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英雄は悪魔かもしれない  作者: カラフルなステンドグラス
第一章 王宮にて
8/25

8 こんばんは

 それは、小さな、ほんとうに小さな声だった。

 窓をたたく雨音がしていたら、聞こえなかっただろう。


「こんばんは。もちろん寝ていますよね、ぐっすりと」


 エスぺは突然の来訪者に驚いた。


 ブラックが仕込んだモノによって、【かんてい】の複製がもうばれてしまったのかと思ったのだ。


 殺されることはないだろう。拉致はあるかもしれない。自分に関わっている王宮の人間は主要人物を除けば、ポリーニとターバンしかいない。


 それはそうと、先ほどの声に聞き覚えがある。


 そうエスぺは思って寝たフリをしていたが、薄目を開けてみた。


 暗闇にはすでに目が慣れているので、なんとか見えそうだった。


 見ると、ポリーニだ。


 ゆっくりと近づいてくる。


 侵入の挨拶はポリーニだったか。


 スキルの鑑定が働くのだろう、光背もうっすら見える。はっきりとはしないが、光背の輪が大きく見える。三重か四重はあるかもしれない。その光背の様子から考えて、おそらくただ者ではないだろう。


 もう一人は見えないのでわからないが、いることはたしかだ。


 なぜもう一人いることがわかったかというと音である。ポリーニが部屋の中央付近にいるのに、扉の閉まる音がしたからだ。


 逃げるべきか? いや、無理だろう、相手は二人いるのだ。


 エスぺは観念した。


 ポリーニがまさかこれほどのアビリティを持っているとは。たぶん、もう一人もただ者ではないだろう。


 なるようにしかならない。


 エスぺはそう思って、ベッドの中で横になりながら話しかけてみることにした。


「こんばんは。まだ起きています。眠れずにいたんです。あなた方に差し障りがなければ、灯りをつけてもかまいませんが。せっかくいらっしゃったのに、暗いとよく見えないですよね」


「大丈夫だ。あたしは見える」

 たぶんポリーニではない、もう一人が答える。声に聞き覚えがない。


「わたしは灯りがあったほうが助かるの。だって暗いと見えないの」


 ポリーニの声だが、口調がおかしい。そっくりさんなのか?


「しかたがない。確認のために来たのだから、見えなきゃ意味がない」


 そう、もう一人の声が聞こえて灯りがついた。


 確認? なんの確認だ? 


 ……そうだ、【かんてい】を複製していることの確認か……


 灯りがつくとエスぺは起き上がり、二人を改めて確認する。


 ポリーニともう一人。女性だ。もう一人の女性も光背が四重……いや二人とも光背が四重あり、複雑な紋様が入っている。文字も見えるが、なぜか読めない。光背の様子から判断するに、かなり有用なアビリティを持っていそうだ。


 ポリーニはいつものメイド服、もう一人は全身黒い服で固めている。


「あらためて、こんばんは。こんな夜更けにどのような用でしょうか」

 エスぺが尋ねると、ポリーニが、確認なの、そう言って近づいてきて布団を剥いだ。


 エスぺはどうしたらいいのかわからない。下着のトランクス一枚で寝てしまって上半身は裸だ。


「なんの確認ですか」

 エスぺは自分の声が声が震えているのがわかった。


 エスぺのことばを無視して、ポリーニはエスぺの胸の辺りをじっと見ている。


 すると突然、ポリーニはゆっくりとメイド服の前ボタンを外して服を緩めて胸を見せようとしている、かのように見える。


 年頃のエスぺは、そう思って見入ってしまった。


 エスぺの思っていた通り、ポリーニは上半身をはだけて胸を見せてくれた。


 谷間だけだが。







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