 早く成長するには練習を増やすしかない。

 そう思って毎朝早起きして練習しているけど効果は見られない。


 「もうこんなもんで終わるか。」


 そう言って家へと戻ることにした。




 今日は土曜、ポールさんに剣術を教わる予定の日だ。


 「おはよう悠斗!朝早くから何してたんだ?」


 「土魔術の練習です。土を出すことさえ一向にできませんけど。」


 ガハハと大きな口を開けて笑うポールさん

 笑ってもらえるだけいい。

 これで憐れみの目なんか向けられた日には俺はどうすればいいのか。


 「まぁ、俺が剣術に関しては完璧にしてやるよ!用意ができたら外に来な!」


 なんと頼りになる言葉だろうか。

 同じことを言った奴からは何も教わることができなかったけど。


 外に出た俺は違和感を覚える。

 なんでポールさんは斧を持ってるんだ?

 え、剣術じゃなかったの?


 「剣はそこに俺が現役の頃に使っていた物がある。好きなの使ってくれ。」


 ポールさんが指をさした先にある用具入れ

 覗いてみると確かに数本の剣があった。

 あまり長い剣も使いにくいので、野球バットくらいの長さの剣を持ってポールさんのもとに行く。


 「まず悠斗に謝りたいことがある。俺は剣術なんて習ったことがない。完全な我流だ。」


 なんでこう自信満々な人に限って後から残念になるんだろう。


 「ただ、俺は唯一無二の技術を教えることができる。」


 「唯一無二の技術?」


 何だその格好いい言葉は。

 秘伝の技でも教えてくれるのか!?

 いや、我流なら全く伝わってないか。


 「その話の前に俺の身体の特異性について話さなければならない。俺の目は鑑定眼と呼ばれるもので、俺の先祖は今は魔王領に取り込まれた王国で鑑定士をやっていた。」


 鑑定眼!?強い能力の定番じゃないか!

 ただ、それよりもこの屈強な見た目の鑑定士を想像して笑ってしまう。


 「続けるぜ。俺は鑑定眼の中でも相手の力の入り具合を見ることに特化した眼を持っている。おれはこれを力の眼とよんでいる。」


 力の眼か。

 もっといいネーミングなかったの?


 「これで現役時代、俺は相手の力を入れてないところを全力でぶった斬ることによって魔物や魔族を倒してきた。相手の力の動きを見ることで相手の動きを予測して戦ったりもできるのがこの方法の利点だ。」


 なるほど、その戦い方を教えてくれると。

 でもあいにくそんな特殊な眼は持ってないんですよ。


 「お前の言いたいことも分かるぜ。だが、この眼は技術としてお前も習得できると思うぜ。現にこの眼を技術として盗みやがった男が一人だけいる。」


 なるほど、不可能というわけではなさそうだ。

 かといって俺が一日二日で習得できるものではないだろう。


 「と言うことで、今から俺が斧でお前を斬りに行く。力の動きを見極めて避けろ。」


 え、理論的なのか脳筋なのかよくわからない人だ。

 と言うか、さっきまでの話とどう関係があるんだよ。


 そう思っていると早速ポールさんは斧をぶん回しながら追いかけてくる。


 「やってやる!」




 夕焼けが綺麗だ。

 地面に寝転がって空を見上げる。


 ポールさんの言っていたことはなんとなく分かった。

 簡単に言うと筋肉の動きとかを見極めて動けということだ。

 うまく習得することができたらたしかに強い技術だとは思う。

 問題は、それを習得するまでにどれだけ時間がかかるかだ。


 「この調子だと、魔術も剣術も習得するには半年くらいかかりそうだね」


 上から覗き込んできたトゥぷはそう言った。

 正直俺も半年くらいで習得できるかすら怪しいと思っている。


 と言うかこれ剣術じゃないんだよな。

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