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5.まじでどうしようホントに

 特訓すると決めたところですぐに始められるわけではない

 というわけで、俺達がしようとしたこと

 それは、休む場所を見つけることだ。

 さっきまでの無駄な時間のせいでもうすぐ日が暮れそう

 ということで、歩きながら街を探していた。


 「なんか見えたか?」


 空を飛べるトゥプが上空から探す。

 とは言っても俺より少し高い程度。見えるものはそんなに変わらないだろう


 「何にも見えないね」


 GPSもなければ地図もない

 どの方向に向いて進めばいいかもわからないのに街の探しようもない。


 俺達はひたすら歩き続けていた

 夕焼け空も段々と黒に染まり始めた頃

 突然あっと声を上げるトゥプ


 「どうした?街があったのか」


 飛ぶのをやめて降りてきたトゥプ

 疲れた様子でへたれこんだ。


 「この先進んでも森があるだけ。もうどうしようもないよ!」


 そう言って座り込む。

 とはいえ、ここから戻っても道中に休めそうな場所がないのは確認している。

 可能性に賭けるには進むしかない。


 「とりあえず歩こうぜ」


 動こうとしないトゥプを肩に座らせて歩く。

 しばらく歩いた結果、何も見つからず森に到着した。


 「ほら!ボクの言った通り何もなかっただろ?一体何を考えてこっちに来たんだよ?」


 ジタバタするトゥプ

 だが、俺も考えなしにこっちに来たわけではない。


 「フッ、浅いな。俺の考えが分からないとは」


 「どういうことだい!?」


 森というのはモンスターが多く、かつ人がいないので修行に最適

 そして、俺は休む場所を作る方法を持っている。


 「俺の持っている適性を忘れたのか?」


 俺の適性ジョブ、魔術師(土)。俺はこれに活路を見出している。

 土魔術と言うならば名前の通り土を生み出せるのだろう。

 であれば家を作ることだってできるのではないか。


 「土魔術発動!」


 家を作る。そのイメージだけを強く持って地面を触る。

 触った地面が波打っているのが分かる。

 そして、目を開ける。


 「土魔術の発動おめでとう!」


 目の前には土でできた家

 …なんてなかった

 手を当てたところが僅かに窪んでいる。


 「今ちょっと土を動かせたのが土魔術だよ。多分何か作ろうとしたんだろうけど今の目的を覚えてる?魔術の習得も目標に入ってるんだよ?その魔術の跡は、使ったこともない魔術で休む場所を作るなんていう考えの浅はかさを見事に表現してるね。」


 万策尽きた

 意外とやってみればできるんじゃないかなと思ってたけど普通に無理だった。

 そうこうしているうちに空は暗くなってしまった。




 「やばい。まじでどうしよう。」


 近くの切り株に腰掛けて考える。

 今から逆方向に歩き始めても街がいつ見つかるか分からない。

 というか別に夜中だからってモンスターが出るわけでもなさそうだし野宿でもいいか


 そんなことを思っていた矢先


 「おい、悠斗後ろ!」


 肩から降りてあたりを見渡していたトゥプが大声を出す。

 後ろを振り返ると迫ってくる人影

 緑の肌に尖った耳

 あ、これゴブリンだ

 ナイフを持って目の前に飛び出してくる


 ここで、俺がもし武術の経験があるなら近くの枝を拾って応戦したり、ナイフを弾いて取り押さえたりもできたのだろう。

 しかし、俺はただの一般人

 武術どころかスポーツ経験すらない。

 そんな俺が唯一できたのは驚いてただ目を塞ぐことだけだった。

 首筋から液体が流れて来るのが分かる。


 痛みすら感じない

 もしかして、また死んだ?

 俺の意識はそのまま消えた。

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