表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【連載版】死亡エンドしかない悪役令息に転生してしまったみたいだが、全力で死亡フラグを回避する!  作者: 柚希乃愁
第四章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

121/121

人間観察

 フレイを加えた四人での昼食が始まった訳だが、レオナルドは何とも言えない居心地の悪さを覚えていた。

 端の席に座っているというのに、数多(あまた)の視線が自分達に向けられているのをはっきりと感じていたからだ。

 ただ、フレイは学園でも一二を争うほどの有名人であり、注目されるのも仕方ないことではあると諦めるしかなかった。


「レオがデステさん、ウォーリさんと三人で食事しているのは何度か見かけたことがありましたが、今日はお料理も同じものを食べてるのですね」

 そんなレオナルドを気遣(きづか)った訳ではないのだろうが、フレイから話題を振ってきた。

「今日だけじゃないよ。俺達は初日からいつも日替わりセットを頼んでるんだ」

「まあ。そうなのですか?」

「日替わりは安くて美味(うま)いっすから…、な?レオ」

「それに一週間毎日違うものを食べられる楽しみもありますし、ね?レオ君」

「…なんで俺に言うんだよ?」

 レオナルドはシドとザンクにジト目を向ける。

(まったく、こいつらは……)

 二人がフレイを率先(そっせん)して迎え入れたくせに、明らかに照れているというか、彼女が(かも)し出すカリスマ性のようなものに気圧(けお)されているといった様子なのだ。

 前に、女の子を紹介しろとか言っていた勢いはいったいどこに行ったのか。

「ふふっ、それはいいですわね。(わたくし)も今度頼んでみますわ」

 フレイの笑顔に二人はデレデレとするばかりで、まるで借りてきた猫のようにとても大人しかった。

「なあ、フレイ?フレイは何でまた俺達と昼飯を?」

「今はまだ内緒ですわ。レオ達をお待たせしないように食べ終えますので、食後まで待っていてくださいな」

 フレイが楽しそうにそんなことを言う。

「…わかった」

 彼女に何かトラブルがあったということではなさそうだと安心したレオナルドは、素直に(うなず)くのだった。


 それからも主に(しゃべ)るのはフレイとレオナルドといった状況の中、とうとう四人全員が食べ終わった。

 すると、フレイが隣の椅子に置いていた手()げ袋から一つの箱を取り出しテーブルに置くと、

「レオ。お誕生日おめでとうございますわ」

 レオナルドを祝福した。

「なんだレオ、誕生日だったのか?おめでとう!」

「おめでとうございます、レオ君。言ってくれればよかったのに」

 フレイの言葉にシドとザンクが即座に反応する。

「……あ、ああ。ありがとう。けど、どうしてフレイが俺の誕生日を?」

 あまりの驚きにお礼の言葉が遅れてしまった。確かに今日は自分の誕生日だが、知っているはずのないフレイに祝われるなんてそれほど予想外過ぎたのだ。

「セレナリーゼさんが教えてくれたのです。今日がレオの誕生日だと」

「セレナが?」

 レオナルドは首を(かし)げる。自分の誕生日が話題になるなんて、いったいどういう状況なのか。

「はい。それでケーキを焼いてきたのですが食べてくれますか?」

 言いながらフレイが箱を開けると、中にはホールのチーズケーキが入っていた。

 プロが作ったと言っても通用しそうなその出来映(できば)えにシドとザンクから感嘆(かんたん)の声が上がる。

「もちろん、ありがたくいただくよ。ありがとう、フレイ」

「ふふっ、よかったですわ。よろしければ、デステさんとウォーリさんもいかがですか?」

 フレイの提案に二人は高速で(うなず)く。

 それからフレイは、このときのために用意していたであろう、トレイにあっても食事中使用していなかったナイフと小皿を使ってケーキを切り分け全員に配った。


 そして、最初にレオナルドが一口食べ、美味(おい)しいと伝えると、フレイは嬉しそうに微笑んだ。

 続いてシドとザンクも食べ始める。

「うっめぇ~!」

「本当に美味しいです!」

「ありがとうございます」

「フレイさんは料理が趣味(しゅみ)なんすか?歌もすごかったっすよね?あ、フレイさんってお呼びしてもいいっすか?」

 緊張が(ほぐ)れたのか、シドが勢い込んでたずねた。

「もちろんですわ。それからお料理は歌と同じくらい好きですわね」

「料理上手っていいですね。僕もフレイさんのような女性とお近づきになりたいです。レオ君が(うらや)ましいですよ」

「おい。すぐにそういう方向に話を持っていくな。俺達は―――」

「ふふふっ、レオのお友達は面白い方達ですわね」

「……何かごめん。でも、そうだな。付き合いはまだ短いけどいい奴らだよ」

 ザンクの言い方がフレイの気に(さわ)ったのではないかと思ったレオナルドはすぐに謝罪するが、続けて本心からのフォローも加えた。

 ただ、レオナルドの心配は杞憂(きゆう)で、その後も四人はケーキを食べながら、楽しい昼休みを過ごすのだった。


 一方、レオナルドとフレイ、二人の様子をそのルベライトのような赤い瞳で横目に見ている者がいた。

(レオナルド=クルームハイト、か……。確か魔力がないってシャルロッテが言ってたわよね。でも……彼はいったい何者なのかしら?)

 アドヴァリス帝国第五皇女、シルヴィア=アドヴァリスだ。内心とても注意深く見ていた彼女だが、表情には一切出すことなく、視線を戻した。

(フレイとはいつ関係を築いたというの?それにフレイは何を考えているのかしら?彼女がルクス王子を治癒(ちゆ)したと聞いたときは()()()()()で動いてると思ったけれど、そうではないの?それとも―――。(いず)れにせよフレイの動向にはこれからも注意していかないと)

 最初からフレイを警戒していたシルヴィア。だが、いつも笑顔を絶やさないフレイが、その下ではいったい何を考えているのか、彼女にも全く読めなかった。

 現状、考えてもわからないフレイのことを一旦(いったん)脇に置き、シルヴィアは一緒に昼休みを過ごしている面々に目を向ける。


(シャルロッテはフレイの行動に興味がないって感じかしら?―――いえ、これはそう振舞(ふるま)ってるだけね。本当にレオナルドのことが嫌いなのね)

 シャルロッテがアレクセイを(なぐさ)めるように話しかけながらも、チラッとレオナルド達を見て、一瞬だけ不機嫌そうな顔になったのをシルヴィアは見逃さなかった。今までのシャルロッテの言動から彼女がレオナルドをどう思っているかはシルヴィアもわかっている。


(で、アレクセイは……、まだちょっと落ち込んでるわね。気が多いという訳ではないみたいだけど、それも仕方ないかのかしら。彼はクラスでも常に中心にいて、今までもそうだったのでしょうし。正直者で正義感の強いところは好感が持てるけど、時々子供っぽいのよね。フレイからレオナルドと食事するって言われて少し顔が引き()ってたし。ま、そんなところも可愛いらしくはあるのだけど、こんなにわかりやすいのは貴族としてどうなのかしら。でも、間違いなくシャルロッテが目をかけてるし、今はそういった部分も彼女が教育中といったところなのかもしれないわね)

 そんなことを考えながらシルヴィアは思わず苦笑してしまいそうになる。


 夜会のときシャルロッテに紹介されてから継続的に接してきて、アレクセイの人間性はある程度理解できているつもりだ。アレクセイがわかりやすいというのも大きいが。

 それに、アレクセイは魅力的な力も持っている。特に、このムージェスト王国では。だからこそ多くの人間が彼に注目し、きっと彼自身もそうした期待に(こた)えようとしているのだろう。

 シャルロッテの態度から彼女が彼の力だけを求めているとは思わないが、無視できるものでもないということはシルヴィアも同意するところだ。

 そんなアレクセイだからこそ、シルヴィアは興味を()かれるし、もっと親しくなりたいとも思っている。


(そしてセレナリーゼは……気が気じゃないって感じね。ふふっ、全く隠せてない。とても妹が兄に向けるものじゃない気がするのだけど、私も同じ状況になったらこんな風になるのかしら?嫌がってる訳じゃないけど、すごく複雑そう)


 昼休みだけでなく、学園ではシャルロッテ、アレクセイ、セレナリーゼといつも一緒だ。普段はここにフレイもいる。

 実際は、他にも同じクラスの生徒達が何人も一緒にはいるのだが、シルヴィアは特別気にかける人物に彼らを含めていない。

 なぜなら、シャルロッテが明確に線引きしているのを感じ取っているからだ。それだけでなく、これまで自分の目でも確認してきた。


(レオナルドはそれぞれの気持ちに気づいてるのかしら?何だかすっごく面白いわね)

 そうした中、様々な感情を向けられているレオナルドという人物にシルヴィアは自然と興味が()いてくる。

(これだけでもここに来た価値があるってものだわ。帝国では同年代の人と関わることなんてほとんどなかったし、毎日が本当に退屈だったもの。私を王国送りにしたことだけは感謝してもいいかもしれないわね)

 シルヴィアの口元に小さく自嘲(じちょう)するような笑みが()れてしまう。

 シルヴィアがこんな風に人間観察をするようになったのは、帝国で生きていくために必要だったからだ。そのため、自身の洞察力や見立てにはそれなりの自信を持っている。ただ、今となっては人間観察(それ)が趣味のようになってしまっているのを否定できないが。


(でも楽しんでばかりもいられないわ。時間は限られてるんだから……。私は私達の望みを叶えるために―――。絶対に好きなようにはさせないわ)

 シルヴィアの瞳には強い決意が宿っていた。

お読みくださりありがとうございます。お待たせしてしまいすみませんm(__)m

面白い、続きが気になるなど思ってくださった方、画面下の☆☆☆☆☆から応援していただけると嬉しいです!

【ブックマーク】や《感想》、《イチオシレビュー》も本当に嬉しいです!

モチベーションがとんでもなく上がります!

何卒よろしくお願い致しますm(__)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
シャルロッテがシルヴィアの器量だったらどうなってたかレオが捕獲されてただろうか >>時々子供っぽいのよね 前話と合わせると原作レオが魔力なしという同じ境遇のレイラと色々交流してたら、アレクセイが嫉妬し…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ