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【連載版】死亡エンドしかない悪役令息に転生してしまったみたいだが、全力で死亡フラグを回避する!  作者: 柚希乃愁
第四章

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これが研究の手伝い?

 学園生活が始まって初めての休息日。

 昨夜ぐっすりと眠ったレオナルドは、人の来ない(りょう)の裏手で鍛錬を行った。


 学園が始まってからも、レオナルドは早朝や授業終わりに日課の鍛錬を続けている。

 ただし、一人で行うため、鍛錬の方法は少し変わった。

 その内容は、実際に黒刀を使って、これまでに身につけた型のようなものを丁寧(ていねい)素振(すぶ)りで確認した後、明確にイメージしたアレンを仮想の相手にして模擬戦を行うというものだ。


 鍛錬を終えたレオナルドは寮の自室に戻ると、心地良い疲れを感じるままベッドに寝(ころ)がった。

 今日は一日何の予定もないため、後はのんびり過ごすだけだ。

 ぼんやりと天井を見つめながら、レオナルドはつい考えてしまう。

 まだ始まったばかりの、けれど初週から色々あった学園生活について―――、ヘスティやアリシアのこと、他にもゲームと明確に違うこと。

 だが、結局結論は何も変わらない。

 できるだけ波風を立てないようにするくらいで、現状、自発的に動けることは何もないからだ。


(……フレイのことも(しばら)くは様子見した方がいいだろうな。やっぱ迷惑かけたくないし、アリシアに紹介するとどうなるのかもわかんないし)

 レオナルドがフレイを見かけた回数は少ないが、そのときはいつもシャルロッテやアレクセイ達と一緒にいた。それは、彼女がクラス内でゲームどおりの立ち位置にいるように、レオナルドには思えた。

 そんな彼女がゲームと違って、レオナルドやアリシア、ヘスティと関わることになったらどうなるのか、全く予測できない。


『何をまたあれこれ考えているのかと思えばそんなことですか。ゲームにはなかった展開ですから気になるのも仕方がないかもしれませんが。結局は、予定どおり慎重に対応するしかないでしょう?』

 ステラの声質は、呆れているのがありありと伝わってくるものだった。

(うっす……。たださ、そういう意味では、やっぱセレナ達のこともちゃんと考えないとだよな……)

 自分を不甲斐(ふがい)なく思うレオナルドだが、それでも考えるのを止められなかった。セレナリーゼやミレーネのこと。二人ともレオナルドにとってそれだけ大切な存在だからだ。二人に何かあれば当然力になりたいと思っている。

 ただ、シャルロッテやアレクセイと共にいるのはセレナリーゼも同じだ。

 これもゲームどおりの関係性と言える。

 けれど、問題はレオナルドで、自分自身ではゲームのレオナルドとはだいぶ違うと思っているが、シャルロッテからはゲームと同じように嫌われているのを感じている。

 シャルロッテに言われたことやセレナリーゼの周囲にいる人達のことを考えれば、そんな自分の存在はセレナリーゼにとって悪影響を与えるものでしかないのではないだろうか。

 セレナリーゼは今日も予定があるとのことらしいし、クラスで上手くやっているなら自分はあまり関わらない方がいいと思えてならない。

『はぁ……。うじうじと悩み続けるのはレオの悪い(くせ)ですね』

(……すんません)

 声に出してため息を吐き、もう呆れを隠そうともしないステラに、レオナルドは謝ることしかできなかった。



 翌日。

「レオ君。ワーヘイツ先生の呼び出しは結局何だったんですか?」

 教室でザンクが早速(たず)ねてきた。

 彼の目は明らかに面白い何かを期待している。

 けれど面白いことなんて何もない。レオナルドは先週末あったことを語った。

「それってハーレム状態ってことじゃないですか!なんて(うらや)ましい!」

 話を聞き終えたザンクがテンション高くそんなことを言う。

「どこがだよ?話ちゃんと聞いてたか?研究の手伝いだぞ?」

 レオナルドはザンクにジト目を向けるが、シドは別の点が気になったようだ。

「ザンク。事態は俺達が考えるよりももっと深刻かもしれないぞ。レオは今()()()()先生、()()()()って言ってた」

「確かに!なんでたった一日で二人のこと名前呼びになってるんですか!?そんなにすぐ仲良くなったとでも言うんですか!?」

「そんなんじゃないっての。ただ単に二人からそう呼ぶよう言われただけだ」

「どう思います?シド君。レオ君のこの言い方」

「くそっ、これがモテる男の余裕ってやつなのか?顔は負けてないってのに」

「んなこと言うなら、二人とも研究室に行きたいってアリシア先生に直談判(じかだんぱん)したらいいんじゃないか?」

「いえ、それは結構です。僕もそれなりに忙しいですし、僕はもっとこう大きな女性(ひと)が好きなので」

 ザンクが真面目(まじめ)な顔をして、胸の前で両手を山なりに動かしながら答える。

「俺も遠慮(えんりょ)しておく。色々やることがあるからな。それに俺はおっとり系が好きなんだ」

 シドもフッと笑いながら答えた。

 二人ともアリシアとヘスティがタイプじゃないということだけはよくわかる、大変失礼な物言いだった。

「お前ら面倒くさ過ぎるだろ……」

 そんな彼らの答えにレオナルドは呆れ果てるのだった。



 そうしてこの日の授業がすべて終わった。

 アリシアはさっさと教室を出て行き、レオナルドはシドとザンクの二人とお(しゃべ)りをしながら帰りの準備を済ませた。

「じゃ、今日も研究室だから。またな」

「おう。いってら~」

「また明日です~」

 二人から気のない感じで見送られたレオナルドは、まだ席にいたヘスティのもとへと行く。


 レオナルドが研究室へ誘うと、ヘスティはレオナルドを横目に見ながら「ふん」と鼻を鳴らしたものの、文句は言わず席を立ち、二人は連れだってアリシアの研究室に向かった。


 道中、いったい何をさせられるのかと不安な気持ちを(かか)えながら研究室に着いたレオナルドだったが、

「二人ともよく来たね。今日は時間まで自由に過ごしてもらって(かま)わないよ」

 アリシアの言葉はまさかのものだった。

 特にすることはないらしい。

 ならば帰りたいところだが、時間まで自由に過ごせということは、つまりそれまではいろ、ということだ。


 これに対し、ヘスティは黙ってソファに座ると腕を組み目を(つむ)ってしまった。

 手持ち無沙汰(ぶさた)になったレオナルドはどうしたものかと考えながら室内を見渡し、一つ思いついた。

「アリシア先生。この部屋の本とか資料、ちょっと整頓(せいとん)していいですか?」

「え?そりゃあやってくれるならありがたいけど、いいのかい?」

「はい。って言っても床にある本を近くの本棚に仕舞(しま)ったり、資料をまとめたりするくらいですけど」

「いや十分助かるよ」

 こうして研究室内の簡単な片づけを始めたレオナルド。

 黙々と作業している間、静かな時間が流れる。

 やり終えた頃には研究室内が随分とすっきりしており、レオナルドは満足そうに(うなず)いた。


「アリシア先生。簡単にですけど一応終わりました」

 レオナルドの声に反応し、アリシアは顔を上げた。ヘスティもこれまで静かだった中で聞こえてきた声に目を開ける。

「ん?おお!この部屋がすごく広く感じるね。まるで他の研究室みたいだ。ありがとう、レオ」

「それならよかったです。そうだ、お茶を()れてもいいですか?」

 レオナルドの視線の先には、片づけをしていたときに見つけたティーセットと茶葉がある。その一画だけは使用頻度(ひんど)が高いのか、ある程度整っていたのだ。

 それなりに動いたため、レオナルド自身ちょっと(のど)(かわ)いたからこその提案だった。

「キミが?淹れられるのかい?」

 アリシアの疑問は当然のものだ。公爵家の子息が自分でやるようなことではないのだから。

「ええ。まあ、人並みには」

「へえ。じゃあ淹れてもらおうかな。ただ、自慢じゃないけど私はね、自分で淹れて飲む分には適当だけど、他人(ひと)が淹れたものにはちょっと(うるさ)いよ?」

 言いながらアリシアは意地の悪い笑みを浮かべている。

「何ですかそれ……。普通にしかできませんから、あまり期待はしないでください。ヘスティのも淹れていいか?」

「……あ、ああ」

 尋ねられたヘスティは余程意外だったのか呆気に取られた様子で何とか返事をする。


 ヘスティの反応が可笑(おか)しくて、くすりと一つ苦笑すると、レオナルドは茶器に手を伸ばす。まずは、カップにお湯を入れ、十分に温まるとお湯を別の容器に移し替える。そして、慣れた手つきで紅茶を淹れ始めた。

 その様子をソファに移動したアリシアは面白いとでも思っているようにニヤニヤしながら見つめ、ヘスティは不思議なものを見るように見つめていた。


 そうした中、最後の一滴をティーカップに(そそ)いだレオナルドはソファ前のテーブルにカップを三つ置く。

「熱いので気をつけてくださいね」

「ああ。それじゃあ早速いただこうか」

 アリシアはカップを手に取ると、まず香りを楽しんでから、一口飲んだ。

 ヘスティもカップに口をつける。

「……おいしい」

 思わずといった感じでヘスティの口から感想が()れた。

「よかった」

 自分の淹れた紅茶を他人に飲んでもらうのはこれが初めてだったレオナルドは、安心したように笑みを浮かべた。

 レオナルドの言葉にヘスティはハッとなり、眉根(まゆね)を寄せるとぷいっとそっぽを向いてしまう。失態だとでも思ったのか、はたまた照れ臭っただけなのか、理由は本人にしかわからない。

 それからレオナルドも自分の分の紅茶を飲み、満足のいく味にほっと息を吐いた。


 そのときだ。

「よし!決めた!レオ、キミはこれから毎回お茶を淹れてくれ」

 アリシアが突如(とつじょ)高らかに()げた。

「……いきなり何を言い出すんですか」

 カップをテーブルに戻しながらレオナルドがツッコむ。ただしその声は困惑の色を()びていた。

「今日みたいにしっかり淹れてくれよ?これが最初にお願いする手伝いだからね」

「マジで言ってます?」

 研究の手伝いとはいったい……。レオナルドの困惑はさらに深まる。

「もちろん!大真面目だとも!」

「……わかりましたよ」

 まさしく子供のように胸を張り、にっこり笑って断言するアリシアに、レオナルドはげんなりしながら了承(りょうしょう)するのだった。


 レオナルドの淹れた紅茶効果かは(さだ)かではないが、その後はヘスティがしかめっ(つら)になることもなく、研究室内には(おだ)やかな空気が流れた。

 アリシアも(もら)い物だというお菓子(かし)を出してくれて、三人で雑談をしてこの日は終わった。

お読みくださりありがとうございます。お待たせしてしまいすみませんm(__)m

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何卒よろしくお願い致しますm(__)m

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